仮面ライダーディライト-世界の光導者- 作:トラグマアーク〜駄作者ナンバーワン〜
闇影と蠍姫にワームだと知られ、クロックアップで逃走するダークカブト。そこへ突然、ディスティールの放つ光の矢が彼を襲った。
『!!』
『逃がさねぇぜ、ワームさんよ。』
上手く回避し、背後から逃走しようとしたが…
『残念♪そのゼクターを私達に渡して貰えないかしら?…優しく言ってる間に、ね?』
ディシーフに阻まれ、挟み込まれてしまった。そして彼女はダークカブトゼクターを渡す様、最終通告をしながら自分に手を差し出した。
『…!!』
『そう…それが返事なのね…だったら力づくで奪うわ!』
【KAMEN-RIDE…GARREN!】
ダークカブトが専用武器「カブトクナイガン・クナイモード」を構え出したのを見て、ディシーフは力づくで奪うべくドライバーにカードをスラッシュすると、胸にダイヤのマークが刻まれた赤い鍬形を模したライダー「仮面ライダーギャレン」にカメンライドし…
『ここはコイツ等で行くか!』
【KAIZIN-RIDE…MOLECH-IMAGIN!】
【KAIZIN-RIDE…RABBIT-ORPHNOCH!】
ディスティールもドライバーにカードを二枚スラッシュさせて、鎌の様な短剣を持った緑の蜥蜴をイメージしたイマジン「モレクイマジン」と兎の特性を持ったオルフェノク「ラビットオルフェノク」を召喚した。
『ふんっ…!ハァッ!!』
モレクIは突然武器を投げ捨て、何故かジャンプをし出し倉庫内の壁を蹴っては飛び、蹴っては跳びと、まるで飛蝗の様なトリッキーな動きをした後ダークカブトに跳び蹴りをかました。
『…!!』
【CLOCK-UP!】
だが、そんな単調な攻撃がダークカブトに当たる筈も無く、クロックデュアルで簡単に避けられてしまった。すると…
『どうせ俺なんて…飛蝗の様に跳べやしないただの蜥蜴さ…。』
『お、落ち込まないでくれよ!兄貴!』
『いや、お前等兄弟じゃ無ぇだろっ!?』
モレクIは回避された事にいじけ出し、ラビットOがそんな彼を何故か「兄貴」と呼び慰める…と言う奇妙な事が起き、ディスティールはツッコミを入れた。
『あんた達何やってんのよ!?』
『フッ…!』
【CLOCK-UP!】
『…って、きゃっ!?』
Dギャレンもそんな三人に注意しながら、クロックデュアルでタックルをするダークカブトから回避した。すると…
『おい…今俺を笑っただろ…?』
『いや、笑って無ぇけ…『行くぞ…弟よ。』『いいぜ…兄貴!!』…っておい、コラ待てぇぇっっ!!?』
モレクIは、先程のダークカブトの小さな掛け声が自分を嘲笑った物だと勝手に勘違いをして怒りを募らせ、ラビットOを何故か「弟」と呼び彼と共にダークカブトの方へと向かった。
『ったく…どうする巡ちゃん?』
『あの子達の動きに合わせてこっちが援護するしか無いわね…。』
『さいですか…。』
Dギャレンとディスティールの嘆きを尻目に、モレクIは先程同様ダークカブトの周囲を飛蝗の様に素早く跳び回り、ラビットOも兎の如く彼の頭上を残像が生まれる程連続ジャンプをした。如何にダークカブトと言えど、相手の姿を捕らえなければ手の打ちようが無い…。
『良い感じね。だったら…』
【ATTACK-RIDE…SCOPE!ROCK!】
攻撃のチャンスを見つけたDギャレンは、「バットスコープ」で命中率を強化し、相手を石化する「トータスロック」のカードをスラッシュしたディシーフドライバーをダークカブト目掛けて狙いを定めた。
『ガッチガチに固めてア・ゲ・ル♪そこっ!!』
Dギャレンは味方の二体に当たらない様照準すると、ドライバーの切っ先から赤い刃状のエネルギー弾をダークカブトに放った。が…
『…!!』
『なっ!何っ!?ガァァッッ!!』
『あっ、兄貴!!』
刃が当たる寸前にダークカブトは跳び回っているモレクIの足を瞬時に掴み、地上に下ろし彼を盾にして攻撃を防いだ。その結果、モレクIは石化してしまいカブトクナイガンで一瞬に斬り刻まれ、消滅した。
『クロックデュアル!』
【CLOCK-UP!】
『し…しまっ…ギャアァァッッ!!』
モレクIを失い呆然としていたラビットOも、クロックデュアルの速度を乗せた斬撃によりあっさり爆死した。
『オイィィィィッッッッ!!!?お前等マジで何しに来たんだよっ!?全然役に立って…あぎゃああぁぁっっ!!!?』
『全くね…って、きゃああぁぁっっ!!?』
ディスティールが二人の呆気ない敗北にブチ切れながらツッコみ、Dギャレンが呆れていると、ダークカブトのクロックデュアルのタックルが彼等を倉庫の天井がぶち破れる程、空の彼方へと吹っ飛ばした。
『私達の活躍はボドボドダァッ!!』
Dギャレンは吹っ飛ばされる間際に何やら妙な事を言っていたが、気にしてはならない…。
―世界の光導者、ディライト!9つの影の世界を巡り、その瞳は、何を照らす?
