そして最後の方からこの結末までは若干インフレ気味に感じるかも。
※追記|2023.10.30∶サブタイトル変更。
――――――終末装置。
それは数々の神話において語られる、歴史に終止符を打つきっかけ、またはソレそのものを打つもの。
おそらく終末装置という名も、後に誰かが名付けたに過ぎず、ブリテンの魔竜ヴォーティガーン然り、北欧の炎の巨神スルト然り、それ等神話最大級の怪物を便宜上『終末装置』と呼称しているに過ぎない。
その正体は、各神話形態に存在する、神代を終わらせる者。
星の遣わす尖兵であり、星を人体に例えるならば、彼らは人間でいう白血球などの抗体のような物、といえば分かるだろうか。
彼らに共通した所は無く、強いて特徴を挙げるとすれば、それぞれが基本的に全ての物語において最大級の敵だと言うことだろうか。
ソレがやって来る切っ掛けとなるのは、神代が定められた終焉ノ時へと近づく時。
地球が発した「どうか奴らを、あの神秘を、絶滅させて欲しい」という要請を星が受信したこと。
そんな彼らの中で明確に『終末装置』として名を知られているのは二体。
一体は『炎の巨人王:スルト』。
北欧神代の最終戦争ラグナロクにおいて、世界と神を灼き尽くした終末の巨人。「黒き者」の異名を取る。
旧くは巨人の諸王の一人であったが、現在は火炎領域ムスペルヘイムに住まう火の巨人たちを支配する王としての知名度が高い。
北欧神代の破壊神と呼ぶべき存在であり、彼を召喚する事は旧き神の召喚に等しい。
ソレは原初の巨人ユーミルの怒りの残滓であり、北欧神代を終わらせるための終末装置。
汎人類史では伝説からさえも消え失せた、原初の巨人に秘められた破壊者としての一面を最も色濃く受け継いだモノ。
イアソン曰く、「ぼっちの自分に唯一話しかけてくれただけの女の子に執着した恋愛クソ雑魚ストーカー男。」
通称:『スルト敗北剣』。
もう一体は『魔竜:ヴォーティガーン』
ブリテン島の意思、分身として現れた小さな部族の王。ブリテンそのものであり、ブリテンを肉体とする。
白い竜の化身。
白き竜の血を飲み、ブリテン島の意思と同化して魔竜と化し、ブリテンを守護するために人間を滅ぼそうとした恐るべき王。
何処かの異聞史世界では、白い竜の化身としてではなく、『奈落の虫』として『ブリテンの終末装置』としての役割を全うした。
「約束された勝利の剣」と「転輪する勝利の剣」といった聖剣の光を喰らい、ソレを呑み込む。
ただの一撃でガウェインを地に伏せ、2人の騎士を除く友軍を蒸発させ全滅に追い込んだ。
そしてそんな二体に連なる、現れた第三の終末装置。
その正体は、『ギリシャ神話の暴風:テュフォン』。
幻想種の中で最高位の『神獣』カテゴリへと分類され、ギリシア神話に登場する殆どの怪物達の源流となった、神とも怪物ともいわれる大祖竜。
同神話体系における最大最強の怪物で、史実の伝承においては、神々の王ゼウスに比肩するほどの実力をもち、そのゼウスを破った唯一の存在でもあるとされている。
更にその大元―――かの太祖竜の源流は、十二神と同じ外宇宙。
そこより来たりしかの存在は、機神の撃滅を至上命題とし、機神を倒すためだけに生じた、文字通り世界の生んだ怪物の頂とも言えるだろう。
◆◆◆
―――蛇に睨まれた蛙。なんて次元で片付けられる話では無かった。例えるなら、そう、恐竜に踏み潰される直前のミジンコ。そんな感じ。
ソレは未だ何もせず、只々自分達を見下ろしていた。
それだけだと云うのに、―――誰も、動かなかった。
否、
その存在からして文字通り、格が違う。
今の人類の理解の埒外にあるだろう躯体、まるでロケットのような両翼り
六つの瞳に睨まれた瞬間、『勝てない』と細胞レベルで理解させられる。
戦いにおいて、『数の力』というのは非常に有効な力である。一人一人の実力が劣っていても、束になればその前提を覆すことが出来る。
ソレが全員一騎当千の強者たる英雄達ならばなおさらだろう。
しかし、眼の前の化け物にそんな陳腐な理屈は通用しない。
たとえ無限に人数を増やせたところで、完成された生命、究極の一たる厄災の具現には敵わない。
その場にいる全ての英雄達が膝を折り、今尚働く重圧に押し潰される。
このままだと死ぬ。それを頭では理解していても、意志に反して体は動くことを拒んでいた。
――――――静かに立ち上がり、悠然と歩み出す二人と、今尚威厳ある佇まいを崩さない一柱を除いて。
