数多の英雄を束ねる者   作:R1zA

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なんか色々おかしい部分があるかもだけどそのためのご都合主義タグだからね。頭空っぽにして読んだ方が良きかな。
 あと若干のパワーインフレ。



嵐/雷霆

 

 

 

 

 

 戦況は直ぐに再生したとはいえ、腕を持っていかれたテュフォンが本腰を入れたために徐々に押されていくと思われた。

 

 

 

 アレに対して持久戦を挑むのは悪手だ。

 

 

 向こうはバックに星がついている為に実質無限の魔力を持っているが故、ガス欠は期待出来ない。

 

 対してこちらは確かに継戦能力自体は全員が三日三晩余裕で戦い続ける程度の体力も魔力もあるが、流石に大技を凌ぐためだけに雷霆やマルミアドワーズなどの大技をほぼ常時打ち続けるのは厳しい。

 

 

 今は耐えているものの、押し込まれるのは時間の問題であった。

 

 

『……どうしたッ!全能の名が聞いて呆れる!……弱い、弱すぎるぞ!』

 

「―――……」

 

 

 厄災はゼウスに対して吠える。

 弱すぎる。本気を出せと。

 

 ……(テュフォン)には預かり知らぬことではあるが、ゼウスが全力を出す事は不可能だ。本来の力を十全に扱うには、本来の身体である真体(アリスィア)が必要不可欠なのだから。

 

 

 

 

―――真体(アリスィア)、本来のオリュンポス十二神の肉体、宇宙航行艦であり、今から凡そ一万年前にセファールに破壊されたモノ。

 

 その旗艦であるカオスから授けられた機構、権能こそが彼らの力の源であり、対して今の地球の信仰を由来とする、概念的な神となった人形端末(ヒトガタ)ではその力に限界がある。

 

 

 もしもゼウスの真体が現存、尚且つ全盛期の能力を維持していれば、目の前の厄災も一息に……とは行かずとも、最終的には討ち滅ぼすことが出来たであろう。

 だがそんなもしもの話をしても意味はなく、そのことを知らないテュフォンは落胆する。

 

 

 

『―――期待外れにも程があろう。これならまだ其処の人間の方がマシだ。』

「―――……」

 

 

 三つの竜の顔が歪み、明確な侮蔑を向ける。

 だが当のゼウスはその発言の尽くを聴き流す。

 話すことなど無いと言うかのように。

 

 

『何も言わぬ―――か。ならば、疾く死ね』

 

 

 再び吐息として充填される、終末の焔。

 其処には現代の魔術師……否、神代の魔術師であろうとも卒倒するほどの膨大な『神秘』が集約され、ソレが総てを破壊する焔を言う形で顕現し、周囲を薙ぎ払う。

 

 

 

 その焔は太陽神ですらたじろぐ終末の具現、地球という素体に巻かれた『人理』という布、『神代』という布を焼き尽くすことが可能な代物。

 

 

 

 その純粋な温度は数万度を上回る。

 因みに地球の中心の温度が5500℃、太陽の表面が約6000℃なので、その規格外さがよくわかるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……故に、出し惜しみなぞしている場合では無く、

 

 

 

 

 

 

 

「―――仕方無い」

 

 

 

 

 劣勢なのは此処まで。

 此処からは全身全霊、全てをかけた戦いの幕開け。

 

 

「―――……対知性体保護機能、解除。」

 

 

 イアソンがアダマントの刃を魅せるように構え、刃をなぞる。

 

 史実ではゼウスが振るったアダマスの鎌。

 そしてこの世界における搔き抉る時の大鎌(アダマント)。その本質は武器にあらず。

 ゼウスによってアダマントに後天的に付与された機能制限。その枷を外す機構(マスターキー)、『SYSTEM(システム)ΖΕΥΣ(ゼウス)』。

 ソレを今起動する詠唱が紡がれる。

 

 

SYSTEMΖΕΥΣ(システムゼウス)、起動。…真体(アリスィア)装甲、展開。」

 

