仮面ライダーディライト-世界の光導者- 作:トラグマアーク〜駄作者ナンバーワン〜
そして、次回からダークライダーの世界に突入します!!
「いや~すいません!食料が無くて四日間ずっと水だけで過ごしてましたから…あ、おかわり下さい!」
ここ、白石家で飯をほおばる闇影は頭を掻きながら、お椀を差し出した。それにしても、何杯目になるのか…。いくら死にかけたとはいえ図々しいとは思わないのだろうか…。
「いいえ、いいんですよ。遠慮せずにどんどん食べて下さい。」
そう優しく返し、差し出されたお椀を受け取り白飯をよそい闇影に差し出したのは、白石影魅璃(しらいし・えみり)という女性。
彼女は先程闇影に鉄拳を喰らわせた黒深子の母親である。三十代後半の年齢なのだが、容姿がそれを思わせない程とても美しいのだ。
「もう一時はどうなるかと思いました…。本当にありがとうございます!」箸を止め、闇影は感謝の言葉と共に深く頭を下げた。
「元気になって何よりです。あら、黒深子…今上がったの?」
開いたドアから、湯気を立たせながら、頭にタオルを巻いて白いTシャツに生地が薄い青いズボンと、湯上がりの格好をした黒深子の姿が見えた。
「……。」
しばらく闇影の姿を見て、すぐに違う方向に向いて、自分の部屋に向かった。
「こら、闇影さんに挨拶しなさい!黒深子!」
「あれ?どうしたんだろう?俺何か悪い事したかな?」
何も言わずにこの場を去った黒深子に首を傾げた闇影。
「ごめんなさい、闇影さん。でもあの子、何時もは人に挨拶はするのにどうしたのかしら?」
影魅璃は闇影に詫びながら、何時もと違う娘の態度に疑問を抱いた。「(ふむ…何か悩みでもあるかもしれないな…。よし!!)」
闇影は顎に親指と人差し指をあてながら、黒深子が悩みがあると推測した。そして…
「影魅璃さん!」
「は、はい!何でしょう?」
「助けてくれたお礼がしたいので、この家の手伝いをさせて下さい!お願いします!」
なんと、闇影は命を救われた恩返しの為にこの家の手伝いを影魅璃に申し出した。この言葉に影魅璃は唖然とした…。
―世界の光導者、ディライト!9つの影の世界を巡り、その瞳は、何を照らす?
黒深子は部屋に閉じこもり、ベッドの上に仰向けになり天井を見つめながら、今日の出来事を思い返していた…。
「キャアッ!い、痛いッ!やめて!」
「白石…てめぇ、ちょっと男子にちやほやされて調子こいてんじゃねぇよっ!」
「お前、マジでムカつくんだよっ!」
校舎の屋上で、黒深子は複数の女子生徒に囲まれ一人の女生徒に髪を掴まれながら振り回されている…。所謂いじめを受けているのだ。理由は容姿端麗で、成績優秀、友達も何人もいて、男子生徒からも人気があった黒深子が気に食わないからだ。いじめはどんどんエスカレートし、黒深子の頬を叩き、腹に蹴りを入れた。
「ううっ!!い…痛い…!」
「いい気味。さっさと立てよ!」
腹の強い痛みに悶絶する黒深子に構わず再び彼女の髪を掴むリーダー格の女生徒。そのまま、黒深子を屋上の出入口の壁に強く叩きつけた。
「キャアァァァァッッッッ!!」
大きな悲鳴をあげながら、黒深子は下から力が抜けた様にずり落ちて気を失った。
…壁に頭の部分に「赤いもの」を残して…。
「お、おい!今鈍い音が鳴らなかった?しかもなんか壁に血がついてるし!」
「これってヤバくない?」
流石に流血沙汰は不味いと感じ、女生徒達が動揺し始めた…。その中でリーダー格の女生徒は、
「…このままこいつを落としちまおう。事故死って事にしちまえばいいんだよ。」
事もあろうに、黒深子を屋上から突き落として事故死に見せかけようととんでもない提案を出した。
「で…でもそれって犯罪じゃない?」
「元々こいつが悪いんだよ。それにあんた達も同罪じゃない。逃げようなんて考えるなよ。」
その言葉に恐れを感じ、やむなく提案を受け入れる他の生徒は黒深子の身体を持ち上げた。
―コノママデイイノ?
