数多の英雄を束ねる者   作:R1zA

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ここからは更に独自解釈&ご都合主義のオンパレードで行くのでそれだけはお覚悟を。


第十幕/汝、星を覆う海嘯(中編)

 

 

 

 魔元帥ジル・ド・レェ、帝国神祖ロムルス。 

 今までに相対した彼等は強敵でこそあったものの、極端な話、まだ現地に居るサーヴァントだけでも安易に解決が出来る部類であった。

 ただ、今回ばかりは例外と言うに相応しかった。

 

 

「あ―――」

 

 

 ―――格が違う。

 だだその純然たる事実がポセイドンが纏う圧倒的な神威を以って、只の人間である立香に突きつけられ、彼女は慄然とする。

 それは正しく絶望だった。

 

 

 ふと、横を見る。

 

 

「……っ」

「―――」

 

 

 ―――そうだ。

 自身の相棒(サーヴァント)でもあるこの少女も、総毛立つ様な思いをしていると言うのに、自分だけが怖がっていたら駄目だ。

 自分が折れた瞬間に世界は滅ぶのだから。

 

 

 そう決心すると、今まで気重かった心が、震えていた脚が、妙に軽くなった気がする。

 立香は再び覚悟を決めた瞳でポセイドンを見つめ、イアソンはポセイドンに問いかける。

 

 

「一つ聞きたい、海神ポセイドン。―――何故今更出張ってきたんだ?俺達の時代でも割と好き勝手やってたとはいえ、何で今になって行動した?」

『 応答/ ―――私は間違っていた。確かに嘗ては我々神による支配を止め、人と共に歩むと云う結論を出した。

 だが、今の人類の体たらくは何だ?

 強かな歩みを止め、唯只管に自らの意志で争いを続けた。今や我々に勝る何かを生み出す事はなく、星からの資源搾取を続ける日々。

 実に非効率、非効率極まりない所業である。

 故に、この様な醜い現代人類に、今一度大洪水を引き起こし、神々が君臨する世界を蘇らせるのだ――― 』

 

 

 海神は言う。

 お前達現代人は醜いと。

 ソレは神という上位存在であるが故、神代の人間という生命力の塊を見てきたが故の発言。

 要約すれば、「今のお前達の生活スタイルちょっと解釈違いだから元に戻すね」という、何処までも理不尽で―――故に何処までも神らしい理由。

 

 

「―――ハッ、何度も何度もありがたい御高説ご苦労サマ。でもあいにくアタシ達はルールに縛られない海賊って生き物なんでねぇ!……野郎ども!撃てぇ――ッ!!」

 

 

 開拓者は言う。

 お前ごときに好き勝手されてたまるかと。

 元々彼女自体がその生涯の中で、英国征服をしようとしたスペイン無敵艦隊を大敗させたりなど、圧制や征服、支配と無縁と言うに等しく、そんな彼女が、人間に好き勝手する神と相性が悪いのは至極同然とも言える。

 ドレイクが指示した瞬間、『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』に搭載されたカルバリン砲が海賊達によって一斉にポセイドン目掛けて放たれる。

 

 

 

 

 

 ―――しかし、その砲弾はポセイドンに接近する途中で爆発した。

 一時は直撃したと思っていた管制室の一同も、無傷のポセイドンを見て血相を変えながらも、直ぐに原因を探るために近未来観測レンズ『シバ』のリソースの多くをポセイドンに割く。

 しかし、シバはその優れた観測力を持っているが故に、特異点の魔力をも感知してしまう性質があることを忘れてはならない。

 

 

「ああくそ、分かってはいたけど、やっぱりあのデカブツに大砲は効かないのかい!?」

『 ―――所詮、児戯。 ……ヒトよ、平伏せよ 』

 

 

 全長1kmをゆうに超える島のような巨体から、再び圧倒的な神威が放たれる。

 『海のゼウス』とも評される程に強力な海を操る権能が行使され、瞬く間に海は荒れ、暗雲から嵐が起こる。

 それだけでは無く、指向性を持って放たれたソレは、この場にいる人だけでなく、管制室の面々にまで影響を及ぼした。

 

 

『何て魔力数値なんだ……ちょっと待ってくれ、シバが数枚吹き飛んだんだが!?』

「それよりもドクター!先程は一体何が起きたのですか!?ドレイクさんの砲弾は確かに命中した筈……」

 

 

 そうであって欲しいと言うかのような悲壮な顔持ちでロマニに問いかけるマシュであったが、それに対して返答を返したのは同じくカルデアの管制室に居たダ・ヴィンチちゃんだった。

 

 

『―――いや、砲弾は命中したんじゃなくて砲弾が命中する直前に爆発しただけだ!

