仮面ライダーディライト-世界の光導者-   作:トラグマアーク〜駄作者ナンバーワン〜

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皆さん、大変お待たせしました!!漸くディスティール編後半開始です!!タイトル通り周は…その目でご確認下さい!!


第28導 (おの)が居場所の為に…覚醒(めざ)めし混沌の魂!

『グルアァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!』

 

空中にて、ディスティールドライバーを奪われたが為にアギトでもギルスでも、増してやアンノウンでも無い謎の存在…アンギルス・パーウォ・プルーバーへと変貌した周は、ドライバーを奪いその力を纏ったドラゴンフライロード・インテゲル・リヴェルラ・ディスティールフォルムに攻撃を仕掛けるべく、翼を広げて勢い良く突進するが…

 

『能無しに突っ込むとかまるで獣みたいだね。そんな単純なやり方で倒せる程、僕は甘くないよ!』

 

【ATTACK-RIDE…LASER!】

 

ドラゴンフライRDFは、そんな単調過ぎる彼の攻撃方法を文字通り「獣」だと揶揄しながらドライバーにカードをスラッシュし、ディスティールレーザーを直撃させた。しかし…

 

『グッ!グゥッッ…グルアァァァァッッッッ!!!!』

 

『うっ…嘘でしょ!!?モロ直撃してるのに…ぐああああぁぁぁぁっっっっ!!!!?』

 

攻撃をまともに受けたにも関わらず、アンギルスPPはそのままドラゴンフライRDFに接近して彼の肩を掴み、一気に地上へと下降して地面が抉れる程押し付け続ける。

 

『がっ!ぐっ!!ぐぅっ!!!このっ…離…せぇぇっっ!!』

 

『グガァァッッ!!?』

 

アンギルスPPの拘束から逃れるべく、ドラゴンフライRDFはディスティールドライバーで銃撃を放ち、どうにか彼から離れる事が出来た。両者睨み合うも、アンギルスPPは未だに唸り声しか上げないもののダメージは然程少なく、ドラゴンフライRDFは装甲の一部が破損、息もやや絶え絶えと肉体的ダメージも大きくどちらが有利なのか一目瞭然だ。

 

『はぁ…はぁ…ヒトの癖に…それも僕達アンノウンの力と憎きアギトの力を持った半端者の分際でこの僕に傷をつけて…もうマジムカついた…お前みたいな奴は僕の制裁を受けてさぁ…!!』

 

アンギルスPPに…人間でもアギトでも、ましてアンノウンですらない相手に身体や自尊心(プライド)を傷つけられた事に憤るドラゴンフライRDFは、苛立ちながらドライバーにカードをスラッシュし…

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…DI・DI・DI・DISTEAL!】

 

『とっとと死ねよぉぉっっ!!』

 

口調が荒々しくなり、彼への明確な殺意を吠えながらFARを発動し、通常のそれとは違う禍々しい形をした黒がかった水色の天使の翼を模した円状のエネルギーの中心から同色のディメンジョンスコールを彼の頭上へと放つ…。

 

『くっ…周!!』

 

その様子を見ていたディライトは状況を完全に把握をしていないものの、アンギルスPP…周が危険である事だけを理解し、彼を守ろうとカードを取り出そうとするが…

 

『オオオオォォォォッッッッ…!!!!』

 

アンギルスPPが両腕を頭上に掲げると、ディメンジョンスコールの円状のエネルギーより更に上の空間に、三重になったダークレッドの禍々しい形をした複数のアギトの紋章で形作られた円状のエネルギーを発生させると…

 

『ばっ…馬鹿なっ!!?僕の技が!!?』

 

ドラゴンフライRDFが発動したディメンジョンスコールのエネルギーは全てその円の中心に吸収されてしまい、その中心にあの禍々しいアギトの紋章が浮かび上がる…。

 

『オオオオォォォォッッッッ…ガァァァァッッッ!!!!』

 

アンギルスPPが両腕を勢い良く降ろして地面が砕ける程叩き付けた瞬間、円の中心から無数のダークレッドの極太のレーザー「ブラッジメント・レイン」が地上に降り注ぐ…。

 

『不味いぞ…皆!!早くここから離れるんだっ!!』

 

ディライトはブラッジメント・レインの未知なる威力に危機を感じ、仲間達に今居る場所から攻撃の範囲外に直ぐ様離れる様大声で呼び掛け、自身も急いでそこから避難する…。

 

『何だ何だ…うおあわああぁぁっっ!!?』

 

「『きゃああぁぁっっ!!?』」

 

『『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!!?』』』』

 

ディライトからの突然の避難の警告に、リュウガは慌てふためきながらも滑り込む様に伏せて、サソードも黒深子を抱え悲鳴を上げながらどうにか避難出来たが、アントロードの軍勢は逃げ遅れてしまい直撃、消滅しその犠牲となってしまう…。

 

『ふぅ…み、皆…大丈…こ…これは…!!?』

 

「え…ええ…何と…か…!!?」

 

『闇影こそ大丈夫なん…か…!!?』

 

『私も無事で…す…!!?』

 

攻撃が止んで安全だと確信したディライトは仲間達の安否を心配しながら立ち上がり、彼等も無事だと返事しようとするが…

 

『なんて威力なんだ…何もかも滅茶苦茶だ…!!』

 

先程まで居た場所は、黒がかった炎や爆煙が上がり、地面も無数の亀裂やクレーターの如く無数の陥没した跡が残る等、まるで廃墟と化してしまう程…。そんな光景を目の当たりにしたディライト達は、ブラッジメント・レインの威力にただただ絶句するしかなかった…。

 

『そっ…そうだ、周は…あいつは何処なんだ!!?』

 

我に返ったディライトは、この燦々たる光景を作った原因であるアンギルスPP…周を探そうと首を振って辺りを見回していると…

 

『……。』

 

『何だそこに居たんかよ…お〜い戴問さん、流石にこれはやり過ぎなんじゃ…

『待てコウイチ!!迂闊に近付いたら…!!』

 

微動だにせず仁王立ちの状態で見つかり、今の技について苦言を漏らしながら一先ず戦いが止まった為か、警戒せずスタスタと彼に近付くリュウガ。しかし、それは大きな間違いだった…。

 

『グルアァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!』

 

『なっ…ぐああぁぁっっ!?』

 

『コウイチ!!』

 

突然目覚めた肉食動物の如く、その鋭い爪を勢い良く振り下ろし不用意に近付いた獲物(リュウガ)を引き裂くアンギルスPP…。そう、戦いは未だ終わっては居ない。彼が元の戴問周(すがた)に戻る迄は…。

 

『グルァゥッッ!ガヴルッッ!!ガアァァァァッッッッ!!!!』

 

(アンノウン)の姿が見えないにも関わらず、虚空で爪を幾度も振るったり、広場にあるベンチやゴミ箱等を乱暴に投げ飛ばして破壊したり、何故か時計の柱に自ら頭を何度もぶつけたりする等、アンギルスPPの暴走は止まらない…。

 

『っくっ…ふふふ…そら見ろ…ヒトなんかが使えもしない強大な力を持つからそうなるんだ…!!』

 

『!!あいつ…まだ生きて…!!』

 

『今日の所は一先ず退いてあげるよ…。ま、このまま僕が手を下さなくてもそいつが勝手に死んでくれるかもしれないだろうけどね…。』

 

唖然としているディライトの背後から、ブラッジメント・レインの直撃こそ免れたが、その余波により装甲が更に破損してボロボロの状態となったドラゴンフライRDFが立ち上がり、アンギルスPPに冷ややかな言葉を吐く。直ぐに戦闘体勢を取るディライトだが、彼は一時撤退の意を示しながらも意味深な言葉を投げ掛ける…。

 

『どういう事だ…!?』

 

『直に解るさ…強大過ぎる力がヒトを蝕んでく様をね…。』

 

『待て!!』

 

そう告げたドラゴンフライRDFはディスティールの力を得たのか、あの灰色のオーロラを発生させその中に入り、オーロラと共に消え去った…。

 

『あの力が周を蝕む…?一体どういう…!!』

 

ディライトは手に顎を添えながら、ドラゴンフライRDFが最後に残した言葉の意味を思考する。しかし、その疑問は直ぐに解明される。アンギルスPPの様子に目をやった瞬間に…。

 

『ガァァァァッッッ!!!!グルァゥッッ!!グルアァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!』

 

先程まで周囲の公共物を破壊したと思えば、今度は自身の胸部や喉を血が流れる程引っ掻き、またも時計台の柱に頭をぶつけたりと自傷行為をしたり、再び暴れ狂ったりと不可解な行動を取り続けるアンギルスPP。そして時間が経つ程、まるで毒を呷ったかの様に苦しげな表情となる…。

 

『何やってんだよ戴問さん!!いい加減やめ…うわぁっっ!?』

 

『落ち着いて下さ…きゃあっっ!?』

 

そんな彼を制止させるべく宥めようとするリュウガとサソードだが、彼等の言葉が通じて無いのか、腕で勢い良く振り払い再び同じ行動を取り始める。

 

『!!そういう事か…。取り敢えず、このままあいつを野放しには出来ん…!!』

 

ドラゴンフライRDFが去り際に放った言葉の意味を理解したディライトは、自傷行為や暴走を繰り返すアンギルスPPの動きを抑えるべく、何故かディライトドライバーを外して変身を解除しそれを彼の腰目掛けて投げ付け器用に巻き付けさせると…

 

『ウォッ!!?ウッ…グッ…グオオオオォォォォッッッッ…!!?』

 

ディライトドライバーの中心からライトオレンジの光が輝くと、徐々に落ち着きを取り戻し元の姿へ戻ると同時に糸の切れた人形の如く倒れ込む周…。

 

「ふぅ…何とか元に戻ったか…。」

 

「ね、ねぇ先生…どうしてディライトのベルトを巻き付けたら戴問さんが…」

 

「話は後だ、早くこいつを家まで運ぶよ。」

 

「う、うん…。」

 

黒深子は何故周がディライトドライバーの力により元の姿に戻れたのか闇影に尋ねようとしたが、周の手当てが優先させる彼の言葉に遮られ、一先ずそれに従い仲間と共に自宅へ帰宅する…。

 

 

 

「恐れていた事が起きてしまったか…。このままではディスティールも…!!おのれ…ディライト…!!」

 

その直後に灰色のオーロラが発生し、そこから紅蓮が現れ、周の異変の原因は闇影にあると一方的に思い込み歯を軋ませて彼を憎み、再び発生させたオーロラの中に入り、未だ炎に包まれた現場から立ち去っていく…。

 

 

 

―世界の光導者、ディライト!数多の並行世界を巡り、その瞳は、何を照らす?

