数多の英雄を束ねる者   作:R1zA

21 / 33
今回は個人的に文章が色々拙い可能性あり。

状況は立香ちゃんたちカルデア組から始まります。


第四幕/彼らの名は

 

 

 ―――その頃、立香とマシュはドレイクの導きのもと、この特異点の原因を探す航海への旅へと旅立っていた。

 

 

 そして先程の島で新たにアステリオスとエウリュアレが加わり、立香達含め船員達の士気も上がる中―――ソレ(・・)は現れる。

 

 

「姉御!前方に船一隻!」

「海賊かい!?」

「そうです!……ああ、アレだ。あの旗だ!姉御、あの船、例の旗と同じ海賊旗を掲げてます!」

「つまり敵だね!……ん?あの船どっかで見たような……」

 

 

 見張り台に登っていた船員が船を見つけ、声を上げる。

 海賊旗を掲げていることからドレイクが敵と断定するも、何処か既視感を覚え、マシュがソレの正体を知るロマンを呼び出す。

 

 

「例の旗……そうだ!ドクター!」

『マシュ!?良かった、やっと通じたか!―――一体そっちで何が起きている!?』

 

 

 丁度通信回線が復旧したのか、ロマンの声が響き、現状の説明を求める中、立香ははっとしたような顔をする。

 

「あ……ドクターのこと忘れてた」

『立香ちゃん!?……え、もしかして忘れられてたのかなボク!?みんなのロマン、頼れるロマン先生ですよー?』

「すみません、後にしてください!」

 

 

 立香の発言に心做しかショックを受けたのか一瞬愕然とするロマンだったがそれもすぐにマシュに両断される。

 憐れロマン。

 しかしそんな事を言っている場合ではないので僅かに焦燥感に駆られた顔でマシュが本題に入る。

 

 

「先程の旗についてもう一度お願いします!通信途絶で聞き取れませんでした!」

『あ、ああ、あの旗は―――伝説の海賊旗だ。あれは恐らく、史上最高の知名度を誇る(・・・・・・・・・・・)海賊だ!』

「史上最高の知名度の海賊って……もしかして、黒髭?」

 

 

 ―――史上最高の知名度の海賊。

 その情報から立香が推測した人物は只一つ。大航海時代に海賊として世界に名を轟かした男、即ち―――

 

『そう、黒髭だ!真名エドワード・ティーチ!気をつけるんだ、二人共!』

「いや、これはヤバいんじゃないかなぁ……」

「―――そうですね、先輩。……ドクター、残念ですが、手遅れですね」

『へ?』

 

 

 既に敵船は此方側を補足している。今から逃げても的になるだけであろうし、第一ドレイクに逃げる気が更々無い。

 ―――もう、戦闘は避けられないだろう。

 

 

「あー!アイツ!アイツだ!アタシの船を追い回してた海賊!―――ここで会ったが百年目!遥か彼方まで吹き飛ばしてやる!」

 

 

 そうドレイクは憤然とした顔つきで叫ぶ。しかしソレに対して黒髭は無言を貫く。

 

 

「おい、聞いてんのかそこの髭!」

 

 

 そうドレイクが鋭い語気で言い―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はぁ?BBAの声など、一向に聞こえませぬが?」

「―――――――――は?」

「……………………え?」

 

 

 ―――ピシリ、と周囲の時間が止まった。

 

 

 (いや)、より正確に言うと、その男―――黒髭から漏れた最初の一言が衝撃的過ぎて、誰もが目を見開いて絶句していた。

 

 

「お前、今、何、言った?」

 

 ドレイクも何か言おうとしているが、それ以上発するべき言葉が浮かばず、口をぱくぱくと動かすだけだった。

 

 

 

「だーかーらー!BBAはお呼びじゃないんですぅ。何その無駄乳、ふざけてるの?」

 

 

 周囲がその発言一つ一つについて行けず呆然とする中、黒髭は一人話に続ける。

 

 

「まあ傷はいいよ?イイよね刀傷。そういう属性はアリ。……でもね、ちょっと年齢がね、うん。―――せめて半分くらいなら、拙者全然許容範囲内でござるけどねえ。ドゥフフwww!」

 

 

 最後に薄気味悪い笑い声を発しながら己の性癖の一部を堂々と発する黒髭。

 本当にどうしてあの大海賊黒髭がここまでサブカルに染まってしまったのだろうか。

 

「―――……」

「あれ、姉御?姉御ー。―――死んでる……(精神的に)」

「ダメね、凍ってるわ。ムリもないわね。私も最初に遭遇したとき、こうなったもの。………よく生き延びたわね、私」

 

 

 地味に冷静な分析をかます船員とエウリュアレ。それよりもまずするべきことが有るのではなかろうか。

 そしてエウリュアレの姿を視界に入れた黒髭は恍惚とした顔で興奮気味に口を開く。

 

 

「んっほおおぉぉぉぉぉぉぉ!やっぱりいたじゃないですか、エウリュアレちゃん!