 ……これはあくまで観測できた魔力反応とその位置から推測した仮説なんだが、ポセイドンと名乗るあの船の周りには超がつくほどの強力な魔力障壁が張られている。そして、ソレを支える聖杯級の魔力反応が四つ。―――いや、正確には三つとその半分といった所かな』

「……どういうこと?」

 

 

 ダ・ヴィンチの最後の発言が気になった立香がダ・ヴィンチに聞き返すと、相槌をうって、ダ・ヴィンチがより具体的に話す。

 

 

『きっとアレは四つで正しく権能級の障壁を発揮する物だった。……でも、ドレイクの奮戦によって奪った聖杯の影響でその障壁に僅かな綻びが生まれている。だから、ほんの僅かであればアレを突破できる可能性があるかもしれない』

「―――ほう?星の開拓者の頭脳とは言えどもその程度が限界か。……精々貴様らが策を弄する時間程度はくれてやる。―――そして絶望に呑まれて死ねェ!!」

 

 

 万能の天才を以ってしてほんの僅かな可能性すらも生み出せる保証は無く、ソレをレフは嘲笑う。

 多少の策略や計略程度で敗れる程、我等魔神は、そして神は生温いモノでは無い。

 ―――故に好きなだけ策を弄しろ。私達は暴力と理不尽という形を以ってして、ソレを正面から踏み躙る。

 そんな意志がレフの表情からありありと感じられた。

 

 

 

 

 そんな中、オリオンがハッとしたような顔でアルテミスを見て……一つ、問いかける。

 

 

「そうだ、アルテミスお前、何かこう、アレへの弱点とか知らねえのか?同じオリュンポスの神格だろ!?」

「……無理よ。私とポセイドンでは艦隊の中で与えられた役割も、機構(けんのう)も、全く以て別物だもの。―――私の神体(からだ)があれば話は変わって来たのだけど」

「―――ああ、()()()()()()()()()()()()()()()!………船長(イアソン)、何か策は―――ってオイ!お前何目ェ瞑ってんだよ!」

 

 オリオンが左に立つイアソンに目を向けると………彼は目を瞑って額に手を当て、何かを考え込んでいる様子だった。

 必死に頭を回転させているのか、その額からは雨水との区別は付かないが、冷や汗が垂れていた。

 

 

『さて、どうやってアレを突破する?……魔力障壁を突破するにはアレのコアを壊さなくてはならない。でも、コアを壊すには魔力障壁を突破しなくてはならない(0.2秒)

 ―――何だコレクソゲーか?……いや、相手からしてクソだったわ。見た目は厨ニ感あって格好いいけど、中身が真っ黒どころか激物だわ。……てかオリオンお前頬に肉球当ててくんなよ、オリーブ樽一気飲みさせるぞ(0.5秒)』

 

 

 そんな愉快な思考を謎に高速で続けながらも、ポセイドンを突破するための戦略だけは真面目に思考を続ける。

 ……こちらが相手に決定打を入れられるカードは多数存在するのだ。

 自身が宝具で喚ぶヘラクレス然り、本来の力を発揮したオリオン然り、そして雷を解放した自身然り。

 だが問題はどう此方側のカードを組み合わせて、最低の被害で最高の戦果を上げるか。これに尽きる。

 

 

 しかし傍から見れば、今は呑気に考え事をしている場合では無いので、イアソンの肩に飛び乗ったオリオンは、その綿が詰まってそうな腕で精一杯力を込めて、イアソンの頬を何度か叩く。

 

 

「おーい、何か思い、ついたっ、か―――!?」

「……ええい、さっきから耳元で煩くて集中出来ないんだよクソが!握り潰してやろうか!?」

「あぁぁぁぁああ痛い痛い痛い!!出ちゃう、中身出ちゃうからやめてぇぇ―――ッッ!!」

 

 

 右腕でオリオンを恐ろしい程の速さで掴んだイアソンは、そのまま苛立ちを隠そうともせずにギリギリと音を立てる程の力でヌイグルミのオリオンを握り締める。

 まあ誰だって必死に考え込んでいる時に邪魔されたら悪意がなくても苛つくだろう。

 

