仮面ライダーディライト-世界の光導者-   作:トラグマアーク〜駄作者ナンバーワン〜

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これがディライト誕生の瞬間です!!


第22導 DISHADE TO DELIGHT~闇から光へ~

―ん…此…処は…?!!何故だ!?何故またこの光景がっ…!?

 

闇影が見た物、それは全てが炎に包まれた世界でありその周囲には無数の人間が息絶えていた。そして、彼が足下に目をやると…

 

―!!そ…そんな…おい!しっかりしろ!!おい!おい!!おいっ!!

 

―自分と同じ年齢に近い少女が横たわっており、闇影は彼女を支え目を覚ますよう何度も呼び掛けた。しかし少女はそれには応えない―いや、応えられないと言うのが正しい。それもその筈、彼女は既に死んでいるのだから…。

 

―うっ…うっ…うぅっ……うああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!

 

そう悟った闇影は顔を黒い空に向けると、血の涙を流しながら悲しみと怒りを籠めて咆哮した…。

 

 

 

「はっ…!?くっ…はぁ…はぁ…またあの夢か…。」

 

意識を戻し、全身に大量の汗を流しながら勢い良く起き上がる闇影。どうやら先程の夢の内容は「彼が嘗ていた世界」が焼き尽くされる物の様だ…。

 

「おっ、気が付いたか青年。」

 

「……!!何故貴様が此処に…ぐっ!!」

 

テントの出入口からマバユキが覗き込む様に現れ、意識が戻った闇影の身を案じる。よく見ると、上の服だけ脱がされ包帯が巻かれていた。闇影は立ち上がろうとしたが、身体の全身が痛み出す。

 

「おいおい、まだ本調子じゃないんだから動かない方がいいぞ。」

 

「黙れ…!貴様の世話になるくらいなら…今死んだ方が…うっ…!!」

 

マバユキの世話を受けた事に死以上の屈辱を感じている闇影は、尚も立ち上がろうとするが再び身体に激痛が走り、体力が衰弱しているのも相俟ってその場で倒れたしまう。

 

「やれやれ…こりゃ困った死神君だねぇ…。」

 

マバユキは、そんな闇影を見て頭を掻きながら呆れていた…。

 

 

 

―世界の光導者・ディライト!9つの影の世界を巡り終え、その瞳は、何を照らす?

 

 

 

「闇影君、何処にいるのかしら?」

 

「この惨状じゃ生きてんのも怪しいよな…。」

 

一方巡と周は、ディシェイドがFARを発動し崩壊した場所で闇影を探していた。荒れ果てた瓦礫の惨状を見る限り、彼が生きているのが怪しいと呟く周。

 

「このまま死なれると私達の目的が果たせなくなるわ…何としてでも見つけないと…!!」

 

「だな。」

 

どうやら二人が闇影を探しているのは彼の身を案じる為ではなく、自分達の目的の為であった。

 

 

 

「……。(こんな所で油を売っている暇は無い。早く任務を達成させて組織に戻り『あの研究』を続けないと…。)」

 

場所は換わり、あれから目を覚ました闇影は早く「この世界を焼き尽くす」と言う任務を遂行し、ダークショッカーに戻り「とある研究」に取り掛からねば、と考えている。この世界の人間は全て始末…をした金銀角兄弟は始末した。後は…

 

「気が付いたか青年、あんま無茶すんなよ。ほれ、飯が出来たぞ。」

 

そう考えている最中、片手に食事を持ったマバユキがテントに入って来た。

 

「(この男を始末すれば…!!)」

 

「ちゃんと食わないと体力が回復しないからな、ほい。」

 

目の前のこいつを始末すれば…と考える闇影の思惑を知らないマバユキは彼に食事を食べる様勧めるが…

 

「……っ!!」

 

闇影は差し出された食事の入った容器を勢い良く手で払って引っくり返した。

 

「……!!」

 

流石のマバユキもここまでされれば激怒、またはそれを通り越して呆れる見捨てるだろう、そうなれば殺し易い…と闇影は考えるが…

 

「あ〜らら、好みに合わなかったのかなぁ?」

 

「……。」

 

そう言いながらマバユキは、文句一つ言わずに引っくり返った食事を片付け出した。闇影は、んな彼に少し目をやるが、直ぐに逸らした。それから数日経ち、闇影の体力も完全に回復をした。初めは食事を口にはしなかった闇影だが、マバユキを殺すにしても、世界を焼き尽くすにしても、当面は体力回復に専念すべくだと考え已む無く食し、手当ても素直に受けた事により回復が早まったのだ。

 

「おおっ、やっと治って良かった良かった!」

 

「ふん…本来ならば貴様も始末するつもりだったが、治療費として今回だけは見逃してやる。精々俺と目を合わさない事だな。」

 

と、闇影は自分を治療したマバユキを「治療費」として見逃すと言いながらこの場を去ろうと踵を返した。が…

 

「ちょ〜〜っと待った青年!!」

 

突然マバユキは大声で闇影を呼び止めた。それを聞いた彼は足を止めて…

 

「何だ…まだ何か用か?」

 

振り返り不機嫌な表情で顔をしかめ、何の用なのかを尋ねた。

 

「お前、このまま組織に戻ってどうするつもりだ?また人殺しの仕事でもするつもりか?」

 

「……。」

 

「前も言ったけど、そんな事をしてもお前の願いは叶わない…。だからいっその事、組織なんて辞めてしまったらどうだ?」

 

「何…!?」

 

「そんでもし悩みがあるなら、俺がお前の先生になって相談に乗ってやる。」

 

マバユキは、このまま闇影がダークショッカーに戻る事を良しとせず「自分が彼の悩みを解決する」と言い、彼に組織から抜ける様勧めた。

 

「ふざけるな…そんな事は俺の勝手だ。貴様に指図される謂れは無い…。」

 

「そのままの状態で放っておくのは俺の性に合わないんだよなぁ…。」

 

当然闇影がそれを聞き入れる筈が無かった。しかし、マバユキもそれを放っておけないと飄々としながらも一歩も引かなかった。

 

「……っ!!」

 

「うおっと!!?」

 

そんなマバユキの言葉に苛立った闇影は、シェイドブッカー・ガンモードで彼の顔をかする程度に射撃した。

 

「お前…何なんだよ…これ以上俺に構うなっ!!」

 

「何って言われても…こういう性分なんだから仕方がない、としか言えないしなぁ…。」

 

銃を向けられても尚、落ち着いた口調で今のお節介な言葉を「性分」だと語るマバユキ。しかし、それはかえって闇影の神経を逆撫でる。そして…

 

「…っ!!だったら今ここで俺と戦え!!お前が勝ったら生徒にでも何でもなってやる!だが、負けたらお前の命を貰う!!」

 

何と闇影はこの場でマバユキと戦う様言い出し、自分が負ければ彼の生徒になると言い、勝てば彼の命を貰うと言う何とも無茶苦茶な約束を提示した。

 

「良いよ。それでお前が満足するならな。但し、条件がある。」

 

マバユキもそれを了承し、戦う事を決めた。しかし、何やら条件がある様だ。その条件とは…

 

「お前はどんな能力を使っても良いが、俺は変身せず生身のままで戦う。」

 

「何…!?」

 

マバユキの条件とは、何と自分は「変身せず生身で戦う」とハンデを付ける事だと言う。あまりにも自身で不利な状態で戦いを臨む彼の考えに理解が出来ず眉をひそめる闇影。

 

「俺はお前を倒すのではなく、お前を説得する為に戦う。さ、早く変身しな。」

 

「舐めた口を…後悔するなよ…!!変身…!」

 

【KAMEN-RIDE…DISHADE!】

 

生身で自分に挑むと言うマバユキに感に障った闇影は腰にドライバーを装着、カードを装填するとディシェイドに変身した。

 

「んじゃ、授業開始!」

 

『ふざけるなっ!!おぉぉっっ…!!』

 

マバユキは懐から本を取り出し、読みながら空いた手でディシェイドに来る様に挑発した。そんな態度が気に食わないディシェイドはシェイドブッカーをソードモードに切り替えてマバユキに斬り掛かった。

 

「[その時サエコはキリヒコに『服を脱いで尻を出しなさい!』と命令し…]…っと!!」

 

『何っ!?』

 

しかし、マバユキは動じる様子も見せず涼しい顔で本を朗読しながら指二本で刃先を受け止めた。

 