 ―――ああ、やっぱり可愛い!かわいい!Kawaii!ペロペロしたい!されたい!主に脇と鼠径部*1を!そして願わくば薄い本的展開Please!」

 

 

 何というかもう既に正気を疑うレベルのアレだがこの程度では黒髭は止まらない。

 彼はそのまま矢継ぎ早に一人語りを続ける。

 

 

「あ、踏まれるのもいいよ!素足で!素足で踏んで、ゴキブリを見るように蔑んでいただきたい!―――そう思いませんか、皆さん!」

 

 

 口を半ば開いてエクスタシーに戦慄きながら黒髭は叫び、彼女らに同意を求める。

 しかし彼女らは想像と180°異なる黒髭と、その言動一つ一つに本能的な嫌悪感と恐怖を感じて鳥肌立っていた。

 

 

「うぅ……やだこれ……」

「―――…」

 

 

 エウリュアレが怯えているのを察したアステリオスはエウリュアレの前に出て、自身の巨軀で黒髭の視界からエウリュアレを隠した。

 

 

「ちょ、待てよ。そこのデカいの!邪魔でおじゃるよ!?出せー、出せよー、エウリュアレ氏、出せよー!」

 

 

 それに対して若干苛立ったのかギャーギャーと投げつけるようにアステリオスに対して黒髭は喚く。

 そして漸く、マシュが黒髭ショックから抜け出して正気を取り戻した。

 

 

「―――は!?すみません、意識が遠のいていました。」

「ううん、仕方ないよ……これは……」

「その……何ですか、アレ」

「えっと……黒髭、かな?」

「イヤです。私、あの人をサーヴァントと認めたくないです」

 

 

 マシュにしては珍しい即答にして明確な拒絶。

 流石に変態な黒髭は彼女の中で解釈違いだったのか。

 と言っている間に、先程までエウリュアレに注力していた黒髭が立香とマシュの存在に気づき、まるで舐め回すかのような視線で二人を視界に納める。

 そして僅かに間を開け、一言。

 

 

「んー……んー、………(マル)!ごーかーく!てれれれってれー!」

「ひゃあ!?」

「ごーかく……?」

「ンー、片目メカクレ系は誰が好きだったんだっけ?バーソロミューの奴だったカナ?そしてもう一人はオレンジの快活系美少女っと……。―――ともかくそこの鯖とそのマスター!名前を聞かせるでござる!さもないと―――」

「さ、さもないと……?」

 

 

 二人がそう聞き返すのとほぼ同時に、黒髭は非常にいい笑みを浮かべながらこう言った。

 

 

「―――今日は拙者、眠るときにキミ達の夢を見ちゃうゾ♪」

「マシュ・キリエライトと言います!デミ・サーヴァントです!」

「そしてそのマスターの藤丸立香です!」

 

 

 流石に黒髭の夢に出演するのは御免被るのか、即答かつ大声で名前を口にする二人。

 立香はマシュよりも数歩前に出て黒髭の視界に入りにくいようにしている。

 当の黒髭は二人の名前を何度も復唱してニヤニヤと笑みを浮かべているが。

 

 

「………撃て」

「はい?」

「大砲」

「あ、姉御?」

「大砲。全部。ありったけ。いいから、撃て。さもないとアンタたちを砲弾代わりに詰めてから撃つ」

「あ、アイアイ、マム!」

 

 

 先程まで静かだったドレイクは片言で指示を出す。

 彼女はキレていた。静かに激怒していたのがプッツンして今や炎のように憤然としていた。

 それを見た黒髭はそれでもドレイクに対する煽りを止めない。

 

 

「あれ、BBAちゃん?おこなの?ぷんすかぷん?」

「船を回頭しろッ!!―――あんのボケ髭を地獄に叩き落としてやれェェッ!!」

 

 

 

 

 

 ―――もう何も言うまい。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「―――メディア、向こうの様子は?」

「……今丁度二隻の船が戦闘状態に入ったわね。―――あの橙のマスターらしい娘が居る方がカルデアかしら?」

 