?「痛っ…!!ソニックのダメージはそう簡単に引かないか…。」
一方闇影は、肩を押さえながら白石家に帰宅していた。あれから小休止をして普通に歩ける程度迄回復をしたのだが、完全にソニックのダメージが完治した訳では無い…。
「そう言えば…あの子大丈夫かな…?」
闇影は、先程自分と戦った少女・蠍姫の事を気にし始めた。
「とりあえず応急手当はしておいたけど…大丈夫かい?」
「大丈夫…です…。」
闇影は応急手当として、持ち歩いてる冷却スプレーを蠍姫の捻った足首にかけ、そこに破いた自分の服の切れ端をくくり付けた。
「ネオゼクトとは連絡が付かないし、一度家に来てちゃんとした手当てをするよ。さあ。」
ネオゼクトと連絡が付かぬ以上、闇影は蠍姫の手当ての為に彼女を一旦白石家に連れて行くべく手を差し伸べたが…
「放っておいて下さい…。自分で戻れま…痛っ!!」
手を取らず自力でネオゼクトに戻ると言い、立ち上がろうとする蠍姫。だが無理に立ち上がった為、足の捻挫が痛み出した。
「ほら!無理をするから…。」
「構わないで下さい…!!私は、普通の人とは違うから、この程度の怪我なんて…!!」
「…えっ?」
「!!いえ…何でもありません…。」
蠍姫の「普通の人とは違う」という発言を聞き唖然とする闇影。その反応を見た彼女は何でも無いと言い、話を中断させた。
「…今日の所は見逃します。次に会った時こそ、必ず貴方を抹殺します…!!」
そう言うと蠍姫は足を引き摺る様に歩き、この場から去って行った…。
「『普通の人とは違う』って…どういう事なんだろ…って、おっとっとっと…!!」
闇影は足元を躓き、倒れそうになり両手をバタバタさせて地面にコケそうになった…が、間一髪の所何者かが彼の手を掴み、支えた。
「あ、ありがとうございま…って!!」
「大丈夫ですか?闇影さん。」
「ヒヨリさん!!」
倒れそうになった闇影の手を掴んだのは、買い物途中のヒヨリだった。
―白石家
帰宅した闇影は、これ迄起きた事を黒深子達に話した。ネオゼクトの内情、ヒヨリの事、蠍姫の事、そして、ダークカブトのワーム化についてを…
「そんな事があったんだ…。」
「粗方解ったぜっ!そのダークカブトの正体はヒヨリさんの弟に擬態したワーム!!そうだよな!?」
コウイチは急に立ち上がり、闇影の口癖をパクりながらダークカブトの正体はワームが擬態したソウタだと言い切った。確かにそう推測するのが普通である。「普通」ならば…。
「そうかな?もしあのダークカブトがワームだったら、俺はとうに殺されていただろう?けど、そうはせず苦しみながらワームになっただけでそのまま逃げて行った…。」
「うーん…何でかしら?」
「(苦しみながらワーム化…もしかしたら、闇の牢獄が原因か…?それとも…。)」
ダークカブトのワーム化が嘗て黒深子をオルフェノクに変えた、自身の強まった負の感情によりその身を怪人にする現象、闇の牢獄が原因なのかと推測しながら、それとは別の原因があるのかを考える闇影。
「ワームが…あの子に…?なら…」
「大丈夫よヒヨリさん。まだ弟さんが亡くなったって決まって無いわ。もう少し信じて見ましょう?ね?」
今の話を聞き、ダークカブトの正体がソウタに擬態したワームならば既に弟は殺されてしまったのでは、と考え暗い表情をしたヒヨリを、影魅璃が微笑みながら肩を添えて励ました。
「ええ…分かってます。」
―ネオゼクト本部
「きゃあっっ!!?」
「全く…ディライトを倒せないばかりか、ダークカブトも捕まえ損ねるとは…!!」
「もっ、申し訳ありま…うぐぅっっ!!?」
この施設の最下層にある、薄暗く狭い個室で蠍姫はヒデナリからディライトの抹殺に失敗した事の責として付き倒され、腹に足を思い切り踏まれる。彼女の頬は何度も殴られり、ひっぱたかれて赤くなっていった。
「おまけに手当をされて、勝手に見逃す…!!使えませんねぇっ…!!『お仕置き』ですね…!!」
