あるある転生
目が覚めた。そのはずなのに、俺の視界に映るのはいつもの部屋ではなく、全く知らない真っ暗闇の世界だった。
あっれ〜?俺、ちゃんと自分のベッドで寝たよな?えっ、なに……誘拐された?ヤバぁ…………ん?
瞬間、混乱してる俺の前に現れた1台の机とタブレット。机は木製で引き出しなどは見当たらない。タブレットは14インチ程で大きく、新品のようにツルツルピカピカだった。
電源が入っているのか、この真っ暗闇を照らす唯一の光源となっているタブレットの画面は明るく眩しい。周囲の闇と眼の前の光とのコントラストにだんだんと慣れてきた俺は、タブレットのある場所へと歩を進めた。
な、なんだこれ……何かのドッキリか?
机の手前まで来た俺は、タブレットの液晶画面に表示されていたものを見て、頬を引きつらせた。
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【転生者No.777】
氏名:山田 悟
年齢:21(死亡)
死亡理由:刺殺
転生特典:未設定
▶メッセージが1件あります。
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まず一言。俺、刺し殺されたんかい!
記憶ないんだけど……マジ?マジかぁ……。
まぁいいや。未練は…………まぁまぁあるけど、もうどうしようもないし。この現状とタブレットについて考えた方がいいだろう。
とりあえず、タブレットに表示されているメッセージの欄を押してみる。すると、画面が変わって新たな情報が表示された。
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あなたは■■■の対象に選ばれました。
現在の保有ポイントから、特典を選ぶことができます。
保有ポイント:1000
選んだ特典は来世に影響します。一度選んだ特典は変更できませんので、よく考えて特典を選んでください。
▶特典一覧を見る
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これは……神様転生ってやつなのか……?でも、神様に会ってるわけじゃないし違うタイプなのかな?
それ以前に気になることが多すぎる。
なんだよ保有ポイントって。何を基準に出されて、平均はどの程度なんだよ。1000って多いの?少ないの?
次に特典と来世な。来世って書き方からして、この作業が終わった後に生まれ変わるんだろうけど……それに影響する特典って何!?あれか? よくあるチート系のやつか?
うーん……仕方ない、一覧を見てみるか。ポチッとな。
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◆特典一覧◆
・『頑丈』……5pt
・『頑強』……10pt
・『健康』……5pt
・『記憶』……5pt
・『記憶能力(中)』……10pt
・『幸運』……10pt
・『強運』……40pt
…………………etc
1/999頁
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多い!多いよ!
999ページもあるんかい!全部見てたら日が暮れちゃうよ、日なんてないけど。
はぁ……落ち着け……落ち着くんだ……。ヨシ!
見た限り、一番低くても5ポイントは必要だということはわかった。それで、特典は効果が小・中・大で異なるものもあって、それぞれで必要ポイントも増減すると。あと、よくある漫画とか小説とかゲーム系に登場する能力とか道具も特典にあった。俺のポイントだと頑張って2個くらいは取得できそう。
来世がどんな環境なのかもわからないということを考慮して選ぶ必要がある。
ということで、体感3日くらいかけて考えた。全ページを確認するのに約1日。特典とポイント計算に1日半。構成に悩んで半日って感じだな。
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◆選択中の特典◆
・『記憶能力(大)』……50pt
・『強靱』……50pt
・『健康』……5pt
・『適応(大)』……50pt
・『天才』……150pt
・『不撓不屈』……100pt
・『健脚』……5pt
・『
・『念能力』……50pt
・『強運』……40pt
10の特典が選択されています。
決定しますか?
はい / いいえ
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これが……俺の選んだ特典さ!
詳しい説明はどこにもなかったから、言葉とポイントの差から考えて決めたぞ!
俺の推測通りなら……『強靭』『健康』『健脚』『記憶能力(大)』は肉体の基礎ステータス的なものに関わる特典。『適応(大)』『天才』『強運』は環境に影響されて発揮する類の特典で、『不撓不屈』はたぶん精神系。『
これなら、住む場所に困っても問題ないし、ひどい環境でも生活くらいはできるでしょ。
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特典が決定されました。
これより転生を開始いたします。
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タブレットに表示された文章、それを最後に見て、それまで何の問題もなかった俺の意識は突然途絶えた。
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「ほう……少しはマシな術師もいるようだな」
「うげぇ……」
最悪ですわ〜!