 

 そう言ってメディアは映写機の要領で水晶に映し出された向こう側の様子を映し出す。

 丁度そこでは、血斧王エイリークを始めとする黒髭一味がドレイクの『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』へと迫っていた。

 

 

「……カルデア、か。今回はまともに彼女らの一助になれる様だな……」

「あら、貴方もうあの人間と縁を結んでいたのですか?」

「そう―――だが、あまり良いものでは無かった。汝もこれ以上の追求はよしてくれ」

 

 

 アタランテの顔が僅かに歪む。朧げながら自身の霊基に記録されたオルレアンでのことを思い返しているが故か。

 ソレに対し少し気の毒そうな顔でポルクスは、―――そうですか。と返すのみであった。

 

 

「……む?あの人間共、苦戦していないか?」

「大砲が全く効いてないな。恐らくあの船が俺と同じで宝具なんだろ……あーあ、アルゴーにも大砲欲しいなぁ……」

「仮に有っても大砲なんかを使う奴が居ないだろうに……」

 

 

 ―――確かに。とアタランテの指摘を聴いて直ぐに前言撤回するイアソン。

 ソナーはメディアや千里眼持ちの射手、武装は乗組員。ソレがアルゴノーツであり彼らの常識。

 現代兵器なんて要らなかったんや。

 

 

「貴方達、お喋りするのは構わないけれど、もうかなり近くまで来てるんだから少しくらい気を引き締めなさい!」

「問題ない。俺……我らに海で敵う者なぞ存在しない」

「あ、そうだ。アルテミス、取り敢えずもう立って良いぞ!さっさとアタランテと後衛の用意してろ!」

 

 

 イアソンの声を聴いたアルテミスは漸く終わる、と安堵の息を吐きながら正座を解いて立ち上がり、オリオンもアルテミスの肩へと着く。

 

 

「あー!やっと歩ける!ねえダーリン、私頑張ったよ!」

「はいはい、頑張ったな。……自業自得だけど」

 

 

 

 そんな会話を無視して船首へと躍り出たイアソンは高らかに宣言する。

 嘗てギリシャの海を渡り、数多の伝説を打ち立てた、南の星々にまで残る(・・・・・・・)英雄船団の名を。

 

 

 

 

 

「―――アルゴノーツ、出陣の時だァッッ!」

 

 

 

 

 


 

 

 

「あの船は―――」

 

 

 黒髭の宝具、『アン女王の復讐(クイーンアンズ・リベンジ)号』の上で十字槍を持った壮年の男―――ヘクトールは自分の目を疑った。

 

 

 ■■■■■が自身に課した指示の下、黒髭一味に加わりドレイクの駆る黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)に乗るカルデアの一味と戦い、血斧王エイリークの犠牲を出しながらも彼女らの船の船底を自らの槍で貫き、今まさに撃沈一歩手前まで追い込んでいた。

 

 

 が、あの船が自身の予想通りの物なら、少なくとも黒髭陣営の勝ち目は潰えた。

 己が生涯を掛けて尚、敵わない英雄(アキレウス)をも上回る英雄が二人も其処には居たのだから―――

 

 

「―――…いやはや、オジサンも運が無いねぇ。まさかアレよりも厄介な奴を敵に回す羽目になるとは……」

「ブフォwwまさかのここで増援ww恐ろしい主人公補正でござるなあwせめてエウリュアレちゃんは残してー!―――で、ヘクトール氏、あの船をご存知で?」

「おうとも、船長。オジサンは実際に見たことは無いんだが生前アレの噂なら沢山聴いててな、ソレは――――」

 

 

 

 

 その名を聴いた黒髭の顔が先程まではニコニコしていたのにその瞬間、一瞬だけだが真顔になる。

 そしてこの状況に対する衝撃はカルデア側も同じ。

 

 

 

 

 

 

「―――姉御、姉御ォ!向こうから突然別の船が現れました!」

「はぁぁ!?旗は!?まさかあんのクソ髭の仲間かい!?」

「いえ、見たことない船です!」

「見たこと無い船だって――ッ!?……くそ、アンタ達!撤退の用意だ!アタシは船底を見に行く!」

 

 

 再び起こる想定外に対してドレイクは撤退を選び、自身は穴の空いた船底へと駆ける。何故なら今までの船は全て敵対する船だった。ならばその船も味方では無い可能性の方が高いから。

 立香とマシュは突然黒髭の乗組員たちやヘクトールが黒髭の船の元へと戻った事で異変に気付く。

 

 