「!!おっ、お願いですっ!!それだけは!!それだけは…い、嫌ぁぁぁぁっっっっ!!!!」
蠍姫はヒデナリの「何か」に怯え、彼の足元に縋りそれをしない様懇願した。しかし、「それ」をやられた彼女は泣き叫びんでいた…。
「いいですか?今度無様な失態を犯せば、永遠に『そのまま』でいて貰いますからね。はい…約束ですよ。」
『報告します!「例の計画」は最終段階に移ります!!」
「そうですか…。それではあのダークカブトに『お仕事』を作ってあげましょうか…。」
ゼクトルーパーの報告を聞き、ヒデナリは不気味な笑みを浮かべてながら奇妙な事を言い、本部を後にした。
「(ソウちゃん…。どうして帰って来ないの?これ以上…私を一人にしないで…!!)」
あれから白石家を後にしたヒヨリは、ソウタが帰って来ない事に悲しんでいた。普段は気丈に振る舞っているが内心、寂しく感じていたのだ。
「ヒヨリ。」
「ヒデナリさん…。お仕事の方は大丈夫なんですか?」
「それより聞いて下さい。ソウタ君の行方が分かりそうなんです!」
「!!本当…なんですか!?」
「ええ。ここじゃ何だから本部でお話します。着いて来て下さい。」
ヒヨリの前に現れたヒデナリは、ソウタの行方が分かるかもしれないと言い彼女をネオゼクト本部へと連れ出した。
―ネオゼクト本部
「ねぇ、ヒデナリさん。ソウタは…何処にいるんですか?」
「直に会えますよ。それには…」
ヒヨリの答えにヒデナリは立ち止まり、指を鳴らした。すると…
「きゃあっっ!!?」
「貴女の存在が必要なんですよ…!!」
何処からか数人のゼクトルーパー達が現れ、ヒヨリを拘束した。突然の事にヒヨリは動揺し出した。
「遂に完成しましたか…!!」
本部の研究室らしき場所で、中くらいの鉄塔の様な装置が建てられており…
「ヒデナリさん!!離してっ!!」
そこにヒヨリが両腕を鉄具で拘束されており、ヒデナリに離す様叫んでいた。
「総帥!!これは一体どういう事ッスかっ!?ヒヨリさんをこんな目に遭わせて!!」
「さて壬銅、君に『例の計画』について詳しくお話しましょう。これはワームの全細胞、全神経を活性化させてワームを意のままに操る『活性装置』、そして…」
ヒデナリは、テツキの質問に答えず謎の装置「活性装置」について説明しながら懐から緑色の石を取り出した。
「何スか…それ?」
「ワームの細胞で構成された『ワームストーン』。これを人間の身体に埋め込む事でワームの細胞が侵食し、その身はワームと化す…。『これを持っていればワームに襲われません。』と言えば、どうなりますか?」
テツキは「計画」の内容を聞き理解すると同時に、身を凍らせた。ワームストーンを一般人に配り身に着けさせる事でワーム化させ、その活性装置を作動すれば、ワーム化した人間は全てネオゼクトの意のままになる…。
「そして、今からダークカブトを誘き寄せる為に『前から捕縛していた』ワームに彼女を襲わせるんです。本来の目的が達成出来る上に装置の実験が出来る…。まさに一石二鳥じゃないですか!!」
人命を躊躇無く危険に晒し、ましてやそれを「実験」だと高らかに言うヒデナリにテツキは怒りを感じた。
「な、何考えてるんスか総帥!!これが『人々からワームを守る』計画だなんて間違ってるッス!!こんな、人の心を踏みにじるやり方を…婚約者を平気で実験台にするなんてまる…で…!!」
激昂したテツキはヒデナリを捲し立てていると、途中で言葉を詰まらせた。目の前で信じがたい事が起きたからである。
「まるで何ですか?まるで…」
「あ…ああ…!!」
『まるでワームみたいなやり方じゃないか、と言いたかったのかァッ!?人間。』
ヒデナリがビートルWに酷似した、体が銀色で腕が六本あるヘラクレスオオカブトの特質を持ったワーム「ヘラクルヴァワーム」に変貌した為に…。
「ヒ、ヒデナリさんがワームに…!?」
「じゃ、じゃあ総帥は…!?くっ!!総員!戦闘準備を…!?」