 ――『SYSTEM(システム)ΖΕΥΣ(ゼウス)』。それは主神(ゼウス)の加護を受けし者、またはゼウス本人にしか使用を許されぬ、アダマントに取り付けられた枷を外す(マスターキー)

 

 

 

 第一拘束:『 対因果介入機構 』

 

 第二拘束:『 対空間切断機構 』

 

 第三拘束:『 対時空攻撃機構 』

 

 第四拘束:『 対概念破砕機構 』

 

 

 次から次へと聞こえてくる、只の1メートル程度の武具の中に内包されているとは到底思えないような、規格外の塊。

 ソレが今、その一言を以て、開放される。

 

 

 

 

「『搔き抉る時の大鎌(アダマント)』、完全起動……完了」

 

 

 そう言い終わると同時に、数刻前までとは比べ物にならず、荒れ狂う雷霆がアダマントとイアソンを覆い、その刀身は蒼く輝く。

 アダマントに施された鎖の意匠。

 ソレが開放と同時に光り、消滅する。

 

 

 そして自身はその身に雷を纏い、たとえ視力を十倍にしたとしても絶対に視認できないような光――蒼い閃光となり飛び出す。

 そして一言、その一言だけで状況は傾く。

 

 

 

「―――『裂け』」

 

 

『―――ッッッ!』

 

 

 ―――瞬間、テュフォンが何かに気づき、両腕のブースターを稼働させ、その場をその巨体からは有り得ない速さで飛び退く。

 それと同時に、蒼色の閃光と化したイアソンがテュフォンの対魔力を突破して腕の一つへと迫り、その駆体を僅かに削いだ。

 切り口からは神血が舞うが、直ぐにイアソンの纏った雷霆に触れて蒸発した。

 テュフォンは視界で一切認識出来なかったその恐るべき速さに対し、生まれて初めて、僅かながらに動揺する。

 

 

 

『何を―――した』

 

 

 

 テュフォンが自身の腕を確認すると少し切られただけの筈の腕が、まるで両断されたかのように(・・・・・・・・・・)その僅かな切り口から先が無くなっていた。

 大凡先端の二割が吹き飛んだ腕は肘より上が消滅し、ブースターの出力も大幅に低下する。

 

 

「―――この鎌は不死殺しであり、嘗てのゼウスの肉体(・・・・・・)そのものだ。……ならば多少の理不尽が出来るのは当然だろう?」

 

 

 

 そう言ってイアソンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

 ―――ソレはアダマントに内包された機構(権能)が一つ、

『 対因果介入機構 』。

 その名の通り因果の操作・確定を行う。

 

 あくまで『限定解除』である今は因果逆転のような出鱈目は出来ないが、先に『原因』を生みだせば、『結果』をある程度望むものに変える程度は出来る。

 

 

 そして今は、刃で相手の腕を僅かに『切った』という原因を生み出したので、相手の腕が『切れた』という結果を生み出した。

 

 

 要はほぼ権能のような物である。

 ソレは最早権能一歩手前どころでは無く、おそらく爪の先程度の間しか空いていないだろう。

 

 

 

『―――ハハ、』

 

 

 

 何たる理不尽、何たる出鱈目。

 

 

 例えるなら某色塗りゲームの洗濯機(害悪武器)

 当たってない筈なのに当たる。掠っただけなのに死ぬ。そんな感じ。

 

 

 この瞬間、宙より来たりし太祖竜は理解した。

 明確な命の危険と言うものを。

 

 

『―――良いだろう!人の子よ、名乗るがいい!』

「――…イアソン。アルゴーの船長だ。」

『ふむ。―――では、イアソン。(ゼウス)の雷を振るいし、英雄使いよ。 我らどちらかの身が朽ちるその時まで、存分に―――殺し合おうではないかァ!』

 

 

 

 そして死力を尽くして戦うことに喜びを感じることを。

 この瞬間、かの怪物の眼にはイアソンしか映っていなかった。

 

 

 

―――どうやらテュフォンは、戦闘狂(バトルジャンキー)の素質があったらしい。

 

 

 

 

 

 

 「何だ―――アレは。」

 

 