「そんなっ…!!無茶です、ヘラクレス!イアソン様!アレは私達にどうこうできる代物ではありません!!」
「だったら誰がやる?ゼウスの野郎か?……無理だ。きっとアレはタイマンじゃあ……神の手にも負えない。」
「ならば私達がやるほかあるまい。―――やっと理解した。何故
メディアが咄嗟に立ち上がりイアソンの裾を掴むが、イアソンはそれを振り払う。
イアソンとヘラクレス。二人の瞳には強い覚悟を灯した『意志』があった。もう何を言われても止まらない程の。
「でも、でもっ…!!あんな怪物と戦えば、イアソン様は…!!」
――――――死んでしまうかもしれない。
そう彼女が言い切る前に、イアソンが手のひらでメディアの口を覆う。それ以上はいけない、と。
その状態のまま、メディアは今にも泣きそうな目でイアソンを見る。
イアソンは微かに微笑み、彼女の口を覆っていた手を離し、その手で彼女の頭を撫でながらこう言った。
「いいか、メディア。どんな敵と戦う時も、命の危険っていうのは常に鬱陶しい程に俺達に纏わりついている。今回だってちょっと相手がヤバいだけでそれは変わらん。―――――――――でもきっと大丈夫だ。お前と『約束』したからな。死にそうになったら皆見捨ててでも逃げてやるさ。」
「――――――ずるいですよ。そうやって言われたら、………何も言えなくなっちゃうじゃないですか。」
―――知っている。眼の前の彼が実際に皆を捨てて逃げるような男では無いことを。
知っている。実際にそんな状況になれば、彼は間違いなく自分の命を犠牲にするのだろうと。
でもそれを今口にするというのは野暮というものだろう。『約束』だと言ったのだ。ならばきっと彼は心半ばで倒れたりは絶対にしないだろうと。
―――たとえ、それがどのような結末であっても。
そしてイアソンは必死に脚を震わせ立ち上がるアタランテとディオスクロイの方を見る。
「おい、聴いてたな。取り敢えずお前等は撤退しろ、そして後方で一旦メディアとアスクレピオスに傷を癒して貰え。」
「―――私達に汝のことをおいて行けと言うのか……!!!」
無理だと思った。
喩えごく一部の例を除いて常勝無敗を誇るイアソンやヘラクレスであっても、其処に間違いなく最強と言えるゼウスを差し入れても、たった三人で何が出来ると言うのだろうか。
見捨てろと。彼はそういうつもりなのだろうか。
「そうだ。そもそもお前等はさっきの戦いで疲弊しているだろうに。……なーに、ちょっと殿を務めるだけだ。それに、――――――別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」
「………っ!!……分かった、汝の言う通りにしよう。―――直ぐに戻るからな!!」
ニヒルに笑うイアソンを見て、苦虫を噛み潰したような顔でアタランテは走り出す。
それを皮切りに他の英雄達も悔しげに撤退を始める。
ただ、ディオスクロイは未だ動かなかった。いや、正確にはポルクスが残り、カストロはそれを見守っている。
「―――お前等もさっさと行け。」
「待って下さい!我らは、私は導きの星として最期の時まで貴方を導くと誓ったのです……それなのにっ…!!」
「……カストロ」
「――――――承知した」
「兄様っ…!?」
状況が状況とはいえ、妹に手を上げることは堪えるのか、カストロが悲しげな顔で手刀をしてポルクスの意識を刈り取り、背に担ぐ。
その様子をイアソンは只々見つめていた。
そして二人がすれ違う瞬間、最後の会話を交わす。
「………英雄イアソン、貴様は……我の生涯忘れぬ友だ。」
「――――――ああ、俺もだよ。」
その言葉を最後に、カストロは背を向けて走り去る。
でも奴らの事だ。きっと傷を癒やした後に直ぐ向かって来るのだろう。
分岐点は訪れた。
―――ならばそれまでに決着をつけるまで。
後に残ったのは二人と一柱。目を見合わせ、頷き、眼の前の敵を見上げる。
『――――――今世最後の別れは済んだか?』
「こいつ既に勝った気でいやがる」
『たかが二足歩行ができる程度の有機生命に我が負ける道理なぞ無い。――――――しかし貴様等は度し難いほどに愚かだ。 我は神を捌く機構、故にその抹殺対象はそこの神性のみであるというのに』
そう言ってテュフォンはその竜の駆体より生えし、巨大な腕で空に浮かぶゼウスを指差す。
眼中にない、というべきか。竜の三ツ首全ての双眸は、ゼウスのみを捉えている。
