仮面ライダーディライト-世界の光導者-   作:トラグマアーク〜駄作者ナンバーワン〜

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残り2つ!!


第17導 アナザーアギトによろしく!

―レストラン・サンライト

 

 

「二番テーブルに太陽ランチ四人分!!六番にティラミスパフェ三つ!!」

 

「「は〜いっ!!」」

 

客からのオーダーを聞き、真っ白な料理服に黒エプロンにコック帽を被った「コック長」の闇影と、同じ服装で黒いバンダナを巻いたコウイチは大きく返事をしながら今のオーダーより前の料理を作っていた。特に闇影は手際良く調理し、皿の目玉焼きが乗っかったハンバーグにオレンジ色の鶏ガラソースをかけて定番ランチ「太陽ランチ」を完成させた。その見た目は名前通り、太陽の様なランチだった。

 

「は〜い!!一番テーブル、太陽ランチ四人前出来たよっ!!」

 

完成した料理をカウンターに置いた闇影は、直ぐ様次のオーダーの調理に入った。その後も業務をこなしていき、午前中は無事終了した。

 

「ふぅ…何とか終わったね。皆お疲れ様!」

 

「しかし闇影、お前凄ぇよな!四人分のランチをほんの五、六分で作っちまうなんてよ。」

 

「そういうお前だって、デザートを作るのが得意だなんて初めて知ったぞ。」

 

「ホントよね。特にティラミスパフェが絶賛だったわよ。」

 

昼休みの昼食中、コウイチは闇影の手際の良さを賞賛するが、闇影もコウイチがデザートの料理が得意な事を知り賞賛した。影魅璃の言葉通り、午前中のデザートもバニラアイスとチョコアイスの間にティラミスが挟まったパフェ「ティラミスパフェ」のオーダーが多かったのだ。

 

「へっ、まぁな!何れは『お菓子の城』を作ってみるつもりだぜっ!!ほれ、これが設計図。」

 

コウイチは何れ「お菓子の城」たる物を作りたいと豪語しながら、何処からか大きな城の形をしたお菓子の絵が描かれた設計図を取り出し、自慢気に見せた。

 

「こりゃ凄いな…実現したら是非試食させて貰うよ!」

 

「ねぇ…何で皿洗いしかさせてくれなかったの?」

 

「「(ギクッ!!)」」

 

皿洗いしかさせて貰えなかった為、不機嫌になっている黒深子の声を聞き、身体を硬直させる二人。理由は勿論、前回の「ダークカブトの世界」で彼女の料理があまりに壊滅的だった事を知った為、それ以後闇影は、黒深子に絶対料理をさせない様にすると決めたから…なんて事は口が裂けても言えない。

 

「あ、い、いや…それは…ん?ツ、ツルギちゃん、どうしたの?」

 

この話題からどうにか話を逸らそうとする闇影は、たまたま自分の方をずっとしげしげと見つめているツルギに話し掛けた。

 

「あ、あの…闇影さんがいつも持ってるカードが気になって…少し見せて貰えませんか?」

 

「うん、良いよ。はい。」

 

ツルギは、闇影がディライトとして戦う際に使うカードが気になり見せて欲しいと言い出した。それを聞き闇影は、ライトブッカーから九枚全てのFSRのカードを取り出し彼女に渡した。

 

「ありがとうございます…。」

 

カードを手渡されたツルギは余程興味があったのか、一枚ずつ食い入る様真剣に眺め一言も喋らなくなった。

 

「珍しいカードが好きなのかな…って夢中に眺めちゃってるね。」

 

「ちょっと先生!話逸らさないでよっ!!」

 

ツルギの方へ話を逸らされた黒深子は、怒って闇影に抗議し出した。その時…

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

「な、何だっ!?お客様!どうかしましたか!?」

 

突然店内で悲鳴が聞こえ、直ぐ様駆け付ける闇影達。(ツルギは除く)しかし、店内に特に変わった事は起きていなかった。何かと思っていたら店の外で謎の異形二体が人々を襲っていた。

 

「アンノウンか…釣りはいらん!取っておけっ!!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!お客様!!何だ急に…ってえぇっ!!?こっ、こんなにっ!?」

 

すると突然、黒いコートを羽織い赤いサングラスをかけたオールバックの長身の男性と小学二年生程の身長をした赤いボブカットの少女がテーブルに勘定を置いて店を出た。闇影はその男が置いた分厚い札束を見て驚いた。

 

「百万はあるんじゃ無いか…?って、そんな場合じゃない!!早く助けないと!!」

 

闇影はあまりにも大き過ぎる「勘定」を見て呆けていたがそれは後回しにして、アンノウンに襲われる人々を救うべく店を飛び出した。

 

 

 

―世界の光導者、ディライト!9つの影の世界を巡り、その瞳は、何を照らす?