 

 はあ、と溜め息を吐いてオリオンを握る力を弱めて、少し顔を上げた瞬間、彼の視界にメディアの姿が映り――――――ふと、何かを閃いた気がした。

 

 

「……あらイアソン、どうしたの?」

「そうか、ソレならあの防壁と魔神柱も―――」

「おーい、一人で閃いてないで俺達にも教えろや。……あとそろそろ離して」

 

 

 未だイアソンの右手に握られていたオリオンが抑揚の無い声でそう言うが、それには聞く耳を持たずにイアソンはメディアに近づくと、オリオンを掴んでいない左腕でメディアの肩を掴む。

 突然彼と自分の額がくっ付くほどに顔を寄せられたことによって、胸の動機が心做しか激しくなるが、特にそれ以上の何かが起こるわけでは無かった。

 

 

 

 イアソンが導き出した解。

 ソレに必須とは言わないが重要なファクターである英霊の力を十全に引き出すには、彼女の力が必要不可欠であった。

 さっきから右腕に握っていたオリオンを突き出すと、続けざまにこう言った。

 

 

「―――メディア!コイツを触媒にして、()()()()()()()()()()()()()()()()()ことは出来るか!?」

「―――!ええ、やってみせるわ」

 

 

 そう自信に満ちた言い方で彼女が言うと、二人は言葉さえも交わさずに直ぐ様行動に移った。

 英霊召喚とは、本来聖杯の後押しがあって初めて成し得るレベルの大魔術であるが、彼女は唯の魔術師ではなく神代の、それも最高峰の魔術師。

 それは何処かの世界戦でサーヴァントの身でありながら、別の英霊を召喚したり、「この世全ての悪」に汚染された聖杯を願望機として問題なく扱えるなどその実力は正しく規格外のソレ。

 

 

 他には必要魔力の都合上、時間帯や霊脈に接続しなくてはならないという問題もあったが、アルゴー号自体が小型の機動要塞の様なものであり、大量の魔力が内包され、生み出されている。

 もう懸念事項は一つも無かった。

 

 

 

 しかし状況について行けないオリオンが声を上げる。

 

 

「ねえちょっと待って!?俺全然話について行けてないんだけど!?無言でコミュニケーションしないで!?」

「あー……、お前の霊基って、そのリソースの殆どが其処の女神に喰われてるんだろ?なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「―――ああ、そうか、それなら行けるな!」

 

 

 そう、呼び寄せる英霊はただ一騎(ひとり)、オリオンに他ならない。

 普通に考えれば触媒無しで呼べる類では無いが、本人が触媒となる上、その本人の中に強化リソースとしてもう一騎オリオンを喚ぶのが目的。

 それならば召喚のリスクも多少は減るし、何よりも戦力の増強と言う点では最も手早いものだった。

 

 

『……いや全く理解ができないぞ!?メディアとオリオンはもう用意が出来ているみたいだけど……それでここからどうするんだい!?』

「時間が無いから手短に言うぞ。―――アタランテとディオスクロイはドレイクの船で立香達の指揮下に入ってヘクトール達の相手!特にディオスクロイは嵐からハインドを守れ!」

「了解した」

「……フン、お前の指揮だ。我等双神の力、存分に見せつけてやろう!」

「―――はい。我等、導きの光! 航海、旅、冒険! ――それらと寄り添う者に加護を与えし神である!」

 

 

 アタランテとディオスクロイが『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』に跳び移り、ディオスクロイの二人は船頭にて己の武具を空高く掲げた。

 するとドレイクの駆るハインドの周りだけが、嵐が止んだかのように緩やかな波となっていく。

 

 

 導きの星、セントエルモの火。

 航海の守護者として信仰された二人の能力(スキル)は、ポセイドンの操る嵐や大波に対してピンポイントで突き刺さっていた。

 

 

「凄い……周辺の波が大きく弱まりました!戦闘継続、行けます!」

『―――皆、レフ達が動いた!召喚を妨害するつもりみたいだ!』

 

 

 ロマニが緊迫した口調で言うが、当のイアソンには焦りの表情が一切見られない。

 それどころか、レフ自体を其処までの脅威と認識するまでも無かったのかもしれない。

 

 

「問題ない、俺が宝具で少し時間稼ぎをしたら直ぐにポセイドンに仕掛ける。アレは任せた」

「……?ソレはどういう……」

『―――来るぞ!』

 