『くっ…!!はっ!ぜいっ!しぇあぁぁっっ!!』

 

ディシェイドは何度もシェイドブッカーで斬り掛かるが、同じ方法で攻撃を全て指二本だけで受け止められる。

 

『くそっ…!!』

 

「[キリヒコは無言のままで言われるがままに衣服を全て脱ぎ、自分の尻を突き出した…。]ん、どうした青年?」

 

『…ならこいつでどうだ!!』

 

【ATTACK-RIDE…CLOCK-UP!】

 

ディシェイドは苛立ちながらカードを装填し、クロックアップを使いマバユキに突撃し出した。如何に回避が優れているとはいえ、生身の人間にクロックアップを回避する術など無い筈、そう思いながらマバユキに高速のタックルを見舞った…かに見えたが…

 

『なっ!?奴の身体が消え…はっ!?』

 

それはまるで蜃気楼の存在だったかの様にマバユキの身体をすり抜けると、彼は消滅した。その時、ディシェイドは背後から何らかの気配を感じた為直ぐ様振り向いた。すると…

 

「[サエコは薔薇の棘が付いた鞭を勢い良く伸ばし、キリヒコの尻に…]って、うわっ…!えげつないねぇ…。ってあれ?俺何時の間に青年の後ろにいたんだ?本読んでて気付かなかったなぁ…。」

 

何事もなかったかの様に本を朗読するが、内容が「えげつなく」なったと声を漏らしながら読んでいた本を懐にしまうマバユキの姿がそこにあった。そんな彼は、何時の間にかディシェイドの背後にいた事におどけた様子で驚く。

 

『(いや違う…奴は俺がクロックアップで突撃する直前に音を立てずに走ったんだ。それも残像が生まれる程の超速度で…!!一体何故なんだ…!?)』

 

そう。マバユキはあの瞬間、ディシェイドのクロックアップを正面から「音を立てずに」走り出したのだった。それも本人以外には「止まって見える」残像を生み出す程の超スピードを用いて…。

 

「今のは『鬼走術(きそうじゅつ)・幻足(まぼろあし)』って技さ。」

 

『……!!』

 

マバユキはディシェイドの思ってる事を知っていたかの様に今の回避技を「鬼走術」だと明かした。

 

『鬼走術だと…!?そんな技聞いた事無いぞ…!!』

 

「クロックアップかぁ…。これは『一回見た』だけで出来るかどうか分からんけど…粗方コツは掴めたぞ!」

 

『??お前、何を…!?』

 

マバユキの「クロックアップのコツが掴めた」という発言にディシェイドが疑問を抱きながら眉をひそめていると、突然マバユキの姿が消えて無くなった。

 

『また奴が…消えて…!?』

 

「…油断大敵火がボーボー…ってな!!」

 

『馬鹿…なっ!?人間がクロックアップの速度で…ぐああああぁぁっっ!!』

 

ディシェイドが戸惑っている隙にマバユキは彼の懐に近付き、掌底を放ち彼を岩壁まで吹き飛ばした。

 

『ぐっ…!!このっ…!!』

 

ディシェイドは叩き付けられた痛みと衝撃に耐えながらもシェイドブッカーをガンモードに変え、マバユキに反撃しようとするが…

 

『なっ…!?』

 

「はい没収。」

 

その直前にマバユキが再びディシェイドの眼前に近付き、彼の手から素早くシェイドブッカーを取り上げて銃口を向け…

 

「バーン!!」

 

『……っ!!』

 

「…何てね。お前の負けだよ青年。」

 

「バーン!!」と掛け声を出して撃つ真似をするが本当に撃たず、シェイドブッカーを投げ捨てた。思わず目を逸らしたディシェイドは…

 

『…何故殺さない?俺を仕留めるチャンスがあっただろう…。』

 

「今から生徒になる奴死なせたら意味が無いっしょ?」

 

今の攻撃で確実に始末出来たのにも関わらず、何故自分を撃たなかったのかをマバユキに尋ねる。理由は勿論、ディシェイドを生徒にする為だと言うマバユキ。

 

『寝言を言うな…誰がお前なんかの弟子になるか…!!』

 

「おいおい、俺は『組織を辞めろ』とは言ったけど、『生徒になれ』なんて一言も言って無いぞ?それはお前が言い出した事じゃないのか?勝手に約束して勝手に負けた上に自分で約束を破るって、格好悪くないか?」

 

『なっ!くっ…!!///』

 

ディシェイドは、自分が勝手に口にした約束をマバユキに指摘され反論が出来ず、仮面の中で顔を真っ赤にし、口を濁らせながら暫く考え…

 

『…良いだろう…だが勘違いするな!俺はあくまで死神としてお前を始末する為に居るだけだからな!!///』

 

「それでも良いよ。宜しくな!青年♪」

 

結果、ディシェイドは約束通りマバユキの生徒になる事になった。しかし本人曰く、あくまで「緋眼の死神」である自分が見た者を必ず殺すと言う法則に従っての事だと顔を赤めながら天の邪鬼な口調で断言する。

 

 

―ダークショッカー本部・首領の間

 

 

「…はい…。ディシェイド、煌様の散策が僕の任務でなんですね?首領。」

 

―うむ。彼に任務を与えてからここ数日間、何の連絡が無いのが気になってな。済まないが、連れて帰ってくれないかね?

 

黒い階段の上にある玉座に座っている「首領」と呼ばれた者は、その遥か下で跪いている二十代の青年に未だ連絡が着かない闇影の散策を命じ、青年はその任務について再度確認をしている。

 

「仰せのままに。」

 

―処遇については君に任せよう。場合によっては…

 

首領に闇影の処遇についてを一任された青年は、その続きを聞くまでも無く悟り、妖しく笑い…

 

「…全てはダークショッカーの為に…。」

 

そう言いながら闇影を散策する為、目の前に突然現れた灰色のオーロラを潜り、彼の居る世界に移動しこの場から消えた…。

 

 

 

「はぁっ!ぜいっ!ぜりゃぁっっ!!」

 

「おっと…!そうやって振り回すだけじゃ俺は倒せないよっ…と!!」

 

不本意ながらマバユキの生徒となった闇影は、竹刀を持って彼に向けて攻撃を仕掛けている。しかしマバユキはそれを紙一重の所で全て避けている。

 

何故竹刀を使用しているのか、それはマバユキの「授業の間は武器では無く竹刀を使え」と言う指示を受けたからである。無論闇影は納得しなかったが、「これで俺から一本取れない奴が武器で殺せる訳が無い」と言われた為渋々従ったのだ。そのせいか闇影はずっと殺気立った顔をしている…。

 

「はぁ…はぁ…。くそっ…!!何故当たらないんだ…!!はぁ…はぁ。」

 

もうかれこれ三時間以上この授業を続けている為、闇影は汗だくになりながら息を切らして何故自分の攻撃が当たらないのか分からないでいた。

 

「はぁ…確かに青年の攻撃は普通より高いけど、まだ粗削りな部分が多いな。ちゃんと相手の動きを見極めてから攻撃しないと。」

 

「黙れ…!はぁ…はぁ…。」

 

「それにこういう敵が現れた場合でもそれだと隙を付かれやすいぞ。こういう…」

 

マバユキは闇影の攻撃の方法を指摘しつつ、彼の前から姿を消し…

 

「クロックアップ…だったっけ?こういう素早い動きをする敵が現れた場合でも…ね?」

 

「何っ…!?また…うあああぁぁっっ!!」

 

…たかの様に素早く動いて闇影の背後に立ちって回し蹴りを見舞い、彼の身体を吹っ飛ばした。

 

「続けて行くぞ?」

 

「ぅくっ…!また消えた…いや、そう見える速度で走り回っているのか…。どうすればあの『クロックアップ擬(もど)き』を破れるんだ…!?」

 

マバユキが再び消えたかの様に素早く走り回っているのを見た闇影は、立ち上がりながら竹刀を構えるが、「クロックアップ擬き」の打開策が見つからないでいた。

 

―どうした青年?まさかこれでギブアップなんて言うんじゃないだろうな?これが実戦だったら死んでるぞ〜?