 

 

 

―白石家

 

 

「これでお終い…っと。暫く此処で休ませておきましょ。」

 

「帰ってきて早々にすいません。」

 

「気にしないで。周さんは闇影さんのお友達、そして闇影さんは黒深子の先生…娘がお世話になってる方のご友人を助けるのは当たり前でしょう?」

 

帰宅後、先の戦闘での怪我の手当てを済ませた周をソファーに寝かせ毛布を掛け、当面は彼をこの家で休息を取らせる様勧めた影魅璃に、闇影は申し訳なさそうな表情で面倒事を持ち込んだ事を彼女に詫びる。しかし、当の本人は娘の恩人である闇影の友人(だと思っている)である周を救う事に何の疑いも無く微笑む。

 

「いや、こいつとは別に友達じゃないんですけどね…。」

 

「にしても、まさか戴問さんがあんな姿になるとは正直驚いたぜ…。」

 

「アギトやギルスは疎か、アンノウンですら無い存在。ならあの姿は一体何なのでしょう…?」

 

「そして苦しみながら暴走を繰り返してたけど、先生のベルトがそれを防ぎ元の姿に戻した…。どういう事なの?」

 

影魅璃に周とは友達だと思われ困り顔で否定する闇影に、黒深子達は先の戦闘で起きた周の異変についての疑問を彼に尋ね出す。

 

「俺もあの姿が何なのかは解らない。だが、あの時周が苦しんでいたのは、恐らくアギト、若しくはギルスとアンノウン…その相反する力を持っていたが故に、激しい拒絶反応が起きてこいつの身体を傷付けていたのかもな…。」

 

闇影自身も何故周がアンギルスPPの力を得たのかは見当が付いてはいないが、彼があの様な暴走を起こした理由については、(アギト)(アンノウン)…その敵対する二つの力が拮抗してその生命力を削っていたのが原因だと推測する。

 

「そして、その二つを上回る力…ディスティールの力が今まで制御していたのだろう。だが、それをあのアンノウンに奪われたせいでまた制御出来なくなってしまった…。ならばそれと同じ力で防ぐしか無いと思い、ああしたんだ。」

 

アギトやギルス、そしてアンノウンを超えた力…次元ライダーの力であるディスティールドライバーが周の力をこれまで制御していたのだが、ドラゴンフライRにより強奪された…。さすれば同等…それ以上の力で制御するべく、闇影はディライトドライバーを装着させたのだと説明する。

 

「そうなんだ。でも、それじゃ先生が変身出来なるんじゃ…。」

 

「大丈夫だよ黒深子。それより、(こいつ)の力を持ってしまったあのアンノウンを何とかしないと…」

 

周が元に戻った理由に納得した黒深子は、それと引き換えに闇影がディライトに変身不能となってしまった事に懸念するが、当の本人は「心配ない」と安心させ、ディスティールと化したドラゴンフライRを倒すのが先だと口にした時…

 

「…ん…ぅう…んっ…!!?」

 

「あ!気が付いたみたいね。」

 

「影魅璃…さん…?此…処は…んぷっ!?///」

 

「あぁ…まだ起きちゃ駄目ですよ。此処は私の家、周さん大怪我で倒れちゃって闇影さん達が運んできたんですよ。」

 

漸く目が覚めた周は怪我の痛みに耐えて立ち上がろうとするが、近くにいた影魅璃の豊満な胸に顔を勢い良く突っ込む形で抱き止められ再び横になる。

 

「全く…散々暴れ回って皆に迷惑を掛けた挙げ句、目覚め始めにセクハラか。良い気なもんだな。」

 

「…んだとてめっ…んぷぅっ!!?///」

 

「まだ寝てなきゃ駄目ですよ。」

 

不可抗力とは言え、影魅璃の胸に顔を突っ込ませた周の所業セクハラに不快を感じて顔を顰めながら悪態を吐く闇影。それに癇に障った周は彼に掴み掛かるべく再び起き上がろうとするが、またも影魅璃に止められ、胸に顔を突っ込ませる事となる。

 

「…ぷはぁっ!!///チッ…影魅璃さんのおっぱいに免じて今は勘弁してや…これはディライトの…!!?」

 

影魅璃の胸から顔を離して横になった周は、舌打ちしながら今の「To Love る」なおいしい思いに怒りを抑えると、自分の腰にディライトドライバーが巻き付けられている事に漸く気付く。

 

「絶対に外すなよ。それがお前のあの凄まじい力を抑えているんだからな。」

 

「…なら今の俺様はてめぇの力に守られてるって訳かよ。くそっ…!!」

 

ドラゴンフライRにディスティールドライバーを奪われた上、ディライトドライバー…闇影の力によりアンギルスPPの力が制御されている今の自分の現状に苛立つ周は、三度立ち上がりリビングの出入り口に向かう。

 

「何処へ行く?」

 

「決まってるだろ。あのアンノウンのガキから盗られたモン取り返すんだよ。」

 

「勝手な行動は慎め。今のお前じゃディスティールの力を得たアンノウンは疎か、雑兵レベルの怪人すら倒せん。影魅璃さんの御好意で暫くはこの家で大人しくしてろ。」

 

「これ以上てめぇのお節介は受けたくねぇつってんだよ!!あのアンノウンは…あのアンノウンだけは俺様の手でブッ倒す!!それが俺様自身の汚名返上になる!!」

 

ドラゴンフライRDFからディスティールドライバーを奪回するべくこの家を出ようとする周に、闇影はまたも悪態を吐いて制止するも、周が自分から力を奪った敵を倒す事が盗賊としての矜持を守る事となると、声を荒げて反論し、白石家を後にする。

 

「はぁ…また俺達に迷惑を掛ける気か、あいつ。」

 

「どうするの先生?」

 

「あのまま放っておいたらまたさっきみたいな事になりかねないからな。行ってくる。」

 

意地でも自分の手は借りないと言い放ち、怪我も碌に治っていないにも関わらず単身で敵の下へ赴こうとする周の行動に額に手を当てて溜め息を吐く闇影は、先程の様に彼が暴走する恐れを懸念してその後を追って行く…。

 

 

 

『ふぅ…やっと体力が戻ったか。さ〜て!そろそろアギトハンティングの続きをしましょっか♪むんっ!!』

 

とあるビルの屋上にて、先の戦闘の傷が完全に癒えたドラゴンフライRDFは、アギトの力を持つ人間の抹殺の続行を「アギトハンティング」と称す等、まるで中断したテレビゲームの再開を楽しむ子供の様に喜々とした表情をしながら寝転がった状態から飛び上がる様に立ち上がり…

 

『『『グロロロォォォォッッッッ…!!!!』』』

 

『あの中途半端男から奪った力の内容も大体解ったからそれを試してみたいしね…!!』

 

身体のライドプレートから無数のアントロードを生みだし、回復の間に奪ったディスティールの力を学び、それを試しがてらに彼等を率いてビルの屋上から飛び降り、アギトハンティングを開始する…。

 

 

 

「何処までついてくんだ!!ストーカーかてめぇは!?」

 

「ストーカーはお前と巡の方だろ。またさっきみたいな暴走ことが起きないとも限らないし、素のままのお前自身の性癖も危ない、寧ろそっちが心配だ。」

 

しつこく自分の後ろについて回る闇影に怒鳴る周に、闇影はまたも罵倒に近い憎まれ口を叩き、挙げ句彼の悪い性癖(年齢問わず美女美少女好き)についてまで懸念する等喧嘩を売る発言をする。

 

「おい…いい加減俺様に対する口の利き方を気を付けねぇとマジで殺…!!」

 

「「「う…うわああああぁぁぁぁっっっっ!!!?」」」

 

「「!!?」」

 

闇影の自分に対する挑発的な発言に苛立つ周は、彼を睨みつけて再び食ってかかろうとするが、突然人々の悲鳴が聞こえた為闇影共々その方角へと目を向け、走り出す…。

 

 

 

『ヒトハ…ヒトノママデイイ…!!』

 

「ひっ…た…助け…!!」

 

「でりゃあぁぁっっ!!」

 

『グアァッ!!?』

 

「早く逃げて下さい!!」

 

「は…はい!!」

 

街中で無数のアントRがアギトの力を持つ人間を抹殺する為だけに暴れ回り、その目的の人間である会社員の男を見つけたのか、彼を所持した剣で殺害しようとするが、現場に駆け付けた闇影の跳び蹴りで吹っ飛ばされた隙に逃げられてしまう。

 

「にしても凄い数だなぁ…。」

 

「お…おいコラ、何一人でしゃしゃり出てんだよ!!」

 

「何だ足手纏い、随分と遅かったな。」

 

「誰が足手纏いだ!!てめぇが邪魔したからだろうがっ!!」

 

無数のアントRを前にそう声を漏らす闇影 の下に、何故か漸く辿り着く周。その理由は、此処へ赴く途中で闇影に足を引っ掛けられ転んでしまったせいである。それについて闇影を責め立てようとするが、眼前の敵を前にそれを止める。