 

 

「た…助けて…!!」

 

『ヒトハ…ヒトノママデイイ…!!』

 

「うわぁぁっっ!?」

 

赤く鋭い海星を模したアンノウン「スターフィッシュロード」二体がこの言葉を念仏の様に呟きながら、一人の男性に向けて口から水を吐き出しじりじりと近付く。彼等アンノウンは、人々が「アギトの力」を持つのを恐れその力を持った人間を抹殺する事を目的に動いているのだ。

 

「ひいっ…!?」

 

スターフィッシュRが腕を降り下ろし、その力を持ってるらしき男性を始末しようとしたその時…

 

「その人達から離れろっ!!変身!」

 

【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】

 

『とりゃあぁぁっっ!!』

 

『グガァッ!?』

 

闇影は腰にディライトドライバーを装着し、カードを装填するとディライトに変身し、勢いをつけた跳び蹴りをスターフィッシュRにお見舞いした。

 

『早く逃げて下さい!…行くぞっ!!はっ!ふっ!やっ!せいっ!!』

 

襲われていた人々が逃げるのを見届けたディライトは、スターフィッシュR達に素早い連続パンチと回し蹴りを喰らわせる。

 

『グッ…!!ナラバ…!!』

 

反撃をするべくスターフィッシュR達は、その身体を凶器の様に鋭い巨大な海星の姿に変化し急回転しながらディライトに斬り掛かった。

 

『ぐあっ!!くっ…そっちがスピードならこっちもスピードだ!』

 

【SHADOW-RIDE…DARK-KABUTO!】

 

ディライトは自身の影をダークカブト・ライダーフォームにシャドウライドさせて、もう一枚カードを装填した。

 

【ATTACK-RIDE…CLOCK-UP!】

 

クロックアップを使い、再び回転して襲い掛かるスターフィッシュR達の正面に高速移動で近付くディライトとSダークカブト。そしてディライトはすかさずFARのカードを装填し…

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…DA・DA・DA・DARK-KABUTO!】

 

『はあぁぁ…ライダーキックッ!!』

 

『グギャアァァッッ!!?』

 

ディライトとSダークカブトは、タキオン粒子のエネルギーを凝縮しスパークさせた右足で勢い良く回し蹴りをする「ライダーキック」をスターフィッシュRに叩き込み、爆破させた。

 

「ふぅ…さっきの人何処に行ったんだ?」

 

「危なくなってもう遠くへ逃げたんじゃないの?」

 

「かもしれないな…仕方ない、店に戻ろう。」

 

変身を解いた闇影は辺りを見渡し先程のコートの男性を探すが、その人物は見当たらなかった。やむを得ず店に戻ろうとしたその時…

 

「おっ、おい闇影!!あれっ!!」

 

「うっ…うぅっ…!!」

 

「さっき逃げた人!?大丈夫ですかっ!?」

 

コウイチに呼び止められた闇影が背後に目をやると、先程のスターフィッシュRから水を喰らった男性が呻き苦しんでいるのを見かけ、慌てて駆け付けて身体に触れようとしたが…

 

「触るなっ!!」

 

「…えっ…!?」

 

突然、先程のコートの男性が怒号を飛ばしながら少女と共に此方に近付き、苦しむ男性の近くにしゃがみ込んだ。

 

「はいは〜い!いまからちぇんちぇいがこのひとろなおすんらからじゃましらいで!!」

 

少女は舌っ足らずな言葉で闇影達にコートの男性の邪魔をするなと、ジャンプしながら注意した。

 

「あ…ああ、ごめんよ…ってこの人お医者さん?」

 

「ちょうなのよ!」

 

「マナ、ちょっと静かにしろ。治療に集中出来ん。」

 

「はいなのさ!」

 

闇影の質問に大きな声で答えるマナと呼ばれた少女は、男性に静かにするよう注意され敬礼のポーズを取って返事をした。

 