「……先輩、どうしましょう。エイリーク血斧王は撃破しましたが、所属不明の船が接近中。船も損傷していますし―――」

「万事休す、だね……。」

「はい、仮にあの船が私達の敵対勢力であれば、撤退はより困難になると思われます……ッ!」

 

 

 

 マシュの口から溢れる、苦々しい現状。

 彼女らの視点から見れば、正体不明の船が敵なら詰みだ。撤退しようにも船が保たない。

 

 

 

『二人共!その船からサーヴァント反応だ!その数は―――嘘だ、五つだとうッ!?。』

「そんな、五騎も……ッ!?」

『ああ、彼らは―――』

 

 

―――間違いなくこの場において最大の勢力だ……ッ!

 

 詰み。その二文字が脳裏によぎる。

 消耗したこの状況で五騎を相手取るなんて不可能だ。今の彼女らには祈る以外の選択肢は存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――アタランテ、やれ」

 

 

 

 尤も、その考えは完全な杞憂だったのだが―――

 

 

 

「―――ッッッ!!チクショウ、やっぱりこうなるか!」

「ファッ!?弓矢!?嘘、ここまで届くの!?」

 

 

 

 それを語るのは野暮と言うものだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「――――――え?」

 

 

 彼女、藤丸立香は僅かながら困惑していた。

 突如現れた船。その船から放たれた一射の矢が黒髭目掛けて放たれ、あの壮年のランサーが切り払った。

 ……恐らくあの船は敵ではないのだろう。それだけは何となく分かる。

 ただこの数分間の情報量が多すぎて若干のパニック状態に自分が陥っている気がするのだ。

 

 

 

「ちょっと、どういうこと!?アレは味方なの!?それとも敵なの!?」

「お、落ち着いてください。エウリュアレさん……。恐らくですが、向こうに攻撃を続けていますし敵ではないかと」

 

 

 この状況にエウリュアレは困惑気味に叫び、マシュがそれを宥める。

 ―――私も同じ気持ちだよ。と叫びたいところを我慢して、気を引き締めるために頬を両手で叩き、意志の籠った視線でソレを見据えた。

 

 

 

 ―――その船首に六つの人影が現れる。其処には彼女達に見覚えのある人物―――翠緑の狩人も交じっていた。

 

 

 双子の英雄、神代の魔術師、俊足の狩人、彼らが搭乗する大砲もない古き船。

 もう一人の女性はいまいち分からなかったがここまでの特徴があればその正体を特定することは容易だった。

 

 

 

『これは……全員が神代の英雄なのか…?待てよ、彼らが乗る船といえば―――まさか……ッ!』

「知ってるの!?ドクター!」

『勿論だッ!黒髭……エドワード・ティーチが世界最高の知名度を持つ海賊なら―――彼らはギリシャ神話で語られる、世界最高の知名度(・・・・・・・・)を誇る英雄船団(・・・・・・・)だ!』

 

 

 そのロマンの一言で、マシュの思考に一閃の光が差し込んだ。

 ―――即ち、彼らの名。

 

 

「世界最高の英雄船団―――まさか!」

 

 

 そうマシュが結論へと行き着くと同時に、(ソラ)から大量の矢が『アン女王の復讐号(クイーンアンズ・リベンジ)』へと降り注ぐ。

 

 

 

『そう、彼らの名はアルゴノーツ!!ギリシャ神話の二大英雄が一人、勇者王(・・・)イアソンが率いた英雄船団だ!』

 

 

 

 瞬間、此方側を振り向いた金髪の青年が辺りに響くような大きな声で二人を叱責した。

 

 

 

「―――何をしているッッ!殿はしてやるから早く撤退しろよッッ!!」

 

 

 

 


 

 

 

 

「……あらあら、まさか援軍がよりによってあのアルゴノーツだなんて運が無いわね、メアリー?」

「そうだね、アン。……それもこれもティーチのせいなんじゃないかなあ。なんかこう、汚いから……」

「お二人さん物陰に隠れてないで拙者を助けてくれてもいいんだよ!?ヘルプミー!」

 

 

 ―――何か聴こえた?とメアリーが問い、いいえ、何も。と清々しい程の笑みで返すアン。この二人、船長を助ける気ゼロである。

 当の黒髭は、降り注ぐ弓矢を船員たちと走り回りながら必死に避けている。

 何人かは避けきれずに弓矢の餌食となっていたが。

 

 