 

「アント達は俺が倒す。お前は死にたくなかった尻尾巻いてさっさと逃げろ。」

 

「俺様に指図すんじゃねぇ。つーかてめぇだって変身出来ねぇだろが。」

 

アントRの軍勢を自分一人で倒そうとする闇影は、またも憎まれ口を叩いて周に逃げる様勧めるが、彼からの指図を嫌う周の言う通り、自分の力を制御する為にディライトドライバーを装着させた為、彼も変身が出来ない事を指摘するが…

 

「ふん、何もディライトにしか変身出来ない訳じゃない。来い!!」

 

突然闇影が右腕を上に伸ばすと、何処からか黄色い雀蜂を模したメカ…ザビーゼクターが飛来し、彼の右手に収まる。そう…闇影にはまだザビーと言う、もう一つの力があったのだ。

 

「…ダークカブトの世界で得た力かよ。」

 

「理解出来たなら逃げ…!?」

 

闇影が二度の警告を口にする直前、周の下にも水色の蜻蛉を模したメカが飛来し、彼の頭上で動き回る…。

 

「その世界での俺様のゲットしたお宝が何なのか忘れてねぇよなぁ?闇影先生よぉ…。」

 

周は不敵な笑みを浮かべ、闇影と同じく「ダークカブトの世界」で入手した宝、ドレイクゼクターが…戦う力がある事を誇示しつつ、懐から細長い黒と青を基調としたグリップ「ドレイクグリップ」を取り出す。

 

「チッ!なら、精々俺の足を引っ張らない程度に戦え。邪魔だと判断されて俺に始末される覚悟を持ちながらな…!!」

 

「そっちこそ、間違って俺様に撃ち殺される恐怖にビビりながら戦いな!!」

 

「「変身!!」」

 

【【HENSHIN!】】

 

この非常時にも互いに憎まれ口を叩き合いながらも、闇影は左手首のライダーブレスにザビーゼクターをセットし、ザビー・マスクドフォームに、ドレイクグリップの上部分にドレイクゼクターがセットされると、周はヤゴを模した水色と銀色の潜水服をイメージしたアーマーが特徴の「仮面ライダードレイク マスクドフォーム」へと変身する。

 

『『キャストオフ!!』』

 

【【CAST-OFF!】】

 

【CHANGE-WASP!】

 

【CHANGE-DRAGONFLY!】

 

更にザビーMFがゼクターウィングを上げて内側に回転させると、アーマーが飛散しライダーフォームへ、ドレイクMFがドレイクゼクターの尾部のレバー「ヒッチスロットル」を引き、ドレイクグリップのトリガーを引くと、全身のアーマーが全て飛散し、水色の蜻蛉を模した複眼、胸にある赤と白の蜻蛉の羽根の様な装甲が特徴のライダーフォームへとそれぞれキャストオフした…。

 

『さて…蟻退治と行きますか!!』

 

『ふっ…全て撃ち抜いてやるぜ!!』

 

ザビーは左の掌に右拳を勢い良く叩き付けてアントRの軍勢へと走り出し、対してドレイクはその場から動かずドレイクゼクターをクルクル回してから構えて、蟻退治たたかいを開始する。

 

『はっ!やっ!!せいっ!!!でりゃあぁぁっっ!!』

 

『全弾喰らいなっ!!』

 

『『『グッ!!ガァッ!!ギィッ!!ンベェッ!!グガァァァァッッッッ!!!?』』』

 

ザビーの無駄が無く且つ素早く正確な打撃、蹴撃等の格闘術でアントR達は一匹…また一匹と吹っ飛ばされ、ドレイクの機関銃マシンガンの如く放たれる銃撃…二人の今の行動だけでほぼ半数は爆死していった…。

 

『ギギィィッッ!!』

 

しかし未だ残るアントR達は、ザビーとドレイクの二人を相手にするのでは無く、どちらか一人を集中して狙う様作戦変更したらしく、一匹の合図したと共にそれを実行開始した。その最初の標的としてドレイクの方へと襲い掛かる…。

 

『手負いの俺様なら十分殺せる、とでも思ってんのか…。さっきの事と言い、今と言いてめぇ等…!!』

 

先の戦闘での傷が完全に癒えておらず、且つディスティールドライバーを奪われ弱体化したのだと思い込まれたドレイクは、先の戦闘前に仕掛けられたアギト()狩り()の事も相俟って、侮られた事に身体をワナワナと震わせ…

 

【RIDER-SHOOTING!】

 

『俺様を嘗め腐んのも大概にしやがれぇぇっっ!!ライダーシューティングッ!!』

 

『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!?』』』

 

激しくブチ切れ怒りを爆発させながら、ドレイクゼクターのゼクターウィングを折り畳みヒッチスロットルを引き、グリップの引き金を弾くと、銃口にタキオン粒子のエネルギーが収束され、それを凝縮した水色の強力なエネルギー弾「ライダーシューティング」が放出し残ったアントR達全てを消滅させた…。

 

『はぁ…はぁ…!!俺様を虚仮にするからそうなん…!!』

 

大声で怒鳴りながら必殺技を放った為、少々息が荒くなりそれを呼吸で落ち着かせるドレイク。が…

 

『『『ギギィィィィッッッッ!!!!』』』

 

『(何っ!?後ろからもかっ!?ブチ切れ過ぎて反応に気付かなかったのかよ…くそっ!!)』

 

何とその背後から、別のアントR達が一斉に彼へ飛び掛かって来た…。先程ドレイクが倒したアントR達は最初から囮であり、今の作戦により自分達に弱く見られたドレイクが怒りにより別働隊うしろの注意を逸らさせ、眼前の敵のみを倒す事だけに専念させたのだった…。虚を付かれクロックアップも反撃も出来なくなり、己の注意を悔やみドレイク。しかし…

 

【CLOCK-UP!】

 

【RIDER-STING!】

 

『ライダースティング!!』

 

『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!?』』』

 

『なっ…!?』

 

【CLOCK-OVER】

 

突然アントR達が横真っ二つに「斬られて」爆発すると同時に、何時の間にかクロックアップを使用したザビーが、左腕を横一文字に伸ばして構えた状態でクロックアップ空間から帰還した…。

 

『チッ…お前なんかをこの新しいライダースティングで助けるなんて…俺も焼きが回ったよなぁ…。』

 

『何だとてめ…ってちょっと待て、新しいライダースティングだって!?』

 

今日だけでもう何度目になるのか、自分に対して憎まれ口を叩くザビーに詰め寄ろうとするドレイクだが、彼の言った「新しい必殺技(ライダースティング)」と言う単語に反応をする。

 

『まあな。方法は…うわああぁぁっっ!!?』

 

ザビーがドレイクに新しいライダースティングの詳細について語ろうとした時、突然背後から何者かの攻撃を受けてしまう…。

 

『やれやれ、中途半端男の次はディライト君の雀蜂か。』

 

攻撃をした者の正体は言わずもがな…卑劣にもアギト能力者を炙り出す為だけに、態々それ以外の人間を襲うようアント達に指示を出した張本人、ドラゴンフライRDFだった…。

 

『そっちから出向いてくれて好都合だぜ…俺様の力、返して貰うか…。てめぇの命ってレンタル料込みでなぁっっ!!』

 

ドレイクは彼が現れるや否や、仮面の中で盗賊である自分からディスティールドライバーを奪った事に対する怒りや憎悪により歯を軋ませ、レンタル料として討伐しようとドレイクゼクターの連射を放つ。

 

『おっと!いきなり乱射とは野蛮なだねぇ。どうやってあの姿から戻れて僕と同じ蜻蛉になったのかは分からないけど、生きているならもう一度駆除しないとね。』

 

【KAIJIN-RIDE…ANTHOPPER-IMAGINS!】

 

それを飛翔して難無くかわしたドラゴンフライRDFは何故彼が正気を取り戻したのかを疑問に思いながらも、今度こそドレイクを抹殺(くじょ)すると口にしつつ、ドライバーにカードをスラッシュ、トリガーを弾くと、右半身が緑のキリギリス、左半身が黒蟻を模したイマジン「アントホッパーイマジン」が2体召喚された。

 

『虫が虫の駆除か…まぁ、命令なら始末するまでだ…!!』

 

『虫虫駆除〜?ニャハハハハ!!始末しちゃおっか〜?始末しちゃうってばよ〜!!?ニャハハハハハハハ〜ッ!!!!』

 

2体のアントホッパーIの内、スコップを模した剣を持つ冷静な性格の個体(A)とヴィオラを模した剣を持つ甲高い声で笑い他人を小馬鹿にする性格の個体(B)は、ザビーとドレイクに向かって行く。

 

『今度は蟻とキリギリスで来たか…。此方も駆除させて貰うよ!!』

 

ザビーは、ドラゴンフライRDFが召喚したアントホッパーI達のモチーフについて軽く触れると駆除(返り討ち)にするべく同じく彼等に向かって走り出す。

 

『はっ!やっ!!そいやっ!!ふっ!!でりゃあぁぁっっ!!!』

 

『ニャッ!ニュッ!!ニョオオォォッッ!!?』

 

ザビーは先程同様、2体の攻撃をかわしつつ激しいパンチやキックの連撃を一方的に叩き込み吹き飛ばした。そして、彼等が立ち上がるのを見計らうと…

 

『よく見ておくんだな周。クロックアップ!』

 

【CLOCK-UP!】

 

『…クロックアップ。』

 

【CLOCK-UP!】

 

ザビーは先程中断されたの新しいライダースティングの詳細をドレイクに教えるべく、それを知るべくドレイクも取り敢えずクロックアップを発動しその時間流に突入し…

 

【RIDER-STING!】

 

『なっ!?』

 