「この液体はアギトの力を持った者のみを猛毒に冒す特殊な毒液だ…。」

 

「え…?アギトって事は、貴方が…!!」

 

アギトの名前を出した男性の言葉を聞き、闇影は彼がアギトと関係があるのかを尋ねようとしたが、男はそれを無視し右の掌を毒で苦しむ男性の額に近付けた。すると、掌にアギトの紋章が緑色に輝き男性の額から黒い煙の様な物が現れ、掌に吸収されていった。

 

「うぅ…ん?か、身体が楽になった!!」

 

毒で苦しんでいた男性は、身体が楽になって喜びながら立ち上がった。だがここでコートの医師は…

 

「そうか、なら治療代に百万を払って貰おうか。」

 

「「「「ひゃっ、百万!?」」」」

 

「命が助かったんだからそれくらい安いもんだろ?」

 

何とコートの男性は、男に今の治療代として百万を払えと言い出した。あまりの法外な治療代に闇影達も大きく叫んだ。

 

「何だよ!?そんな大金払える訳無ぇだろっ!?」

 

確かに治療代が百万なんて大金を一般人が容易く払える訳が無い…。男がコートの男性に怒鳴り出していると、横から闇影が割り込み…

 

「百万だったらありますよ!はい。」

 

「おっおい、闇影!!」

 

先程この男性が店に置いていった「勘定」の百万を、少し顔をしかめながら治療代として手渡した。

 

「まあ…誰から貰ってもいいんだがな。」

 

「チッ、ぼったくってんじゃ無ぇよ!!ヤブがっ!!」

 

治療代を貰い納得した医師に男性は暴力的な言葉でなじり、激怒しながらその場を去って行った。

 

「お前さんも変わってるよな。他人の治療費を肩代わりするなんて…。」

 

「それより貴方のさっきの力、アギトと何か関係が…」

 

「私の名は森野(もりの)カオル。通りすがりのただの医者だ。そしてこっちは…」

 

「じょちゅの地羽(ちば)マナらのさ!」

 

闇影の質問には答えず自分達の名を紹介する医師・カオルと助手のマナ。彼等は世界各地で病気で苦しむ人々の治療をする旅をしているのだと言う。

 

「そうなんですか…マナちゃんも頑張ってるんだね。」

 

「あったりまえなのら!わたちはちぇんちぇいのおくちゃんらから!」

 

「ははは…奥さんだなんて可愛い事言うね。」

 

「しちゅれいね!こーみえてもわたちはにじゅうごなんらから!!」

 

マナがカオルの奥さんだとは信じない闇影の言葉に、彼女はぷんすか怒りながら年齢が25だと言うが…

 

「「「ぷっ…ぷはははっ!!」」」

 

「マ、マナちゃん、う、嘘付いちゃ駄目だよ。」

 

「そ、そうそう。でもこういう所が可愛いわね。」

 

「じゅっ、十年経ってから、い、言いなよ…ぶ…ぶはははっっ!!」

 

信じるどころか嘘だと決め付け、大笑いする三人にマナは目に涙を浮かばせ…

 

「うっ…うっ…うわあぁぁぁぁんちぇんちぇえぇぇぇぇっっっっ!!!!」

 

周囲の建物に響く程大きく泣き叫び、カオルの足下に引っ付いた。無論あまりの煩さにカオルは耳を塞いでいる。

 

「あ…ああ、ごめんごめん!!言い過ぎたよ。それでカオル先生、さっきどうして此処から離れたんですか?」

 

「お前さんには関係無い…。面倒事に首を突っ込みたくなかっただけだし、たまたま人が倒れていたから医者として治療してやった…これで満足か?解ったら私達を…!!マナ、逃げるぞ!!」

 

「ヒック…はいらのさ…。」

 

「あっ!待って下さい!!まだ聞きたい事が…!!」

 

何かを感じたカオルは、闇影の制止に耳を貸さず漸く泣き止んだマナと共にこの場から颯爽と去って行った。すると、頭部に巻き貝を被り肩にも同じ貝が付いたアンノウン「シェルロード」三体が此方に現れた。

 

『シェアァァ…!!』

 

「何でアンノウンが近付き出したら逃げるんだよ…。」

 

「話は後だ!今はこいつ等を倒す事に専念しろコウイチ!!」

 