『ギギギ…!!』
『ギャアァァァァッッッッ!!!!』
テツキが戦闘準備の命令をしようとした時、一部のゼクトルーパー達がサナギ体に変化し、その隙を付かれた普通の隊員達は殺害されてしまった。
「そ…そんな…!!」
『やれ。』
『ギギィィッッ!!』
「がっ!!?ぎっ!!うぐっ!!かはっ!!」
「止めて!!お願い止めてっ!!」
ヘラクルヴァWの冷たい一声で、サナギ体達はテツキに殴る蹴る等の暴行を加えた。ヒヨリの悲痛な制止の声に耳を貸さずに…。
「始末したら適当に放り棄てなさい。他の者はこの活性装置の実験の準備をしなさい。」
ヘラクルヴァWは再びヒデナリに擬態し、テツキの処遇と実験準備の命令を下した。
「(ヒデナリさん…!!)」
―白石家
「はい、どちら様…!!みっ、壬銅君!!」
インターホンの音が聞こえ、闇影が玄関迄来てドアを開けると全身が傷だらけで頭から血を流し衰弱したテツキが倒れていた。どうやら力を振り絞って此処まで来たのだろう。
「う…うぅ…た、隊…長…!!」
「どうしたの先生、大声出し…って、壬銅さん!?」
「ひでぇ怪我だ…!!」
「コウイチ!壬銅君をソファーに寝かせるのを手伝え!黒深子、影魅璃さん!救急箱とお水を!」
黒深子達に的確な指示を出した闇影は、コウイチと共にテツキをリビングのソファー迄肩を担いで移動した。
「総…帥が…ワーム…活性…装置…ヒヨリ…さんが…危ない…!!」
「えっ!?なっ、何て!?」
テツキは、息絶え絶えに先程の出来事を喋るとそのまま気を失った。コウイチはよく理解出来ないでいるが、闇影は…
「粗方解ったよ。総帥がワームで、ヒヨリさんを囮にしてダークカブトを捕まえようとしてるって事を!」
「嘘ぉぉっっ!!?」
今の言葉だけで何時もの台詞を言いながら完全に理解した。これにはコウイチも驚かざるを得なかった。
「(なら、ダークカブトは…)コウイチ、後は頼んだぞ!!」
「えっ?お、おいっ!?待てよ闇影!!」
テツキをコウイチに預けた闇影は、家を出てマシンディライターに乗り込み、単身でネオゼクト本部へと向かった。
―ネオゼクト本部
「遂にこの時が来ました…。活性装置、作動!」
ヒデナリの合図で活性装置は作動し、それは緑色のエネルギーが放たれた。すると…
『ハァァッッ…!!』
「ひっ…!!ワ、ワーム…!!」
弁髮の形をした毒針に、全身が銀色の蠍を模した姿が特徴のワーム「スコルピオワーム」が現れ、ヒヨリに近付く。
「ふふ…さぁダークカブト!!早く来ないとこいつが殺されてしまいますよ!!」
ヒデナリの挑発に答える様に、何処からか扉を強く叩く音が聞こえ出した。そして…
『…!!』
扉がぶち破れると予想通り、ダークカブトが現れスコルピオWの前に阻んだ。しかし…
『ウッ…グッ…グゥゥッッ!!』
突然苦しみ出し、またも上半身のみがビートルワームに変化した。この活性装置の影響で身体が上手く動かせない様だ。しかし、ビートルWはそれに抗った為身体中に緑色の電流が流れ、その姿は揺らめき徐々に人の形へと変化していく。その正体は…
「あっ…く…くっ…!!」
「!!ソ、ソウタッ!!」
ビートルWの正体を見て目を見開き、愕然とするヒヨリ。それもその筈、ビートルW…ダークカブトの正体は、ウェーブがかった短い黒髪に、黒いTシャツの上に薄手の白シャツを羽織った少年は、彼女の弟・ソウタなのだから…。
「でも…何で?貴方は今年で21になる筈なのに、どうして五年前と姿が変わって無いの!?」
「…。」
「くく…あーっはははっっ!!実験は成功です!!この活性装置とこの新システムがあれば、我々は世界を支配出来る…!!」
ヒデナリは、活性装置の性能を見て狂った様に高笑いをしながらデスクの上にある銀色のアタッシュケースの「中身」に目をやり…
「そしてようやく捕まえましたよ…『もう一人の実験体』がぁっ!!」
「…ぅがあぁぁぁぁっっっっ!!?」