何と、アントホッパーI達との距離が離れすぎているにも関わらずザビーゼクターを操作しライダースティングを放つ準備をした彼に驚くドレイク。本来その必殺技は近距離向けの物であり、それを遠距離で使う物では無い。しかし、ドレイクの疑問に答える様にザビーは両拳を握り、脇を閉めて左拳を後ろにと、黒深子の得意とする正拳突きの構えを取り…

 

『ライダースティング…突!!』

 

『ニギャアアアアァァァァッッッッ!!!?』

 

左拳を勢い良く前に突き出すと、ザビーニードルの先端から黄色いタキオン粒子のエネルギーで構成されたレーザー状の攻撃がアントホッパーIBの心臓目掛けて貫通、爆発した。

 

これぞ、クロックアップの速度にライダースティングを正拳突きの拳圧を乗せて威力を倍増させた「ライダースティング・(レーザー)」である…。

 

『これが…!!』

 

『驚くのは…まだ、早い!!』

 

【RIDER-STING!】

 

ライダースティング・突の威力に驚くドレイクを余所に、ザビーは残るアントホッパーIAを倒すべく再度ザビーゼクターを操作し、左拳を後ろに構えて同じ技の準備をし…

 

『ライダースティング…一閃!!だだだだぁぁぁぁっっっっ!!!!』

 

『グガアァァァァッッッッ!!!?』

 

最初の一撃を右へ突くと、次の一撃一撃を徐々に左へ徐々にずらし横一文字を描く様にライダースティングを拳圧で飛ばし、まるで横一文字の斬撃を受けたかの様にアントホッパーIAの胴体は真っ二つに裂けて爆発した。

 

これが新しい必殺技、ライダースティング・突の応用技である「ライダースティング・一閃(いっせん)」である…。

 

【【CLOCK-OVER】】

 

『ふう…何か解らないけど非常にスカッとしたなぁ。』

 

『お前、何の話してんだ?』

 

2体のアントホッパーIを倒したと同時にクロックアップの発動時間が過ぎ、クロックアップ空間から脱出したザビーは、何やら少し機嫌良い気持ちだと口にし、同じく脱出したドレイクはそれに小さくツッコむ。それに関しては「2つの意味」でと付け加えとこう…。

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…DI・DI・DI・DISTEAL!】

 

『なら、あの世でその続きを浸りなよ。』

 

『『なっ…ぐああああぁぁぁぁっっっっ!!!?』』

 

僅かに油断したのか、ドラゴンフライRDFの放ったディメンジョンスコールをまともに直撃したザビーとドレイクはその激しいダメージにより変身解除してしまい、あっという間に窮地に立たされてしまう。

 

『アント達やイマジン…って言うの?今の君達だったらあいつ等でも充分倒せると思ってたけど、中々手子摺らされてたみたいだったから作戦を変えて見たよ。そしたら大成功♪』

 

ドラゴンフライRDFは、まるでゲームの攻略法の様に今の作戦を喜々として語る。初めこそ次元ライダーへの変身を封じられた闇影と周相手ならば、雑兵レベルのアントRや召喚した怪人だけで抹殺しようと考えたが、マスクドライダーシステムと言う別の変身手段とその実力を見て、差し向けた敵に集中した2人の隙を狙って必殺技を放ったのだ…。

 

「くっ…くそっ…!!」

 

『ふ〜ん、まだ動けるなんて凄いね。でもさ…』

 

今の攻撃を受けても尚、フラフラしながらも立ち上がる闇影を見て感嘆の声を漏らすドラゴンフライRDFは、ある方向に向けて人差し指を指す。彼の指し示す物、それは…

 

「ぁ…くぅぅっっ…!!?」

 

『あいつはどうだろうねぇ…!?』

 

「!!?」

 

身体全体がボロボロとなり大量の血を流し身動き一つ取れない程動けなくなる等…正に文字通り、虫の息状態と化した周の姿がそこにあった…。普段の彼ならば闇影同様どうにか立ち上がる事が出来るかもしれないが、やはり先の闘いで受けたダメージが影響していたのだろう…。

 

「周!!くっ…此処は一旦退くしか無いか…!!」

 

このまま戦い続けていたら確実に負ける…そう判断した闇影は、傷を押して重傷の周を担ぎ込んで、病院へ向かうべく退却しようとする。

 

『逃げられるとでも思って…うわっっ!!?』

 

当然それを許さないドラゴンフライRDFはディスティールドライバーで2人を狙撃しようとするが、闇影のライトブッカー・ガンモードの威嚇射撃により僅かに怯んだ為、彼等の逃走を許す事となった…。

 

『…まぁいいや。彼奴等の始末なんて何時でも出来るし、暫くは他で遊ぼっか♪』

 

しかし、それも何時でも闇影と周を抹殺出来ると余裕綽々なドラゴンフライRDFは、当面は他での遊び、即ち周とは別のアギト能力者の抹殺をするべく、飛翔してその場から立ち去って行く…。

 

 

 

―美杉病院

 

 

「っ痛…!!はぁ…周のおかげでとんだ出費をする羽目になったな…。」

 

頬にガーゼや絆創膏、手首に包帯を巻き治療を終えた闇影は、僅かな身体の痛みに顔を顰めつつ、余計な治療費(しゅっぴ)の要因の1つであろう周に対して愚痴を零す…。

 

「…にしても、此処に来るまであんな状態から殆ど回復してたのは少し驚いたなぁ…。」

 

同時に、彼が病院に着くまでには意識を取り戻し全身の傷が殆ど無くなる等、「軽傷レベルの怪我をした状態」まで回復したと言う事実も…。

 

周の異常な程の超回復力の正体は言わずもがな、ギルスの持つ「再生能力」による物。アンギルスPPはギルスにやや近い外見である為、それと同じ再生能力(せいしつ)を持っていても不思議では無い。

 

「やはりあいつから詳しい話を聞かないとな。」

 

何故周がそうした力を得たのか未だに解らない闇影は、もう一度彼から詳細を聞くべく動き出そうとする…。

 

「すいません。貴方は…戴問周さんのお知り合いの方ですか?」

 

「…まぁ、そんなところで…!!」

 

そこへ、この病院の医師であろう白衣の男性が闇影に周の知人なのかを尋ねて来た。そう尋ねて来た理由は、恐らく闇影が周を担いでここに訪れた所を見て、知り合いなのかと思ったからであろう。事実とは言え、自分の嫌いな人間と知り合いなのかと尋ねられ、闇影は少し眉間に皺を寄せて肯定しようとするが…

 

「もしかして…あいつ何か大きな病気でも!?」

 

「いや、あの人では無くて彼の…」

 

突然周が大病を患っているのかを尋ね出す闇影。無論彼の身を案じての事ではなく、この病院の医師が周の名前を知っているのならば、彼の事情の一端を知っているのだと踏んでそこから詳しい情報を得ようとしての行動だった。そして、医師から周についてある事を口にする…。

 

 

 

―屋上

 

 

「ふーっ…。」

 

病院の屋上にあるフェンスに肘を付きながら煙草を吹かして憂えた表情をする周。普段の彼なら、この病院のナースや入院患者の若い女性(幼女含む)を口説いているのだが、そうする気配も一切無い。

 

「此処にいたのか、誰かさんのせいでこっちは怪我して身体が痛いんだから無駄に動かさせるなよ。」

 

「ああ?誰かさんって誰ですか?そうなったのは自業自得だろが。」

 

そこに闇影が怪我をした事を軽く責めつつ懲りずに憎まれ口を叩きながら現れた為、周はそれを彼自身のせいだと言い返しつつ懐から携帯型灰皿を取り出し、それに吸っていた煙草の吸い殻を捨てて立ち去ろうとする…。

 

「お前が気にかけている女の人…とても大切な人なんだな。」

 

「……!!お前…何で知ってんだよ…!?」

 

闇影の口から「自分が気にかけている女性」と言う言葉を耳にして立ち止まった周は、首のみを後ろに向けて彼を睨み付ける…。そして、闇影の次に発する言葉は…

 

「さっき先生から聞いたぞ。お前はその人の為に、それも1年や2年じゃなく8年間も入院費を払い続けている。戴問翔子さん…お前の…!!」

 

「黙りやがれっっ!!てめぇが…てめぇなんかがお袋の名前を口にすんじゃねぇっっ!!」

 

突然周は目を血走らせながら闇影にづかづか近付き、彼の胸倉を勢い良く掴み、これ以上戴問翔子…自分の母親の名前を口にする事に声を荒げて止めさせる…。

 

「お前にそんな親思いな所があるとは意外だったな。8年間も律儀に入院費を…その金も今まで盗んだ宝で…!!」

 

掴まれても尚、闇影の話は止まらない。8年間と言う長い年月分の入院費や治療費となれば、当然その額も相当な物である。その事から、周がこれまで様々な宝を奪い続けてきたのも、全ては母親の為なのだと推測する闇影。

 

「何も知らねぇ癖に俺様の事を知った様な口で利いてんじゃっ…!!」

 

「何があったんだ…?8年前にお前のお母さんが意識不明になる程の重体…そして、お前のあの力の正体…いい加減話してくれないか…。」

 

それに更なる怒りを募らせる周に対し、闇影はそれまでの憎まれ口では無く、真剣な表情で彼の事情について冷静に尋ねる。それを見た周は、徐々に冷静さを取り戻し…

 

「ちっ…!!」

 

舌打ちしつつ闇影の胸倉を掴んでいた両腕を解放し、懐にあるライターと煙草1本取り出し、口に咥えて火を付けて再び吹かし出す…。

 

「ふーっ…ホンッと人の過去にずかずか踏み込んでくるムカつく野郎だなてめぇはよ。んなに聞きたきゃ教えてやるよ…。」

 

煙草を吸った事で更に落ち着きを取り戻した周は、闇影のあまりのしつこさに悪態を付きながらも自分の過去について語り出す…。

 

 

 

