【桐香】
「さて、今度はどのようなネタで――」
【郁子】
「もういいって」
【礼】
「前回のスベり方は尋常じゃありませんでしたよ。1点ですよ、1点」
【桐香】
「うーん……あれはさすがに尖りすぎてたのかもしれないわね」
【郁子】
「うん。なんならどこにも刺さってなかったね」
【礼】
「やはりもう少し分かりやすくしたほうが良いのかもしれませんね」
【桐香】
「そうなるのかしら……」
【郁子】
「だいたいさ、今までのネタってイクたちじゃなくてもできるようなものばっかりだと思うんだよね」
【礼】
「……どういうことだ?」
【郁子】
「たとえば前回のとかさ、言ってしまえば三人いれば誰でもできるじゃん」
【桐香】
「そんなことはないわ。"特別な"三人だからこそ成立するという側面だって――」
【郁子】
「スベった人は黙ってて」
【桐香】
「…………」
【礼】
「桐香様の鬼みたいな顔はじめて見た……! ……おい郁子! もっと言葉を選べ! 泣き出してしまったらどうするんだ!」
【郁子】
「お笑いの世界は厳しいのです」
【桐香】
「素人が"笑い"を語るのはどうかと思うわ」
【郁子】
「切るよ?」
【礼】
「桐香様が言うのはどうかと思います」
【郁子】
「……あーもう! あたしが言いたいのはもっと個性を活かすべきなんじゃないかってこと!」
【礼】
「個性?」
【郁子】
「ほら、どのネタを取ってもSSらしさ……みたいなものがなかったでしょ? そういうのがあったほうがウケるんじゃないかなって思ったの!」
【礼】
「まぁ、考え方としては妥当かもしれんが陳腐でもあるような――」
【桐香】
「――いいえ、郁子の言うとおりかもしれないわ」
【礼】
「……桐香様?」
【桐香】
「たしかにこれまでは先鋭的な見せ方に拘泥していたのかもしれない。でもそれがかえってアダになっていた」
【桐香】
「つまりもっと簡潔に、そして"私たちならではの味"を付与する――そういうことね、郁子?」
【郁子】
「うんそんな感じで」
【礼】
「同じ熱量で返してやれ」
【桐香】
「そうなったら……――あっ! いいことを思いついたわ!」
【郁子】
「嫌な予感がしてきた」
【桐香】
「ほら、私たちといえば……そう――"生徒会"」
【郁子】
「トーカちゃんだけじゃん」
【礼】
「厳密には私と郁子は違うはずなんですけど……そういう認識なんですか?」
【桐香】
「だいたいそんなものでしょう? 学園の実質ナンバー2、3みたいなものじゃない」
【郁子】
「ミズヒキちゃんたちに謝ったほうがいいと思う」
【桐香】
「で、当日は生徒会の男子三人に協力してもらいましょう。彼らにはこれを着てもらうわ」
【礼】
「……
【桐香】
「そして私たち三人は水乃月学園の一般制服を着る。これで準備は万端よ」
【郁子】
「ごめんぜんぜん意図がわからない」
【礼】
「私はわかったぞ。桐香様のやりたいことが」
【郁子】
「逆になんで?」
【桐香】
「というわけでさっそく男子三人に交渉してくるわ行ってきまーす♡」
【礼】
「あ、はい……」
【郁子】
「…………ねぇ、どう思う?」
【礼】
「無邪気な桐香様ってかわいいよな」
【郁子】
「そんなことは聞いてないの」
◆◆◆
【桐香】
「みなさん……忙しい中、再度集まっていただきありがとうございます」
【桐香】
「分かりにくいという前回の反省を踏まえ……今度は私が3分で考えた超絶オモロギャグ――披露します」
【桐香】
「――――有閑俱楽部」
【淳之介】
「2点」