カオル達が逃げた事に嘆くコウイチに目の前の敵を倒すのが先だと檄を飛ばす闇影。二人は、互いの変身ツールを取り出し変身しようとしたその時…

 

『グガァッッ!?』

 

「な、何だっ!?」

 

「あれは…G3-X!!」

 

青と白を基調とした専用バイク「ガードチェイサー」に乗った、青と銀を基調のアーマーに、頭部に二本のアンテナが特徴の「仮面ライダーG3-X」が此方に近付きながらシェルR達を銃撃した。

 

『一般人の方は下がって下さい!!アンノウンは、我々警視庁が討伐致します!!』

 

ガードチェイサーから降りたG3-Xは、一般人である闇影達にこの場から離れる様言うと、バイクからガトリング銃型武器「GX-05 ケルベロス」を取り出し構え、シェルR達に向けて正確に一体のみを連射した。

 

『グッ…グギャアァァッッ!!』

 

「凄い…正確に一体だけ撃って倒すなんて…!!」

 

一点狙いの攻撃に一体のシェルRは、頭から青い天使の輪の様な物を浮かばせて爆破した。闇影は、そんなG3-Xの正確な射撃能力に感嘆の声を上げた。

 

『オノレェ…ヒト風情ガッ!!』

 

同胞を倒され怒りを募らせるシェルR達は、頭部と肩から槍の形をした貝をG3-Xに向けて乱射した。

 

『グッ…グアァァッッ!!』

 

貝を無数に喰らったG3-Xは仰け反りそうになるが、何とか体勢を立て直し…

 

『くっ…!!何のその…これしきっ!!』

 

ケルベロスに、先程威嚇射撃に使った銃「GM-01 スコーピオン」を連結させて、ロケットランチャー型武器「GXランチャー」を完成させた。

 

『全弾…持ってけぇぇっっ!!』

 

『グギャアァァッッ!!』

 

GXランチャーのトリガーを引き、無数のミサイルをガトリング砲の様に放つ「ケルベロスファイヤー」によりシェルR達は爆破した。

 

『グゥッ…!!ア、アギト以上ニ厄介ナ奴ダ…!一度退クカ!!』

 

だが内一体は辛うじて生き延び、G3-Xをアギトと同じく厄介な存在だと声を漏らしながら撤退していった。

 

『くそっ!!一体逃げられたか…!!』

 

『緋山(ひやま)君!!またGXランチャーを使用許可も無いのに勝手に使ったわね!!あれは強力なアンノウンが出た時にしか使うなと、何回言わせる気!?』

 

『お、大澤(おおさわ)さん!!すっ、すいません!!』

 

G3-Xの無線から大澤と言う女性の怒鳴り声が聞こえると、緋山と言う男性は身を縮こませて謝った。GXランチャーは許可が出ない限り使用が許されないのだが、大沢の言葉から、彼はこれ迄何度もその許可を得ずに無断使用している様だ…。

 

『…もういいわ。さっさと戻って来なさい!』

 

『りょ、了解!!では、皆さん!これにて失礼致します!!』

 

帰還命令を聞き無線を切ったG3-Xは、闇影達に敬礼してからガードチェイサーに跨がると、そのまま警視庁へと向かって行った。

 

「何か…えらく怒られてたみたいだな…。」

 

「確かにね…。っと、そんな事より俺、カオル先生の所に行って来る!まだ何も聞いてないからね。店は任せたぞコウイチ!!」

 

「…っておい、闇影!!」

 

「ちょ、ちょっと先生!!場所解るの…って…。はぁ…また何時もの病気が始まった…。」

 

カオルから話を聞く為、単身で彼の元へと走り出す闇影。コウイチと黒深子は、彼の何時もの『病気(おせっかい)』が始まったと、呆れ顔で呆然としていた…。

 

 

―警視庁・モニター室

 

 

「全く…!アンノウンを倒したのは良いけど、命令を無視した戦いは止めなさい!!」

 

「す…すいません…。」

 

あれから帰還した茶髪のスポーツ狩りをした警官服の男性、G3-Xの装着者・緋山マコトは、髪を一くくりした警官服の女性上官・大澤スミコから先程の命令無視について説教を喰らっていた。

 

「はぁ…この二ヶ月で貴方の命令無視した戦い方には目に余るわ…。何でこんな真似を?」

 

