高円寺家嫡男は拗らせ系男子という概念   作:sparekey@設定厨

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EP n度目まして。

 

「ほな、僕はクラス掲示板見てくるからここで待っとき。」

 

 

愛理を日陰に座らせて猿みたいにうじゃうじゃ群れてる

人混みを掻き分けて僕はクラス掲示板に向かった。

 

 

愛理にはああ言ったけど

ほんまに配属されるクラスを見に来た訳やない。

 

さっきから僕らを見てる視線を感じる。

それ探すために僕は愛理から離れた。

 

 

そもそも僕らがDクラス落ちこぼれに配属されることを知っているしね。

 

僕はこの学園の実力主義の意味も

Sシステム言う制度も入学前から把握しとる。

 

このシステムって何で一般的に秘匿出来てるんかいまいち理解出来へん。

僕みたいに両親がここの卒業生やった場合、なんの意味もなくない?

 

ネットで調べて見たら

ホラ話みたいな情報から、ほんまに実在する規則やイベントについての情報も

いくつかネット掲示板に乗ってたわ。

 

こん中から実在するルールを精査するんは難しいやろうから

一応の意味はあるんかもしれんけど……。

 

たぶん何人かは僕みたいに事前に知ってて入学してんとちゃうんかな?

 

 

 

そんな益体無いこと考えていると

目的の人物が僕の背中に耳をあてるようにもたれよる。

 

 

さっきからずっと僕と愛理を睨み付けてた視線の正体。

僕はあえて人混みに紛れて誘き出そうとしたんやけど……。

全然知ってるヤツやった。

 

「バスのあれ、何の嫌がらせなん?」

 

「勝手に居なくなっといて第一声がそれかよ。」

 

 

囁くような声なのに透き通るようにな綺麗な声。

背中越しの女はきっと今も見惚れるような笑顔で周りを欺きながら

僕にしか聞こえへん声量で汚い言葉で話してる。

 

久々にそんな姿を思い出して笑ってまう。

僕らは半年程度の付き合いやけど、なんと言うかコイツとは馬が合う。

 

「べつに君がこの学校に入学してくるのは解ってたもん。

僕も僕で色々忙しかったし大変やったんよ。

それとも、僕がおらんくて寂しかったんか?」

 

「……寂しかったって言ったら、どうにかしてくれんの?」

 

「あほか。それよりえぇ加減離れぇや。」

 

 

 

櫛田桔梗

 

僕が愛理と離れてる間に放り込まれてた進学校におった学年一の問題児。

噂では彼女は学園のマドンナのような存在だった・・・らしい。

 

でも、僕が転校して来た頃にはその面影なんて一ミリもなくて

ヤサグレたOLみたいな女に成り下がっとった。

 

 

詳しくは知らんけど

桔梗はみんなに好かれるような人間を演じて生きてきたらしい。

 

けれどもこの子かてストレスの限界があるわけで

それをSNSだかブログだかに愚痴っとったら

なんと偶々それが同級生に見つかってアホほど叩かれた、言うんが経緯らしい。

情報社会はほんま怖いなぁ。

 

 

ほんで詰め寄って来た奴等に桔梗は開き直って

全部全部抱えとる秘密とか愚痴を吐き出して自爆特攻かましたら

見事に学級崩壊したらしいわ。

 

 

それを聞いた時、腹抱えて笑ったわ。

 

 

僕は、何も出来へん雑魚が群れてんのが死ぬほど嫌いや。

そういう雑魚は口だけは大層御立派なこと言う癖に口先だけで何もせーへん。

キーキー喚いて群れる猿みたいなもんや。

 

 

僕は産まれてこの方みんなに好かれたい、なんて一度も思ったことないけど

欲しいもんの為に自分が持ってるもん使って何が悪いねん。

 

そんで最後に自爆特攻かまして

ちゃっかりトドメ刺してんのがもう最高やね。

 

 

そうやって笑ってやったら

桔梗から警戒心とか疑心感みたいなんがどんどん薄れていって

 

あげくの果てにいつの間にか僕の引っ越し先の家に

普通に遊びに来たり、ご飯作りに来たり

掃除しに来たりするようになった。

 

 

まぁなんで世話になってんのか言うと

僕の転校は事情が事情だけに急に決まったもんやから

実家からのハウスキーパーとかの手配が間に合ってなかったんや。

 

 