ソウタに近付き、彼を実験体と言い腹を強く踏みつけた。
「ソウタ!!」
「さて…何故こいつが五年前と姿が変わって無いかを教えてやろう…。それは…」
「それは、彼の身体にワームストーンを埋め込みワーム化した為、肉体の体内時間が停止したから…だろ?」
「!!」
ヒヨリの先程の疑問をヒデナリが答える前に闇影がゆっくりと現れ、代わりに全てを話した。ワームストーンを埋め込まれた人間は、その影響で肉体の成長が停止してしまい、永遠に歳を取らなくなるのだ。
「闇影さん!!」
「ふん…壬銅から聞いたのですね。」
「…それもあるけどね。」
闇影が更に近付こうとした時、ヒデナリがスコルピオWに顎を彼に向けて動かし、襲う様命令を下した。が…
『ハァァッッ…グッ…!!』
「!!」
何故か動こうとせず、緑色の電流を全身に流しながらその場でもがき、そのまま倒れるとその姿が揺らめき出し…
「はぁ…はぁ…!!」
「!!君は…!?そうか…これが『普通の人とは違う』理由なんだ…。」
スコルピオWの正体は、何とあの蠍姫だったのだ。闇影は愕然としながら、彼女のあの時の言葉の意味を理解した。
「チッ…やはり全く使えませんね。」
「貴様…こんな子供をワームにするなんて…!!」
まだ十代の少女である蠍姫をワームに改造した上に、「使えない」と道具の様に吐き捨てるヒデナリに憤る闇影。しかし…
「違いますね。こいつは銀城がゼクトを立ち上げた時からいた実験体だ…。」
「?どういう…事だ?」
彼女をワームに改造したのは、自分では無くゼクトの仕業だとと言うヒデナリ。闇影は眉をひそめながらそれについて尋ねた。
「五年前…我々ワームはゼクトと戦い、銀城はその前線に立って私と戦った…。そして私は奴の記憶を読み取り、そこの女に擬態して油断した隙を付き、殺してやった…。」
「貴様…!!」
「そして奴に成りすましネオゼクトを再建した私は、一人のゼクトルーパーから銀城も知らない、秘密裏に行なっている『ある実験』の存在を知った。その実験とは…くく…。」
ヒデナリは此処まで話すと、発作の様に笑いを堪えながらその実験についてを話し出した。
「人間とワームが融合した存在、『ネオティブ』の研究だよ!!それには私の心を大きく刺激させられた!!そしてそれにより強靭な肉体と化した奴等はライダーシステムのクロックアップとワームの本来のそれを合わせた、クロックデュアルを生み出した!!」
ヒデナリは目を大きく見開き、高らかに叫ぶ様に言った。人間とワームの融合体『ネオティブ』…これがゼクトが秘密裏に行われていた実験の正体であり、クロックデュアルはそのネオティブが変身したライダーシステムのクロックアップとワームのそれを同時発動する物である。
「そして…そいつはワームに変えた人間を支配する為に、ヒデナリさんと同じ方法で油断させて捕まえた僕にワームストーンを埋め込んだんだ…!!」
「はははっ!!その通り!!だがお前は逃げ出してそのワームの力を逆に使いこなす為…そしてワームに取り込まれて暴走しない為に姿をくらました…!!」
「…えっ!?」
ソウタがヒヨリの下に戻らなかった理由とは、ネオティブの力を制御する事と、その力によりワーム化して姉や周囲の人間を傷付けない様にする為である。
「なら…私の両親を殺したって話は…!!」
「嘘に決まっているだろう…!!その実験のサンプルはお前なんだからなぁっ!!記憶を消去した事も聞き、お前にダークカブトを捕らえさせようとしたのだ!『両親を殺したのはダークカブトだ』と吹き込んでなぁ…ギハハハハッッ!!」
「…!!」
顔を歪ませて下卑た笑いをするヒデナリから真相を聞いた蠍姫は、ショックを受けて顔を俯いた。腕をワナワナと震わし、殺意の篭った目をして右腕のみをワーム化させて…
「…うああああっっっっ!!!!」
半狂乱したが如く叫びながら、ヒデナリに向かいその腕を振るって殺そうとした。
「無駄だっ!!ふっ!!」