 ヘラクレスは今の状況についていけなかった。

 突然イアソンが鎌を掲げ、聞いたことのない詠唱を始めたと思えば、今までとは似ても似つかない程の威力の雷霆を放ち、互角にテュフォンと戦いだしたのだ。

 

 

 あの雷がどのようなものかは心当たりがあった。

―――そう、現在進行系で変な発言をしている横のコイツ(ゼウス)だ。

 

 

「ふむ、未だ出力は6割弱だがそれでも予想以上の力を…!締めの一手は別で仕込んでいたが、やはり事前に教えておいて正解だったか……!」

「―――おい、我が父……ゼウス神よ、アレ(・・)は何だ!?我が友(イアソン)に一体――何をした!!」

 

 

 間違い無くイアソンがあの力を振るっている裏にはゼウスが居る。

 ヘラクレスにはある種の確信があった。

 アレは間違い無く『権能』だ。権能一歩手前だとか、権能級などの比喩では無く、正真正銘神が振るう『権能』に属するもの。

 

 

 そんな代物を人げ……人間?

 

 まあとにかく生まれだけは少なくとも人間な筈のイアソンが理由も無くあんな力を持っている筈がない。

 絶対に此奴(ゼウス)が関わっている。

 

 

「何、そう騒ぐ程のことでも無い。アレ(アダマント)(イアソン)の理論上出せる本来の力を出しているに過ぎん。」

「だからソレが何かと言っているんだ!」

 

 

 そうして会話の(暴投しかない)キャッチボールは行われる。

 驚くべきは、こうして会話をしている今もヘラクレスは通常時と寸分たがわない精度で弓矢を射続けていることだろうか。

 対してゼウスは既にこの戦いの行く末を見抜いたのか雷霆での援護がお粗末になっているが。

 

 

 「……折角の機会だ。どうせアレの使い手は二度と現れないが故、その概要を語ってやろう。光栄に思え。」

 

 

 既にヘラクレスは違う方向を向いていたが、会話自体を聞く素振りはあった。

 少し離れた所では蒼い光(イアソン)災厄(テュフォン)がしのぎを削ってぶつかり合う中、ゼウスは一人語りをする。

 

 

「本当なら何故我の身体(真体)さえもアレ(アダマント)に組み込んだのかをしっかり語るのが筋と言うものだが……面倒だな、うん。―――そう、アレ(アダマント)の機能なぞ大して複雑な物ではない。ソレは―――……」

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

権能(雷霆)の完全行使―――か。』

「あぁ……その通りだ。」

 

 

 奇しくも全く同じタイミングで答えに辿り着いたテュフォン。

 その問いにイアソンは頷く。

 

 

 

 そう、『掻き抉る時の大鎌(アダマント)』の本質、最初に想定された使用方法。

 それこそが(ゼウス)の雷、雷の機能の完全行使。

 

 

 

 そもそも、『権能』とは何を以て権能とするのか。

 

 『権能』とは、

 サーヴァントのスキルや宝具とはカテゴリーの異なる特殊能力であり、事象の変動、時間流の操作、国造りといった「世界を創造しうる」レベルの力。

 通常のスキルや能力は「このような理屈でこういう事が出来る」というものなのに対し、権能は「ただ、そうする権利があるのでそうする」だけのものである。

 

 

 そう、(0)から万物()を生み出し、世界の理にさえ干渉する理外にして超常の力。

 それこそが『権能』であり、神や人類悪(ビースト)にのみ使うことを許される絶対的な力である。

 

 

 

 それらを踏まえて、幼少のイアソンにゼウスから授けられた『雷の権能』。アレは権能と呼ぶに相応しい力であったか。

―――(いな)、否である。

 

 確かに加護等の概念に干渉する力もあったし、非常に万能な力ではあった。

 普通の論理感で見ればこの時点で超常の力であることに変わりはない。

 

 

 

 

――――――だがまだ足りない。

 

 

 

 

 『権能』は、『雷霆(ケラウノス)』は、その程度の力で説明出来る程度の力ではない。

 何処かの世界線で、死にかけで弱体化されたゼウスの振るったものでさえ、時空に大穴を開けることが可能な程。

 ギリシャ神話最強の名を冠するこの力がこの程度な訳が無い。

 