ガキの頃に親父が事故で亡くなってから、お袋は女手一つで俺様を育ててくれた。苦労した事は何度かあるけどお袋は俺様を可愛がってくれたよ。そして俺様も、そんなお袋を少しでも楽にさせたくて色々家事を手伝ったりしたし、休みの日にはよく一緒に旅行にも行った。そうした毎日が俺様にとって一番幸せで、ずっと続く物だと信じていた。あの日が来るまでは…

 

 

 

―8年前

 

 

「ただいま母さん!」

 

「お帰り周、早かったわね。」

 

「そりゃ早く帰るよ。だって今日は母さんの誕生日なんだから…沢山ご馳走を作るらないとな♪」

 

あの日…お袋の誕生日だと言う事ですっ飛んで学校から帰った俺様は、鞄や制服を放り投げて、料理の準備や祝う事だけで頭がいっぱいだったな。

 

「今年も目一杯楽しい誕生日にするからな。んで、プレゼントは今度の休みに『あかつき号』に乗った船旅に行こうな♪」

 

「…いつもありがとうね、周。貴方は母さんの為に色々やってくれてとても嬉しいわ。でもね…」

 

だけどお袋は、小さな笑みを浮かべ申し訳なさそう表情をしながら俺様の手を握って普段の俺様の行動に感謝しながらこう言った…。

 

「母さんはね…貴方が友達を作って遊んだり、将来やりたい事の為に頑張ってくれる事が一番嬉しい事なの。勿論、貴方のやってくれてる事が嫌な訳じゃないわ。ただね…その為に貴方が自分の時間を全て割いてしまう事は無いの。」

 

どうもお袋は、自分のせいで俺様が俺様自身の人生を犠牲にしててそれを申し訳無く思ってたんだろう。けど、俺様はそうは思ってない。寧ろそれが俺様のやりたい事なんだからな…。

 

「見つけたわよ戴問翔子!!」

 

「な…何だあんた!!?人の家に勝手に上がり込んで!!」

 

「……ッッ!!」

 

「きゃっ!!?」

 

そこに玄関のドアから茶髪のセミロングをした水商売風の服を着た30代くらいの女…瑞木璃紗(みずき・りさ)が突然乗り込んで、お袋を睨み付けると直ぐ様近付いて平手打ちをしてこう言った…。

 

「あたしの男を…哲麻(てつま)を誑かさしていけしゃあしゃあとくっついて…挙げ句子供まで作りやがって!!」

 

その璃紗とかいう女は親父の昔の元カノらしく、お袋がそいつから親父を寝取ったとかなんとかと、凄まじくドロドロな因縁がある様でな。でも…

 

「違う…あの人は元々、貴女が浪費癖や浮気癖が酷くて嫌気が差してて悩んでいる時に私と出会い、普通の友達として付き合い始めた。最初はそれだけのつもりだったけど、暫くして私といると心が安らぐ、一緒になりたい…そう言われた私はそれを受け入れた…。それだけの事よ。」

 

璃紗の方に非の打ち所がありまくりで、親父はそれとは正反対なお袋に惹かれてくっ付いた。ま、親父に振られた逆恨みって奴さ。

 

「嘘言わないで!!どうせあんたの方からモーション掛けたんでしょ!!あたしの男を寝取った罪を裁いてやるわ!!はあぁぁっっ!!!!」

 

けど、お袋が言い寄ったんだと思い込んだ璃紗は、全身からドス黒いオーラを発してその姿を蜜蜂を模したアンノウンへと変化させた…。恐らく闇の牢獄で得た力だろう…。

 

「ひっ…!!?」

 

『死ねぇぇっっ!!』

 

「うっ…うわああぁぁっっ!!?」

 

『くっ…人間風情が小癪な…!!』

 

蜂のアンノウンが剣でお袋や俺様を斬り殺そうと襲い掛かったが、どうにか避けたお陰でそれはテーブルに食い込み斬られずには済んだ。けど、どうにか剣を引き抜いてまたお袋にジリジリ近付こうとしたが、何故か動きを止めた。

 

『そうね…あんたを確実に殺すには…この方が良いかしら!!』

 

「えっ…うっ…うわああぁぁっっ!!?」

 

蜂のアンノウンは標的をお袋から俺様に変更して襲い掛かって来た。突然の出来事に対処出来ない俺様はただビビって動けなかった。けど…

 

「周ぅぅぅぅっっっっ!!!!」

 

お袋は、そこに勢い良く割って入って俺様を抱き締める様に庇った。そのせいでお袋は左足を斬り付けられてそこから大量の血を流した。恐らく、蜂のアンノウンはこれを狙っていたんだな…。

 

「か…母さん!!大丈夫!!?」

 

「だ…大丈夫…よ…!!周…も…大丈夫…!?」

 

『ふん…あんたが悪いのよ。あんたさえ出しゃばりゃなきゃあたしは幸せになれたのよ…!!あんたなんか…あんたなんか…!!』

 

「お願い…!!この子だけは殺さないで!!」

 

「止めろ…やめろよ…!!」

 

蜂のアンノウンはお袋への恨み言を呟きながら、剣を構えてまたジリジリと近付き出した。お袋は足の痛みに耐えながら俺様を庇って俺様の命だけを助ける様懇願し出した。正に絶体絶命の状況に「アレ」が現れた…。

 

 

 

―…母サンヲ助ケタイカ?

 

―お前は…誰だ!?

 

―俺ハオ前ノ闇…オ前ソノ物サ。マア、ソンナ事ヨリダ…母サンヲ助ケル為ノ力ガ欲シクネェカ?

 

突然周囲が真っ黒な空間になって、目の前に「アイツ」が現れた…。奴は俺様の闇…俺様自身だと言って「お袋を救う力をやる」と持ち掛けて来た。

 

―母さんを助ける為の力って…!!もしかして、あの女の人も…!?

 

―ホウ…流石ハ俺自身、察シガ良イナ。ソウダ、アノ女モコノ「闇ノ牢獄」ノ力デアンナ姿ト化シタノサ。

 

―闇の…牢獄…。俺もあんな化物に…!!

 

普通の奴だったら化物になんのは御免だと拒否るだろうな。無論俺様も最初は戸惑った。お袋を傷付けたあの女と同類にはなりたくねぇからよ。だけど…

 

―…俺は…俺は、母さんを守りたい…!!例えこの身が化物に変わり果ててでも…俺が母さんを守る!!だから力を寄越せ!!

 

―フッ…良イゼ。思ウ存分コノ闇ノ力ヲ使イナ…!!

 

闇の牢獄の力を得る決意をした瞬間、アイツは俺様の中に入り込んだ。そして、そのまま怪人の姿となりお袋を守れる…そう思っていた。だが…予想だにしない事が起きた…。

 

―ぅああああぁぁぁっっっっ!!!!なっ…何だ…身体が…痛い…苦しい!?俺の…意…識…ガ…飛…ん…グルアアアアァァァァッッッッ!!!?

 

突然、俺様の身体に言い知れ様のねぇ激痛や苦痛が襲い掛かり、その身体を白と黒の光が交互に発生しつつ、別の「何か」へと徐々に変化させていくと同時に意識をもブッ飛ばしていき…そして……!!

 

 

 

『母サンヲ…母サンヲ傷付ケル奴ハ…誰デアロウト俺ガ…全テ殺シテヤルッ!!グルアアアアァァァァッッッッ!!!!』

 

『ひっ…何よあれ…!!?あんなガキの何処にこんな強大な力が…!?ヒギャアアァァッッ!!?』

 

お前の言う「ギルスでもアンノウンでも無い力」とやらに覚醒した俺様は、全身から赤い光を放ち、お袋を殺そうとした璃紗を倒す事が出来た…だが…!!

 

「はぁ…はぁ…!!も…もう大丈夫だよ母さ…」

 

「…………。」

 

「母さん…母さん!!しっかりして!!目を開けてよ!!母さん!!母さ…!!」

 

覚醒したてで制御出来ずに発生した力の余波を諸に受けてしまったお袋は、目を開けたまままるで死んでしまったかの様に意識を失っていた。俺様はそれを揺さぶって無理矢理起こそう身体に触れると…

 

「こ…これって…血…!!母さんの血…!!俺が…母さんを守ると言ったのに…俺が…母さ…ん…を…!!」

 

その両手はお袋の流した血で真っ赤に染まり、それは……

 

「う…うわああああぁぁぁぁっっっっ!!!!母さああああぁぁぁぁんっ!!!!」

 

 

突然降り始めた大雨によって、まるで俺様自身の血の様にダラダラと流れ、それにショックを受けてぶっ倒れちまった…。

 

 

―美杉病院

 

 

「うぅ…はっ…!こ…此処は…!?」

 

「あ、漸く目を覚ましましたね。3日間も気を失ったままだったんですよ。」

 

「3日間も…!!母さん…そうだ、母さん!!」

 

「あ!駄目ですよ!!まだ安静にしてないと!!」

 

何時の間にか病院に運ばれて、そこで目を覚ました俺様は直ぐ様お袋のいる病室まで駆け付けて行った。だが、そこにある現実は残酷な物だったよ…。

 

「なっ…母…さん…!?」

 

お袋は身体中に包帯を巻いて、医療用のチューブに繋がれた上、目を見開いたまま意識不明と無惨な状態となってたんだ…。俺様はせめて声を掛けようと近付こうとしたが…

 

 

 

「患者を目撃した人の話によれば、羽を生やした化物がいてそいつの仕業じゃないかって言ってましてな。」

 

 

 

「…………っっ!!」

 

「化物の類は有り得ないとしてだ…この状態じゃ目を覚ますのもどうか怪しいな…。」

 

「(羽…化物…!!そうだ…そうだった…。母さんをあんな状態にしたのは俺…そして羽の化物も俺…そんな俺が母さんに声を掛ける資格なんて…!!)」

 

「…………っっ!!」

 