 

「…っ!!黙れ!!誰が降参等するか!!お前の姿を捉えて必ずその能天気な脳味噌を叩き潰し…!!」

 

何処からか聞こえたマバユキの言葉に声を荒げて反論する闇影。しかしその時、彼は自分で言った言葉に何かを気付き始めた。

 

「(そう言えば、俺は奴の動きを充分に見て攻撃しているのだろうか…?いや違う、俺は奴の姿だけ見ていて、奴の動きを正確に見極めようとしていなかった…。)」

 

竹刀を構えつつ思考を巡らせる闇影は、マバユキの言葉を思い返している。

 

「(見えない動きを捉えるには…見るのではなく、感じる事…!!)」

 

彼の言っていた言葉の真意を悟り、目を閉じて感覚を研ぎ澄ます闇影。目に頼るのではなく、心の「眼」で相手の動きを感じ取る事でマバユキのクロックアップ擬きを破るつもりである…。

 

「(感じる…奴の僅かな息遣い、足音…それが徐々に大きくなってきたのは、俺に近付いて来ている証拠。背後からだな…。)」

 

研ぎ澄ませた感覚からマバユキの動きを読み始め、徐々にその存在を掴みつつある闇影。それによりマバユキは背後から近付いているのだと気付くが、竹刀は振らず構えたままだ…。

 

「(未だだ…。奴が完全に近付いてから攻撃しなければ…!!…よし、後ろから…5m…4、3、2、1…!!)そこだっ!!」

 

完全に自分の範囲に踏み込んだと確信した闇影は、目を見開き構えた竹刀を勢い良く背後に振り上げ、遂にマバユキに攻撃を当てる事が出来た…!「惜しかったねぇ…俺にもう一つの足技があったのを忘れてたね。」

 

「!!しまっ…!!」

 

「せぇぇぇぇいっっ!!」

 

「うあああぁぁっっ!!」

 

…かに見えたが、それは足技・幻足を使って生み出したマバユキの幻影であった。そして本物は瞬時に闇影の正面に近付き、彼の襟を掴んで身体ごと背負い投げで投げ飛ばした。

 

「うっ…!!く…くそっ…!!」

 

「でもま、目に頼らず感覚を研ぎ澄ますやり方を身に付いたから合格だ。今日はこの辺にしとこう。」

 

 

 

「くそ…!」

 

「はいはい青年。何時までも腐ってないで飯でも食べよう。ほれ、俺の特製カレーだ。」

 

先程の授業でマバユキから一本を取れずに不貞腐れている闇影は、カレーが乗った取り皿を受け取った。

 

「ちっ…っておい、何故カレーに麻婆豆腐が混ざっている?」

 

闇影は渡されたカレーに挽き肉や豆腐に七味と、麻婆豆腐の具が混ざっているのを見て眉をひそめてマバユキに尋ねた。

 

「こいつは俺が独自で開発した、カレーライスに麻婆豆腐を組み合わせた新しいカレー…その名は、『マーボーカレー』だ!」

 

「何が独自開発だ。ただ単にカレーに麻婆豆腐を混ぜただけだろ…。」

 

「そう言わずに一回食べてみな。美味いぞ〜。」

 

「どうせ大した味じゃ…!!」

 

あまりにそのまま過ぎるアイデアカレーに不評の声を漏らす闇影は、マバユキの言われるがままにマーボーカレーを口にした。すると彼は一瞬だけ目を大きく見開いた。

 

「…どうだ?」

 

「ふん…ま、悪くは無いな…。」

 

素っ気ない感想の言葉を返す闇影だが、内心その意外な絶妙な味に顔を少し綻ばせていた。

 

「それは良かった…。ほら、まだおかわりはあるからな。それ食い終わったらデザートに『ラー油プリン』があるからな。」

 

「何だその意味不明なデザートは!?どうせなら甘いのか辛いのかはっきりした物を出せ!!」

 

闇影はまたしても意味不明な食べ物の存在を知り、普段の冷淡な感情を捨てて全力でマバユキに突っ込んだ。そんなこんなで闇影の授業の第一日が過ぎて行った…。

その後の数日間、闇影はマバユキから様々な授業と言う名の「修業」の手解きを受けた。効果的な防御法、効率的な回避法、怪人の特性把握の学問等その他諸々…。そして、それを受けている内に闇影の感情も徐々に変わりつつあり、当初の任務「この世界の排除」も彼の口癖で言うと「どうでも良く」なったらしい…。

 

「ふぅ…今日も終わったか…っておい、前から気になっているんだが、お前が何時も読んでいるその本は何なんだ?」

 

今日もまた授業を終え一息付いた闇影は、マバユキに彼が何時も読んでいる小説について尋ねた。

 

「これか?これは『ドキドキユートピア』って言うシリーズだ。」

 

「何なんだその訳の分からない小説は…って待て、シリーズって事は他にもあるのか!?」

 

「ああ。初代の『W(ダブル)』を初め、『ACCEL(アクセル)』に『EXTREME(エクストリーム)』、初代過去編の『SKULL(スカル)』とあるんだ。で、今俺が読んでるのは『AtoZ』さ。何れも18禁だから青年は読めないけど何?そう言う年頃か~?」

 

「誰が読むかっ!!そんな有害書籍!!///」

 

マバユキの愛読書「ドキドキユートピア」シリーズはどうやら18禁物の官能小説らしく、その話を持ち出した闇影に「興味があるのか?」と冷やかすマバユキだが、彼は顔を赤くして全力で否定した。

 

「ふん…!!そう言えばお前、何故生身でクロックアップ擬きを使う事が出来るんだ?」

 

ここで話題を変えた闇影は、何故マバユキが変身もせずにクロックアップ擬きを使えたのかを尋ねた。本来クロックアップは、「カブトの世界」全てのライダー、若しくはその世界の怪人である、人間を殺害しその者に擬態し成り代わる昆虫型生命体「ワーム」、そして…全てのライダーの力を使える、自身が変身するディシェイドのみの筈なのだが…

 

「ん、あれか?あれは…何と言うか…青年がやってるのを見て、見よう見まねでやったんだよなぁ…。」

 

「…は?」

 

「だから、一回見たから出来る様になった…と言う事だって。」

 

マバユキからの質問の返事を聞いた闇影は、思わず間の抜けた声を出した。クロックアップを見様見真似で使用しただなんて答えが返ってくればそうなるのも無理は無い…。同じ質問をされたと思ったマバユキは、再度同じ答えを口にすると…

 

「ふざけるな!!そんな理由で納得が出来るかっ!!全然答えになって無いだろうが!!」

 

「まぁまぁ…明日青年にもこの技を生身で使える方法を教えてやるから。」

 

当然闇影はそれに激怒して、答えにならない答えを口にしたマバユキを捲し立てるが、この技を教えると言いながら落ち着く様宥められる。

 

「…そういやさっきから俺が答えてばっかだよな。今度は青年に聞きたい事があるんだよなぁ…。何故ダークショッカーとか言う組織に入ったのかを…ね?」

 

マバユキは、闇影が何故ダークショッカーに与したのかを顔付きを真剣な物にして尋ねた。それを聞いた闇影は、少々顔を俯かせて考え出し「はぁ…。」と小さく溜め息を出して口を開いた…。

 

「良いだろう。教えてやる…俺の目的を…。」

 

闇影は、考えた末に自分がダークショッカーに入った理由を話す事にした。

 

「今から三年前…俺の住んでいた世界に突然灰色のオーロラの様な物が発生して、そこから見た事の無い怪人達の軍勢が現れて人間を全て殺したんだ…!!」

 

何と闇影は、嘗て自分のいた世界を灰色のオーロラから現れた怪人の軍勢に蹂躙されていたのだった。

 

「だが連中は何故か俺だけは殺そうとしなかった。そのお陰で生き延びたんだがな…。」

 

そして、生き延びたのは怪人達がどういう訳か自分のみを殺さなかった為だと、腕を震わせ、拳から血が出る程握り絞めながら言う。

 

「それはまるで地獄…いやそれ以上の光景だった…。街や建物全ては炎に包まれ、人々は断末魔の叫びを上げ、道は全て人々の死骸で埋め尽くされていた…。それを目にした俺は、絶望感と孤独感に苛まれていたよ…。もう自分には何も残されていない…そう思っていた時だった…。」

 

 

 

―煌闇影君。君の願いを叶える術を授けよう…。もし君にその気があるのなら、我が組織…ダークショッカーに入らないかね?そこの技術力を用いれば君の望みが叶うやもしれぬ…。ここで一人で死する時まで生きるか、死する思いで望みを手にするか、二つに一つ。さぁ…どうする?