―…?…誰?
意識を失い、暗闇の中にいる黒深子はその中で謎の声を耳にした。
―ワタシハアナタノ影…イイエ、モウ一人ノアナタト言ウベキカシラ…。
謎の声は黒い人影となって黒深子の前に現れた。そして、自分は「もう一人の黒深子」と名乗った…。
―な、何言ってるのよ!あなたが私だなんて…!冗談を言わないで!そ、そう…こんなの…夢よ!夢なんだわ!
黒深子は強く否定した。これは夢だ、有り得ない…。そう否定した。―否定スルノハ勝手ダケド、アナタガ今死ンデイルト言ウ事ハ本当ヨ。
―!!!!
その言葉に黒深子は激しく動揺した。そして、影は続けた。
―ダケド、アナタヲ生キ返ラセル事ハ出来ルワ。
―え!それ、本当!?
なんと、影は黒深子を生き返らせる事が出来ると言うのだ。だが…
―エエ、本当ヨ。但シ、タダ生キ返ル訳ジャナイ…。
―何?
―アナタハ普通ノ人間トハ違ウ存在ニ生マレ変ワルノ。最モ、何ニ生マレ変ワルカハ分カラナイケドネ。
―な!何よそれ!それって化物になるって事!?嫌よ!そんなの!
黒深子は人間とは違う異形の存在に変わってしまう事に強く拒絶した。当然だ。化物に生まれ変わってしまうなんて事実を受け入れれる訳がない。―別ニイイノヨ。コレハアナタガ決メル事ナンダカラ。私ハアクマデ生キルカ死ヌカノ選択権ヲアナタニ与エタダケ…。
―!…それは…!…それは…。
このまま黙って死ぬなんて御免だ。かといって化物に生まれ変わってしまうのも嫌だ…。
2つの選択肢の中、黒深子が選んだ答えは…
「……っ!」
「な、何こいつ!?まだ生きてる!」
暫く意識を閉ざしていた黒深子が急に目を見開いたので、身体を背負おうとした女生徒達は驚いた。そして、黒深子は立ち上がり女生徒達を睨みつけた。
無表情のまま…。
「な、何よ!やる気っ!?あのまま死んどけばよかったのに…。」
「そ、そうよ!あんたが悪いのよ!」
「さっさと死ね!」
等と黒深子に罵詈雑言を吐きまくる女生徒達。彼女等は「自分達は悪くない。」「こいつが悪いんだ」と自分達の行動を棚にあげて正当化しているのだ。罪の意識等欠片も感じていないのがよく分かる…。だが、暫くすると黒深子に異変が…!
「………!」
黒深子の顔に何かの形をした薄黒い模様が浮かび、みるみる内に彼女の身体は灰色の異形へと変化していった…。
「キャアァァァァッッッッ!!!!な、な、何よアレ!?」
白石黒深子「だった」存在は、頭が「龍騎の世界」の白鳥をイメージしたライダー「仮面ライダーファム」、身体は「電王の世界」の白鳥をイメージしたイマジン「ジーク」、ボディラインは「ファイズの世界」の「クレインオルフェノク」より細いという特徴をした「スワンオルフェノク」に変わり果てた…。
『ハァァァァッッッッ!!』
スワンOは、悲鳴をあげる生徒達に急速に近づいていき、手元から実体化した細剣で心臓を突き刺した。
「ギャアァァァァッッッッ!!」
「い、嫌ァァァァッッッッ!!」
「た、助けてぇ…!グァッ!!」
彼女達の命乞いを耳に貸さず、殺戮を繰り出すスワンO…。その瞳には一つの感情だけしか感じ取れなかった…。
「憎しみ」の感情しか…。
雨が降ってきた…。生徒「だった」大量の灰も溶けていき、降ってくる雨の速度はどんどん増していった…。
『う…うふふふふふふふ…あは…あはははははは…あーっははははははは!!!!』
灰色の身体の影から聞こえる彼女の狂った様な笑い声と共に…。
『あは…あははは…はは……うぅっっ…!うぅぅぅぅぅ…!!』
同時にそれは彼女から狂気を洗い流し、後悔と悲しみの感情を露にした…。
(私…何であの時「生きる」事を選んでしまったのかしら…。)黒深子は「あの空間」での自分の選択を後悔していた…。
(どうして、わざわざ化物に生き返ってまで人を殺したの…?あんな事をしたって何も解決しなかったのに…!こんな事になるくらいなら…いっそ…!)