全ては自分が元凶だったと理解した俺様は病院から飛び出し、そこからは当ても無く、訳も解らないまま彷徨い続けた…。

 

 

 

「…………。」

 

「皮肉な話だよな…お袋を、自分が愛した女性を守る為に手に入れた力が逆に傷付けてしまってるんだからよ。挙げ句の果てにはそっから逃げ出した…はは、最低の男だよ俺様は…。」

 

全てを話終えた周は、顔を少し俯かせながら過去の行いについて自嘲した。その姿を見た闇影は、周の無類の女好きの理由を、全ての女性を嘗て守れなかった女性ははおやと重ねていたのだろうと、大凡理解した。

 

「…これもお医者さんから聞いたが、それほど気にかけていた筈のお母さんの病室に一度も入ってやらなかったそうだな?」

 

「……っっ!!」

 

「入院費だけ払っておけば親と顔を合わせなくて良い…等と言う程度で親思いだと思ってるんじゃ無いだろうな?」

 

「…何が言いてぇ…!?」

 

それまで黙して話を聞いていた闇影は、母親である翔子に何故一度も近付かなかったのかを周に尋ねた。その質問に彼は眉間に皺を寄せて闇影を睨み付ける。

 

「意図的では無いにせよ、親を傷付けてそのままでいるお前に『親思いな子供』の資格は無いって言ってるんだよ!!」

 

「……!!てめぇっっ!!?」

 

その言葉に激昂した周は、勢い良く闇影の胸倉に再び掴み掛かる。しかし、闇影は尚も変わらず落ち着いた表情で言葉を続ける…。

 

「怖がってるだけだろ?お母さんの傷付いた姿を見て、過去の悲劇をより思い出す事に…お母さんが目覚めた時それを責められてしまうかもしれない事に怖がってるんだ!!その癖、金だけ送って安心して親孝行な子供面をして『何が母さんを守る』だ!!そんな中途半端な事だから、アンノウンにドライバーを奪われたり、力を暴走させたりするんだよ!!」

 

「……!!闇影ェェェェッッッッ!!!!」

 

更なる罵倒、でもある叱咤に完全に頭に血が上った周は左手だけで掴んだまま闇影の顔面を殴ろうと、勢い良く右拳を振り上げるが…

 

「今のお前はライダーでも盗賊でも無い…居場所を失う事に恐れた…ただの臆病者だっっ!!」

 

「なっ…!?うおっ…ぐああぁぁっっ!!?」

 

それを右手で周の右手首を掴み阻止した闇影は、そのまま彼の身体を持ち上げて振り下ろす…片手一本背負いで地面に叩き付けた。

 

「だから中途半端だと言ったんだ。」

 

「くっ…くそっ…!!」

 

「俺に殴りかかる程の力があるなら、先ずは自分自身の闇と向き合って、そいつをぶん殴ってからにしろ…!!」

 

地に倒され悔しがる周を見下ろす闇影はそう告げた後、屋上の出入り口のドアへと向かおうとしたその時…

 

「なっ…何だ!!?」

 

ここからそう遠くない場所で、爆発音と人々の悲鳴が聞こえ出した。無論その原因は、ドラゴンフライRDFの仕業なのだと容易に予想出来る。

 

「てめぇをぶん殴るのはあのガキを倒してからだ…。」

 

「何を寝惚けた事を言っている!!いくら傷が回復したからって、ドレイクじゃ勝てないのはさっき知っ…!!」

 

それを耳にした周はドラゴンフライRDFを自分の手で倒すべく立ち上がるが、先の戦闘でマスクドライダーシステムでは次元ライダーの力を得た敵に勝機は無いのだと闇影は指摘するが、彼の行動を見て言葉を止めた…。

 

「なら、俺様自身の闇って奴なら可能性は高いよな?グルアアァァァァッッッッ!!!!」

 

周はディライトドライバーを外し、地面に落としその身をアンギルス・パーヴォ・プルーバーへと変化させた…即ち彼は、アンギルスの力で戦う事を決めたのだ…。

 

「馬鹿かお前!?制御出来ない力で戦ったら余計被害が拡大するだろうが!!」

 

『グルアァァ…て、てめぇの力に守られんのは御免だって…言ってるだろ…!!それにだ…グルアァァ…俺様自身の(やみ)と…向き合ってから…てめぇを殴り…テェシヨ…!?ジャアナ…グルアアァァァァッッッッ!!!!』

 

アンギルスPPはその剣の様な翼を広げ、ドラゴンフライRDFがいるであろう爆発音のある場所へと飛翔し向かって行った…。

 

「あの…馬鹿…!!」

 

アンギルスPPのこれから取ろうとする無謀な手段に頭を抱えて呆れる闇影は、彼が向かったドラゴンフライRDFがいるであろう現場に同じく向かうべく病院の屋上を後にする…。

 

 

 

『フフフ…本当に素晴らしいね。この力を手にしたお陰で…僕はヒトも、ギルスも、アギトも、そして…アンノウンをも超越した存在になったんだ!!』

 

周囲の建物が全て破壊され、炎が燃え盛る廃墟の中心にて、召喚した数十体のアントRを従えたドラゴンフライRDFはディスティールと化した影響により、これまで以上の力を手にした事に改めて歓喜し自身を「超越者」だと嘯いた。

 

この時点でドラゴンフライRは次元ライダーの強大な力に呑まれつつあり、徐々に自分はアンノウン以上の超越者(そんざい)だと思い込み始めている。その証拠に彼やアントRの軍勢の周囲には、先程の悲鳴の正体であろう無数の人々の無惨な死体が横たわっている事が、その傲慢さを顕著になっている…。

 

『後はあの中途半端男やディライトさえ始末すれば、僕は完全なる超越者に…!!』

 

『グルアアァァッッ!!』

 

『なれ…ブガアァァッッ!!?』

 

ドラゴンフライRDFが、あまつさえ未だに自身の力を制御出来ない周や闇影を抹殺する企みを口にしていた丁度その時、その本人たるアンギルスPPの空中下降の勢いを乗せた強烈な飛び蹴りを喰らい吹っ飛ばされてしまう…。

 

『痛ったいなぁ…!!性懲りも無くまた現れた様だけど…そんな姿で僕に楯突く気ぃ?』

 

『グォォォ…ルォォォ…ズゥゥゥ…!!』

 

『ああ、そっか。お前、もう僕の言葉すら理解出来なくなる程理性が無くなっちゃったんだったね。なら、今楽にしてあげるよ…やれっ!!』

 

『『『グオオオオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

立ち上がったドラゴンフライRDFは、理性を失ったアンギルスPPを煽るも、それが無駄である事を態とらしく語りつつ、彼を抹殺するべく右手を前に出してアントRの軍勢に襲い掛からせる様指示を出した。

 

『グルアアァァァァッッッッ!!!!』

 

『『『グィガァァッッ!!?』』』

 

『『『グィギィィッッ!!?』』』

 

『『『グィグゥゥッッ!!?』』』

 

『『『グィゲェェッッ!!?』』』

 

アンギルスPPは迫り来るアントR達をその翼を広げて滑走しつつ、その鋭い爪で引き裂き、翼で斬り裂いていき、それによるアントR達のバラバラになった死体を飛散させ、続けて襲い掛かる敵を同じ様に迎撃していく…。

 

『チッ…こいつ徐々に力を使いこなし始めたのか…!!けど…ふんっ!!』

 

『『『グオオオオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

『第二撃はどうかな?』

 

僅かながら力を制御しつつ戦うアンギルスPPに危機感を覚えたドラゴンフライRDFは、自身の身体のライドプレートから数十体のアントRを出現させ、再び彼を襲撃させる。

 

『グルアアァァッッ!!』

 

先程と同じ手段ならば同じ様に…そう本能的に察したアンギルスPPは再び翼を広げて滑走戦法を取ろうとするが…

 

『グルァッ…グィガアアァァッッ!!?』

 

突然身体に異変が起き始め、自身の身体を抱えて苦しみ出し倒れてしまう。今はどうにか身体を動かせるくらいにまで制御出来たが、やはりこの相反する力は未だに彼の身体を蝕んでいるのだろう…。

 

『ほ〜ら、やっぱりね。半端なお前にその力は分不相応なんだよ。』

 

『グゥゥ…グゥゥ…ルゼェェッッ…!!』

 

『お前、マジでもう良いよ。あんまヒトの悪足掻きなんて見たくないしさぁ…』

 

そんなアンギルスPPを冷たく見下ろしながら嘲笑うドラゴンフライRDFは、苦しみながらも立ち上がろうとする彼に苛立ちつつ右手を上げ…

 

『いい加減くたばりなっっ!!』

 

『グオオオオォォォォッッッッ!!!!』

 

今度こそ止めを刺すべく腕を振り降ろすと、アントRの軍勢は一斉に襲い掛かる。万事休す…そう思った時…。

 

【ATTACK-RIDE…SONIC!】

 

『はああぁぁっっ!!』

 

『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

ライトオレンジの光を纏ったディライトが「ソニック」の力で高速移動ならず光速移動しながらライトブッカー・ソードモードでアントRの軍勢を全て一瞬で斬り刻み、爆発させる。それと同時にソニックのデメリットなのか、強制的に変身解除した。

 

「全く…余計な手間を掛けさせるんじゃない。それよりだ…貴様、とんでもない事をしてくれたな…アンノウンはアギトの力を持つ人間以外殺さないんじゃなかったのか!!」

 

自分の忠告を無視し、窮地に追いやられ拒絶反応で苦しむアンギルスPPを見下す闇影はドラゴンフライRDFの方に怒りの目を向け、その力に溺れ「アギト能力者以外の人間の殺害」という禁忌を破った事を糾弾する。

 

『はぁ?それはアンノウンだった時の話でしょ?今の僕はそれをも越えた神の存在…生かすも殺すも僕次第なんだよ!!』

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…DI・DI・DI・DISTEAL】

 