 

 

 

 ならば何故その力が振るえないのか。

 

 

 答えは簡単。

 イアソンが持つその(権能)肉体(うつわ)能力(スペック)が追いついていないからだ。

 人間が権能の力を振るうことはほぼ(・・)不可能。

 それが世界の共通認識。

 

 

 例えばカイネウス(カイニス)

 (彼女)が持つ第三宝具、『海の神、荒れ狂う大海嘯(ポセイドン・メイルシュトローム)』。

 ソレは同じく彼女()が持つ海神の三叉矛(トライデント)による『海の権能』の一端。

 しかし制限がかかっており、まともに権能を振るおうとすれば神核が砕け散るという。

 

 

 

 

 

 例に漏れず、イアソンに与えられし『雷の権能』にも制限があり、単独で本気を出すことは叶わなかった。

 

 だから『掻き抉る時の大鎌(アダマント)』が存在するのである。

 

 

 あの四拘束も全て『雷の権能』の力をアダマントを通して段階的に解除しているに過ぎない。

 そしてそれにより掛かる莫大な負荷。ソレを防ぐための真体装甲。紛れもなくゼウスの身体の一部であったソレは本来掛かる負荷をかなり軽減する。

 そうした権能の完全開放。それによる負荷の緩和。

 それこそが『掻き抉る時の大鎌(アダマント)』の概要である。

 

 

 

『―――フッ、フフフ、フフフフフ、フハハハハハハ―――!!』

 

 

 テュフォンは、太祖竜は笑った。

 成る程。ゼウスよ、()()()()()()か。

 

 我が身は確かに機神を屠るために飛来せしモノ、神々そのものと戦うときにこそ、完全なる性能、その真価を発揮するであろう。

 

 故に、己の雷霆の大部分を、己の抹殺対象とは最も遠い、『ただの人間』に譲り渡すとは。

 ――――――イカれている。 ソレを是とした神も、身に余る力を得て限界をとうに超えながらも、己を今尚打ち倒さんと命を燃やす英雄使い(にんげん)も。

 

 

 ……化け物め。

 人の身をも超越した、なんの邪念も無い極まった光? そんな綺羅星が如き存在こそ、化け物(救世主)と言わずして何と言う。

 

 

 言わばソレは、世界の希望を背負う者。 

 神が望んだ、大いなる願いの体現者。

 

 

 怪物の対極―――即ち、英雄。

 

 

 そんな数多の英雄を束ねた末に、ここに立つは未来永劫現れることのない、輝ける星。

 そんな男が今此処へ立っているのは、最早定められた運命と形容する他ない。

 

  

『―――ああ、素晴らしい。素晴らしいぞ、英雄使い。』

 

 

 そう感想を零しながらテュフォンは思う。

 何時までもこの至福の時間が続けば良いと。

 

 そんなテュフォンの駆体はズタズタであった。

 一射一射が通常時のエクスカリバー級の威力であるヘラクレスの援護により、一対一で満足に戦えなかったこともあるが、既に再生能力は衰え初め、体中に傷跡があった。

 それでも余力が全然ありそうなのは流石といったところか。

 

 

 

 「―――こふっ、……チィッ!」

 

 

 対するイアソンも既にガタが来ている。

 確かに負荷を軽減するとは言ったが完全に無くなる訳でなく、過剰な力の行使は少しずつその身体を蝕んでいた。

 吐血し、その姿は血に濡れ傷だらけ。

 特に視界からは分からない体の内側、内臓の損傷なんて酷いもので、逆に動けているほうがおかしいレベルだ。

 

 

 

 

 

 

 戦いの終わりの時は近い。

 

 

 

『―――最後に一つ問おう。なぜお前は我に武器を向けた?』

「……いきなりどうした」

 

 

 テュフォンがイアソンに問いを投げる。

 それに対してイアソンは懐疑的な視線を向ける。

 

 でも理由はお互いに察していた。

 既に限界は近く、おそらく次が最後の一撃となるから。

 

 