一通り怒鳴り終えたスミコは、溜め息交じりにマコトの命令無視した戦いの理由を落ち着いた表情で尋ねた。

 

「…俺、子供の時に家族をアンノウンに殺されたんです…。」

 

「え…?」

 

「その時俺は、何も出来なくてあいつ等の良いようにされたのがとても悔しかったんです…!!それから俺、アンノウンを倒す事を決めて警察官になったんです。だから…!!」

 

「貴方の気持ちは解らなくは無いわ…。でもね、私達警察は組織で戦ってるの!私情で戦われると迷惑なの!!」

 

マコトのこれ迄の命令無視の理由、それは幼少の時に家族をアンノウンの不可能犯罪により皆殺しにされた事から、全てのアンノウンを討伐するべくこの警視庁の門を叩いたのだと言う。度重なる命令無視した戦い方も、その信念を貫き過ぎた為による物だったのだ。 しかし、警察と言う「組織」で戦う以上、彼の行動が罷り通る事は無い。そう厳しく言ったスミコは…

 

「…一ヶ月間、貴方の出撃は控えさせて貰うわ。暫く頭を冷やしなさい。」

 

「りょ…了解しました…。」

 

マコトにアンノウン討伐の出撃を一ヶ月停止、つまり事実上の謹慎命令を下した。

 

 

 

「一ヶ月出撃停止…か…。はぁ…っ痛てっ!!」

 

「おい後輩!な〜に辛気臭い面してんだ?」

 

「な、南条(なんじょう)さん…。」

 

出撃停止命令を下され、通路の椅子に座り落ち込んでいるマコトの頭をはたいたのは、眼鏡をかけ身長がやや低い壮年の男性、彼の先輩である南条トオル。彼もまたG3-Xの装着者であるが、身体能力がマコトにやや劣る為、補欠要員とされている。

 

「聞いたぜ。お前また命令無視した戦いやらかして遂に出撃停止になったんだってなぁ。ほれコーヒー。」

 

「あ、ありがとうございます…。」

 

嫌味な台詞を吐きながらも、持ってた二本の缶コーヒーの内一本をマコトに手渡した。

 

「ったく…!何時も馬鹿面しながら『この町の平和は、俺が守るんだぁっ!!』とか馬鹿でかい声出しながら運動場を何周も走る程騒がしい馬鹿なお前はどうしたんだ?」

 

「実は……」

 

マコトに何度も「馬鹿」と言いまくりながらも相談に乗ろうとしているトオル。先程の事情や行動からトオルはマコトの能力を妬み嫌っている様に見えるが、内心彼の事を誰よりも気に掛けているのだ。マコトは自分の胸の内を彼に話そうとしたが…

 

『緊急警報!緊急警報!アンノウンが発生!!G3-Xの装着者は直ちに戦闘準備をして下さい!繰り返します…!! 』

 

「…アンノウン…!!」

 

突然、アンノウンの発生による緊急警報のサイレンが鳴り響いた。それを耳にしたマコトは直ぐ様G3-Xの装着準備をしようとするが…

 

「お〜っと待て!お前ホンット馬鹿だな!?さっき言われた事もう忘れてるな。俺が行くからお前はコーヒー飲んで待機しとけ!良いな?」

 

マコトの首根っこを引っ捕まえたトオルは、自分が出ると言いながらその場を走り去って行く。一歩進む度に指を指しながら待機しろと念を押しながら…。

 

「…俺は…。」

 

 

 

一方シェルRの襲撃から逃げたカオルは、橋に肘をつきながらその下にある川原をずっと見ていた。まるで何か考え事をしているかの様に…。

 

「ねぇちぇんちぇい、もしかちて『あのじけん』についてかんがえてんの?ちぇんちぇいのおとうとさんの…」

 

「マナ!その話はするなと言った筈だっ!!」

 

「ひっ!!ごめんなちゃい…。」

 

「…すまない…。」

 

マナがカオルの弟の話を口にし出すと、彼の怒鳴り声に怯み泣きそうな顔で謝った。しかし少し閥が悪いのか、カオルは呟く様に謝ると再び川原の方に顔を向けた。

 

「あっ!いたいた!カオル先生〜!!」

 

「ん?…あっ!ちゃっきのコックしゃん!!」

 

そこへ、お節介モードな闇影が此方に向かって走って来た。カオルはそれを見て少し鬱陶しいそうに肩を竦めた。

 

