数多の英雄を束ねる者   作:R1zA

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逃走中を見ながら今年最後の投稿。
ここからは結構なオリジナル展開になってきます。



あと言い忘れてたがダビデは出ない(唐突)


第八幕/黒幕と巨英雄

 

 

 ―――海原を征く、何処かアルゴー船に近い造形をした一隻の船。

 推力となる光の帆、大砲の様に取り付けられた鋼鉄の弓、どれを取っても西暦1500年代どころか現代の文明レベルさえ大きく逸脱している代物。

 その一室で、紫陽花の様な一人の少女が、緑のシルクハットを被った男に付き従っていた。

 

 

「―――失礼します、マスター」

「……()()か。何だ」

「ヘクトールさまから連絡がありました。聖杯を確保したそうですよ」

「……そうか。あの男、他の使えない奴等に比べて少しは使えるではないか。うむ、報告ご苦労」

 

 

 そう言ってその少女を見ながら男は軽薄な笑みを浮かべる。

 しかし、その様子は傍から見ると不気味で、その少女を見つめる瞳にも何処か蔑みの色が混ざっていた。

 人はそんな視線を向けられれば多少の不快感は感じるものであろうが、この少女は変わらずニコニコと貼り付けたような笑みを浮かべている。自分を魔女と呼ばれようと。

 

 

「それが有れば、あの航海者風情に煮え湯を飲まされた機械神も十分に駆動出来るだろう。……ククク、あの愚かな人類の残りカス共が、圧倒的力を前に無惨に蹂躙される!―――実に素晴らしいと思わないか!!」

「はい、とても。とても素晴らしいと思います、マスター」

 

 

 目玉が飛び出るのではないかと思わせる程、突然過剰に叫ぶ男を見ても、ただただ少女は無感情に肯定の意を示す。

 そして突然叫ぶのを止めて胡散臭い笑みを口元に浮かべた男は彼女のそばに近寄りゆっくりと、そして彼女の心の奥底に語り掛けるように囁く。

 

 

「ああ、安心してくれ。奴らを捻り潰した暁に、君の願いは叶う。君が殺した男の、死の運命は焼却される」

「殺……した?よく分からないことを言うのですね、マスターは」

 

 

 そう困ったように言う彼女であったが、その瞳の奥は確かに動揺の色に染まって揺れていた。

 

 

「フン……まあいい。あの老骨を拾ったらカルデアを潰す。主の助けなど必要ないかもしれんな」

「ええ、私達アルゴノーツ。彼を除けば()()()()()、ソレが私達には付いて居るのですから」

「あの狂犬か。確かに貴様の歪曲召喚が無ければ御すのに苦労する存在ではあったが……まあ特攻兵程度にはなるか」

 

 

 

 

 

 

「―――■■■■■」

 

 

 そう何処か見下すような口調と視線を向ける先に佇むのは、とても真っ当な英霊とは思えない怪物性を醸し出している者。

 五メートルを超える巨軀、霊基の変質により身体中に浮かんだ赤い裂傷。理性を欠片も感じさせない超狂化。

 

 

 

 ―――故に、ソレに本来の真名は当てはまらない。

 

 

 

 歪んだ召喚の末に完全な怪物と化したソレの名は―――

――――――巨英雄(ヘラクレス・メガロス)

 正史においては伝承地底世界(亜種特異点Ⅱ)にて、語り手の女の宝具(物語)と聖杯の力により産み出された怪物である。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 一方その頃、立香達カルデア一行は、自分達が乗っている『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』を変形したアルゴー号に引き摺られ、凄まじい速度で大海原を駆けていた。

 

 

 さらに理論上は泥聖杯さえも制御可能な世界最高峰の魔術師の張った結界のお陰で、今みたいに嵐に出くわしても、一切の速度を落とすことなく進み続けている。

 

 

「いやぁ、二度目の嵐のライディングがこんなに楽になるとはねぇ。嵐の中でも濡れないなんて不思議な気分だ」

「二度目……ですか?」

「あれ、最初に言わなかったかい?ほら、あのデカブツを沈めた時だよ」

 

 

 そうドレイクが言ったとき、ふとマシュの脳裏に海賊達の発言がよぎる。

 ―――曰く、何時までも明けない七つの夜。海という海に現れた破滅の大河。沈没都市アトランティス。

 

 

 

 そして海神(ポセイドン)を名乗るもの。

 