 

 

 


 

 

 

 ―――ヘクトールは焦っていた。

 今肌を通して痛いくらいに高まる魔力の反応。

 アレが解放されれば―――此方は負ける。

 そんな一種の確信を得ていたからだ。

 

 

 自身のマスターは静観を貫こうとしていたが、それは今回の戦略においてこの上ない悪手だった。

 個人的にはともかく、兜輝くヘクトールとしては、むざむざ相手にチャンスを与える道理は無いので、マスターに進言し、船を動かしてどうにか防ごうと思い至った。

 

 

 

 やはり防ぐには―――宝具しかあるまい。

 

 

 そう結論を出したヘクトールは、その手に握る『不毀の極槍(ドゥリンダナ)』を肩に担ぎ、篭手から炎を吹かす。

 それは決して刃毀れしないと言われた、後の絶世剣デュランダルの原型。

 それの全力投擲は大軍をも殲滅する莫大な力を持つ。

 

 

 

 標的確認―――完了。

 方位角固定―――完了。

 

 

「―――不毀の極槍(ドゥリンダナ)、吹き飛びなァッ!!」

 

 

 そうして凄まじい勢いで極槍は放たれた。

 目標……アルゴー号に向かって一直線に突き進んでいった極槍は――――――

 

 

 

 

 

 

 

「――――――は?」

 

 

 

 ―――その場に突如現れた、総毛立つような白刃の光によって、余りにも呆気なく打ち払われた。

 

 

 

 


 

 

 

 

『宝具―――なのか?』

 

 

 そう言葉を零した誰かの視線の先には、凄まじい量の魔力を隆起させるイアソンの姿があり、それに呼応してかアルゴー号自体も、何処か神秘的で、幻想的な雰囲気をも感じさせる淡い光を放っていた。

 

 やはりこの船が宝具なのかと思ったロマニだったが、その考えは半分正解、といった所か。

 『今の』、この宝具の真価はその性能ではなく、数多の英雄が搭乗した(えにし)の結晶という点にある。

 

 

「―――我が船は海原を征き、天をも引き裂く英雄船。

 我等の栄光、我等が紡ぎし伝説は、たとえ幾多の時を経ても不滅也。

 ―――さあ再び集え、数多の冒険を共にした英雄達。即ち、我らアルゴノーツ!」

 

 

 船頭に立ち、胸元で右の拳を震わせる。

 奥からはヘクトールが槍を投擲しようとしているが―――こちらの方が数秒速い。

 英雄船団アルゴノーツの冒険は、幾多の時を経ても語り継がれた。

 故に、英霊に昇華された今でも、嘗ての船員たちは船長である男の呼び声に応えるのだ―――

 

 

 「―――天上引き裂きし煌々の船(アストラプスィテ・アルゴー)!!

 

 

 一瞬の静寂が訪れる。

 そして次の瞬間―――風を裂くような速さでイアソンに向かって投擲された『不毀の極槍(ドゥリンダナ)』が、甲板に突き刺してあったマルミアドワーズをこれまた目にも止まらぬ速度で振るった男の手により、弾き飛ばされた。

 

 

 そして、管制室の計測機を見ていたロマニが、その瞬間に起きた出来事を誰よりも早く理解し、驚嘆して息を呑んだ。

 

 

『―――嘘、だろ。こんな……、こんなことが、たった一人の英霊に出来ることなのか!?』

「え、今―――何が起きたの?」

『……立香ちゃん。これは―――サーヴァント反応だ。霊体化していた訳でも無く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の反応なんだ!!それだけじゃない、サーヴァントの数は三騎で、そのどれもが……()()()の反応なんだ』

 

 

 ひゅっ、と誰かが同様に息を呑む音が聞こえた。

 サーヴァントを呼び出す宝具と言うだけでも十二分におかしいのに、ましてやソレが神霊サーヴァントとはなんの冗談か。

 彼らはイアソンの背後に立つ三騎の英霊の背後を見つめ、その三騎とイアソンは立香達の方へと向き直る。

 

 

「―――なんだ、お前達か。一先ずあいつ等に名乗れ、話はそれからだ」

「……む、ここの病原体の根絶の為なら仕方ない。……キャスター、アスクレピオスだ」

「アスクレピオス……!?ギリシャ神話に伝わる医神、アルゴノーツの一員!」

 

 

 ―――アスクレピオス。

 賢者ケイローンのもとで医術を学び、後に『医神』と呼ばれるようになるギリシャ英雄、医術の祖。

 知っての通り、死者蘇生薬を生前に生み出したものの、冥府の神の怒りを買ったことは原典における歴史と変わらない。

 

 

「……次はオレか?…カイニス、神霊だ」

「おう久し振りだなカイニ―――ゑ?