そう考えていた時…!「黒深子ちゃん?いるかな?俺だよ!」
「!!!」
ドアのノックと共に闇影の自分を呼ぶ声が聞こえた。
「…何の御用ですか?」
「ちょっと話がしたくてね…。開けてくれるかな?」
闇影は黒深子と話をする為に部屋に入れるよう尋ねた。
「(何?話がしたい?今日会ったばかりの人間に対して馴れ馴れしくない?今、話す事なんて…事…なんて…。)」
黒深子は少し疎ましく感じたが、こうしていたって何も変わらない…。まあ、少し話す程度なら…と考え、
「…いいですよ。」
闇影の部屋への入室を許可した。
「失礼します。いや~綺麗な部屋だな~!」
闇影は入るや否や部屋の事を誉め出した。
「そう言えばまだ自己紹介してなかったね。俺は煌闇影。職業は…教師…かな?助けてくれて本当にありがとう!」
闇影は自己紹介をし始め、同時に救われた事を感謝した。職業が曖昧なのが気になるが…。
「私は、白石黒深子…。高校二年生です…。」
「そっか、高二かぁ…。もし解らない事があったら何でも聞いてくれ!家庭教師になってもいい!勿論無料で。」
「は、はぁ…それはどうも…って、え?」
黒深子は闇影の言葉に疑問を感じた。今のはまるで暫くこの家にいる様な口振りではないか。
「ああ、実は俺、暫くここの家で家事を手伝い事になったんだ。君のお母さんには許可も貰ったよ。」
等と彼女の疑問に答える様に話す闇影…。
「ええええぇぇぇぇっっっっ!!!!」
黒深子は部屋一帯をつんざくように驚き叫んだ。確かにいくら命を救われたからって見ず知らずの男が女手しかいないこの家で家庭教師だの家事だの、しかも無償で行うなんて…こんな馬鹿げた話は後にも先にもこれだけしかない。
「今言った事以外で困ってたり、悩みがあるなら俺に話してくれ!何時でも相談に乗r…「出てって下さい。」るぞって…え?」
闇影は熱く語るも、黒深子の冷たい一言にポカンとした。
「ここから出ていって下さい!」
黒深子は闇影の背中を強く押し、部屋から追い出しドアを閉めた。
「ちょっ…ちょっと待ってくれ!お母さんは君が何時もと様子が変だと心配していたぞ!今日何かあったのか?話してくれないか?」
閉まったドアを叩きながら尚も悩みを聞き出す闇影。
「…私に構わないで下さい…。」
「黒深子ちゃん…。」
そう言った後、黒深子は眠りについた…。
「(…そうよ。私に構わないで…いや、構われちゃいけないの…。)」
黒深子は異形になった自分は誰とも関わってはいけないと思い、闇影を拒否したのだ。
―翌朝
「ふぁぁぁぁ…お母さん…おはよ…って、えっ!?」
「ああ!おはよう!黒深子ちゃん。」
目覚めてダイニングルームに入った黒深子が見たものは、三角巾にエプロンをし、朝食の準備をしている闇影の姿だった。
「な!何で貴方がいるのよ!?帰ったんじゃなかったの!?」
「何でって…言っただろ?『この家の手伝いをする』って。」
黒深子の疑問に闇影はニッと笑い、そう言った。
「ホントに家事を手伝うなんて…」
黒深子は顔に手を当てて、闇影の能天気ぶりに呆れていた。