「きゃああぁぁっっ!!」
だがヒデナリが掌を前に突き出すと、そこから緑色の音波エネルギーが放たれそれを受けた蠍姫は再び地に伏せられた。
「甘いですねぇ…私は活性装置程では無いが、一体迄ならワームの動きをコントロールする事が出来るんですよ!」
「貴方は…絶対許しません…!!」
「大人しく我々ワームの言う通りに生きれば良いものを…人間でなくなったお前達なんて誰も受け入れないんだよっ!!」
「違う!!人間でなくなったから誰も受け入れられないなんて事は…絶対じゃない!!」
「何ぃ?」
「例えどんな姿に変わり果てたって、互いを想う心が…相手を想い合う絆があれば、そんな物は関係無い!!俺と黒深子の様にな…。」
「相手を…想い合う絆…。」
「姿を隠して自分の運命と戦い、影で家族を守ってきた彼の絆の力は誰よりも強い!!私利私欲の為に人の心を利用するお前より強いんだ!!」
「黙れっ!!黙れ黙れ黙れぇぇっっ!!そんな戯言…貴様等を葬り人類をネオティブ化させれば…!!」
闇影の言葉に激怒したヒデナリは、デスクを思い切り蹴飛ばし、かけていた眼鏡を叩き付けて激昂し彼を葬った後計画を実行すると息巻くが…。
「どうかな?俺は全てを焼き尽くす灰塵者であり死神だ…。例えお前がどんな世界を築こうともそれを焼き尽くし、光へ導く!!」
「貴様ぁっ!!一体何者だっ!?」
「お節介教師な仮面ライダーだ!!宜しく!!」
「僕も…戦います!!来るんだ!」
ソウタは自分も戦うと言いながら、闇影の隣に近付き飛翔するダークカブトゼクターを右手に掴み…
「「変身!!」」
【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】
【HENSHIN!】
闇影はディライトに、ソウタはライダーベルトにゼクターをセットしヒヒイロノカネの鎧を纏ったダークカブト・マスクドフォームに変身し…
『キャストオフ!』
【CAST-OFF!】
【CHANGE-BEETLE!】
ゼクターを操作しキャストオフをすると、アーマーが展開、弾け飛びライダーフォームへと変化した。
『さて、輝く道へと導きますか!』
『ほざくなぁぁっっ!!やれっ!』
『ギギィィッッ!!』
ヒデナリはヘラクルヴァWと化し、複数のサナギ体が現れディライトとダークカブトに襲いかかった。だが…
『はっ!ふっ!せいっ!!』
『やぁっ!えいっ!ぜぇぇいっ!!』
『グギャアァァッッ!!』
ディライトはライトブッカー・ソードモードで、ダークカブトは片腕をワーム化してカブトクナイガン・クナイモードでサナギ体達を素早く斬り裂き、あっという間に爆発させた。
『おのれぇぇっっ!!』
『クロックデュアル!』
【CLOCK-UP!】
『何!?グアァァッッ!!』
ヘラクルヴァWはクロックアップを使いディライト達に襲いかかるが、ダークカブトのクロックデュアルの速度に敵う筈が無く斬り付けられた。
『くそっ…!!』
分が悪いと感じたヘラクルヴァWは、再びクロックアップを使い天井を突き破り、飛んで逃げ出した。
『逃がすか…!!』
【FINAL-FORM-RIDE…DA・DA・DA・DARK-KABUTO!】
『力を抜いて。』
『え?』
ディライトはダークカブトの背中に手をやると、彼の仮面を模したダークカブトゼクターに変形しディライトの右足に装着された。これがFFR『ゼクターダークジャッキ』である。
『ライダー…ジャンプ!!ふっ!!』
ディライトがジャンプをし出すと、クロックアップの速度でヘラクルヴァWが空けた天井の穴に向かって急上昇した。このFFRを装備するとクロックアップが使用可能になるのだ。
『くそっ…!!この私が追い込まれるとは…!!』
『待てっ!!』
羽根を拡げ浮遊するヘラクルヴァWが嘆いていると、ディライトが穴から現れ、Zジャッキはダークカブトの姿へと戻った。
