高円寺家嫡男は拗らせ系男子という概念 作:sparekey@設定厨
あの後、予想通り茶柱教員は席を売った。
ありもせぇへん職業倫理をたらたら語っていた割に
僕が話す気ない思うたんか、すんなり取引は成立した。
まぁ、山内は散々文句たれてたけど。
僕が「ほな買い直せばええやん。」言うたら渋々新しい席に行きよった。
さすがに入学初日から持ち金の半分も失うのは嫌やったんやろうね。
茶柱教員が教室から去った後
僕に話しかけようとするDクラスの人間はおらんなってた。
まぁ、これだけの公の場所で初対面の相手らに
「僕が一番優れてるんじゃ‼他はカス以下じゃ‼」にも等しいこと言うたからな
こうなったんは自業自得みたいなもんや。
僕の周りだけ入学初日の雰囲気やのうて通夜みたいに静かになっとる。
すこし席の離れた所では頭の弱そうギャルの集団が
大声でウザそうに僕の悪口言うてるもん。
露骨すぎやろ、せめて陰口は陰でやれや。
もし君らの想像してるような
毎月10万貰えて娯楽施設も買い物も毎月しまくれるような極楽生活が全部紛い物で
僕の言うてる試験がほんまやと理解できた時に
君ら一体どういう反応するんやろうか。
「みんな、すこし良いかな?」
ギャル集団を可愛そうなものを見る目で憐れんでると
好青年な男子生徒が教壇で話始めた。
「僕らは今日から三年間同じクラスメイトとして過ごすことになる。
だから、自発的に自己紹介をして一日でも早くみんなと友達になれたらと思うんだ。
入学式まで時間もあるしどうだろう?」
そういってクラス内の交遊関係を円滑にしようと
提案する、平田洋介を見て思わず落胆してしまう。
そうか……
平田くんは結局なにも選ばないことにしたんやね。
それなら君は僕の敵じゃないわ。
唯一気にかけていたことが
思いもよらんタイミングで解決した瞬間やった。
平田洋介
入学前に調べあげたDクラス生徒候補のなかで
もっとも父様の予測と、実際の情報の差が大きかった人間。
そしてもっとも僕が仲間に囲いたかった人間。
父様曰く
――平田洋介くんは、中学生の頃に昔から仲良くしていた友達がいじめにあって
それを自分がいじめられるのが怖くて見て見ぬふりしてたら
友達が自殺未遂してしまって植物状態に。
それがトラウマになり争い事や喧嘩、もっといえばイジメが起こりそうな切っ掛けを
徹底してなくしていくような生き方になった。
その結果、出来上がったのが
コミュニケーション能力も高くて運動も勉強もある程度こなせ
男女平等に接する理想の人間のような存在になる。
ここまで父様に聞いた時、僕は疑問に思ったんや。
何でそないな奴がDクラスに来るんや、と
その経緯や過程が知りたかったんや
そこから自分の子飼いの人間に現在(中学三年時)の平田洋介について調べさせたら
理想の人間どころか分かりやすい程の恐怖政治しとった。
暴力、暴言、制裁。
イジメの主犯格に徹底的な罰を与えて主導権をなくし
それらすべてを使っていじめをなくしていってた。
大声で威嚇して奮い立つように殴る様は気が狂ってるようやった、と
平田洋介を調べあげた人間に聞いたときは耳を疑った。
そこからは学級は崩壊したらしいけど
結局その後いじめはなくなったみたいやった。
そんな平田洋介に僕は共感にも似た感情がわいたんや。
君は才能も家柄もないけれど、一度は見て見ぬふりをしてもうたみたいやけど。
僕とおんなじや。
ないもん捻り出して足掻いたんやろ?
大事なもん傷つけた塵共を許せんかったんやろ?
怒りで頭ん中チカチカして片っ端からぶっ殺したくなってしもたんやろ?
ほな僕とおんなじやん。
大丈夫や。君がそのまま狂ったように壊れても僕が使ったるわ。
そのまま自分を鍛えて鍛えて鍛えぬいて
片っ端から不愉快な塵共を処理して
大事なもん守り抜けるまで息も忘れて走り続けたら君はきっと――
そんで今現在の平田洋介を見て勝手に落胆した。
君は乗り越えることなく、見ない振りをして生きていくんやな。
そんな解りやすい弱点抱えたままじゃ
ほんまに守りたいもん何も守られへんやん……。
なんやねんそれ……。
僕は差別も区別もするし喧嘩もすし挑発もする
勝つためなら汚い手段も騙くらかそうが気にせえへん
弱者が僕の道を塞ごうと言うなら躊躇なく踏み潰すし
罰も私刑も良し悪しもはっきりつける。
知らん人間が何十人何百人死のうが
僕の大切な人が生きてくれてたらそれでええ。
お前もそうやったんと違うんかい。
大事なもん傷つけられて
二度とそないなことないように死ぬ寸前まで鍛え上げて
誰にも負けんように生きていこうとしたんちゃうんかい。
傷つけられた現実と向き合い、足掻き、苦しんでたんなら
僕たちは友達になれる思うたのに
僕と平田洋介は絶対に相容れへん。
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Tips
高円寺司は自分がやろうとしていることを
平田洋介(中三)なら共感してくれるかもしれないと
そしてこれから高度育成高校でやることに巻き込みたいと
勝手に期待していました。
結果、平田くんは変わってしまいました。
それが良いのか悪いのかはともかく
高円寺司くんが考えていた方向ではなかったようです。
そして勝手に失望しました。
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