「こら、黒深子。突っ立ってないで早く食べなさい。学校に遅れるわよ?」
「あ、ごめん…って違うわよ!何でこの人を家においてるのよ!?」
「だからって…ああ、もう…。」
母・影魅璃のこれまた能天気な発言に黒深子は両手に頭を抱えた。
「それにしても、美味しそうですね。私より上手いかも。」
「いえいえ…。それより早く召し上がって下さい。冷めてしまいますよ?」
「そうですね。黒深子、食べましょ。」
「…はぁ、わかったわよ…。」
「では、いただきま~す!」
黒深子は観念して椅子に座った…。
「いってきます…。」
「はい、いってらっしゃい。気をつけてね。」
黒深子は家を出て、学校に行った。
「さて!掃除しますか!」
闇影が掃除をしようとした時、
「闇影さん。」
「はい。何でしょう?」
「あの子、お弁当を忘れていってしまったみたいで…申し訳ないんですが、黒深子に渡してもらえませんか?」
影魅璃は黒深子に弁当を渡すよう、闇影に頼んだ。
「分かりました!俺が黒深子ちゃんに渡してきます!」
闇影は快く承諾し、弁当を片手に家を出た。
―通学路
「お~い!黒深子ちゃ~ん!!」
「…何ですか?あと余り大声で話かけないでください。」
「あ~ごめん!君、弁当を忘れてたぞ!ほれ!」
闇影は黒深子に弁当を渡した。
「…ありがとうございます。では。」
「ああ!ちょっと待ってくれ!」
再び学校へ向かおうとする黒深子を闇影は呼び止めた。
「まだ何か用ですか?私、急いでるんで。」
自分を呼び止めた闇影に少し苛つきながらも、話を聞く黒深子。
「余計なお世話かもしれないけど、何か悩んでないか?見かけた時、君ずっと元気がなかったから…。」
「…そんなの…貴方には関係ありません。」
闇影はやはり黒深子に何か悩みがあるのかを問いただした。しかし、彼女は相変わらず冷たく返した。
「関係ない事ないだろう?俺は君に命を救われた。だから今度は俺が君の助けになりたいんだ!悩みがあるなら…俺が、「ほっといてって言ってるでしょ!!」」
「!!!」
黒深子はしつこく話かける闇影に大声で怒鳴った。
「さっきから聞いていれば、『私に命を救われたから』?『私に悩みがある』?全部貴方が勝手に思い込んでるだけじゃない!昨日今日会ったばかりの貴方に私の何が分かるのよ!」
続けて黒深子は闇影を捲し立てた。
「…今日中にあの家から出ていって。二度と私の前に現れないで!!」
そして闇影に家を出るように告げ、黒深子は踵を返して再び学校へ向かった。
―通学路
「全く…!どこまでしつこいのよ…。あの人は!」
黒深子は闇影のしつこい心配に未だ怒りを感じながら歩いた。が…
「…少し言い過ぎたかな…。私、一度頭にカッと来るとつい余計な事を言っちゃうからなぁ…。」
先程の闇影に対する怒号を悔やみ出した…それと同時に彼女の足は止まった。
「…お節介はともかく、さっきの事は後で謝ろう…。」
黒深子は闇影へ先程の発言を謝罪する事を決めた。…やはり言い過ぎた、と。
そう心に決めたその時…!