「何だ?まだ何か私に用か?」

 

「まだ貴方に聞きたい事があるんです。どうしてアギトの力で治療が出来るのか、どうしてアンノウンが来ると戦わずに逃げるのか、それに…」

 

「悪いがその話なら話すつもりは毛頭無い。これが最後だ…二度と私に関わるな。行くぞ、マナ。」

 

しつこくアギトの力について尋ねてくる闇影に、カオルは話すつもりは無いとコートを翻しながらマナと共にこの場から去ろうとしたその時…

 

「ちぇ、ちぇ、ちぇ、ちぇんちぇい!!かわからなんかがあがってくゆよ!?」

 

「ちっ…!!『奴』か…!?」

 

マナが指を指した方を見ると、川原から大きな水の塊が浮かび上がり闇影達の前に飛んで着地し、スライムの様に形を変えて行く…。

 

「アッチョンプリケ〜〜ッ!!みじゅがしゅらいむみたくぐにょっとなってゆ〜〜っっ!!」

 

『ブフフ…見つけたヨン。もう一人のアギト…!!』

 

水の塊は青い螺旋状の杖を持った、頭部に王冠の様な角に細長い腕、水瓶の様な胴体をし、内部にある一つの赤い目玉が特徴のアンノウン「ウォーターロード・アクエリアス」が現れた。

 

 

 

―警視庁・モニター室

 

 

『アンノウンが発生しました!!繰り返します。アンノウンが発生しました!!…』

 

「何ですって!?新しいアンノウンがっ!?南条君!!聞こえる今別の現場でアンノウンが発生したわ!今から言う場所に至急向かって!!」

 

一方警視庁では、トオルに向かわせた現場とは別の、現在闇影達が遭遇したウォーターRの発生を知ったスミコは、至急トオルにその現場に向かうよう要請した。

 

「アンノウンがっ…!!」

 

「待ちなさい緋山君!!貴方には襲撃停止を命令した筈よ!それに、G3-Xは一つしか無いのよ!?」

 

それを知ったマコトは直ぐ様そこへ向かおうとしたが、スミコに出撃停止した筈だと呼び止められた。仮に出撃出来たとしても、G3-Xのシステムは一つしかないと言う。

 

「まだ『あれ』があります!!…『G4システム』が…!?」

 

「だっ、駄目よ!!あのシステムはまだ試作段階でどんなリスクがあるのか解らないのよ!?」

 

それを聞いたマコトは、G3-Xとは別のシステム「G4システム」を使用すると言い出した。しかし、そのシステムはまだ試作段階でありリスクも不明な為、スミコはそれを断固反対した。

 

「どんなリスクを被うとも、アンノウンと戦えるなら…!!」

 

「待ちなさい!!緋山君!!」

 

それでも構わんと言わんばかりにマコトは、スミコの制止に耳を貸さずに現場へと向かって行った。

 

 

「やはり貴様が現れたか…!!」

 

『久しいネェ…あれから二年は経つんじゃないのカイ?…我輩がお前の弟、本物のアギトを殺してからネ…。』

 

「!!…何だって!?カオル先生の弟さんもアギトで、あいつが殺したっ!?」

 

『ブフフ…それからだったかネェ…?どんな方法か知らないけどお前がアギトの力を目覚めたノハ。尤も、本物ではなく紛い物の力だけドネ。』

 

なんと、ウォーターRは二年前にカオルの弟・森野テツヤ/仮面ライダーアギトを殺害したアンノウンであったのだ。その時に、カオルもアギトの力に目覚めた様だ。但し、テツヤと同じアギトでは無くアナザーアギトの力を得て現在に至ると言う…。

 

『アギトである以上、お前を野放しにはしなイヨ…現レヨ!!水面に眠りし同胞達ヨ!!』

 

『グギョギョ…!!』

 

『ヒトハ…ヒトノママデイイ…!!』

 

『同胞ノ仇…!!』

 

ウォーターRが杖を構えると、彼の体内から赤い真蛸を模した「オクトパスロード」と、白い烏賊を模した「スクィッドロード」、そして、先程のシェルRが現れた。

 

「海の幸でいっぱいか…コックらしくまとめて調理してやる!!変身!」

 

【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】

 

闇影は、自分の役割であるコックらしくアンノウン達を調理すると言いながらディライトに変身した。

 