 

 

 きっとこれらがヘクトールの背後に居る者たちと関係があるのではなかろうか。

 そんな事を考えていると、向こうに数隻の船が位置しているのを海賊達が見つける。

 

 

「姐御、前方に船三隻!」

「何い!?黒髭の船みたいなやつかい!?」

「はい、でも何かもうボロボロな感じっす。嵐なんでそれくらいしか……」

「望遠鏡、貸しな!……ああもう、こっちが速すぎて見づらいったらありゃしない!」

 

 そう言ってドレイクは見張りの海賊から望遠鏡を受け取り、そう言って悪戦苦闘しながらもその姿を捉える。

 

 

「……何だありゃ、幽霊船ってやつか…?」

「幽霊船……ですか?」

『うわお、ますます海洋冒険小説だ!さっきから浪漫が溢れ過ぎて、正直本にしたい!』

「―――あ、撃ち落とされました」

『そんなぁ……呆気ないなぁ……』

 

 

 そうぽかんとした様に言う海賊の視線の先には、傷だらけの幽霊船が数隻、一瞬で前の船の攻撃によって藻屑と化している光景があった。

 その船(アルゴー)には確かに現代兵器顔負けの機構は揃っているものの、大砲などの武装は無い。しかし、それを遥かに上回る戦力を誇る英霊(サーヴァント)、ソレが五十集った最強の船に死角は無い。

 

 

「……退屈ね。一体何時になったら目的地に着くのかしら?」

「エ、エウリュアレさん……でもそうですね、ダ・ヴィンチちゃん、どうでしょうか?」

『はいはい、久し振りの出番が来たダ・ヴィンチちゃんだぞっと。うーん、そうだね……今の速度とこの海域の範囲から計算するに、推測だが凡そ二十分もあればその嵐から抜け出してヘクトールに追いつけると思うよ?』

「成る程、ありがとうございます」

『……いやぁ、この有名な私の頭脳を以ってしても全く訳が分からない。最古の巨船とも言えるアルゴー号、ソレが時速80キロ近くの速度でガレオン船を難なく引っ張り、挙げ句の果てには変形システムだって?

 世界最古じゃなくて世界最新の間違いじゃないの?……是非勇者王にはカルデアに来てもらってあの船をじっくり拝謁する機会を貰いたいなぁ』

 

 

 そう興味深そうな声色で話すダ・ヴィンチ。やはり技術者として未知そのものと言えるアルゴー号が気になるのだろうか。

 そんな事を言っていると、ダ・ヴィンチちゃんの横からロマニが出てくる。

 

 

『二人共、実はその先に変な反応が在るのをつい先ほど発見した』

「変な反応?」

『ああ、場所はその先の海。恐らくだけど渦のような物だと思うんだが……観測結果によるとその大きさは……直径二百メートルを超えている』

「直径二百メートル超えの渦……把握しました。そちらには近づかないように留意します」

 

 

 そうマシュが言うと、本当に話はそれだけだったのかロマニは頷き、そそくさとモニター前から去って元の位置に戻った。

 巨大な渦……特異点化による影響か、はたまたそれ以外の外的要員か。

 今の彼女らにそれを知る方法も必要性も無かったが、この渦の正体にこの後苦しめられるとは、今の彼女達には考えもつかなかった。

 

 

 

「……おい、そろそろヘクトール達と接敵する。気を引き締めて行けよ」

「はい、了解です。勇者王」

『特異点の黒幕……可能性としてはレフが居るかもしれない。気をつけて行ってくれ』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ヘクトールさま、腕の傷の回復が終わりましたよ」

「助かるよ、お嬢さん。……さてさて、計算ならもうそろそろってとこなんだが――――――来たか!」

 

 黒髭に撃たれた左腕を彼女に治してもらったヘクトールが、そう言ってカルデアの面子が来るだろう方向を見据える。

 ―――その先には、こちら目掛けて猛スピードで突っ込んでくる『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』の姿があった。

 

 

 

「ようし、追い付いた!取り敢えず問答無用で衝角をぶち当てる!……野郎ども!準備はいいか!?」

「うす!」

「はい!―――って、あの船の船首に居るのは……!?」

『間違いない、レフ・ライノールだ!それにあの船は……!?』

『わーお!どう見ても文明レベルを大きく逸脱した代物だ!宝具ではないと思うけど凄い魔力反応だ!』

 

 

 そうロマニが叫ぶと、レフは視線を立香達の方へと向ける。相変わらずの胡散臭い笑みを浮かべているレフの姿が其処にはあった。

 

 

「レフ……!」

「やあ、最後のマスター藤丸立香。前の特異点ぶりとでも言えば良いのかな?