「な!何!?急に辺りが暗くなった…!」
未だ夜でもないのに突然周囲が暗くなった。黒深子の様に今のこの現状に驚くのは無理もない。
「…学校に行ってみよう!」
黒深子は急いで学校に向かって走り出した。…その時…
「……。」
「な、何か用ですか?すいません!今急いでいますの…で?」
突如、スーツを着たサラリーマン風の男が目の前に立っていたので、急いでいる事を告げたのだが、全て言い切る前に男に「ある異変」が起きた…。
「ウォォォォッッッッ!!」
男は、全身から黒いオーラを発しながら、顔からステンドグラス状の模様を浮かばせ、同じくステンドグラスの皮膚をした異形「キバの世界」の怪人・ファンガイアに変貌したのだ。
「な、何でっ!?何で人が化物に!?」
『ヘャァァァァッッッッ!!!!』
「キャアッッッッ!!!!」
ファンガイアとなった男は、人間からライフエナジーを吸い取る二つの牙「吸命牙」を黒深子の頭上から急降下させた。だが、黒深子は何とかそれを避けた。
「い、嫌ァァァァッッッッ!!!!」
黒深子はその場を逃げ出した。だが、ファンガイアは逃がすまいと追って来る。
「と、とにかく早く家に戻らないと!」
尚もしつこく追ってくるファンガイアから何とか撒いた黒深子はとりあえず、自宅に戻る事にした。その途中で彼女は信じられない光景を目にした。
「こ、これは!?」
『グァァァァッッッッ!!!!』
『シャァァァッッッッ!!!!』
それは信じがたい光景だった…。人々が先程の男と同様に謎の黒いオーラを全身から発しながら悶絶していたのだ。そして、中には異形の怪物に変貌する者がいた。
「…どうして…どうして、こんな事に!?」
黒深子はただただ困惑していた。突然辺りが暗くなったり、人から黒いオーラが出て、怪物に変貌したりと、あまりに常識から逸脱した現実にうちひしがれている…。そして、更なる現実が彼女を襲う。
「あ…貴女は!?」
「……。」
何と黒深子の前に、昨日「異形になった自分」が殺した筈のいじめグループのリーダーが現れたのだ。
「白石ぃ…よくも私を殺してくれたわねぇ…。…やっぱアンタムカつくわ…!」
黒深子に呪詛を吐きながら、少女は次第に顔から紋章の様な物が浮かばせて豹をモチーフとしたジャガーオルフェノクに変貌した…。
『今度はアンタを殺してやるよ!』
「ひ…。」
黒深子はオルフェノクに変貌した少女に怯えの顔を見せた。
『何ビビってんの?アンタだって同じ姿になってんじゃん。何だったら今度は殺し合う?どっちかが「もう一回死ぬ」までさぁっ!!』
「い、嫌…。来ないで…。」
そう言いながら、黒深子は後ずさっていった。その度にジャガーOは近づいてくる…。
『どうしたの?かかって来なよ。あん時見たく、あたしを殺してみなよ!白石ィィィィッッッッ!!!!』
恫喝の如く挑発しながら、ジャガーOは黒深子に自身の爪を降り下ろした…。
「い、嫌ァァァァッッッッ!!!!」
『ギャァァァァッッッッ!!!!』
黒深子が悲鳴をあげたと同時に別の悲鳴が聞こえた。その理由は…。
『………はっ!!』
気が付いたら黒深子はスワンオルフェノクに変化しながら、細剣でジャガーOを突き刺していた…。
『グッ…また…アンタに…殺される…なんて…』
再びスワンOに殺された事を悔やみながらジャガーOの身体は全身を青白く燃えて灰と化した…。
「わ…私…また…人を…!」
スワンOは黒深子の姿に戻りつつ、また人を殺してしまった事を悔いている…。その時…。
「く…黒深子…ちゃん…。」
「!!!み、闇影…さん…!」
最悪な事に今までの一部始終を闇影に目撃されてしまった…。言い逃れなど出来ない事実を…。
「…そう言う事だったのか…。」
「ち、違うわ!わ…私は…私は…!」
殺したいから殺したんじゃない。勢いあまって殺してしまったと弁明するつもりだった黒深子。しかし、どんな言葉を並べたってやった事の罪が消える筈がない…。そう考えている時…!