 

 

 其処でカイニスの姿を見たイアソンが目を丸くする。

 ゴシゴシと目を擦って見るものの視界に映る姿に変わりは無い。

 ―――知り合いがなんか女になってた件。

 

 

 正確には元々の姿なのだが、その辺りの話題は地雷でタップダンスをする所業だと見抜いていたイアソンにとって知る由はなかった。

 頭に驚愕の色が浮かぶイアソンを見て、カイニスは首をかしげる。

 

 

「……?おい、オレの顔になんかついてんのか?」

「―――いや、何でもない」

『絶対コレ地雷案件じゃん』

 

 

 そういうイアソンを見て、疑問符を浮かべるカイニスだったが、これ以上この話題が広がることはなかった。

 

 

 ―――直感が無ければ即死だったと、後にイアソンは語る。

 

 

 

 そして最後の一人は―――本人が名乗る前に、マシュがその名を口にした。

 

 

「もしかして―――ヘラクレスさん、ですか?」

「既に知られていたか……、如何にも。我が名はヘラクレス。此度はアーチャーのクラスを以て、我が友の呼び声に応じた次第」

 

 ―――ヘラクレス。

 イアソンと並び、誰もが知るギリシャ神話における二大英雄の一人。

 神々や数多の怪物を倒し、十二の試練を成し遂げた半人半神の英雄であり、先程のメガロスや狂戦士の霊基とは違い、その技術までも十全に振るうことが可能。

 

 

 有体に言って最強だ。

 

 

 しかもその手に握られているのは、イアソンが呼び出したヘラクレスの剣マルミアドワーズ。

 本来なら成し得ない、弓と剣の両方を装備した最強のヘラクレスだ。

 

 

 

 さらに召喚ラッシュは終わらない。

 イアソン達のすぐ横でメディアが起動した英霊召喚の儀式陣が光輝き、辺り一面が陣に立つヌイグルミのオリオンを中心として光輝く。

 

 

「うお―――」

 

 

 そんなオリオンがふと漏らした声を最後に、強い光が辺りに満ちて、その後から一つの人影が現れる。

 

 

 

 

 

「―――嘘でしょ」

 

 

 そう驚きの余り口元を抑える立香の視線の先にいたのは―――身長二メートルを超える、筋骨隆々の大男だった。

 その右手には棍棒、左手には弓矢が握られている。

 

 

 それこそは、オリオン本来の姿。

 無力なクマ時代とは一変し、ギリシャ最高の狩人を自称するだけの実力を存分に発揮する。

 その強靭な肉体はあらゆる獣を素手だろうが弓だろうが仕留めるだけの膂力を持つ無双の狩人。

 

 

「おいおい、まさか本当に成功するとはな……。じゃあ改めて―――我が名はオリオン、人の身を超越した感じの狩人だ!ここからは俺も戦えるぜェ!!」

 

 

 そして、船長(イアソン)と同じく七つのクラス……その内の弓兵の頂に立つ資格を持つ男。

 ―――アーチャー、(超人)オリオン、此処に見参。

 

 

 

 

 ―――すべての駒は揃った。

 

 マシュ。

 ドレイク。

 アステリオス。

 エウリュアレ。

 ヘラクレス。

 ディオスクロイ。

 アタランテ。

 メディア。

 アスクレピオス。

 カイニス。

 オリオン(アルテミス)。

 (超人)オリオン。

 そして―――イアソン。

 

 

 総勢一二騎、十四名の英霊によって行われるのは神殺しの英雄譚。

 イアソンはこれから起こりうる全てを見通したかの様な、盤石の自信を持った笑みを浮かべ、宣言した。

 

 

「―――準備は完(Ready )全に整った(PerfectLy)。これよりアルゴノーツは、神を―――海神(ポセイドン)を撃ち落とす!!」

『応!!』

「―――ポセイドンだと?」

 

 

 





改めて見たら戦力盛り過ぎた感エグい。

次は……

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