「それにしても、これで網も切れちゃったし、多分撤退するみたいだね」

「ええ、もう距離をとられてしまったし、あの判断の早さは流石フランシス・ドレイクといっただけはあるわね」

「……一発くらい撃てそう?」

「駄目ね。あの船が邪魔で撃てないわ。……撃ったら撃ったで手痛い反撃が飛んできそうですけど」

 

 

 そういう二人が見据える先には、『黄金の鹿号(ゴールデンハインド)』に張り付き、支えながら撤退して行くアルゴー号の姿があった。

 彼らの戦力ならばこちらを討つことは容易いだろうに、彼らは一時撤退を選択した。

 

 

「オジサン達の完敗だね、こりゃあ。あの船の船長……流石世界を救った男なだけはある。ホントに余裕そうだねぇ」

「アイタタタ……アレ?エウリュアレちゃんとBBAの船は?……逃げられちゃった?嘘おん……」

 

 

 

 


 

 

「よし!このまま振り切―――って、コレは一体全体どういう状況だい!?」

 

 

 船底から駆けてきたドレイクの視界に入り込んだのは、自分達の船のすぐ近くに張り付いている先程の船の姿だった。

 

 

 

「あっ、ドレイク船長。彼らは私達を助けてくれて、その、敵では……」

「それくらいは分かってるよ。……あれ、アステリオスは?」

「アステリオスさんは………今船を下から押しています。そして補足すると、向こうの方も一人それを手伝っています」

「はあ……?」

 

 

 突拍子もないマシュの発言に首を傾げる。

 船を押す?下から?……その時点でかなりの出鱈目だが、ソレを手伝ってる奴がいる?

 

 

 まさか。あの巨軀を持つアステリオスなら未だ分かるが、そんな奴がいる訳――――――

 

 

「疑っているようだが事実だぞ」

「ん?アンタはそっちの船員かい?」

「ああ―――我が名はアタランテ。彼女達とは……余り良い物ではないが面識がある故、代表として私が参った次第だ」

 

 

 彼女が真名を口にし、ペコリと軽く頭を下げると、ロマンが画面越しに大きく反応する。

 

 

『アタランテ!ギリシャ神話の英霊、俊足の狩人!乗組員の一人が彼女という事は―――』

「如何にも。汝らが思う通り、この船はアルゴー号だ。他の人員はそちらに居る」

 

 

 そうアタランテが言うと、ロマンは何処か納得した様子を見せ、マシュはというと、伝記で見たことのある船が眼の前にあるということに目を輝かせていた。

 

 

「これが……あの伝説の……」

 

 

 そう言って彼女がアルゴー号に手を伸ばそうとした瞬間、船全体が一瞬ぐらりと揺れる。

 何事かと一同は辺りを見回すが、その答えは直ぐに現れた。

 

 

 

「―――アステリオスと……誰?」

 

 

 

 其処には、アステリオスを持ち上げながら現れた全身鎧……というか近未来感のある戦士が居た。

 というか某特撮番組のヒーローが着てそうな見た目だった。

 

 

『あの鎧……何というか凄く格好良くないか!?』

「あー、確かにドクターこういうの好きそう……」

 

 

 その姿を見たロマンは琴線に触れるものがあったのか、モニターを食い入るように見て、立香はドクターの性格的にそうなるか、と一人納得していた。

 

 

 その人物は傷だらけのアステリオスを優しく甲板に下ろして、武装を解いた。

 そうして彼女たちに自身の真名を名乗る。

 

 

「―――既に知ってたかもしれんが、サーヴァント、真名をイアソン。クラスはライダー。

 ―――勇者王なんて大層な名で呼ばれてるとは思わなかったが……まあ、宜しく。カルデアのマスター?」

 

 

 

 ―――この瞬間から、この特異点は本来の道から少しずつ、そして大きく離れて行くことは、未だ誰も知らなかった。

 

 

 

 

*1
いわゆる下腹部




『勇者』=勇気のある者のこと。
 しばしば英雄と同一視され、誰もが恐れる困難に立ち向かい偉業を成し遂げた者、または成し遂げようとしている者に対する敬意を表す呼称として用いられる。


 勇者王ならば、意味としてはAUOに似たような物だし、イアソン(原典)は時々自分の事を勇者と例えていたからぴったりなのではと考えたので勇者王に。
 因みに勇者王といえば某スーパーロボットを思い浮かべるが関係はない。

最初にこの案を提案してくれたLAGUSTさん、その他の皆さんもありがとう御座います!m(_ _)m


次は……

  • バビロニア
  • 原典世界召喚ネタ
  • Apocrypha
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。