『グァァァァッッッッ!!!!』
『ヘャァァァッッッッ!!!!』
『ゲギギギギギギギ…』
無数の怪人達が闇影と黒深子の周囲を囲む様に現れた…。
「くそっ!また囲まれたかっ!こうなったら…!」
闇影はディライトドライバーを取り出し腰に巻き、カードを装填した。
「変身!」
【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】
闇影はオレンジを主体としたライダー、ディライトに変身した。
「…!?み、闇影さんが…変身した…!?」黒深子はディライト(闇影)の変身を初めて目の当たりにし、驚いた。
『黒深子ちゃん。ちょっと目を瞑ってて!』
【ATTACK-RIDE…FLASH!】
ディライトは自身が白く輝いているイラストのカード「フラッシュ」を使い「ディライトフラッシュ」を発動させ、全身から強烈な白い光を発し、怪人達の目を眩ませた。
『グアッ!!ま、眩しいっ!!』
『この隙に逃げるよ!』
「は…はい…。」
ディライトは黒深子の手を取り、高速移動の様に怪人の群れから逃げ出した。
『ふう…。此処まで来ればとりあえず大丈夫だろう。』
ディライトと黒深子は人気の少ない公園まで移動した。
「あ…あの…闇影さん。その姿は何なんですか?貴方は何者なの?それに何故さっき私を助けたんですか?」
黒深子は矢継ぎ早に問いただした。ディライトもとい闇影は何者なのか?何故異形である自分を助けたのか?聞きたい事は沢山あった。
『それは…』
『見つけたぞ…。貴様等…。』
黒深子の疑問に答える前に先程の怪人達が再び現れた。
『やっぱ目眩まし程度じゃ駄目か…。こうなったら援軍を作るか!』
【FINAL-SHADOW-RIDE…KA・KA・KA・KABUTO!】
ディライトは自身の影を、銀色の特殊装甲「カブテクター」を纏った青く輝く複眼の赤いカブトムシを模した戦士・最速の守護神「仮面ライダーカブト」の最終形態「ハイパーフォーム」にFSRした。
『一瞬でカタを付けるぞ!!』
【ATTACK-RIDE…HYPER-CLOCK-UP!】
「ハイパークロックアップ」のカードを使用した瞬間、ディライトとSカブトHFは姿を消した…様に見えるが、実際はハイパークロックアップ空間に突入しただけだ。このクロックアップは通常のそれ以上の速度を持ち、過去と未来を行き来する程の力を持っている。そこでは通常空間にいる者は全て止まって見えると言う…。
『ハァッ!ハァッ!セイヤッ!』
ディライトとSカブトHFは「止まっている」怪人達をライトブッカー・ソードモードと金色のカブトムシの角を模した特殊武器「パーフェクトゼクター」で次々と切り裂いていった。
『脱出!』
『ギャァァァァッッッッ!!!!』
彼等が脱出した時には、怪人達は何が起きたのか理解する前に爆死し、SカブトHFは元の影に戻った。
『ふう…これで敵は片付いて…「キャァッッ!」黒深子ちゃん!』
『ギヘヘヘ…其処までだ。ディライト…。この女の命がどうなってもいいなら俺ごと撃ってみろよ!』
「あ…ああ…。」
『貴様ッ!!』
一体だけ残った怪人は、黒深子の首筋に爪を当てて人質にした。
『どうした?この女は俺達と同じ「化物」何だぞ?何も気兼ねする必要はない筈だぜ?』
『くっ…!』
ディライトが如何に強いとは言え人質を、黒深子を見殺しには出来ない…。手に持っているライトブッカーを手放そうとしたが…
「…いいよ。撃っても。」
『…!!黒深子ちゃん!?』
なんと、黒深子は自分に構わず怪人ごと撃てとディライトに言った。
「もういいの…。私、どの道今日死ぬつもりだったの。」
そして、最初から死ぬつもりでいたのだった…。
「だってそうじゃない?そもそも私は一度死んでるんだし、人だって何人も殺しちゃってるもの。その上こいつ等と同じ化物に変わり果てて…本当に救い様の無い存在なの…。だから、さっさと殺し…『…れ…な…。』!!?」