転生できたはいいけど、まさかの平安時代!それも呪術廻戦の世界!ンンンンンンンンッ!?
マジでS・H・I・Tですわ〜!! 生まれと術式と特典のおかげで何とか藤氏直属征伐部隊「五虚将」へと採用されたけど、キツすぎですわ〜!宿儺と戦うとか聞いておりませんことよ!
というか、天使含めて他の隊長達は倒されるの早すぎィ!まだ、あっち領域すら出してないんだよ!? 俺一人で相手しろと!? 嫌ー!嫌ですわー!!
「【解】」
「ッ……【歪】」
格子状に飛んできた斬撃を、烏鷺からコピった術式で対処する。空間を歪めりゃ、大抵の攻撃は当たらないからな。斬撃の感知も、烏鷺の術式を用いればなんと可能だったし。
ああ……嫌じゃあ……。斬撃連発されたら対処が間に合わないから殴り合いに持ち込んだけど、ニンマリ笑顔の宿儺が、怖すぎる。
展延纏った拳!拳!受け止められて捌!あびゃー!!
「痛ぅ……【宇守羅彈】!」
「っ!?」
裂けた拳を反転で治しながら、宇守羅彈蹴りを宿儺の腹にぶち込んで吹っ飛ばす。そして、吹っ飛んだ宿儺を追いかけながら飛んでくる斬撃を躱し、小規模の宇守羅彈パンチを叩き込む。一発一発がグラグラ白髭のパンチに匹敵する威力かつ内蔵にも響く!さすがの宿儺といえどもノーダメではいられまい!……よっしゃ!腕一本吹っ飛んだ!あと三本あるけど。
あっ、オメー掌印を結ぼうとしてんな? させるかよォ!!
「WRYYYYYYY!!」
「ぐっ……【解】!」
「痛ぇぇぇぇ! 俺の腕ぇぇぇ!」
「こいつッ!」
宿儺の放った斬撃で左腕が千切れた。めっちゃ痛い。けど、殴るのを止める理由にはならんよねって。君が死ぬまでッ!殴るのを止めないッ!
おっしゃ!腕をもう一本落としてやったぞコラ!
「うごっ!? ってヤバッ!」
「領域展開【伏魔御厨子】」
宿儺の黒い火花を散らしたパンチを腹にもらい、血反吐を口から撒き散らしながらぶっ飛ばされる俺。咄嗟に呪力を腹に集中させてなかったらブチ抜かれてた。
俺をぶっ飛ばし、黒閃を出せたことで調子が上がった宿儺は、反転術式を使いながらそのまま残った腕で閻魔印を結び、呪術の最奥である領域を展開する。宿儺の領域は2種類の斬撃の必中。呪力のないものには【解】、そうでないものには【捌】を当てる。並の術師では入った展開された瞬間に即死を免れない。こっちも領域を展開すればなんとかなるが、片腕がない今は掌印を結べないため、領域は無理。必中を中和できる【彌虚葛籠】も両腕がないと発動できない。
ならば、どうするか……。
「【簡易領域】+【落花の情】!」
「ほう……?」
特典のおかげで、本来できない芸当もできる。簡易領域はポーズをとれば必中をある程度中和し、落下の情は物理的な攻撃を呪力でオートガードする技術。この2つを組み合わせて凌ぐ!
とはいえ、完全には防げないからすっごい切り刻まれるんですけどね!
「龍鱗……反発……番の流ッ!? ゴハッ!?」
詠唱をすることで術式の威力を高めようとした宿儺だったが、突然2つの口から血を吐き出し、中断された。いきなりなぜ……と宿儺は原因を探る。
「(意識が逸れた!)【反転術式】+【間】」
隙を見逃さなかった俺は、簡易領域を解いて術式を発動させた。反転術式で傷を治しながら、空と空の狭間に入り込む。そして、宿儺の前から俺は消えた。
「チッ、逃げたな……」
ダメージから回復した宿儺が独りごちた。
敵前逃亡である。
呪術廻戦では不撓不屈の精神が必要不可欠ですね。