「ぐあああぁぁっっ!!?」

 

それを一蹴し、「神以上となった」自分は生殺与奪の権利があるのだと豪語するドラゴンフライRDFはFARを発動し、ディメンジョンスコールを未だ苦しむアンギルスPP諸共、闇影の頭上に直撃させた…。

 

『ふっ…跡形無く消え…!!?』

 

「全く…俺も焼きが回ったな…。こいつの事なんかどうでも良いと思ってたのにさ…。」

 

『グゥゥッッ…!!』

 

しかし、闇影はアンギルスPPを担いで咄嗟に鬼走術・銀靴を使い少し離れた場所まで回避し、その行為に皮肉を零す…。

 

『変な事するねぇ…君はそいつとは敵なんじゃないの?ヒトの分際で過ぎた力を持ち、それに振り回されて母親を殺しかけ、挙げ句それから逃げた…。そんな中途半端男や弱っちいヒトなんかを守って何になると言うんだい?』

 

敵対している筈のアンギルスPPを庇った闇影にドラゴンフライRDFは、敵と同族…その何れでも無い存在()や、自分達に劣る人間達やそれ等全てを救おうと躍起になる彼の行動を貶した。

 

「確かにな。こいつは他人様の(もの)を腕付くで奪おうとするし、人を付け回すし、気に入った異性ならそれが小学生でも手を出そうとする…人間失格の男だ。」

 

『デ…メェェ…!!』

 

アンギルスPPに対する罵倒を肯定し、本人の目の前にも関わらず更なる罵倒を付け足して返答する闇影。僅かに理性を持っていたのか、アンギルスPPはそれに怒りを顕わにするが…

 

「だが…そんな奴でも、どんな姿になろうとも、その力に苦しみながらも、命を懸けてでも己の居場所を…そこに居る大切な人を守りたいと言う強い想いを持っている!!力に溺れて自分を見失ったお前に、こいつを罵倒する資格等…微塵も無い!!」

 

『ミ…カ…ゲ…!!』

 

その言葉を聞き心に届いたのか、アンギルスPPは徐々に理性や姿が戻りつつあり、やがて元の姿…戴問周へと戻る…。

 

『たかだかヒトの分際で神以上の僕に説教垂れやがって…お前、何様なんだよ!!?』

 

「お節介教師な仮面ライダーだ!!宜しく!!変身!」

 

【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】

 

ドラゴンフライRDFからの憤怒した問いに、闇影はディライトドライバーを腰に装着、何時もの決め台詞を口にした後、カードをセットし再度ディライトへと変身した。

 

「おい待ちな…この戦いの見せ場は全て…俺様が戴く!!」

 

戻ったとは言え、力の拒絶反応で身体が苦しみながらもディライトの隣に立った周は、この戦いは自分が終止符を打つと宣言する。すると、彼の腰からライトオレンジと紫の光が発生し…

 

「これは…!!?」

 

その光が勾玉状から直ぐ様円を作って止むと、両サイドに禍々しいアギトの紋章を象った、右が橙、左が紫の翼があり、中心には上が黄、左が赤、右が青の三角の光が込められたコアが埋め込まれたベルト「オルタカオス」が出現した…。

 

『そんな…まさか…!!?』

 

『そのまさかみたいだな…!!』

 

「見せてやるぜ…光も闇も越えた俺様自身の究極の(たから)をなぁ…!!変身!」

 

周がオルタカオスの翼を引っ張った瞬間、一瞬だけアンギルスPPの姿となるが孔雀の羽根を撒き散らし、ライトオレンジと紫の光が彼を包み、全身がアギトグランドフォームに酷似しているが、スーツは水色で、銀色のV字に折り畳んだ孔雀の翼を模したクロスホーン、胴体、両肩、両腕、両脚に金色の禍々しい天使の翼の模様が刻まれた禍々しいアギトの紋章を模した翼の装甲と、右がライトオレンジのラインが入った白い天使の翼、左に紫のラインが入った黒い悪魔の翼を背中に生やし、右が橙、左が紫の複眼が特徴の戦士「アギトロード・カオスルシファー」へと変身した…。

 

『これが…周の新たなる力…!!』

 

『さぁ…輝く道へと導いてやるか!!』

 

『…って、待て!!人の決め台詞を勝手に使うな!!』

 

アギトロードCLは、ディライトの決め台詞を勝手に宣言しながら、翼を広げて戦闘の構えを取る。彼の姿に驚愕していたディライトは、決め台詞の無断使用にツッコミを入れる。

 

『お前達ぃ…ふざけるのもいい加減にしろぉぉぉぉっっっっ!!!!』

 

『『『グオオオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

そんな二人のふざけた(様に見える)やり取りに激怒し咆哮するドラゴンフライRDFは、三度身体のライドプレートから無数のアントRを現出し、彼等に襲い掛からせる。

 

『はっ!やぁっ!!ぜいっ!!!でりゃああぁぁっっ!!!!』

 

『ふっ…!!蟻の三枚卸しと行こうかね!!ずぇぇぇりゃああぁぁっっ!!!!』

 

『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

襲撃するアントRの軍勢を、ディライトはライトブッカー・ソードモードで一撃一撃で数十体程を着実に数を減らし、アギトロードCLは、右掌にライトオレンジと紫の光の粒子を集め、水色の禍々しいアギトの紋章が刻まれた天使の翼を模したライトオレンジの刃、悪魔の翼を模した撃鉄とグリップの部分が紫のガンブレード「ルシファーウィングス」を具現化し、一振りで数十体の敵を斬り裂いて爆散させた…。

 

『(馬鹿め…僕はそれを待ってたんだよ…!!)』

 

アントRの軍勢を倒される事を想定していたドラゴンフライRDFは、自信の元々持つ「周囲の風や空気を操る」能力を使い、ディライトとアギトロードCLがアントRの軍勢を倒した際に発生した爆発…爆風を利用し「爆風弾」を形成し、敵を討伐した彼等の隙をついて反撃を企てるが…

 

『あ…あれ…何で…何で力が…!!?そ…それに…か…身体…が…!!?』

 

何故か能力を発動出来ずに困惑し、その上身体から全身の体力に謎の虚脱を感じ、崩れる様に膝を付いた。爆炎が止み二人の姿が顕わになった時、その原因が発覚する…。

 

『どうしたクソガキ、御得意の能力は使わねぇのか?』

 

仮面の下で笑うアギトロードCLの右の翼が左同様悪魔のそれになっており、それら両方の広げた翼から紫色の光の粒子が上空へ向かうと、広範囲の巨大な同色の円を描いていた。

 

これこそがアギトロードCLの能力「全命無円(アンチサンクチュアリ)封邪(イービル)」…この円の直径10km以内の範囲にいる全てのアンノウンは、全能力が封じられてしまうのだ…。

 

『どうやらこん中じゃてめぇは正真正銘、唯のクソガキに成り下がっちまう様だな♪』

 

『こ…の…中途半端野郎がぁぁっっ!!』

 

『『『グオオオォォォォッッッッ!!!!』』』

 

ドラゴンフライRDFは全命無円・封邪により本来の力を無力化され、その張本人…自分が散々見下していたアギトロードCLに激怒して無理矢理立ち上がり、ライドプレートからまたしてもアントRの軍勢を現出させ、四度彼等へ襲撃させる…。

 

『あいつ、完全にブチ切れて戦術がワンパターンになっちまってんな…。』

 

『己を見失った者に勝機は無い…!!それを教えてやる!!』

 

【RIKUGA!ANOTHER-AGITO!RYUGA!ORGA!

CHALICE!KABUKI!DARK-KABUTO!NEGA-DEN-O!

DARK-KIVA!】

 

【FINAL-KAMEN-RIDE…DELIGHT!】

 

アギトロードCLへの憎悪や怒りにより、同じ戦術しか取れない程我を忘れたドラゴンフライRDFに最後の攻撃を仕掛けるべく、ディライトはカオスタッチを操作、ドライバー本体を右腰に移動させバックル部分に装着してカオスフォームへと変化した…。

 

『さあ…導くぞ!!』

 

【ANOTHER-AGITO!CHAOS-RIDE…DARKNESS!】

 

ディライトCFがカオスタッチのアナザーアギトと「F」のボタンを押すと、胸部のヒストリーオーナメントカードが全てアナザーアギトの最終形態のシャドウライドカードに変化し、両サイドに九人のアナザーアギトの黒いシルエットが現れ、直ぐ様彼と一体化すると、外見はアギトグランドフォームに酷似しているが、スーツはモスグリーン、金色のV字型のクロスホーンに赤色の丸い複眼、黒い装甲と首に巻いたライトオレンジのマフラーが特徴の、アナザーアギトの最終形態「アナザーアギト ダークネスフォーム」へとカオスライドした…。

 

『もう一人のアギト…!!?いやそんなのどうでもいい!!どの道あいつも地獄行きだぁぁぁぁっっっっ!!!!』

 

DアナザーアギトDFにカオスライドしたディライトCFを見たドラゴンフライRDFは、彼もアギト能力者なのかを一瞬疑うも、それを問題とせずアギトロードCL同様、抹殺の対象と認識し怒号を上げる。

 

『やれやれ…ここはひとっ走りで片付けようか。闇魂昇醒(ダークアップ)(スピード)…!!』

 

『消えた…!!?』

 

 

怒りで冷静さを失ってしまっているドラゴンフライRDFに溜め息を吐いたDアナザーアギトDFは、滑らかな動きで走りの構えを取りながら謎の言葉を呟くと、全身にダークブルーのアギトの姿を象ったオーラを纏った瞬間、その姿を消し、直ぐ様敵の軍勢の背後から現れた瞬間…

 

『『『グギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』』』

 