それに僕、産まれてから一度も家事したことないし。

実家では専属の人間雇ってるし。

 

 

僕みたいなもんが家事なんて出来るわけないやん。

そうやって開き直って言ったら

 

僕をアホみたいな冷めた目をして「これだから金持ちの坊っちゃんは」「普通遊びに来るって言ってるのにこんなに散らかす?」なんてグチグチ文句垂れ流しながら世話やいてくれたんがこの子やった。

 

 

まぁ、その後ハウスキーパーが手配されてもちょくちょく遊んでたけど。

今思うとそこまでしてくれた人間に対してちょっと冷たすぎたかなぁ。

 

 

「ま、埋め合わせやないけど後で色々教えたるわ。」

「あっそ。」

 

素っ気ない声で返す相手がそっと離れる。

振り返えることなく櫛田桔梗は人混みを離れて行った。

 

 

 

……ええ感じで離れていったけど君、僕とおんなじDクラスやで。

 

 

この後、教室で再会すんの気まずない??

 

 

 

 × × ×

 

 

Dクラスの教室に向かう道中。

僕は愛理にひとつ頼まれごとをした

 

「ねぇ、ぴーちゃん。お願いがあるの。」

 

そんな言葉から始まった彼女のお願い事に僕は正直複雑な思いやった。

 

「学校が始まる最初の一ヶ月の間、私に関わらないようにして欲しいの。」

 

 

僕は一瞬で心臓が酸橘スダチくらい小さくなったんか思うくらいキュッとなった。

 

 

「えっ……え、なん、えっ?うそやん。」

 

何て言葉を続けてええか解らんなってパニックになってたら

愛理は嬉しそうに僕を抱き寄せて事情を説明しはじめた。

 

 

何でもそういう視点でどんな人がいるか見ときたい

愛理なりの人間観察というか処世術みたいなもんらしいわ。

僕がいるとどうしても僕を通しての人柄しか見えなくなるらしい。

 

 

“愛理が進んで変わりたいと願うんなら僕はそれを応援する。”

 

 

僕は誰かに宣言したわけでもないけど

愛理が役者になりたいと決めた時からそう決めてた。

 

僕にはよく解らん方法やけど

それは愛理にとっては大事なプロセスなんやろう。

 

なら、ここは見送ってやんのが僕の努めや。

 

束縛して強要するような

アホ粕迷惑バカ男になんて僕はなりたくない。

 

「まぁ、あれや。うん……まぁわかったわ。

…………しんどなったり何かあったらちゃんと言うんやで?」

 

愛理は僕をもう一度力強く抱きしめてから

小さく「いってきます。」と離れていった。

 

化粧直しに行った彼女を僕は自分が思ってたよりも

ずっと弱々しい声で「頑張ってな。」と返した。

 

 

まぁ、あれや。うん。

何か、もうその辺の床でもええから寝たくなってきた。

 

いやいや、あかんあかん。

僕がしっかりせな、何かあった時にどないすんねん。

 

 

そんな独り言を都合5回程繰り返してDクラスの教室に入ろうとした時

見覚えのある女の子からいきなり声をかけられた。

 

 

「君も新一年生だよね?私、櫛田桔梗っていうのよろしくね。」

 

胡散臭いほどの綺麗な笑顔と、甘ったるい外国のお菓子みたいな声で話しかけて来たんは

さっきぶりの櫛田桔梗やった。

 

僕はそのまんままるではじめて出会ったような顔をして挨拶を返す。

 

 

「僕は高円寺司や。桔梗ちゃん言うんやね、よろしゅう。」

 

だって目が死んでるんやもん。

君、たった数分で何があったん?

 

まるで殺したはずの仇敵がゴ●ブリみたいに

わらわらわいてきたみたな目してるで?

 

僕は通りすぎ様に耳元で呟いておく。

 

「あとで説明せぇよ。」

「ん。」

 

喉をならすように返事した桔梗は作りもんみたいな笑顔のまま

教室におる他の子に話しかけに行った。

 

 

 

 

何で僕は、入学して早々馴染みの子らに知らん顔せなあかんねん。

ど真ん中に割り当てられた自分の席に座って僕は頭を抱えた。

 

 

 

 

×






Tips
両親に予め教えられていることリスト

・主人公と愛理の配属先はDクラス。
そしてそれは入学前から決まってたということ

・Sシステムとこの学園の最初の一ヶ月のこと。…etc



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