『おのれぇぇっっ!!私は全ての人間共をネオティブに変え、この世界を支配する!!それを邪魔する者は全て消し去ってくれるっ!!』
『お前の支配する世界なんて…』
『僕達は…認めない!!』
【FINAL-ATTACK-RIDE…DA・DA・DA・DARK-KABUTO!】
【ONE-TWO-THREE!RIDER-KICK!】
ディライトがFARを発動すると、ダークカブトはゼクターのボタンをテンポ良く押してゼクターホーンを操作した後、再びZジャッキに変形しディライトの足に装備された。
『ライダージャンプ!!』
ディライトはライダージャンプで空中迄勢い良く飛び、バック宙をした後に右足を振り上げて…
『はあぁぁ…せいやぁぁっっ!!』
踵落としの様に足を思い切り降り下ろすと、Zジャッキは分離してクロックアップの速度でヘラクルヴァWに向かって急降下し…
『クロックデュアル!!そして、ライダー…キック!!』
『そ、そんな馬鹿なっ!!?グアァァァァッッッッ!!!!』
速度を落とさずダークカブトの姿に戻り、クロックデュアルを使用してその速度を上乗せしたままライダーキックをするFAR「ディライトドロップ」をヘラクルヴァWに喰らわせて爆破させた。
「……。」
「姉さん…ごめんなさい。僕は姉さんに迷惑がかからない様にずっとこのワームの力を制御する為に今まで戻らなかったんだ…だから…!!」
「ど……んじゃ…。」
「え…?」
ソウタはヒヨリに今迄戻らなかった理由を全て話し、謝罪した。しかし彼女は小さい声で何かを呟き…「何処ほっつき歩いとったんじゃっ!!このクソガキャアァァァァッッッッ!!!!」
「ゲヤァァァァッッッッ!!!?」
「ええぇぇぇぇっっっっ!!!?」
突然、実の弟の顔面に飛び膝蹴り(シャイニングウィザード)を喰らわせて吹っ飛ばした。傍にいた闇影もヒヨリの本性(?)を目の当たりにし、目玉が飛び出す程驚いた。
「おどれが帰って来んからアタシャ、昼のパートの仕事の稼ぎじゃ足んねぇから夜はキャバクラで働いて食い繋いどったんじゃぞっ!!分ぁっとんのか!?ワレェッ!!」
「ベブブブッ!!!!」
「(何処で働いてるんですかっ!?しかも口調変わり過ぎ!!)」
吹っ飛ばしたソウタに跨がり、彼の顔面にクロックアップ並の速度で往復ビンタをしながら、とんでもない家庭の事情を訴えるヒヨリ。そして、気が済んだのか一方的な制裁は止めるとソウタを抱きしめ…
「もう…誰も私を…一人にしないで…うぅ…うぅっ…!!」
「ごめんなさい…姉さん…。ただいま。」
「グスッ…お帰り…ソウちゃん。」
「良かった…。」
「ヒヨリさん、弟さんと再会出来て良かったわね…。」
「ええ。遠くに離れたり、ワームになっても、互いを想い合う絆があればあの二人は絶対に離れませんからね。」
影魅璃と闇影は、キャンバスに描かれたソウタとヒヨリが抱きしめ合う絵を見て二人の絆の強さに感動していた。
「やぁやぁ闇影君。景気はどうかな?」
そこへ水色のラインが入った銀色のアタッシュケースを持ちながら、満面の笑みを浮かべた包帯を巻いた周が現れた。
「何だよ、何時も以上に気色悪い顔をして。巡はどうした?」
闇影は、そんな彼を見て気色悪いとキツイ言葉を投げ付けた。しかし周は一切怒らなかった。その理由とは…
「巡ちゃんは傷の具合が俺より悪いから休んでんだよ。それよりこれ見て見な。ジャーン!!」
周がケースを開けると、中には水色の蜻蛉型のコア「ドレイクゼクター」が入っていた。彼が上機嫌な理由は一目瞭然だ。あの後、ネオゼクト本部から盗み出したのだろう。
「はぁ…お前また敵を倒した後に盗んで来たのか。」
「そうゆうこった。じゃあな!」
周の抜け目の無さに手を当てて呆れる闇影。そして、彼はそのままリビングから出て行った。すると…
「おっ!君は…ほうほう…なるへそ。早く行っといで。じゃあね。」
玄関先で周は誰かと話をしており、早く行くよう勧め白石家を後にした。その人物はリビングに入って来た…。