実はあの一瞬でDアナザーアギトDFは、超スピードでアントRの軍勢に一撃一撃、即死レベルの攻撃を叩き込んでいたのだが、彼等はそれを理解出来ず一気に大爆散した…。

 

これこそがアナザーアギトDFの、一つの能力ステータスに闇のエネルギーを集中させ超特化させる能力「闇魂昇醒(ダークアップ)」である。その反面、それ以外の能力の一つが著しく低下してしまうのだが、光と闇の力を併せ持つディライトCFには然程関係無い…。

 

『そ…そんな馬鹿な!?あの軍勢を一瞬で…!!?』

 

『これが闇の中でもがき続け、それを乗り越えて得た力を持つ者と…』

 

『ただ強大な力をパクっただけで満足し、挙げ句それに溺れた奴の差だ…!!』

 

『う…うっ…うわああああぁぁぁぁっっっっ!!!!』

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…】

 

追い込まれて自棄になったドラゴンフライRDFはFARのカードを発動し、DアナザーアギトDFとアギトロードCLを葬ろうとする。力を封じられた影響なのか、空中の円を描く為の天使の翼が歪な物になっているのだが、それに気付いていない…。

 

【FINAL-ATTACK-RIDE…A・A・A・ANOTHER-AGITO!】

 

『止めと行くか…遅れるなよ、周!はっ!!』

 

『指図してんじゃねぇ!!ふっ!!』

 

必殺技を放たれる前に決着を着けるべく、DアナザーアギトDFもFARを発動して、口元のクラッシャーを剥き出しにし、クロスホーンから金色の光を伸ばす様に光らせ、足元に黒いアギトの紋章を浮かばせ、アギトロードCLもクロスホーンの孔雀の翼を扇状に展開し、足元にライトオレンジと紫のアギトの紋章を浮かばせ、二人同時に飛び上がった…。

 

『覚醒せし闇魂(あんこん)の蹴撃!ダークネスアサルトキック!!』

 

『はああぁぁっっ!!』

 

『グガアアアアァァァァッッッッ!!!?か…神を…越えれば…こいつ等を楽に殺せるんじゃ…無かったのかよ…!?創…士…!!』

 

DアナザーアギトDFの黒いアギトの紋章が刻まれ、その黒いエネルギーを纏った右足のライダーキック「ダークネスアサルトキック」とアギトロードCLのライトオレンジと紫のアギトの紋章が刻まれ、同色のエネルギーを纏った右足のライダーキック「カオスルシファークラッシュ」の同時攻撃によりドラゴンフライRDFは、死の間際に自分にドライバーを奪う様嗾けたであろう創士への恨み言を吐き爆散した…。

 

「ふぅ…こいつは俺様以外にゃあ使いこなせねぇ代物なんだよ…。」

 

アギトロードCLは、爆風で吹き飛んだディスティールドライバーを受け取り元の姿に戻りながらこの力は自分にしか扱えないと、討伐したドラゴンフライRに呟く…。

 

 

 

「戴問周…奴までも手にしてしまったのか…『混沌(カオス)』の力を…!!」

 

その様子を物陰で一部始終見ていた紅蓮は、周が新たに入手したアギトロードCLの力を「混沌(カオス)」と呼称しつつ口から血が出る程歯を食いしばり、憎悪の視線をその原因と思われるディライトCFに向ける…。

 

 

 

―美杉病院・翔子の病室前

 

 

「すぅ…はぁ…。よし。」

 

 

黒い海賊風の帽子を被り、水色のYシャツの上に黒茶色のガンマン風の半袖のジャケットを着込み、黒いズボンにブーツを履いた姿に着替えた周は、病室前で深呼吸をし中へと入る…。

 

 

 

「……。」

 

「母さん…俺はとんでもねぇ親不幸者だよな…。母さんをこんな目に遭わせておきながらそれからずっと逃げてばかりで…!!意識を取り戻さねぇのはきっとそのせいなのかもしんねぇ…!!」

 

帽子を取り翔子の近くにしゃがみ込みその手を握った周は、これまで言えずにいた自分の想いを語りかける。その声を徐々に震わせながら…。

 

「けど…俺は…母さんに嫌われるのに…ビビって…最初に言わなきゃなんねぇ事…言ってなかったよ…ごめん…母さん…!!」

 

握った手を強く握り締め謝罪の言葉を吐き出した周は、その目から涙を零した。その一滴が翔子の頬に伝った瞬間…

 

 

 

「…しゅ…う…?」

 

 

 

「!!母さん…母さん!!」

 

今まで生気の無い瞳に輝きが戻り、弱々しくも今まで閉ざしていた口を開き、8年振りに漸く意識を取り戻した…。

 

「ごめん…ずっと独りぼっちにして!!母さんの傍から離れて本当にごめん!!」

 

「大…丈夫…よ…。貴方が…貴方が…そうして…元気でいてくれれば…母さんの事を…想ってくれれば…それで…良いの…。」

 

意識を取り戻した翔子に周は再び謝罪の言葉を伝えるが、彼女はそれを気にはせず小さく笑い周の健康な姿のみで充分だと呟く様に語る。

 

「あの…外にいる人…周の…お友達…?」

 

「なっ…!!?ちっ…!!あいつは…あいつは…」

 

突然翔子から病室の外にいる闇影の存在を指摘された周は、それに驚くも小さく舌打ちし、少し迷いながらこう語った…。

 

 

 

―俺の…仲間だよ…。

 

 

 

「そ…う…。やっと…やっと周に…お友達が…!!」

 

その言葉を聞いた翔子は、長年の願い…周に友人が出来る事が漸く叶った事に涙を流して微笑んだ…。

 

 

 

「ったく…何時からお前の仲間なんかになったんだよ…!!」

 

その様子を病室の外で見聞きしていた闇影は、周の「自分は仲間」だと言う言葉に悪態を吐いた。顔を俯かせながら口元を緩ませ、一粒の水滴を零しながら…。

 

 

 

「そう…周さんのお母様が意識を…それは良かったわね。」

 

キャンパスに描かれた、ベッドに座る翔子とその傍らにいる周が満面の笑みを浮かべ、背後にディスティールとアギトロードCLが重なった絵を見た影魅璃は、事の顛末を聞き嬉しい表情をする。

 

「あいつ流に言えば、『自分の居場所』と言う、本当の宝を見つかった…ってとこですかね。このまま大人しくしてくれればより一層助かるんだがな。」

 

「そんな事言って〜。本当は戴問さんに仲間って言われて嬉しいんじゃないの先生〜?」

 

「ばっ…馬鹿言うんじゃない!!///晩御飯の準備、手伝いますよ影魅璃さ…ん!!?」

 

最後の最後まで周に対し憎まれ口を叩く闇影だが、黒深子に周から仲間だと言われた事をからかわれ顔を赤くして否定し、誤魔化す様に影魅璃に夕飯の準備の手伝いを申し出るが…

 

「どうしたんですか、この大量の野菜料理は!!?」

 

ふとテーブルを見ると、麻婆茄子・菠薐草のバター炒め・胡瓜と人参の野菜スティック・アスパラガスのベーコン巻き・南瓜の冷ポタージュ・野菜サラダ等の、野菜だらけのフルコースで埋め尽くされている。

 

「ああ…闇影さんが帰って来る前に周さんが来て、怪我の手当てのお礼だって…」

 

「こんなに大量の野菜は何処から…!!まさか!!?」

 

この野菜のフルコースは周が手当ての礼として作った物だと聞いた闇影は、その材料の出所を考えた瞬間、目を見開いて急ぎ足で庭へと向かうと…

 

「あ〜い〜つ〜…この庭の野菜全部使ってどうするんだよぉぉぉぉっっっっ!!!!」

 

案の定、農園にある野菜は全て収穫されてしまい畑のみと殺風景になってしまっており、それを全て調理に使った周に怒りの咆哮を上げた。

 

「先生、落ち着いてって!!」

 

「これが落ち着いてられるか!!人の老後の楽しみの一つ奪っといて何が仲間だ!!やっぱりあいつは敵だ!!あの…馬鹿野郎ぉぉぉぉっっっっ!!!!」

 

どうやら老後の予定に野菜農園の栽培を考えていた闇影は、それを根刮ぎ奪った周を改めて敵だと認識し、キャンパスの絵の周に怒りの鉄拳を叩き込もうとした瞬間…

 

「あ…あれ…!?絵が消えた…!?それに、黒深子もコウイチもツルギちゃんも影魅璃さんもいない…!!?」

 

突然周囲が黒紫色の荒野と化し、黒深子達も居なくなった事に驚きを隠せない闇影。しかし、異変はまだ続く…。

 

「なっ…何だこれは…!!?」

 

何処からか地面に黒いレールが長々と敷かれ、遠くにある灰色のオーロラから正面が骸骨の顔をした全身が黒い不気味な列車が此方に向かって走り出す…。




如何でしたか?書きたい事書き過ぎて「長げぇよ!!」と思った方は少なくないでしょう。

周の新たな力、アギトロード・カオスルシファーについての詳細は何れ書きますので、暫しお待ちを。因みにルシファーは堕天使の他に「光を齎す者」、という意味でもあるんです。正にこの作品に相応しいのだと思ってます。←おい

次の世界の内容は一旦お預けで、次回は闇影があのライダーと対面しますので期待せずお待ちくださいませ。

ちょっと引く話、周と翔子のシーン書いてて泣きそうになっちゃいました。痛い…痛過ぎる…!!

好きなレギュラーキャラは?

  • 煌闇影/仮面ライダーディライト
  • 白石黒深子/スワンオルフェノク
  • 赤鏡コウイチ/仮面ライダーリュウガ
  • 諸刃ツルギ/仮面ライダーサソード
  • 彩盗巡/仮面ライダーディシーフ
  • 戴問周/仮面ライダーディスティール
  • 白石影魅璃
  • 創士傀斗
  • 紅蓮
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