 だが挨拶の必要も無ければ煩わしい会話も結構だよ。未熟な君がこの特異点も順調に攻略して来たとはね。全く―――本当に吐き気を催す。どうして、こう大人しく死ぬなんて簡単に出来ることが出来ないんだい?」

 

 豹変、と形容すれば良いのだろうか。

 その目は大きく見開かれ、先程の紳士然としていた立ち振る舞いから一転、湧き上がる嫌悪感を隠そうともせずに忌々しげにこちらを見ていた。

 でもカルデアには理解出来ない点が一つだけある。

 それは―――

 

 

「……レフ教授。生きていたのですか」

『確かに可能性としては考えていたが……こうして実際に目にすると、どうやって彼処から生き延びたんだ……?』

 

 

 ―――何故レフが生きているのだろうか?

 確かに彼は第二特異点にて、召喚されたアルテラによって脳天から真っ二つにされた筈。

 例え彼が悪魔に変質する人外であったとしても、彼処からこの特異点まで移動できるとは思わない。

 

 

「フン、低能な貴様等に我が王の力が理解できる筈あるまい。……()()()()()、この特異点最強の存在と魔女の力を経て、最強の大英雄を完全に制御した。貴様らはこれで終わりだァ!ギャハハハハハ!!」

 

 

 そう言いレフは嗤い、嘲る。

 カルデアを、人類を、その尽くを見下して。

 

 

「アレは……まさか―――!!」

 

 

 ―――ソレは、英霊とは思えない狂気を纏っていた。

 出力、耐久、神性が本来の狂戦士のソレよりも大きく向上しており、その力に加え、巨大化の影響で純粋な物理干渉力も高まり、さらに普通のバーサーカー以上の絶対暴走状態、言わば超狂化のような様態になったことで怪物染みた力を発揮している。

 

 

 

 即ち、墜ちた大英雄。

 

 

 

「―――■■■■■!!」

 

 

 

 聖杯の力でも生み出せるかどうかという存在は、若かりし頃の神域の魔術師の手によって再現された。

 ソレが放つ莫大で濃密な殺気に手足がすくむのを覚える。

 正に、非情にして絶望。

 そのサーヴァントと真名を、ロマニとマシュは知っていた。

 冬木に居たシャドウサーヴァントの一騎、バーサーカー。

 

 

『……間違いない、アレはかの勇者王と並ぶアルゴノーツの中でも破格の存在。その真名を―――』

「ヘラクレス、ですね。しかし、アレは―――」

 

 

 通常の狂戦士のヘラクレスですら、正史のカルデアでは正攻法で撃破するに至らず、『契約の箱(アーク)』を利用して漸く撃破に至った化け物。

 ソレが十メートル近くに巨大化し、彼の英霊としての代名詞とも言える「十二の試練(ゴッド・ハンド)」も所有しているとくれば、本来ならば手の打ちようも無いのだが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――そうか、貴様のような雑魚が……取り敢えず死ね」

「何―――だと……!?」

 

 

 

 奇しくも、こちらには万全のソレと互角にやり合える大英雄が居た。

 後ろに回り込んでいたアルゴー号から現れたイアソンがメガロスの首を大鎌で掻き切り、首から上が消滅する。

 その時、確かにメガロスは絶命したものの、宝具である十二の試練の力によって直ぐ様首が再生されようとするが、鎌に備わる不死殺しの力がその回復を阻害する。

 

 

「ぐっ……貴様!一体何処から―――」

「後ろからに決まってるだろ馬鹿が。頭の脳味噌空っぽになってんじゃねぇの?」

 

 

 そう吐き捨てる様に言って、ちらり、とレフとメガロス(ヘラクレス)の横に居るメディア(リリィ)の姿を目にしたイアソンは目を見開くが、胸の内に訪れたのは驚きでは無く―――それを塗りつぶす程の怒りであった。

 そう直ぐに分かるほどには、かつてないほどに冷え切った冷徹な瞳をしていたからだ。

 

 