「君は…!?」
「……。」
その人物とは、何とソウタと同じくネオティブにされた蠍姫だった。彼女の用事とは…?
「私には…貴方の言う絆がどんな物なのかよく解らないんです…。」
蠍姫は、闇影の言っていた「絆」が何なのかを知る為に此処へ来たのだった。すると闇影は微笑みながらこう言った。
「絆って言うのは、仲間に家族や友達、恋人を互いに想い、支え合う物なんだよ。」
まるで父親が子供の質問に答える様に優しく話す闇影。すると蠍姫は少し考えて口を開いた。
「貴方と居れば、絆がどんな物か解るかもしれません…。だから…私を貴方達の旅に連れて行って下さい!お願いします!!」
蠍姫は自分の絆が何なのかを知る為に、何と闇影達の旅について行きたいと言い出した。
「勿論さ!!俺達と一緒に君の『絆』を見つけよう!!」
「はい…!!ありがとうございます…。」
無論闇影は、この申し出を了承した。それを聞いた蠍姫は笑顔で感謝した。
「蠍姫じゃ何か固いから、名前を決めないとね。えぇと、サソードでクロックデュアルを使うから…ツルギ…諸刃(もろば)ツルギって言うのはどうかな?」
闇影は、蠍姫の名前を諸刃ツルギと名付けた。確かに剣使いのサソードらしく、またクロックデュアルも体力を大きく消耗する、諸刃の剣な為、彼女に相応しい名前である。
「ではその名前で…。」
「宜しくな!ツルギちゃん。」
「宜しくね。」
「はい、宜しくお願いします…。」
こうして、蠍姫改め諸刃ツルギが闇影達の仲間に加わった。そこへ…
「痛たたた!!?って、えっ!?ザビーゼクター!?何?自分もついて来るって!?痛い痛い!!分かった、分かったから!!」
何処からか飛んできたザビーゼクターも闇影について行きたい様だった。しつこく頭をつつくザビーゼクターに闇影は彼(?)の同行も許可した。
「それじゃあ…新しい仲間が二人出来た記念に今日はご馳走にしよう!!」
「私も手d…「「勘弁して下さい!!」」」
「何でよっ!?」
黒深子が料理を手伝うと聞き、闇影とコウイチは土下座をしてそれをしない様懇願した。それに突っ込む彼女を見てツルギは小さく笑った。その時…
「絵が…変わりました…。」
次の世界を表わすキャンバスに、上側は神、中段には無数の天使、そして下側には人々が長蛇の如く歩く絵が描かれた。
「アナザーアギトの世界…。」
てな訳で、闇影達に新しい仲間が1人+αが増えました!!
次回は闇影サイドの仲間について紹介します。
好きなレギュラーキャラは?
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煌闇影/仮面ライダーディライト
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白石黒深子/スワンオルフェノク
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赤鏡コウイチ/仮面ライダーリュウガ
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諸刃ツルギ/仮面ライダーサソード
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彩盗巡/仮面ライダーディシーフ
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戴問周/仮面ライダーディスティール
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白石影魅璃
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創士傀斗
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紅蓮