『こっちも援軍を作るか…!!』

 

【SHADOW-RIDE…CHALICE!】

 

ディライトは援軍を作るべく、自身の影をカリスにシャドウライドさせた。

 

『はあぁぁっっ!!やっ!はぁっ!せいっ!!』

 

『グッ…グギョォォッッ!!』

 

ディライトはライトブッカー・ソードモードでオクトパスRを素早く斬り付けて行く。しかし、オクトパスRは口から威力のある墨を吐き出した。

 

『おわっと!!蛸は調理する時、墨を吐いてくるからね…。先ずは大人しくさせる!』

 

【ATTACK-RIDE…SPARK!】

 

『グギョォッ!!』

 

ディライトはオクトパスRを「スパーク」を纏った剣で斬り付けて痺れさせ…

 

『続いて微塵切り!!せ〜い…ややややぁっっ!!』

 

『グッ…!ギョギョォォッッ!?』

 

ライトブッカーでオクトパスRの八本の腕を目にも止まらぬ速度で切断していき…

 

『仕上げは火力で焼いていく!!』

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…DE・DE・DE・DELIGHT!】

 

『蛸の姿焼…一丁上がりぃっ!!』

 

『グギョギョォォッッ!!』

 

止めにディメンジョンプロミネンスを放ち、オクトパスRを焼き尽くし、ディライトの「調理」は完成した。

 

『……!!』

 

『クッ…アギトデハ無イガ、コレモヒトヲ越エシ力…抹殺スルッ!!』

 

一方、Sカリスと交戦中のスクィッドRはSカリス、正確にはディライトの力もアギトと同じ「人を超えた力」と見なし、彼(?)を抹殺する事に決め、十本の腕を鋭い槍の様に伸ばして串刺しにしようとするが…

 

【ATTACK-RIDE…BIO!】

 

『ナッ、何ッ!!グゥッ!?』

 

カリスアローから、ディライトが発動した「プラントバイオ」による無数の蔦が飛び出し、スクィッドRを捕縛し此方に勢い良く上空に引き上げたSカリスは…

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…CHA・CHA・CHA・CHALICE!】

 

『……!!』

 

『グアァァッッ!!』

 

逆立ちをしながら竜巻を纏ったスピニングアタックの回転蹴りで、スクィッドRを撃破した。

 

「しゅ…しゅっご〜いっ!!しゅごいよあのコックしゃん!!」

 

『ブフフ…中々やるようだネェ…。けど我輩の力はこんなモンじゃ無イヨ!現れレヨ!!』

 

アンノウンを二体倒したディライトの実力を目の当たりにしても余裕の態度を取るウォーターRは、不気味に笑いながら再び体内から無数の水棲生物のアンノウンを呼び出した。

 

『そっ…そんな…!!』

 

『ブフフ…どうすルン?もう一人のアギト。その力で戦わないのカネェ?』

 

「私は二度とこの力で戦わないと誓った…。弟の…テツヤの為にも…!!ん?」

 

無数のアンノウンの出現で窮地に追い込まれたディライト。カオルはそれでも頑なに戦わないと言い張る。するとそこに、一台のヘリが耳をつんざく程のプロペラ音と激しい突風を巻き起こしながら現れ、ヘリからワイヤーの様な物が垂れると「何か」がそれを伝って降りてきた…。

 

「なっ、何なんだ!?」

 

『あれは…!!』

 

ディライト達が見た物…それは「仮面ライダークウガ」の様な角をしたアンテナに青い複眼、そして全身が銀色がかった黒色のボディが特徴の「仮面ライダーG4」だった…。

 

『目標捕捉!!』

 

G4はそう言うと、G3-Xが使用していたスコーピオンを改良した銃「GM-01改四式」を構え、アンノウン達に向けてマシンガンの如く連射した。

 

『ギャアァァァァッッッッ!!!!』

 

『うくっ…!!正確に半分は狙えたのは良いけど、身体に凄い負担がかかるなぁ…でも、アンノウンを倒せるなら、この程度…!!』

 

システムの負荷による痛みに耐えるG4は、左のニの腕に装着された電磁コンバットナイフ「GK-06 ユニコーン」を改良した「GK-06改四式」を取り出し、アンノウンの軍勢に特攻した。

 

『うおぉぉっっあぁぁっっ!!』

 

『ギャアァァッッ!!』

 

