九喇嘛に転生したった
い、今起こったことを、ありのまま話すぜ!
俺は、あまりにもブラックな仕事からようやく解放されたんで家のベッドで爆睡したんだが…………目が覚めたら、体が巨大化していたッ! しかも、毛がフッサフサで尻尾が九本もあって狐顔になっているンだッ!!
夢とか幻覚とかそんなチャチなもんじゃあねぇ。もっと恐ろしいものを味わったぜ……。
うん……はい……。多分、これNARUTOに登場する九尾……九喇嘛に転生しちゃったんじゃあないかなーって思います。憑依じゃない理由は夢とか幻覚じゃないって断言した理由にも繋がるんだけど、九喇嘛としての記憶もあったからなんだよね。
ちょうど今さっき、四代目火影のせいでNARUっじゃなくてナルトに封印された感じ。チャクラというか魂を分割させられたうえに、無理矢理封印されたからそのショックで記憶が蘇ったみたい。だから憑依じゃなくて転生ね。
…………なんか落ち着いてきたわ。今慌てたところで封印されてるから外に出れないし、ナルトが死なない限り俺に害はほとんどないしで……冷静になった。時間はいっぱいあるんだから、これからのことを考えよう。
原作どおりナルトのツンデレ相棒キャラを目指すか、それ以外だよな。正直なところ、前世の記憶が蘇ってある程度の価値観は変わっても、封印される直前まで抱いていた人間への憎しみと怒りは消えてないから、ナルトの相棒キャラをやるのはキツイんだよなぁ。うーん……………………そうだ!こうなったらもう、快・不快のみを基準にして行動する同じポジだった呪いのあのキャラを目指そう!
そうと決まればよぉ……早速練習するしかねぇよなぁーッ!
★★★★★★★★★★★★★★
「イルカ先生っ!?なんで俺なんか……かばって、…」
「俺も同じだからさ……」
ようやく……ようやく物語が始まりそうだ…………。
長い!マジで長い!!12年って思ってた以上に長いわ。封印のせいで外には出れないし娯楽もないから、歌うか修行しかできなかったからなぁ。いやまぁ、おかげでいろいろできるようになったからいいけどさぁ。
そう、いろいろできるようになったわけよ。そもそも原作の九喇嘛って手札少なすぎるんだよな。莫大なチャクラに物を言わせた尾獣玉と重粒子モードくらいしかないもん。重粒子モードも正確には九喇嘛じゃなくてナルトがなるモードだから……実質一つしかないやん。もっと他の尾獣見習えよ。
守鶴は封印術に風遁と砂の肉体と尾獣玉。
又旅は火遁に炎の肉体と尾獣玉。
磯撫は珊瑚に水遁と尾獣玉。
孫悟空(DBではない)は血継限界である熔遁と尾獣玉。
穆王は同じく血継限界の沸遁と尾獣玉。
犀犬は同じ尾獣でもダメージを受けるほどの強酸に腐食性の毒霧と粘液と尾獣玉。
重明は虫にちなんだ特殊な属性と尾獣玉。
牛鬼は蛸墨に自切と尾獣玉。……こうして改めて考えると守鶴と犀犬はかなり手札があるな。
しかし!手札が少なく慢心していたのは前の九喇嘛!記憶を思い出して覚醒した俺は前とは違うのだ!
同じジャンプの呪い呪われる世界を参考にして、結界術を極め、領域展開すらできるようになったのさ!!
このNARUTO世界においてチャクラは魂の役割を持ち、精神エネルギーと身体エネルギーをかけ合わせて生み出される。精神エネルギーを極めれば陰遁を、身体エネルギーを極めれば陽遁が使用できる。陰遁は創造を司り、無を有にして形を与える。陽遁は生命を司り、形に命を与えたり治癒や再生もできる。そして、NARUTO世界にら結界術もある。であるならば、陰陽遁と結界術があれば領域展開すら可能なのだよ!
「あいつは……ナルトは化け狐なんかじゃない。木の葉のうずまきナルトだ!」
「イルカ先生ッ……」
いつの間にか感動シーンに入ってたわ。今の俺じゃこのシーンに感動できないけど。だって、ナルトが化け狐って呼ばれる原因だし。
「やい化け狐ッ! 俺に力をよこしやがれ!」
……? ッ!?、!!?!?!?