 

―良いだろう…何のつもりか知らぬが、俺の――が――なら悪魔とでも手を結んでやる…。

 

―ふむ…良い目だ。気に入った。では行こうか。闇で全てを司る為に…!!

 

 

 

「そうしてダークショッカーに入った俺は、血の滲む努力を惜しまず日々研鑽し、一年足らずで幹部にまで登り詰め、技術長にもなり、そして…!!」

 

「ディシェイドの力を貰ったって訳だね…。」

 

「俺は…俺の目的の為なら、手段は問わない…。世界を消し、人間を殺す事で叶うのならば迷わず実行する…。無論お前の命でそうなるのならば俺は…お前を殺す!!」

 

全てを話し終えた闇影は、マバユキに指を指し例え彼の命で自分の目的が達成出来るのならば、その命を迷わず奪うと宣言した。

 

「ふぅ…お前の目的や言いたい事は粗方解った。だがな、これはもう何度も言ったけど覚えろ…そんな事をしてもお前の願いは叶わない。」

 

「何だと…?」

 

「仮にそんな方法で叶ったとしても、きっとお前の心は救われない…。それで救われると思っているのはお前だけ、ただの自己満足に過ぎない…。」

 

闇影の目的を粗方理解したマバユキは、汚れた手段で叶った願いに何の意味を持たない、彼の自己満足だと、やや厳しく諭した。

 

「…っ!!お前に何が解るっ!?当たり前にあった物を突然全て失くした奴の気持ちが解るのか!?それが再び手に入るかもしれない、僅かな望みを抱いて何が悪いっ!?…何だったら、お前の目の前でお前の大切な人間を一人残らず殺してやろうか…?」

 

それを聞いた闇影は激怒し、マバユキに掴み掛かり激昂した。彼にとって今のマバユキの言葉は、失う事の悲しさを知らない人間の台詞だと思い、彼の大切な人間を目の前で殺すと恫喝した。

 

「……。」

 

「そうすれば解る筈だ…今言った綺麗事がどれだけズレているかをな…。」

 

暫く黙していたマバユキは、闇影の怒号を聞き終えると口を開いた…。

 

「…そうして貰って結構。それでお前の気持ちが解るのならばね…。でも、それは出来ない…。もう…皆死んじゃった。」

 

「……っ!!」

 

「俺の両親は、俺が生まれて間もない時に魔化魍に殺されたんだ…。んで、俺を拾って鬼の修業を叩き込んでくれた師匠も、同じ教えを受けてた戦友も…皆、死んだんだ…。」

 

何とマバユキも、魔化魍により両親や自分を拾い、鬼の修業を師事してくれた恩師や、同じ志を共にした戦友を全て奪われた過去を持っていたのだ。

 

「そん時は流石に思ったさ…『何故自分の大切な人を奪われなきゃいけないんだ』、『何故自分だけおめおめ行き永らえたんだ』…と、そう腐っていた時期があったさ…。」

 

「……。」

 

「けど、それじゃ駄目だと言う事に気付いた。自分だけ不幸だと思っても、自分を閉ざしていちゃ駄目だ…。変わらなければならない…。そう思い、自分に何が出来るのかを必死に考え、それ目指して必死に生きる決意をしたよ。『心を闇に閉ざした奴を救う』って目標を立ててな。」

 

「……。」

 

しかし彼はその過去に甘えず、自分に出来る事を考え抜き「心を闇に閉ざした人間を救う」為に必死に生きる事を決意したと言う。気付くと闇影は、いつの間にかマバユキの胸ぐらから手を離していた。

 

「ま、こんな愚痴を聞いてどうこうしろとは言わない。もしそれでも綺麗事だと思うのならこの言葉を覚えときな。『人を信じられないなら、人を信じられる自分を信じてみろ。』」

 

「人を信じられる自分を…信じろ?」

 

「それをするかどうかは青年次第だけどね。話はお終い!さっ、寝るぞ。」

 

話を終らせたマバユキは、テントから出した寝袋に入り、そのまま眠りに付いた。

 

「…俺は…。」

 

 

 

―翌朝

 

 

「ん…んあぁぁ…よく寝たよく寝た。って青年、もう起きてたのか。」

 

寝惚け眼で気だるそうに起き上がったマバユキは、自分より先に起きて竹刀を持って修練していたであろう闇影の姿を見た。

 

「…俺は、あんたの言い分を認めるつもりは無い…だから、一つだけ別の目的を果たそうと決めた…。」

 

闇影はそう言うと、持っていた竹刀をゆっくりとマバユキの方へ向けて…

 

「『あんたの上に立つ』事だ…。」

 

「そうか…良い目標が出来たな。んなら、今日も打ち込みの授業から行きますかっ!!」

 

「マバユキの上に立つ」のが目的…そう宣言する闇影。それを聞いたマバユキは、嬉しそうな顔をして本日の授業開始の声を上げた。

 

 

 

「行くぞっ!!はああぁぁっっ…!!」

 

闇影はマバユキに向かって勢い良く走り出し、竹刀を振り回した。

 

「はぁっ!ふっ!せいっ!!」

 

「ぅおっ!とっ!とっ!?ま、前以上に攻撃にキレが入って来たねぇ…!!」

 

闇影の攻撃に何らかの変化を見出だすマバユキは、それに少々驚きつつも何とか回避した。

 

「動きも無駄無く、効果的に力を入れた攻撃が出来てる…やるじゃないか青年。なら…これはどうするかな!?」

 

「消えた…?いや、クロックアップ擬きだな。」

 

マバユキは闇影の成長ぶりを誉めると、不敵な笑みを浮かべて姿を消した…。そう、闇影の言う様にクロックアップ擬きを使ったのだ。

 

―さぁ…どうする?青年。

 

「解りきった事を…。」

 

マバユキの声を聞いた闇影は、「聞くまでも無い」と呟き感覚を研ぎ澄ます為に目を閉じる。

 

「(今日こそは…今日こそは必ず奴の技を破ってやる。背後から5m…4、3、2、1…!!)」

 

―ふっ…背後から来ると思ってるな。けど、俺は…

 

無音で闇影に近づくマバユキは、彼がまた、以前の様に背後から来ると予想しているのだと悟り、前回と同じく幻足で幻影を作り油断させようと考えるが…

 

「…そこだっ!!」

 

―甘いよ…青ね…!?

 

すると闇影は一瞬だけ揺らめいたかの様に姿を消した。しかし、次の瞬間…!!

 

「なっ!?ぐああぁぁっっ!!?」

 

マバユキの身体に巨大な刃の様な風圧が直撃し、彼を大きく吹き飛ばした。…かに見えたが…

 

「何っ!?これも幻影…だと!?」

 

「そ〜の通り♪」

 

「なっ!?上からっ…がぁっ!!うあああぁぁっっ!!」

 

それもマバユキの幻影であり、本物は上空から現れそのまま落下運動の力を利用し、僅かな隙を見せた闇影の肩に強力な手刀を浴びせ、止めに掌底を放ち逆に彼を吹き飛ばした。

 

「うぐぅっ…!!」

 

「ちょっと追いつれたかなぁ…。青年の奴、『足を数十回一瞬で蹴り上げて走る』鬼走術・銀靴(ぎんぐつ)…クロックアップ擬きの応用で幻影を作り出すとはね…。」

 

「くそっ…!!後一歩の所で…!!」

 

「あいつ、あっという間に目標を達成するかもしれないな…。」

 

岩場に叩き込まれて悔しがる闇影を余所に、マバユキは彼の成長の早さを見て「自分より上に立つ」という目的を達成出来るのも時間の問題だと、嬉しそうに呟く。

 

 

 

「凄いじゃないか青年。たった一回見ただけで銀靴をマスターしちまうんだからな!」

 

「ふん…あんな物、種が割れれば造作も無い事だ。」

 

昼食時、マバユキはクロックアップ擬き―銀靴のコツを一度見ただけ完全に修得した闇影の呑み込みの早さを賞賛した。しかし、当の本人にとってそれは造作でも無い事の様だった。

 

「それにしても青年。お前、変わったな。」

 

「???」

 

「俺が初めてお前を見た時は物っ凄い無愛想で暗い顔をしてたけど、今はかなり明るくなってるぞ。」

 