『――…貴様がこの場から退いていれば、今こうして生命の危機に瀕することは無かった。 我の運命線(ひとみ)はその運命を映している』

「ああ」

『故に―――なぜ貴様は戦う?』

 

 

 ソレは嫌味でも何でもなく、純粋な疑問からだった。

 だからこそイアソンはその問に応じた。

 

 

「何で戦うか―――か。―――……あれ?本当に何で今戦ってるんだろうな。」

 

 ハハッ、とイアソンは力無く笑う。

 まあ確かにそうかも知れない。

 「生きる」という誰しもが持つ生存本能。

 ソレを導守するならば、テュフォンと正面から戦うのは一周回って最早バカとかの次元すら超えている。

 

 

 

 まあそんな冗談はさておき、とイアソンは言い、テュフォンを見る。

 

 

「強いて言えば―――『意志』だ。」

 

 

 

「……地獄のような未来を視た。ソレに負けないという思いがあった。そのために足掻き、諦めずにこうして此処(最後)まで走り抜いた。」

 

 

 

 イアソンの独白は続く。

 あの災厄を見てからの自身の歪められた運命(Fate)を視て。

 否、そもそもこの力を得た瞬間から、『自分』が生まれた瞬間から、『イアソン』という男の辿る運命は歪んでしまったのであろうが。

 

 

 

 

「ソレが俺の戦う理由―――…まあ、只のエゴだ。」

 

 

 

 そうして短い彼の独自は終わる。

 尤も、彼の内心の口調を通すとシリアスが終わってしまうので考えないようにしよう。

 言語補正とは偉大なものである。

 

 

 

『そうか―――ならば、次の一撃を以てこの戦いを終わらせよう。』

 

 

 何か彼の琴線にふれる物があったのかは分からないが、テュフォンは言った。これで最後だと。

 結果はともかく、これこそがお互いの全てをぶつけ合う最後の瞬間。

 当然、その力、その覚悟は自身の命を燃やすかの如く。

 

 

 

 テュフォンはその背の翼をはためかせ(ソラ)へと昇る。

 

 それと同時に、後方からヘラクレスの援護の弓矢がテュフォンに襲いかかるが、ソレが放つ莫大な『神秘』を纏った、風速数百メートルの暴風の壁に阻まれ、かき消される。

 

 

 再びその眸に焔が灯る。

 辺りに嵐が、吹き荒れる。

 

 

 三ツ首の口を開き、これまでとは比べ物にならない、最大級の魔力を叩き込む。

 その焔は史実においてゼウスと互角の戦いを繰り広げた万物を破壊するもの。 既に数十メートルを超えたソレは、ただ存在しているだけで周囲に被害を与える。

 

 まさにそれは炎の巨人スルトの全盛期、もしくは太陽神が振るう権能に匹敵しうる最大の一撃。

 指定範囲次第では神代という一つの時代そのものを焼き尽くす対星規模の力。

 ソレが今たった一人の生命に向けて放たれる。

 

 

 

『――――――星よ、終われ。

 

 

 

 

  総ては灰燼と化し、

 

 

                  『 人 』

 

 

 

       『 神 』

 

 

 

 

 

   『 神代 』

 

 

 

 

 

               『 人理 』

 

 

 

 

 

   

その総てを無と断ずる。

 

 

 

 

 

 

 

  我は嵐にして焔、終末をもたらす者―――!!!』

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「―――とんでもないな……」

 

 

――――そうして見上げる先にあるのは『太陽』であった。

 (いや)、厳密には本物の太陽では無いがソレを一言で表すならば太陽が相応しかった。

 

 それこそはギリシャの終末装置、太祖竜テュフォンの放つ最大の一撃。

 その概要は「自身の生命力の大部分さえも費した超質量の焔……及び、ドラゴンブレスによる世界焼却」。

 

 

 ただ自身の焔を限界まで集めただけ。

 その周りを、瞬間風速数百メートルを優に超えた嵐の壁が覆うことで、辛うじて球体という形を做していた。

 其処に理屈は存在せず、質量などない焔が集まり、原理のない莫大な力が形成される。

 