「メディア……何故そちら側に居るのかは聞かん。だが、俺の前に立つのなら容赦はしない」

「……どうかお許しを、イアソンさま。これは貴方の事を思っての事なのです」

 

 

 そう言って軽く目を伏せる彼女の様子は、何処か不気味にも思えた。普段の明るい雰囲気を纏う瞳とも違う、淀んだ瞳。

 レフは早速メガロスの命を一つ奪ったイアソンを睨みつけ、隠そうともしない嫌悪感を押し出しながら吐き捨てる様にイアソンに罵声を浴びせる。

 

 

「……っ。人類の側に立つとはやはり愚かだな、勇者王。貴様と国、そして仲間の末路を忘れたか」

「はぁ―――。……それとこれとは話が別だ。第一、俺の死に際に人類の業は関係無い」

 

 

 溜息を吐き、罵声を真っ向から切り捨てる。

 自身の死は自身が招いた自業自得であり、人類に対して思うことも無し。

 ……ぶっちゃけ国に関してはそんなに知らないですとは、この雰囲気で言い出すことは出来なかった。

 

 

 自分の望む返しが来なかったレフは不機嫌に舌打ちをし、自身のサーヴァントに命令(オーダー)を出す。

 

 

「チィ……ッ!殺せ!凡百のサーヴァント如き、私が出るまでも無い!」

「よく言った雑魚。……女神、アステリオスを貸せ。ヘラクレスもどきは俺とそいつでやる!」

「そう、ならアステリオス!行きなさい!」

「わかっ、た……!」

 

 

 アステリオスが跳び、イアソンの隣に並ぶ。

 そしてその直後、メガロスはその手の大斧をアステリオス目掛けて振り下ろし、アステリオスは両腕の斧でソレを受け止める。

 

 

「―――■■■■!!」

「ぐ…ぅぅぅ……!」

 

 

 が、膂力に関しては躰の大きさと狂化のランク差によりメガロスが遥かに上回っていた。

 限界以上の圧力を加えられたことにより、アステリオスの斧にヒビが入る。

 そこにすかさずイアソンが割って入り、懐に入り込むと、そこで一つの構えを取った。

 それこそは生前、イアソンとヘラクレスが幾度となく互いを高めあった末に彼がヘラクレスの技をパク……参考にして編み出した、必殺の絶技。

 

 

 ―――即ち、流派ナインライブズ。

 

 

 

「―――射殺す百頭・鎌式(ナインライブズ・リーパー)!!」

 

 

 一撃、アステリオスに打ち付けられた斧を弾く。

 二撃、その斧を甲板へと弾いた。

 三撃、武器を失った腕の腱を鎌で裂いて。

 四撃、両足の膝を切る。

 五撃、胸に刃を突き刺し。

 六撃、その刃で腹を抉った。

 七、八撃とその抉った傷口を十字に裂く。

 九撃、右肩からその躰を袈裟斬りにして、血の雨を降らせながらメガロスの命は一つ散る。

 

 

 もしも彼が万全の状態であれば、この連撃は難なく弾かれたどころか、その全てにカウンターを入れる程の気概を見せつけていただろう。

 しかし、ここに居るのは理性を完全に失った、大英雄の皮を被った一つの怪物。

 世界で最も見慣れているであろう、自身の技さえも弾く事は不可能だった。

 

 

 

「これで二つか……。―――アステリオス、宝具を使って俺とお前、そしてアレを迷宮に入れろ。……お前らは俺たちが出るまでヘクトールとメディアの相手を頼む!!」

「ぅ―――まよえ……さまよぇ……」

 

 

 アステリオスの脳裏に浮かぶのは嘗ての住処。

 世界最古の迷宮とされるクレタ島のクノッソスの迷宮。

 かの薔薇の皇帝や俊足の英雄が編み出した物と似て非なるもの、固有結界に近い大魔術。

 故に、現実に出来た「染み」である『固有結界(リアリティ・マーブル)』とは異なり、異界を一時的に世界に上書きして作り出すという性質とも異なり、世界の下側に作り出すという独自の性質なので、魔力消費も比較的少ない方。

 迷宮宝具という物に分類されたソレは、その特殊な性質から評価規格外のランクを与えられた。

 

 

「―――そして、しね!」

 

 

 その真名―――――万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)

 

 

 アステリオスが封じ込められていた迷宮の具現化であり、ギリシャ世界でも有数の“人を食らう罠”である。

 

 

 