「大きなお世話だ…。」

 

そんな何でもない会話をしながら昼食のマーボーカレーを口に運ぶ闇影とマバユキ。

 

「そうだ。青年に良い物を見せてやろう。俺の家族の写真をな。」

 

「家族は死んだんじゃなかったのか?」

 

「俺を産みの親はな。見せたいのは『今の俺の家族』だ。」

 

「お前…結婚していたのか!?」

 

「俺くらいの歳になれば所帯を持ってても可笑しくないだろ〜?後、子供もいるんだぜ。」

 

何とマバユキは既婚者であり、その家族の写真を見せようと懐を探り銀色のロケットペンダントを取り出した。

 

「子供もいるのか。ふん、さぞ能天気でろくでもない性格をしてるだろうな。」

 

「そう言うなって、きっと青年も気に入――隠れてないでこっち来て一緒にカレーでも食わないか?」

 

ロケットペンダントを開けようとしたマバユキは突然、姿の見えない何者かの気配を感じ取り能天気に声を掛け出した。すると灰色のオーロラが現れ…

 

「ウクク…普段は能天気な性格だけどやはり鬼なんですねぇ…。」

 

中から女性の様に艶があり分け目のある長い黒髪に、女性の様な睫毛をした緑色の瞳をした目に縁の無い眼鏡をかけた黒のスーツジャケットの下に首元をはだけた白いワイシャツを着た端正な顔立ちの若い男性が不気味に笑いながら現れた。

 

「…何故なんだ…?」

 

「青年…?」

 

謎のスーツジャケットの青年の顔を見た闇影は、額から汗を流し戸惑った表情をしている。「緋眼の死神」と恐れられた彼がこれほど動揺したのは初めてなのかもしれない…。

 

「何故貴様がここに居るんだ!?貴様は…『あの時』――!!」

 

「ちょっと静かにしてもらえないかな?」

 

「……っっ!!」

 

闇影が青年の事について話し出そうした時、彼は右の人差し指から黒いレーザーの様な物を闇影の額に放った。撃たれた闇影は、そのまま背後へ倒れ出した。

 

「青年!!大丈夫か青年!!」

 

「う…うぅん…。」

 

マバユキは、倒れた闇影に必死で呼び掛けた。直ぐに目を覚ます事から、どうやらダメージは全く受けていない様だ。

 

「…青年に何をしたんだ…?」

 

「ウクク…ご心配なく。ちょっとした『引き継ぎ』をしただけですよ。」

 

先程の行動を「引き継ぎ」だと言う青年は、人差し指から黒いレーザーを再び出すと、それを掌で数枚のカードに形を変えて懐にしまった。

 

「さて…煌闇影いや、仮面ライダーディシェイド。与えられた任務を完全に遂行していない上にダークショッカーの素性をそこの鬼に話した…。任務不履行及び停滞、情報漏洩。総合して君を『反逆者』としてみなす!!」

 

「何だと…!?」

 

「そして反逆者…裏切り者には…!!」

 

青年は闇影を「反逆者」だと宣告し、右手の中指と親指でパチンと音を鳴らすと…

 

『グオォォォォッッッッ!!!!』

 

『ヘェヤァァァッッッ…!!!!』

 

『ヒャーヒャッヒャッ…!!!!』

 

灰色のオーロラが現出し、そこから「9つの仮面ライダーの世界」全ての怪人の軍勢が現れた。闇影を反逆者と認定し、且つ無数の怪人の軍勢、この二つの要素から考えられる答えは一つしかない…。

 

 

 

「『死』あるのみ…。」

 

そう、闇影を始末する事であった…。

 

 

 

「…チィッ!!」

 

このままむざむざ殺される程甘くない闇影は、ディシェイドライバーを取り出そうとするが…

 

「待ちな青年。お前はさっき授業受けたばっかで体力はまだ完全に戻ってないだろ?ここは俺が行く…。」

 

マバユキがそれを制止し、体力が完全に回復していない闇影を戦わせず代わりに自分が戦うと言い彼の前に立ち怪人の軍勢の方を歩き出す。

 

「何を言ってる!?いくらあんたが俺より強くてもあの軍勢相手じゃ話が違う…!!俺が行かないと…!!」

 

敵は9つの世界全ての怪人が無数、対してこちらはたったの二人。そんな多勢に無勢な戦いは無茶だと呼び止める闇影。それを聞いたマバユキは立ち止まり…

 

「はっはっはっ!!」

 

「何が可笑しい!?」

 

「いや〜すまん。青年が初めて俺を心配する様な事を言うからつい嬉しくてね…。」

 

闇影が自分の身を心配する言葉を口にした為、マバユキは「嬉し笑い」をし出した。

 

「ばっ、馬鹿っ!!///お前は俺が必ず殺す予定だから今死なれるのが困るだけだからだよ!!///勘違いするなっ!!///」

 

と、顔を赤めて自分が彼を倒す為だと言い心配していないと否定する。

「死なれると困る」と言ってる時点で心配しているとは気付かず…。

 

「ははは!!分かった分かった。ま、ここは俺に任せとけ!お前は、俺が守ってやるからな。…眩鬼。」

 

「闇影を守る」と言い切ったマバユキは真剣な顔付きをしながら音角を鳴らし、額に近付けると眩鬼に変身した。

 

『さてと、全員眩い道へと導きますか!!』

 

『何消えただ…トバァァッッ!!?』

 

決め台詞を言った眩鬼は「姿を消した様に素早く走る」銀靴を使うと、十数体の怪人が突然爆発し出し、その直後に眩鬼は姿を見せる。

 

『こ…この野郎!!一気に攻めろ!!』

 

『『『ウオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

一体の怪人の言葉を皮切りに、数十体の怪人達が一斉に眩鬼に襲い掛かる。

 

『あらら。あれが全部女の子だったらいいのになぁ…。』

 

ピンチが迫っているのにも関わらず尚も軽口を叩く眩鬼は、先端が銀色の炎を灯した銀色の撥「音撃棒・烈銀(れつぎん)」を両手に持ち…

 

『音撃打・火炎連打の型!!はっ!はっ!せいやっ!せいゃっ!はぁぁぁ…はぁっっ!!』

 

『『『ギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

勢い良く怪人の軍勢に向けて振り降ろすと無数の銀色の炎弾が放たれ、怪人達は銀色の炎に焼かれ大爆発した。

 

『まっ…まだだ!!まだこっちの方が圧倒的だ!!やっちまえ!!』

 

『『『ウオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

『はぁ…しつこいねぇ…。人数もあれだし、ここは「もう一つの技」と行きますか!!影変化(えいへんげ)!!響鬼!威吹鬼!斬鬼!』

 

「もう一つの技」を使うと決めた眩鬼が印を結ぶと、彼の影が三つに分かれ人の形になると…

 

「!!なっ!これは…!!?」

 

三つの影の人形(ひとがた)は各々、複眼の周りの縁取りと腕が青く、トランペット型の武器を持った黒い戦鬼「仮面ライダー威吹鬼」、複眼と腕が銅色でエレキギター型の武器を持った緑の戦鬼「仮面ライダー斬鬼」、縁取りと腕が赤く、同じ色の撥を持った紫の戦鬼「仮面ライダー響鬼」が実体化した…。

 

『忍法・影分身の術!!…なんてね♪援軍、宜しく!!』

 

『『『……!!』』』』

 

眩鬼の号令を聞き怪人達に向かって走る三体の鬼達…。

S威吹鬼はトランペット型の銃「音撃管・烈風」を吹き銃口からを空弾を敵に放ち、S斬鬼はエレキギター型の剣戟武器「音撃震弦・烈斬」で次々と敵を斬り裂いていき、S響鬼は炎を灯した赤い撥型の武器「音撃棒・烈火」で敵を素早く勢い良く殴り付けていく。

 

「影を鬼に…ライダーに変える力…!!」

 

影が鬼…ライダーに変化すると言う前例に無いマバユキの能力を目の当たりにした闇影は呆然としていた。

 

『俺も参戦と行きますか!!』

 

眩鬼も、銀色の装甲声刃「装甲声刃・銀世界(ぎんせかい)」を片手に怪人の軍勢に銀靴で突っ込んで行った。しかし、数秒も立たない内に眩鬼は怪人達の背後に現れた。そして…

 