しかしそれも致し方なし。ソレの放つ神気は強大であり、神の血を一切引かない人間がソレと会話を成立させられる時点で異常なのだ。
尤も、向こうがこちらの言語を使用しているからこそ会話が可能なのだが。
『―――星が生み出しし厄災、
「ヘラクレス、お前は弓矢で援護に徹しろ」
「承知」
対するはこちら側の最大戦力。
何処かの世界で
「1を10にするよりも、10を100にするほうが強い」と。
今回だって然程変わらない。
それこそが最適解。それこそが犠牲を最も少なくする唯一の道。
そしてそんな彼らを視た
『そうか、貴様らはそうするのか。――嗚呼、哀れであり、愚かである。………ならばその選択を永遠に悔いながら死ぬと良い!!』
「だが断る!!行くぞ!」
――――――怪物と勇者、神は激突し、星が揺らいだ。
◆
ソレは叩きつけるかのように竜の尾から放たれる。
触手、と呼称するべきだろうか。
そう思うほどの数ある、数十の触手が凄まじい密度で分裂して彼らに襲いかかる。
その正体は――泥。
大地母神、或いは人類史を焼けるような獣が使いし、怪物という生命の源泉、ケイオスタイド。
機神
「――
ソレに対して放たれるは怪物狩りの一射。
九つの竜頭が一直線に迫り、その触手を射抜かんとするが―――
―――その触手は竜頭を弾いた。その表面にも傷一つついた様子が無い。
「む、」
『はは、効かぬな。―――汝らが倒した人理を否定する獣、ネメアの獅子は我を基とした物であるぞ? ましてや
「そうか、私としたことが迂闊だった。ならば、これならどうだ―――!!」
ヘラクレスは腰の帯に力を込める。するとその腰帯から莫大な神気が発生し、ヘラクレスの力を高める。
―――戦帯。軍神アレスの分体である軍章旗を帯の形に直したもので、着用者の神性と筋力、体力、敏捷、魔力の値を大きくブーストする特性を持つ。
さらにその神気を矢に纏わせることも可能。ならばそうして神気を弓矢に纏わせれば―――
『―――ほう、少しはやるようだな』
テュフォンの体に弓矢が刺さる。
神気を込めた弓矢は人類の武器にグレーゾーンではあるが含まれないらしい。
『――――――良いだろう。少しばかり汝らとも戯れてやろう。奴等の寵児、大いなる願望の体現者……塵芥となるその時まで、愉しませてくれよ?』
そう述べた怪物は、背より数十の光線をヘラクレスとイアソンの下へと放った。
◆
―――凄まじい密度で光線が迫る。
その僅かな間を起動したアイギスで高速飛行しながらくぐり抜け、根本近くの懐に入ったイアソンは滑らせるようにアダマントでその尾の一つを切り裂いた。
ここで驚くべきは、イアソンの鎌を振るう速度はテュフォンの挙動より遥かに速かったことだ。
『ふむ』
僅かにテュフォンの尾が切れて、鮮血が舞う。
しかし、本体であろう胸部のコアを狙わない限りは切り裂いた所で、ダメージは微々たる程度しか入らない。
翼を斬ろうにも、その炉心より沸き起こる魔力……絶えず放たれる光線の雨を単騎では抜けられない。
『ほう、本来直ぐに治るはずの傷が治らぬ。ソレがその武器の力か。……しかも神気を感じる。そこの神と同質のな。』
そう感想を述べながら、テュフォンは再び数十の光線でイアソンを襲う。
「―――
「――『
ソレを数十の数はある竜頭と、神の雷が撃ち落とす。
ヘラクレスによって放たれた弓矢は全てが寸分の狂いも無くテュフォンの光線を相殺し、神の雷は無秩序に破壊をもたらす。
障害が消えたイアソンはテュフォンに接近し、神体結界に搭載された背部の砲塔を展開し、左手で右手を支えながらその人差し指を向ける。そして、
「―――
指から、背部から、計九つの光線が放たれる。
ソレは全てが別々の対象を狙い、急所を穿ち、確実に殲滅する。その名の通り対集団戦においては最高峰の力を誇る『
防御宝具でありながら、その威力は並のAランク宝具を凌駕する。
『ほう、……だが温い。その程度の攻撃は効かぬ。』
「チィッ!」
しかし、目の前の怪物には通じない。圧倒的な質量を持つ巨体には急所など存在せず。 平然と、雄大に空の上を飛び続けていた。
そしてソレはいつまでもこのような戯れを続ける程優しくも無かった。
某太陽のランサーは言った。真の英雄は目で殺すと。
ならば真の怪物たるテュフォンも
―――え?その理屈はおかしい?………考えたら負けだ。気にするな。
『―――『燃えろ』』
その一言だけで十分だった。
その口元には紅い焔が満ち、ソレが半径1メートル程の球体となった瞬間、敵対者の下へと放たれた。