 直後、何もない所から迷宮が浮かび上がり、メガロスとイアソン達を取り込んだ。

 

 

 

 


 

 

 

「イアソンさんとアステリオスさん、ヘラクレスと共に結界内へ入りました!」

『よし!目下最大の強敵は勇者王とアステリオスに任せて、ボク達はレフ達の相手だ!』

 

 

 ヘラクレス(メガロス)という難敵が何とかなる目処が立ち、希望が見える。

 然しレフは切り札と思わしきヘラクレス(メガロス)が追い詰められかけても余裕気な態度を崩さない。

 

 

「フン、旗頭が不在のカルデアなぞ叩き潰すのなんて造作もない。ヘクトール、少し保たせろ」

「へいへいっと……。まあそういうこった、オジサンもサーヴァントとしての仕事をこなさなきゃならんのさ―――ッと!?おいおい先輩方、少し血の気が多過ぎませんかねえ!」

 

 

 不毀の極槍(ドゥリンダナ)を構えるヘクトールに対して迫る一条の光―――ディオスクロイ。

 海上にゆらめく光たる「聖エルモの火」そのものと言われた『魔力放出(光/古)』による急加速でヘクトールに剣を突きつける。

 それに次いでアタランテとオリオン(アルテミス)の集中砲火が一斉にヘクトールを襲うが、相手はトロイアの守護者と呼ばれた、こと守りに関しては最強格のヘクトール。

 ポルクスとカストロの果敢な連続攻撃を受け流しながら、何とか気合でアタランテ達の弓矢を躱し、後ろに飛び退く。

 

 

「―――ほう?耐えたか、トロイアの守護者よ。だが、神たる我らの攻撃、何処まで耐えるか見物だな!」

「ハハッ……何、オジサン守るだけなら、たとえ神が相手でも少しはやれるさ!」

 

 

 四対一、しかもその内三人は神霊。

 生前長きに渡ってアキレウスと戦った時と同レベルの危機的状況に愚痴の一つも言いたくなるが、そんな思いとは裏腹に冷徹な思考で槍を握り直した。

 

 

「だったら私も―――」

 

 

 メディアリリィも杖を構えて、即座に数十の竜牙兵を召喚するも、空から降り注ぐ光線によって瞬く間にその殆どが潰される。

 リリィが空を見上げると、其処には初めて見るはずなのに妙な既視感を覚えるローブを着た女性………というか未来の自分が居た。

 

 

 

「……未来の私、ですか」

「そうよ。何故自分がイアソンさ……イアソンの敵に回ってるのか何でか分からないし考えたくも無いけど…―――黒歴史を晒す趣味は無いの。だから私の手で貴方を倒す」

「そうですか……。確かにより魔術の研鑽をした私には敵わないかもしれませんが……そう簡単にはやられませんよ?」

 

 

 繰り広げられるは自分との戦い。

 過去の自分と未来の自分、その両方が英霊の座に登録されたが故の特異な戦い。

 互いの意志のぶつかり合いである。

 

 

 そして三騎のサーヴァントが釘付けにされ、レフを守る使い魔は消えた。

 その隙を見逃さず、立香とマシュ、ドレイクとエウリュアレはレフの前へと立ちはだかる。

 

 

「成る程、確かにサーヴァントが近くに居ないマスターを狙うのは理に適っている。だが、私には()()がある!」

『二人共!かなり弱いがサーヴァント反応だ!恐らくシャドウサーヴァントだと思う!』

 

 そして二騎の黒い……シャドウサーヴァントが現れる。

 マシュは強張りながらも盾を構え、ドレイクとエウリュアレも己の武器を構えた。

 

 

 

 ―――この特異点最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 





ぶっちゃけメガロスは前座でしかないというアレ。
因みにレフ達が乗ってた船は二部五章でアトランティス防衛団が使用してたアレと全く同じ船です。


メディア(リリィ):まさかの?敵側で登場。
 理由は後に出るが、ヒントとしては、リリィの状態で座に登録された影響でアルゴノーツとの出会いから少しした辺りの記憶しか持っておらず、イアソンの死などを記録でしか知らないこと。後リリィはまだサイコ気質が残っている事。


レ/フ:トナカイマンの指示かは知らんがオケアノスにも出張してきた御仁。
 先に言っておくとレ/フは確定。但しもっと酷い目に会う模様。


次は……

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  • 原典世界召喚ネタ
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