『『『ギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

数十体の怪人達は一気に大爆発をした。この一瞬で彼は一体何体の怪人を斬り裂いていったのだろうか…。しかし…

 

『ふぃ〜…昔は十回往復出来たけど俺も年かなぁ…。五回程度しか出来なかったよ…。』

 

「何だと!?今ので五回往復して斬っただと!?」

 

何と眩鬼は、今の一瞬で五往復して敵を斬ったと言う。目にも止まらぬ速度で通り過ぎた為、闇影も数回往復した事にはかなり驚いていた。

 

『さて…数も減ってきたし、止めに大技と行きますか!!はぁぁぁ…!!』

 

今の攻撃で十数体程度に減った怪人達に大技で止めを指すと宣言した眩鬼は、装甲声刃・銀世界の刃の部分を左腰に向ける様に構えを取り仮面の中で目を閉じながら静かに気合いを込め出した。

 

『何だぁ?あいつあんなボーっと遠くで構えてやがる!この隙に殺っちまおうぜっ!!』

 

『『『ウオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

怪人達はこの場から一切動かない眩鬼を見て、この隙に彼の命を奪う為一斉に襲い掛かった。それが命取りだとは気付かずに…。何故なら、装甲声刃・銀世界の刀身が白銀色に淡く光り出し、一体の怪人が眩鬼から僅かに離れた場所に足を踏み入れた瞬間、眩鬼の目が鋭く開眼されると…

 

『……!!』

 

眩鬼の姿が突然消えたと思いきや、一瞬で怪人達の背後に現れた。すると眩鬼は…

 

『光(未来)を奪おうとしたお前達の未来は…闇(死)だ…!!』

 

と、普段の穏やかな口調とは違うドスの利いた声で冷たくそう呟き、装甲声刃・銀世界を地面に刺した瞬間…

 

『『『ギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

怪人達は突然、無数の銀色の光の斬撃に斬り刻まれると共に大爆発した。あの時眩鬼は、銀靴を使い目にも止まらぬ速度で怪人達を全て斬り裂いていったのだ。これが眩鬼の必殺技「鬼神覚醒・瞬閃(しゅんせん)」である…。

 

『ふぃ〜…一丁上がりっと!!』

 

「ウクク…やりますねぇ…。」

 

『青年は諦めてとっとと帰った方が身の為だぞ。こいつはもう、お前さん達の組織から抜けて俺の生徒になるんだからな。』

 

怪人の軍勢を殲滅した眩鬼は、青年に闇影から手を引くよう言った。

 

「生徒になる…だって?ははは!!笑わせるよ!!君はそいつが何者なのか分かっているのかい!?そいつに魅入られた人間は必ず死ぬ…そいつは居るだけで周りに死をもたらす死神…!そんな奴を人間扱いする必要なんて無いんだよ…。」

 

「……っっ!!」

 

しかし青年は闇影を「死神」だと罵倒しながら彼を生徒にすると言う眩鬼の言葉を聞いて大きく嘲笑した。それを聞いて少し辛そうに顔を俯かせる闇影。

 

『…知ってるよ。』

 

「???」

 

『こいつがどうしようの無い悪ガキだって事は知ってたさ。確かにこいつが今までして来た事は決して許される物じゃない…。でもな、それでも一つの光(生きる目標)目指して生きれば、そんな闇(過去)なんて関係無い。』

 

「ふっ…その程度で人はそう簡単に変われませんよ。」

 

『変われる自分を信じなければ、永遠に変われない!!光を信じる自分を信じなければ、決して闇から抜け出せやしない!!人は、自分を信じる事で変われるんだ!!』

 

「…お前…。」

 

『それに…こいつはもう変わったんだ。新しい目標を見つけたんだからな。』

 

闇影の存在を全否定する青年の言葉に対し眩鬼は、人は自分を信じる事で変わる事が出来ると断言し、新しい目標を見つけた闇影は変わったと優しく話す。

 

「…やれやれ…折角彼をここまで『堕としてやった』と言うのにね…。」

 

「堕として…やった…?どういう…事だ…!?」

 

すると青年は、「闇影を堕とした」と意味深な言葉を口にした。そして、衝撃の真実を語り出す…。

 

 

 

「君の世界を壊したのは…僕だよ。」

 

「『なっ…!!?』」

 

「君が『その世界』では素晴らしい知識の持ち主だと言う事を知り、ダークショッカーはそれを欲した。しかし、拐って連れ出しても協力はしないだろう…。だから逆に『向こうから協力する』様に仕向ける為に怪人達を襲わせたのさ!!」

 

「…何…だと…!?」

 

「更にその頃、ダークショッカーでは『強大な闇を持った者』にしか使えないディシェイドライバーの適合者も探していた…!!そして君は!!その適合者だったんだよ!!ウクク…嬉しいねぇ!!ここまでこちらの都合の良い様に話が上手く転がるなんてねぇっっ!!」

 

『お前…!!』

 

「…さ…ん…。」

 

『って青年?』

 

闇影のいた世界を破壊したのは自分だと明かす青年。全ては彼の知識を手中に収めるべく仕組まれた物だった…。そんなダークショッカーの非道なやり方に怒りを募らせる眩鬼だが、闇影は顔を俯き…

 

「許さん…許さん許さん許さんっ!!!!絶対にっ!!許さないっ!!変身!!」

 

【KAMEN-RIDE…DISHADE!】

 

顔を上げると血が出る程歯を食いしばり、激しい殺意の籠った目を血の如く赤く光らせながらドライバーを装着し、ディシェイドに変身した。

 

『ウアアアアァァァァッッッッ!!!!ユルサンユルサンユルサン!!!!ダークショッカァァァァッッッッ!!!!』

 

ディシェイドは、全身から黒いオーラの様な物を沸き出しながら顔を上に向けて咆哮した。自分の持つ知識…たったそれだけの為に世界を奪われてしまった彼の怒りや悲しみは尋常では無かった…。

 

『青年!!落ち着っ…うわっ!!』

 

眩鬼はディシェイドに落ち着く様宥めるが、彼の放つ黒いオーラが鋭い鎌鼬の様に一陣の風となり、眩鬼を近付けさせない様にしている。更にS響鬼、S斬鬼、S威吹鬼の三体もその風に斬り刻まれ消滅した。

 

『ウアアアアァァァァッッッッ!!!!』

 

ディシェイドは絶えず青年に向けて咆哮している。そして、シェイドブッカー・ソードモードを構え彼斬り掛かろうとした時…

 

『ウグゥッ!!?グッ…グッ…グアアアアァァァァッッッッ!!!!』

 

『な、何だっ!?青年の周りの黒い風が…!!』

 

突然ディシェイドが苦しみ出すと、彼を取り巻く黒い風が大きくなり周囲の地面を抉り出していき、それは時間を増す毎に大きくなっていく…。

 

「ウクク…暴走する者には…むんっ!!」

 

青年が右手を前に翳すと、地面に落ちたシェイドブッカーが浮かび出しそこから9つのカイジンライドカードのみが飛び出し…

 

「過ぎた力ですからねぇ…これは。」

 

それを自分の手元に収め、懐に閉まった。

 

『お前…青年に何をした!?』

 

「何をした?ウクク…僕は何もしてない、彼が勝手に暴走しているだけですよ。さて、任務も完了しましたしそろそろ引き上げますか…。」

 

青年は自分の任務を完了させたと言い、灰色のオーロラを出現させダークショッカーに戻ろうとした。

 

『待て!!』

 

「そいつの闇は何もかも全てを壊す…そんな彼に光を求める権利なんて無いんですよ。彼にそう伝えて貰えませんか?尤も、どちらも無事ならばの話ですけどね。ウクク…アッハッハッハッ…!!!!」

 

そう言うと青年は、高笑いをしながら灰色のオーロラをくぐりこの世界から消えていった…。

 

『くそっ!そんな事より青年を止めないと!!』

 

『ウガアアアアァァァァッッッッ!!!!』

 

『落ち着くんだ青年!!あいつはもう引き上げた!!もう変身を解くんだ!!』

 

青年が去った後も、ディシェイドの暴走は止まらないでいた。眩鬼はそんな彼に落ち着く様呼び掛けるが、ディシェイドは聞く耳を持たなかった。すると眩鬼は…

 

『うおぉぉっっ!!』

 