相殺出来るか?否、正面からあれを打ち破る技はあるが、今からでは間に合わないし、消耗は避けたい。
「なっ!?逃げ――」
『もう遅い』
そしてソレは地面への着弾と同時に破裂し、辺り一帯が核が爆発したかのような爆音と共に衝撃に呑み込まれる。
―――ソレはただの一撃でさえ甚大な被害だった。
ゼウスはともかく、二人はそれぞれが盾などの防御手段を持っているので無傷とは言わずとも健在ではあったが、周囲の地面は雑草一つない焦土と化していた。
元々ただでさえ荒野と化していたのに、地面としては死体蹴りのような目にあっている。
『ふはははっっ!』
しかし休む間なぞ与えられない。直ぐ様テュフォンは次の行動へと移る。
六つの竜の目が光ったと思えば、今度は球体ではない、広範囲へとその吐息が放たれる。
先程と違い一つ一つの威力は相対的に弱くなっているが、それでも都市一つは用意に焦土と化して見せる程の、決して無視出来ない威力である。
「『
しかしこちらにも神が居る。手を翳すだけで雷撃を放ち、その強大な力を以てほぼ全ての焔を掻き消した。
「―――『
そして光線が途切れた瞬間を狙って、通常時の星の聖剣を上回る力を持った、赫焉の極光がテュフォンへと放たれる。
その極光はそのまま腕のロケットエンジンへと直撃したが、その衝撃により一時的に発生した煙で視界を塞がれる。
「……邪魔だ」
その一言と共にイアソンは大鎌を振るう。その瞬間煙は飛散し、再びあの巨体が視界に映る。
『―――驚いた。たかが二足歩行の有機生命と侮っていたが、まさか我が身に傷をつけるとはな。』
終末装置たる怪物、太祖竜は感嘆の声を漏らす。
まさかここまでやれるとは思わなかったと。
だがこれは同時に、向こうの慢心はこの一撃によって取り払われたということ。
『我の言葉を訂正しよう、小さき有機生命よ。これより汝らは明確な――――――我の敵である。』
―――故に、此処からはさらに苛烈な戦いが始まるだろう。
◆◆◆
―――何だこいつ強すぎワロタ。
今までの魔獣の能力全部乗せとか節操なしにも程があるだろ。なんか足にはロケットブースターみたいなのついてるし、コイツもスパロボ時空ですかそうですか。
いやほんと、横にいる下半神野郎はどうやってこいつに勝ったのよ?
うん、そういえば一回負けてたんでしたね。
ってことはこれ実質負けイベント?何それ。
やっぱりアレか、自信なんて欠片も無いけどドヤ顔で勝った感出したのが駄目だったのか。
くそったれがよお、―――テュフォンって型月に出てきたこと無かったじゃん!!(100dB)
そりゃあこんな頭おかしい強さしてたら出禁喰らいますわ。
ふむ、しかしどうしようか。お相手さんここから所謂第二ラウンド的なアレに入るっぽいし。
―――やっぱり
あの下半神、まさかこんなバケモンみたいな機能詰めた状態でアダマントを渡して来てたとは思わんかったからさあ、その性能も相まって結局一度も使ったこと無かったから反動とか怖いんですけど。
あとどうでもいいけどコレの詠唱近未来風だよね。
仕方無い。
―――
『
第一拘束『 対因果介入機構 限定解除 』
第二拘束『 対空間切断機構 限定解除 』
第三拘束『 対時空攻撃機構 限定解除 』
第四拘束『 対概念破砕機構 限定解除 』
―――『
Q,最後の何?
A,次話で説明します。
ちなみに今のイアソンのステータス(白目)はこんな感じ。
筋力B 耐久B+ 敏捷A+ 魔力B 幸運A+ 宝具EX
【所持スキル】
対魔力:A、騎乗:A++、気配遮断:C、三女神の加護:B、主神の加護:A、神授の叡智:A+、友と征く遥かなる海路:A++、求めし金羊の皮:EX、虚口にて閃く:A+、雷の権能:A+++、頑健(偽)B、魔力放出(雷)A、直感:A+、
【宝具】
・『
・『
・『
・『■■、■■■■■■■』
何だこれ。
まあ最低でもこれくらいじゃないとワールドエンドクラスとは戦えないと言うことで。
後、何気にテュポーンの発言からイアソンの脳内迄には結構な空白の時間が開いています。
どっちを先にやるか(なおどちらでも修羅場る模様)
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Apocrypha
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GrandOrder