 何より恐ろしいのは、コレがそういう能力では無く、ゼウスの雷に近しい性質を持つテュフォンの焔。 ギリシャ全土を覆う、テュフォンの嵐。

 ソレらを莫大な魔力だけで巨大化させ、此処までの大きさにしたのだから。

 

 

 その温度は表面が数千℃、中心が数十万℃。

 地球の中心を遥かに上回る高温が地上に君臨し、周囲には核爆弾の爆発程の威力はあろう烈風が吹き荒れる。

 

 

 

『―――さあ、打ち勝ってみせよ。さもなくば死ね。』

 

 

 

 そして、地上に堕ちればまず間違いなくギリシャが地図から消えるであろうモノ。

 まさに終末の具現たる一撃が、落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――……」

 

 

 こうなってしまえばイアソンに出来ることは少ない。

 避けるか?……否、そもそも避けられる規模でも無いし、仮に避けようものならギリシャ全土とついでにイタリア辺りが後世の地図から消滅するだろう。

 

 

 ゼウスの力を借りるか?

 否、先程から雷霆の援護が止んでいるし、少し見てみると不自然なほどにその場から動かず、何かを行っていた。

 故にコレを何とかするならば自分が頑張るしかない。

 

 

「―――ふっ」

『む……?』

 

 

 そんな絶望的な状況。

 だというのに、イアソンはニヤリと笑みを浮かべていた。

 その行動が理解出来ず、テュフォンは困惑する。

 

 

 

 そして彼が笑みを浮かべる時は絶望する時ではない。

 『勝った』と確信したときだ。

 笑みを浮かべながらもその思考はかつてないほどに冴え渡る。自身の安否すらも捨て、ただ冷徹にその頭脳は勝利への道を導きだした。

 

 

 

 そして―――勝利を確信する。

 

 

 

 

 「ああ―――やってやるとも。」

 

 

 

 再びアダマントを天に掲げ、自身は宙に浮き上がる。

 空には暗雲が満ち、空気が震え、その周囲には蒼雷が集う。

 

 

 

 そしてその枷を―――今度は完全に取り払う。

 

 

 

 

 望むのは終末に対抗する一撃。

 万象を揺るがす破壊の究極。

 それこそ、因果も、空間も、時間も、概念も、今はまだ定められていない物理法則さえも完全に無視し、世界を裂く究極の一。

 

 

 

 

 

 嘗てのゼウスが振るいし星を裂く一撃。

 

 

 

 

 

 故に、その一撃の名はゼウスのソレと同じ名を冠した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――其は、世界を裂く雷霆(ワールドディシプリン・ケラウノス)

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、世界は『蒼』の光に埋め尽くされた。

 

 

 

 





「ワタシハカミダァァァ!!」


おかしい、本当はこの話で締める予定だったのに……



其は、世界を裂く雷霆(ワールドディシプリン・ケラウノス)
ランク:EX 
種別:対界宝具 
レンジ:1〜99
最大補足:1000

掻き抉る時の大鎌(アダマント)】を核として行う真なる雷の権能の完全開放。ゼウスの雷による完全破壊。概要は「知性体保護機能(リミッター)を限定的に解除し、全機構を開放したアダマントを核として雷の権能を完全行使。そこから放たれる因果、空間、時間、概念総てを断ち切る究極切断。」


 ようはとにかくあらゆる障害を「だから?」の一言の下捻じ伏せる究極の一撃。 


 ゼウスの雷の疑似再現。壊せぬ物なぞあんまりない。 
 大源(マナ)を力の源とするため、神代ならば魔力消費は微々たるもの。
 ただし人の身でこんな代物を振るえるはずがなく、アイギスが無ければ多分イアソンはこれを放った直後にステラしていた。



名前はゼウスの『我、星を裂く雷霆(ワールドディシプリン・ケラウノス)』から流用。
 概要はこれとほぼ同じだが、ゼウスのコレはおそらく対星宝具なのでこれよりも強いとかいうインフレの極み。


 当然だがこれを物理法則の整った聖杯戦争で振るえば抑止力案件。まあ当たり前。

どっちを先にやるか(なおどちらでも修羅場る模様)

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