ディシェイドの周りにある黒い風に斬り刻まれながら彼に向かって走り出す、という無茶を冒しディシェイドの肩を強く掴んだ。

 

『落ち着け青年!!もう敵はいない!!もう戦わなくていいんだ!!だから目を覚ませ…目を覚ますんだ!!闇影!!』

 

尚も必死でディシェイドに呼び掛ける眩鬼。いつの間にか闇影を「青年」ではなく、名前で呼んでいた。すると…

 

『…な…ろ…!!』

 

『青年!!』

 

『離れ…るん…だ…!!』

 

その叫びを聞いたディシェイドは意識を取り戻した。しかし彼は、眩鬼に自分から離れる様言い出す。

 

『もう離れない…お前は俺の大事な生徒だ…!!何があっても…『離れろよ…』!!』

 

『離れろよ!!離れてくれ!!俺の闇は全部を壊してしまうんだっ!!もうあんたまで…失いたくないんだよっ!!』

 

ディシェイドは泣きそうな声で眩鬼から離れる様叫んだ。もう自分の目の前から何も無くなって欲しく無いから…。

 

『安心しな。お前の闇は…俺が光へ導いてやる!!』

 

『……!!』

 

『――…最後の一仕事をやるぜ…。』

 

 

「ん…くっ…あ、あいつは何処に…?…!!か、髪が…!?」

 

意識を取り戻した闇影はマバユキを探すべく周囲を見回すが、自分の髪の色が金から黒に変わっている事に気付く。

 

「一体何が…っっ!!」

 

自分の起きた異変に疑問を抱いている時、目の前で全身が傷だらけのマバユキが倒れているのを見かけた闇影は、急いで彼の元へと駆け出した。

 

「おいっ!!しっかりしろ!!一体何があったんだ!?」

 

「…青…年…おお…どうやら…『封印』は…成功した…みたい…だな…。」

 

「封印…?何の事だ…?」

 

「全生命力を用いて…相手の「闇」を完全封印する…鬼封術(きふうじゅつ)…闇冥縛封(あんめいばくふう)…この術で…青年の中の強い闇を…封印…したんだ…。」

 

マバユキの「封印」と言う言葉に反応する闇影。彼は、自らの命を代償に相手の「闇」を完全封印する「鬼封術・闇冥縛封」を使い闇影の強い心の闇を封じたと言う…。

 

「だが…お前が…強い憎しみを抱くと…強烈な苦痛を味わう事に…なる…から…要注意…な…。」

 

「馬鹿野郎…!!何でこんな勝手な事をしたんだ!!あんたは俺が必ず殺すって…言っただろうが…!!」

 

しかし闇影は、マバユキの行動に憤っていた。「自分が彼を殺す」約束をしていた為に怒っていると言うが…

 

「いいや違う…俺は世界を失くしてから誰も信じられず孤独だった…だからあんたの「お節介」を拒み続けていた…。でも本当はそれが嬉しかった…!何時しかそれに憧れた俺は…あんたになりたい…あんたを超えたくなったんだ…!!」

 

それは嘘…本当は死神と謳われ孤独だった闇影は、マバユキのそんなお節介で人の事を真剣に想う所に惹かれ、何時かは自分もマバユキの様になりたい、彼を越えたい…それが真の「新しい目標」だと、涙ながらに答える闇影。

 

「ははは…そう言ってくれて…嬉しいねぇ…。俺を越えたいなら…お前みたいに悩んでた奴を助けてやれ…!!そうすりゃ…何時かは越えられるかも…な…ぅぐっ!!」

 

「おいっ!!死ぬな!!俺はまだあんたから学ぶ事が沢山あるんだ!!」

 

息絶え絶えになるマバユキに必死に呼び掛ける闇影。やっと自分の本当の気持ちに気付いたのに…彼から未だ未だ学ぶ事が沢山あるのに…。

 

「俺の教えれる事は…全部教えた…大丈夫…青年は…俺の自慢の…生徒だ…自信を持て…誰が何と言おうと…俺はずっと…青年の味方だ…!!」

 

「何でだよ…何で俺にここまでしてくれるんだよ!?」

 

「決まって…るだろ…?俺は…お前を…本当の息子みたいに思ってる…からだ…よ…。頑張れよ…闇…影…。」

 

そう言い切ったマバユキは、そのまま眠った様に息を引き取った…。最期に闇影を「本当の息子」の様だと言い遺して…。

 

「…ん…キさん…マバユキさぁぁぁぁぁぁんっっ!!!!うあああああああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」

 

闇影は目から涙を流し、叫ぶ様に号泣した…。自分のせいでまた大切な人を失ってしまった…。自分が信じられる人間がやっと現れたのに…。そう悲しみに暮れていたその時…

 

「……!!何だ…これは…」

 

近くに落ちていたディシェイドライバーにある「異変」が起きていた。それは、ドライバーの色が紫から金に近い黄色い物となり、周囲の怪人の紋章もライダーのそれに変化していた…。

 

「ディシェイドライバーが変化した…!!これもマバユキさんの力なのか…!?」

 

闇影は、ディシェイドライバーの変化がマバユキの使った鬼封術に関係しているのかと推測しながらドライバーを握り締めると…

 

「感じるぞ…あの人の魂を…マバユキさんは生きている…!!ずっと俺を見守ってくれてるんだ…!!見ててくれよマバユキさん、あんたの意志を受け継いで俺の様に闇に囚われた人達を、光へ導く!!」

 

マバユキの意志を受け継ぎ、自分の様に「闇」に苦しむ者を「光」へ導いて行くと、強く決意した。

 

 

 

―ダークショッカー・本部

 

 

『くそっ…!!反逆者は何処だ!?』

 

『俺は向こうを探す!!お前はあっちを探せ!!』

 

基地本部では「何者」かが「ある物」を盗み出し、その者が内部で騒動を起こし隠れている為、二人の戦闘員らしき人物は基地内を隈無く探し二手に別れた。戦闘員がいなくなると天井のダストから二人の人間が降りて来た…。

 

「ふぅ…何とかお目当ての物は手に入ったわね♪」

 

「ああ。しかし、結局手掛かりが見つかんねぇから一回基地に戻って研究室漁ってみたらあっさり見つかったなぁ…。」

 

その人物とは、言わずもがな巡と周だった。あれから結局闇影に仕掛けた盗聴器から大した情報を得れず、已む無く一度組織に戻り闇影の研究室を漁り目当ての物を手に入れたのだが、戦闘員に見つかり騒ぎとなり現在に至る…。

 

「何にしても私達の目的は達成した。後は…」

 

「あぁ…。」

 

目的を達成した二人は無言で目をやりながら手に入れた目当ての物―赤いサバイバルナイフの様な物と水色のハンドボウガンの様な物を取り出し…

 

【【ATTACK-RIDE…WARP!】】

 

「アタックライド ワープ」のカードをスラッシュすると、二人はその場から姿を消した…。

 

 

 

―あの子/野郎の様子を監視しないと…ね/な…。

 

「闇影を監視する」と言う、次の目的の為に…。

 

 

 

『グオォォォォッッッッ!!!!』

 

『ヘェヤァァァァッッッッ!!!!』

 

「裏切り者には死あるのみ…解りやすいな…。」

 

闇影の前には無数の怪人の軍勢が立ちはだかっている。理由は勿論、裏切り者の制裁である…。しかし闇影は、それを恐れるどころか、逆に落ち着いた表情をしながら着ていた漆黒のローブを脱ぎ捨て、ナイフで長い髪を切ってマバユキが着ていた茶色のジャケットを着込んだ。

 

『貴様!!こんな所で断髪して何のつもりだ!?』

 

「そうだな…心機一転…かな?」

 

『ふざけるな!!貴様は一体何様のつもりだ!?』

 

断髪をして心機一転をすると言う、前までの彼とは考えられない闇影の能天気な言葉にキレる怪人は何様だと尋ねた。

 

「何様だって…ふっ、俺は…!!」

 

尋ねられた闇影は小さく笑いながら黄色のディシェイドライバーを腰に装着し、オレンジ色のディシェイドが描かれたライダーカードを怪人達に見せ付け「あの台詞」を言った…。

 

 

 

「お節介教師な仮面ライダーだ!!宜しく!!変身!」

 

【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】

 

カードをドライバーに装填すると、闇影は白いスーツに黄色のライドプレートが刺さった青い複眼にライトオレンジのボディが特徴の戦士「仮面ライダーディライト」に変身した…。