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ここは……?」
イルカ先生の言葉を聞いて涙を流し、ミズキをぶっ倒す覚悟を決めたはずのナルトは、気がつけば見知らぬ所に立っていた。
膝が浸かるほどの水が張っており、ナルトの眼の前には見上げるほどの大きな檻が存在していた。横には壁があるため、正面からしか檻を見ることができない。そして、ナルトはその檻の中に……黄褐色の毛並みをした九本の尾がある巨大な化け狐を見た。
化け狐の方は、眠っているのか丸まって目を瞑っている。
(もしかしてあれが、イルカ先生と
生まれて初めて巨大な化け物を見たナルトは、恐怖によって足が竦み震えだす。檻越しでも伝わる圧倒的な威容感とチャクラ。封印されていてなお、これ程の力を持っていることにナルトは驚きを隠せなかった。
(影分身の術は覚えたけど、今の俺じゃできて2人分……
しかし、ナルトはその驚きと恐怖をミズキを倒すための覚悟で塗りつぶした。今のナルトではあまりチャクラを練れないため、影分身もそう多くは作れない。そんな状態でミズキをぶっ倒せるかは賭けになってしまう。それぐらいはナルトにも理解できていた。だが、偶然か必然はわからないがこの空間に来れた。であればこの機会をチャンスにして、眼の前の化け狐から力を借りることにしたのだ。確実にミズキを倒すために。
「やい化け狐ッ! 俺に力をよこしやがれ!」
そうして、檻の向こう側にいる巨大な化け狐に、うずまきナルトは力を欲した。イルカ先生のピンチを救うために。ミズキをぶっ倒すために。
「断る。頭が高いぞ、小僧」
しかし、それは彼の中に封印されてる化け狐……九喇嘛には関係のないこと。ナルトの大声にゆっくりと目だけを開いてナルトを見た九喇嘛は嘲った。そもそも、自分が里の人間達から迫害された原因から力を借りようとする精神性も気に入らない。それ故か、九喇嘛はナルトの要求を却下する。
「俺の体に住まわせてやってんだぜ?そのぶんくらいはくれよ」
「ケヒッ!事情を知らぬ餓鬼が虚勢を張っているようにしか見えんぞ? それに、儂とて好きでこの空間にいるわけではない」
「なら!」
「儂がチャクラを与えてやる道理はないぞ小僧。……だが、そうだな。条件付きなら良い」
「条件?条件ってなんだってばよ」
九喇嘛の言葉をあまり考えもせず条件を聞くナルトを見て、九喇嘛はニヤリと悪どい笑みを浮かべる。そして、ナルトへと以前から考えていた条件を話し出す。
「儂との"縛り"だ……封印の鍵を手に入れたらすぐに誰もいないところで儂を解放しろ。解放されても暴れはせん。そして、この条件が満たされるまでこのことを忘れろ。どうする……?」
「っ……うー!わかったてばよ!」
「クククッ! 縛りは結ばれた……ならば持っていくがいいッ!!」
「うわっ!?」
縛りが結ばれたことを確認した九喇嘛は、笑いながらチャクラを放出する。九喇嘛の体から溢れる凄まじい量の赤いチャクラ。それは、檻を挟んで向こう側に立っていたナルトへ生き物のように巻き付いていく。
あまりの量のチャクラにナルトは驚き声を上げる。そして、ナルトの意識は現実へと戻っていった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
いやービビったわぁ……この世界に来るの早すぎん? 確か最初に来たのって原作だとガマ親分を口寄せした時じゃなかった?
完全に想定外だったから焦ったわー。
だけどまぁ、縛りを結べたのは僥倖だな。この時期のナルトはあまり深く考えないで行動するからな。問題はナルトの中にチャクラを残した四代目火影だけど……封印が硬すぎてこっからじゃあ何もできないんだよなぁ……。ナルトがもっと俺からチャクラを供給すれば別だけど。
「イルカ先生から離れろ……ブッ殺すぞ!」
おっ? 今のは作中でも珍しいナルトの口が悪いシーンだな。確か……ここから多重影分身でミズキをボッコボコにするんだっけな。
「「「「千倍にして返してやるぜぇ!!」」」」
「ウワァァァァッ!?」
ガシッ!バキッ!ボコッ!ドシッ!グキッ!ウキッ!
おぉ……すんごいリンチだ。ミズキは中忍のはずなのになんもできてねぇ。変わり身とか変化以外の忍術くらい使えよ。中忍の姿か、これが……?
ナルトのリンチが終わった後に残ったのは、ボッコボコにされて顔が腫れ上がったミズキの哀れな姿。やられ方がギャグなんだよなぁ〜。まぁいいや。
今回、ナルトが封印越しに自分の意志で俺からチャクラをもらったから、多少封印が緩んだ。おかげで、ちょっとできることが増えたぜ。もうちょっと緩んでくれれば、新しく開発したあの術が使えるかもしれん。……次にチャンスがあるのは波の国くらいか。
それまでは暇だし、尻尾にチャクラを貯蔵しておこっかな。
控えめに言って陰陽遁が強すぎる。陰陽遁、万能説。