黒深子の投げ遣りな言葉をディライトが遮った。
『甘ったれるなっ!!救い様の無い命なんてこの世には無い!!』
ディライトは黒深子の発言に激怒していたのだ。優しそうな彼からは想像出来ない程の怒りだった。
『君…自分が死んで残った人間がどういう気持ちになるか想像出来るか?死んだ者は一瞬だが、残った者はずっと悲しい思いをするんだぞ!』
「!!!!」
『君がやった事は確かに許されない事だ。でも、そこで死んでしまうのはその事実から逃げる事になるんだぞ!それは人を殺める以上に許されない事だ!』
ディライトは黒深子に続けて語り出した。
『一度死んでまた生き返ったって事は、君は未だこの世界に必要な存在だからなんだ。君にしか出来ない何かがきっとある!それを探して生きるのも悪くないぞ。俺も手伝ってやる。』ディライトは、最初の怒号とは違った優しい口調で黒深子を諭した。すると…
「う…うぅ…。」
気付けば彼女の目から涙がこぼれ出していた。
『何ゴチャゴチャ言ってんだ!この女がどうなってもいいのか…『撃つさ。』って!オイッ!』
ディライトはライトブッカーガンモードを構えて狙撃の準備をした。
『しょ、正気か?テメェッ!?この女ごと撃つつもりかッ?』
【ATTACK-RIDE…LASER-BLADE!】
カードを使用した瞬間、銃口から細い光の刃が伸びて、真っ直ぐ突き抜けた。
怪人の脳天めがけて…。
『そ…そんなバカなァァァァッッッッ!!!!』
頭だけ爆発し、残った体は力が抜けて黒深子から離れた。これがディライトの技の一つ「ディライトレーザーブレード」である。
「大丈夫か?黒深子ちゃん。」
「え…えぇ…だい…じょう…ぶ…。」
変身を解いたディライトは黒深子の涙を見て、こう言った…。
「辛かったんだな…。いじめにあって、一度死んで…オルフェノクになってしまって…本当に辛かったんだな…。苦しいなら、思い切り泣け。顔は隠してやる。」
その言葉を聞いた瞬間、黒深子の悲しみの感情は一気に爆発し、闇影の胸に抱きついた。
「う…う…うあああああああああ!!!!」
自分はなんて愚かなんだ。ずっと心配してくれていたのに、それを拒んでいたなんて…。そう思いながら黒深子は闇影の胸の中で子供の様に泣きじゃくった…。
「…スッキリした?」
「…うん。///」
「そうか。」
闇影は黒深子の頭をゆっくりとくように撫でながら落ち着かせた。もう安心だ…。そう思っていた時…。
「…ディライト。」
「!!き、君はあの時の!!」
「久しぶりですね、ディライト。」
謎の灰色のオーロラと共に謎の青年は闇影達の前に現れた。
「そう言えば、お礼を言うの忘れてたよ。ありがとう!」
「助けられたって…どういう事ですか?」
「ああ、それは…」
闇影は青年にあの時の危機を救ってくれた事に感謝し、黒深子の質問に答えようとしたが、青年は話を続けた。
「ディライト。今世界がどうなってるか解るかな?」
「ああ、人々の身体から黒いオーラが出て怪人になってしまう現象だろ?」
「うん。今からその原因を説明するよ。」
青年は、一息ついて口を開き出した。
「まず『負』の感情について…『負』は人の心の中にある怒り、憎しみ、妬み、裏切りそして殺意…。それらの黒い感情を『負』の感情と言うんだ。そして今、この感情が強まった者は『闇の牢獄』に閉じ込められてしまうんだ…。」
「確か、意識が薄れて感情がなくなり、最後には『心』をなくす…。だったよな?も少し詳しく話してくれないか?」
闇影は以前説明された通りの言葉を青年に返した。
「ここで言う『心』を失くすと言うのは、厳密には人間としての『心』を失ってしまう事なんだ。」
「!!!!」
黒深子はその言葉に心当たりを感じていた。
「そう言えば、私もあの中にいた時、何か人影みたいなモノに話しかけられました!『自分はもう一人の自分だ』って!」
「それは多分、君の負の感情の集合体だよ。そして、生きるか死ぬかの選択を出されたと思うけど、心当たりは?」