 

『さて、輝く道へと…導きますか!!』

 

『ほざくなっ!!かかれぇっ!!』

 

『『『ウオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

一体の怪人の言葉を皮切りに、ディライトに襲い掛かる怪人達。しかしディライトは、尚も落ち着いた様子で黄色のシェイドブッカー「ライトブッカー」をソードモードにして構え始めた…。

 

『マバユキさん…あんたが教えてくれた事は決して忘れないからな…!!うおおぉぉぉぉっっっっっっっっ!!!!』

 

ディライトはただ一人、怪人の軍勢に向かって走り出した…。緋眼の死神は、光を導く者「光導者」となり、全ての人々の「闇」を「光」へ導く為に戦い続けて行く――。

 

 

「ぅん…んん~~…はぁ…何時の間にか寝てたのか…。」

 

何時の間にか眠っていた闇影は、寝惚け眼で腕を伸ばし屈折をした。

 

「思い出しちゃったな…あの時の事を…。」

 

ベッドから起き上がった闇影がシャツの胸元をはだけると、胸には「響鬼の世界」や「歌舞鬼の世界」の黒いマークが真ん中にあり、その周囲には円状のまじないらしき物が印されていた。おそらくこれが、マバユキの施した闇冥縛封の封印陣なのだろう…。

 

「…風呂にでも入るか…。ん、何だこれ?」

 

風呂に入る為闇影が部屋を出ようとした時、足下に落ちていた何かを気付き、拾い上げた。

 

「太陽の形をした金色のピアス…何でこんな物持ってるんだ俺?まいっか、一応持っとこう。」

 

闇影は拾ったピアスをジャケットの懐に閉まい込み部屋を後にした。そのピアスが自分の物だとは何故か気付かずに…。

 

 

 

―脱衣場

 

 

「ふぅ…っておっとっと…!ジャケットから何か落ちちゃったな…。マバユキさんのロケットペンダントかぁ…。」

 

ジャケットを脱ぐと、中からロケットペンダントが転がってしまいそれを拾い上げまじまじと見る闇影。しかしそれを何故か開けなかった―いや、開ける事が出来ないのだ。その理由は、ロケットペンダントが殆ど焦げてしまい変型した為開ける事が出来なくなってしまっているからだった…。

 

「一体どんな人達何だろう…?マバユキさんの家族の人って。」

 

中にあるマバユキの家族の顔が気になっている闇影は、開かないペンダントをジャケットに閉まい込み、衣服を全て脱ぎ脱衣籠に収めて風呂場のドアをガラリと開けると…

 

「…〜♪…ってあら…闇影さん。」

 

「え!え!え!影魅璃さんっ!!?///すっすっ、すみませんでした!!見てませんから!!///でで…出直しますっ!!///」

 

そこには何時もの茶色の巻き髪が濡れて全て豊満な胸を覆い隠しており首にペンダントらしき物をくくっている以外、一糸纏わぬ肢体に付いた泡をシャワーで洗い流す影魅璃の姿がそこにあった。それを諸に見てしまった闇影は顔を真っ赤にし、鼻からは赤い液体を垂らしながら平謝りして立ち去ろうとしたが…

 

「逃げなくていいんですよ。何時も黒深子がお世話になってるんですから、お背中くらい流させて下さい。」

 

娘が世話になっている礼に背中を流すと言う影魅璃に手を捕まれ、浴場に引き込まれてしまい…

 

 

 

―い、いや…ホント結構ですからっ…!!///ってちょっと!!背中流すだけなのにどこ掴んでるんですかっ!!///

 

―うふふ…闇影さんってここも立派なんですね…。

 

―え…って何でそれをここに…ってくあぁっっ…!!///おっ…お願いですからやめて…!!///ぅえっ!!あ、あまり動かさないで…アッー!!!!

 

―んふ…やっぱり若いですねぇ…。

 

 

 

「はぁぁぁぁ…///」

 

風呂場から上がり全身を真っ赤にした闇影は、首にタオルを巻いた状態でゾンビの様に上半身を思いきり下を向きながらとぼとぼリビングに向かって歩いていた。影魅璃に何をされたのかは聞かない方が身の為だと言っておこう…。

 

 

 

―リビング

 

 

「「「………。」」」

 

「…以上が闇影君の過去よ。」

 

一方、巡達から話を聞き終えた黒深子・コウイチ・ツルギは呆然としていた。

 

「んまぁ、それで俺様達はお宝を探しつつ野郎の監視もしてたって訳だ。今は大丈夫でも何れ何かの拍子でまた暴走しかねねぇから…」

 

「勝手に決めるな…!!」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

そこへ闇影がリビングに入って来た。少し険しい顔をしながら…。

 

「せっ、先生…!!わ、私達は…!!」

 

「人の過去を勝手に黒深子達にベラベラと…!!」

 

理由は勿論、二人が自分の過去を勝手に黒深子達に話した為である。今の闇影の表情を見て、黒深子は慌てた出すが…

 

「確かに俺は罪も無い人達を殺して来た…。それは決して許されない事だ…。だがな、ある人…マバユキさんと会ってそれが間違いだと言う事に気付いた。だからこそ俺は、自分の犯した罪を背負いつつ沢山の人達の『闇』を『光』へ導き救う事をしていく。それが、俺に課せられた償い、使命だと思っている…。」

 

「先生…。」

 

しかし闇影は、自分の犯した罪からは逃げず人々の「闇」を「光」へ導き救う事を心に誓ったのだと改めて打ち明けた。今まで自分が殺めてきた人達への罪滅ぼしの為に…。

 

「まぁ尤も、こんな事で償いになるのかは解らないけどな…って、あ〜〜っっ!!」

 

テーブルに目をやった闇影は突然大声を上げ絶叫した。その理由とは…

 

「お前等!!俺の『モモタロス印のラー油プリン』を二個も勝手に食べたなっっ〜〜!!」

 

「「何!?その意味不明なデザートは!?」」

 

『モモタロス印のラー油プリン』なる物を巡と周に食べられたと言う、何ともしょうもない理由だった。当初は自分も黒深子とコウイチの様につっこんでいたにも関わらず、何時の間にかそれが好物になっていたのだった。

 

「あら、中々美味しかったわよこれ♪」

 

「てめぇに今まで邪魔された分はこれでチャラにしといてやるよ。」

 

「何がチャラだ…釣りがくるわこれ!!」

 

「さて、用は済んだしもう帰るわね♪」

 

「闇影の楽しみを盗めたし結果オーライだな。じゃあな。」

 

【【ATTACK-RIDE…WARP!】】

 

そう言って二人は、ワープでその場から姿を消した…。

 

「くそ〜〜!!風呂では散々な目に遭うし、プリンは食われるし…最悪だっ!!」

 

確かに、自分の過去を勝手にバラされるわ、風呂上がりのデザートを食われるわ、挙句の果てに風呂では影魅璃に何かされるわと、今日起きた様々な不幸を嘆く闇影。

 

「ねぇ先生…その組織で何をして…たの…?巡さんからは目的について何も言ってなかったから…。」

 

黒深子は闇影に何の目的でダークショッカーに入ったのかを恐る恐る尋ねた。実は巡達から彼の目的については何も聞いてなかったのだと言う。しかし…

 

「えっ?目的?何ってそれは…!!ん?キャンバスに絵が…!!」

 

闇影が口を開こうとした瞬間、世界を表すキャンバスに絵が描かれた。それは、幾多の人々が幸せそうに暮らす街の中央に四体のライダーがそれを護る様に構えている、と言う奇妙な光景だった…。

 

「この世界は…一体何なんだ…!?」

 

これまでとは違う世界に眉をひそめる闇影。これから嘗て無い世界が彼等を待ち受けている事を未だ知らない…。




マバユキのポジションが完全におやっさんでしたwww

そんな彼とディシェイドの詳細は次回お教えします。

好きなレギュラーキャラは?

  • 煌闇影/仮面ライダーディライト
  • 白石黒深子/スワンオルフェノク
  • 赤鏡コウイチ/仮面ライダーリュウガ
  • 諸刃ツルギ/仮面ライダーサソード
  • 彩盗巡/仮面ライダーディシーフ
  • 戴問周/仮面ライダーディスティール
  • 白石影魅璃
  • 創士傀斗
  • 紅蓮
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