私がバラティエに行った帰りの道中で寄った島や街、更にはバギーから貰ったお酒をエース、サボ、ルフィ、ダダンさんや山賊の皆さんに振る舞った。
ガツガツと貪る様にお土産や作った料理を平らげていく光景に『帰ってきたんだなぁ』と実感が湧く。
私はそんな光景を楽しみつつ今回の旅が私にとって良いものだったと実感していた。バラティエでゼフさんに会ったり、帰り道でバギーにあったり……あれ?私、海賊にしか会ってない。しかも元海賊のゼフさんに元海兵の私が人生諭されたとか何かの笑い話に思えてしまった。
「母さん……その……」
「うん……お話ししようかエース」
大宴会になっているダダンさんのアジトから私とエースは静かに離れる。
ルフィ達やダダンさんは食事に夢中になっていて私とエースが離れた事には気付かなかったみたい。
「さてと……改めると何ら話せば良いかわからなくなっちゃうわね……」
「母さん、ごめん!俺はズッと……俺の親父の事を知りたかったけど聞きたかったけど聞けなくて……ガープのジジイは何も話してくれないし……街の連中はゴールド・ロジャーの話はろくなもんじゃねぇ!ああ、もう何から話せば良いかわからない!」
私がロジャー船長の話を何処から話せば良いかと悩んでいるとエースも同様だったのか矢継ぎ早に話す。私もだけど混乱してるわね。
でも、簡単には話せないのよねロジャー船長の話は。色々と複雑だし。
でもね。
「エース……色々と思う事はあると思うけどね……」
そう言って私はエースを抱き寄せる。
ロジャー船長の事も。海賊王の事も。ガープ中将の事も。ルフィ達の事も。私の事も。諸々の事も全部含めて……
「海賊でも海兵でもどっちでも良い。なりたい自分になって良いんだよ」
私はエースを抱き寄せてそう言うとエースは少し震えていた。
「お、れは……街でゴールド・ロジャーの話を聞いたら……悪魔だ最悪だって言われて……俺はその血を継いでるから……」
「そんな事ないわよ。ルフィやサボはそれを知っても変わらなかったでしょ。ダダンさん達も」
エースは多分、孤独だったんだと思う。私が気を使ってロジャー船長の話をしなかった事で私に信用されていないと思い、ガープ中将はロジャー船長とやりあった話しかしなかった、ダダンさん達も他人事の話でしかないし、街の人達からしてみれば海賊時代を切り拓いた極悪人って認識でしかない。
そんな中でルフィやサボだけがエースの素性を知っても変わらずにいたからエースの心の支えとなった。
情けない話になっちゃった……大人がするべき子供のケアをしていなかったんだから。
「ホント……私、母親失格ね……」
「そんな事ねぇ!俺は母さんと血が繋がってない事はショックだったけど……母さんがいたから俺は……俺は……っ!」
私が心の中で思っていた事がポツリと出てしまっていた。エースは私から離れ……る事はなく、寧ろ私を離さないと言わんばかりにギュッと抱きしめて来た。
「エース……私はまだアナタの母親でいいのかな?」
「俺は……っ!母さんだからいいんだ!母さんじゃなきゃ嫌だ!」
私を抱きしめていたエースが離れて私の顔を正面から見た際に少し驚いた様子だったけどすぐに私が母親で良いと叫ぶ。
それと同時に気付いた。
「あ、私……なんで……」
私は泣いていた。
エースが私を母として見てくれていた事が嬉しかったのか……ううん、違う。
私はまだエースの母親でいて良いと言う安心感から泣いていた。私は私自身が思うよりもエースの事を我が子として見ていたんだ。だからエースがルフィ」サボ達と義兄弟の契りを交わした時に胸が苦しくなっていたんだ。
エースが私に心を開いてくれないと思っていたけど……壁を作っていたのは私の方だったのかもね……ゼフさんはそんな私の心情も見抜いていたのかも。
「エース……ありがとう」
私がエースを抱き寄せると、エースは恥ずかしそうにしながらも受け入れてくれた。
ズッと親子として過ごしていたけど……今日は本当に心から親子になれたと……そう思った。