「…はい。間違いありません。そして怪人に生き返るか死ぬかの選択で、私は…」
「そうだったのか…。だが、今の話と何の関係があるんだ?」
「…これを見て。」
青年が腕をあげると、空に真っ黒になりかけている9つの地球の絵が浮かび出した…。
「な、何だ。地球が、世界が闇に染まっている…。」
「この9つの影の世界は『闇の牢獄』に支配されそうになっているんだ。このままでは全ての人々が怪人と化してしまう…。」
ここまで言えば、彼が何を言うのか想像はつくだろう…
「ディライト、君には9つの影の世界を救う旅に出てもらうよ。」
「俺が!?」
「君にしか出来ない事なんだ!!『闇を操る光の戦士』である君にしか…!!」
闇影は少し悩んだ。このままでは世界が怪人達の世界に変わる…。黒深子の様な人間が増える可能性もある。…この事態を捨て置けない。彼の答えは…
「世界が闇に支配されるなら…俺が光へ導いてやる!」
闇影は世界を救う旅に出る事を決意した。
「ありがとう。その間、僕や僕の仲間達が進行を食い止めるよ。」
その言葉を最後に闇影達は光に包まれた。だが…
「待ってくれ!最後に一つ聞かせてくれ!君は何者なんだ!?」
青年は自分の素性を問われ、名前だけ名乗った…その名は…
「…野上良太郎…またの名を…仮面ライダー電王…。」
闇影と黒深子は何時の間にか白石家の前に立っていた。
「あれ?ここ家じゃない?さっきまで公園にいたのに。」
「とりあえず中に入ろう。」
「そうですね。」
闇影と黒深子はとりあえず家の中に入った。
「「ただいま!!」」
「お帰りなさい。ってあら、二人で到着?いつの間に仲良くなったのかしら?」
「「あ…い、いや…これは…その…///」」
影魅璃は二人の仲の進展をからかい、二人は顔を赤くした。
「も、もう!何言い出すのよ!ねぇ?…『先生』。」
「え…今俺の事、『先生』って言ったのか!?」
黒深子は闇影を「さん」付けから「先生」と呼び方を変えた。
「私の家庭教師なんだから『先生』でいいでしょ?後、私の事は…呼び…捨てでいいから…。これから一緒に旅していくんだし。///って!聞いてる?先生。」
「…ああ、すまん!先生って呼ばれて嬉しいんだ…って、一緒にって…君もついていくのか!?危険だぞ!」
闇影は「先生」と呼ばれた事に嬉し泣きをしていると、黒深子の旅の同行の意思に驚いた。
「先生お人好しだから、一人で行く方が危険でしょ!それにこれは私の旅でもあるの…。」
「君の旅?」
闇影の言葉に頷き、彼女は言った…。
「そう。私にしか出来ない事を探す旅なの…。」
黒深子の決意は固かった。ここまで腹を決めているなら追い返すのは野暮な話だ。
「わかった。一緒に行こう!そして見つけよう!君の…黒深子の夢を!」
「先生…///」
こうして二人の9つの影の世界を巡る旅は始まった…。
「ねぇ、黒深子。そう言えば、昔貴女が使ってた絵のキャンバスが見つかったんだけど…。」
影魅璃は昔黒深子が使っていたという大きな白いキャンバスを持ち出した。
「何で今頃そんな物が…って!え!何!?これ…。」
黒深子はキャンバスに絵が勝手に浮かびあがり驚いた。
その絵は二人の西洋の兜風のバイザーを着けた赤い戦士と黒い戦士が背中合わせになっており、背景は無数の鏡に囲まれるという奇妙な絵だった…。
その絵を見て闇影はこう呟いた…。
「…リュウガの…世界…!!」
謎の声の正体は電王で御馴染みの良太郎でした!!但し、見た目は本編そのものですが、実年齢は20前後でございます。
好きなレギュラーキャラは?
-
煌闇影/仮面ライダーディライト
-
白石黒深子/スワンオルフェノク
-
赤鏡コウイチ/仮面ライダーリュウガ
-
諸刃ツルギ/仮面ライダーサソード
-
彩盗巡/仮面ライダーディシーフ
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