G4はGK-06改良型四式で確実に死亡する様に正確な位置を狙い、尚且つ素早い動作で残ったアンノウン達を斬り付けていった。まるで機械の様に正確に…。すると…

 

『ハァ…ハァ…ハァ…ウグッ…!!ヘヘ…これがG4システム…何て素晴らしい力なんだ!!これで全てのアンノウンを倒せる!消せる!コロセルッ!!』

 

G4の圧倒的な性能に酔いしれる装着者(マコト)は、その力に徐々に飲み込まれつつあり口調も物騒な物に変わっていく。G4システムはG3-Xとは違い、装着者の意思とは無関係に動作する…つまり、装着者をパーツとして起動するスーツなのだ。当然、長時間装着し続ければ装着者を死に至らしめてしまう。 これがG4システムのリスクである…。

 

「そんな危険なお宝は…」

 

「俺様達が戴くに相応しいぜ!!」

 

『あ、あいつ等!!いつの間に!?』

 

「「変身!!」」

 

【KAMEN-RIDE…DITHIEF!】

 

【KAMEN-RIDE…DISTEAL!】

 

ディライトが気付かぬ内に現れた巡と周は、G4システムを奪うべくディシーフとディスティールに変身した。

 

『作られたライダー同士で行くか!』

 

【KAMEN-RIDE…ALTERNATIVE!】

 

『……。』

 

ディスティールは「人に作られたライダー」で対抗するのか、黒い蟋蟀に似た擬似ライダー「オルタナティブ」を召喚した。

 

『なら私は…』

 

ディシーフもライダーカード【KAMEN-RIDE IXA】のカードをスラッシュしようとしたが…

 

 

 

―どういう…事…?何で…何でこんな事に…!?

 

―何て顔をしてるんだ?困った――だ…なぁ…。

 

 

 

『……。』

 

何故かスラッシュせず、腕が震えていた。そして、ライダーカードをホルダーに戻した。

 

『巡ちゃん?どうしたんだ?』

 

『え?ううん、何でも無いわ!行くわよ!!』

 

ディスティールは心配するが、直ぐに何時もの表情を取り戻したディシーフはドライバーを構えてG4に向かって行った。

 

【SWORD-VENT】

 

『…!!』

 

『グゥッ!!?』

 

オルタナティブは右腕の召喚機「スラッシュバイザー」にソードベントカードをスラッシュし、契約モンスター「サイコローグ」の両足を模した剣「スラッシュダガー」を装備し、G4と斬り結びを行った。

 

『私も忘れないでね♪はぁっ!!』

 

『俺様もな。』

 

『ガァッ!?グァッ!!』

 

ディシーフはその背後からドライバーでG4に斬りかかり、ディスティールも遠距離から光の矢を放った。だがそれでもG4は止まらない。

 

『ブフフ…ホントにヒトと言うのは愚かだネェ…。』

 

『何だか粗方解らないけど、先ずはあのアンノウンを何とかしないとね…。』

 

ディライトは、この事態を落ち着かせる為先ずははウォーターRを倒すべく、アギトのFSRカードを取り出そうとしたが…

 

『あれ?なっ無い!?あっ!!』

 

 

 

―うん、良いよ。はい。

 

 

 

『ああぁぁっっ!!FSRのカードを忘れたぁぁっっ!!』

 

ツルギにFSRのカードを全て渡してしまった事を思い出したディライトは、大絶叫しながらカードを忘れた事に嘆き出した。

 

『(どうするんだよこれ…。)』

 

『ブフフ…そのまま同士討ちになった方が楽かモネ。バイバ〜イ♪』

 

ウォーターRはそう言うと、身体を液体化しながら撤退して行った。G4の暴走、アナザーアギトの逃走の理由、そして、何故ディシーフはイクサへのカメンライドを躊躇したのか…各々の思いが複雑に絡み合う…。




カオルとマナのモデルは言わずもがなですwww

好きなレギュラーキャラは?

  • 煌闇影/仮面ライダーディライト
  • 白石黒深子/スワンオルフェノク
  • 赤鏡コウイチ/仮面ライダーリュウガ
  • 諸刃ツルギ/仮面ライダーサソード
  • 彩盗巡/仮面ライダーディシーフ
  • 戴問周/仮面ライダーディスティール
  • 白石影魅璃
  • 創士傀斗
  • 紅蓮
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