初投稿です。(今年)
「やぁッ! はあッ!」
「クッ……!」
アクアさんとヴァニタスが戦っている。身体能力はヴァニタスの方が上なのか、ヴァニタスの攻撃頻度が多く、刃を交える度にアクアさんは苦しそうな表情になる。だが、技術に関してはアクアさんの方が上らしい。ヴァニタスの速度を活かした攻撃は先を読んでいるかのごとく回避。力を活かした攻撃は受け流し、ヴァニタスに隙を生じさせ攻撃している。
アクアさんは闇の世界から戻ってきたばかりで本調子じゃないが、それでも卓越した技術でヴァニタスを翻弄し、そこそこダメージを与えている。若干、アクアさんが優勢か。
「チッ……ハッ!」
「……まさかッ!」
戦いの最中、ヴァニタスは突然狙いを変え、アクアさんから眠ったままのヴェントゥスへと魔法を放った。魔法はアクアさんが作った障壁に阻まれたが、障壁そのものに罅をいれることは成功する。さらに魔法をもう一発放ったヴァニタスを見たアクアさんは、魔法の射線上に入り、キーブレードを構えてヴァニタスの魔法を防御する。だが、ヴァニタスの魔法は威力が重く、防御していたとはいえ正面から受けてしまったアクアさんが障壁の端まで吹き飛び、仰向けに倒れてしまった。アクアさんは数秒経っても立ち上がる様子がない。どうやら気絶してしまったようだ。
一応、ここまで原作通りの流れで進んでいるわけだが……頼むぜヴェントゥス。そろそろ起きとくべきだと思うぞ。
「フンッ」
起き上がる様子のないアクアさんの前にヴァニタスが立ち、キーブレードを突き刺そうとしている。全く容赦がない。奴には美しい女性を愛する紳士としての心がないのか? ないんだろうなぁ…………
というかヴェントゥス! ヴェントゥスさん!! お〜い、そろそろ出番だと思うんですけど! このままだとアクアさんがヤバイんじゃが!
「アクアーっ!!」
俺がソラの心の中にいるであろうヴェントゥスに語りかけていると、俺の言葉が届いたのか、ヴェントゥスが突然眩い輝きを放ち、罅の入った障壁を突き破ってヴァニタスへと突撃した。万が一の時は俺が出ようかと思ってたけど、そうならなくて良かったよ。
ヴェントゥスとヴァニタスのキーブレードが衝突すると、それぞれから光と闇が弾けるように発生し、アクアさんの障壁を粉々に破壊する。その直後、ヴェントゥスは起き上がろうとしてたアクアさんを抱え、椅子の所までジャンプで後退した。
「「「やあっー!!」」」
「おっと!」
「クソッ、やっぱり速い!」
障壁が壊れたタイミングでソラ、ドナルド、グーフィーの三人が隙を晒したヴァニタスへと向かっていくが、ヴァニタスはそれでも危なげなく回避し、光の守護者達から距離を取った。避け方がいちいちカッコイイのがムカムカするね。俺も「それは残像だ」とかやってみたいわ。
「フンッ!ハッ!……守護者様が3人いてもこの程度か?」
「何だと……ッ!」
「クッ……強い」
「ヴァニタス!」
あれ?あれれー?ヴァニタスなんで退かないの?俺の知ってる流れだとお前「守護者3人も相手にするのは無理」とか言ってたやろ。何煽ってんねん。
いやまぁ、退かない理由はなんとなくわかるよ一応。アクアさんは戦線復帰したとはいえさっきのダメージが残ってるし、ヴェントゥスは10年も眠ってたせいでブランクがある、ソラは経験が足りない。ソラの場合、正確には経験値リセットのせいだけどね。今回はゼアノートの器にされかけたことだったかな。経験値が消えるって、器にされたら人格の塗り潰しでもあるのか?もしくは闇の影響か。
どちらにせよ、3人が万全な状態じゃないから、ヴァニタスがヴェントゥスを取り込める可能性が高いことに変わりはない。だから退かないんだろうな。
「まず一人」
「しまッ!」
「「アクア!!」」
ヴァニタスがヴェントゥスとソラを蹴散らし、ダメージが回復しきってないアクアさん目がけてキーブレードを振るう。……ってヤバイ!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「まず一人」
私にヴァニタスのキーブレードが振り下ろされる。防御しようと体に力を入れるけど、私の体は言うことを聞いてくれない。魔法のダメージがまだ残っているからなのだろう。避けられず防御すらできないと悟った私は目を瞑った。
ごめんねヴェン。あなたを起こしてあげることができたのに、私が弱いせいでこんな形で別れることになって…………テラも助けるって決めたのに。
ガキィン!と金属がぶつかる音が鳴り響く。
「あっぶねーマジ焦ったわ……」
数秒経っても、ヴァニタスのキーブレードが私に当たることはなかった。
なぜなのだろう?
疑問に感じた私は目を開き、当たらなかった理由を知った。それは私の前に立って、ヴァニタスの攻撃を受け止めた人がいるからだった。この人は、黒いコート……闇を払う衣を着てフードを被っているけれど、不思議と私にはわかる。この人は闇の世界で私とミッキー達を助けてくれた人だと。そして、また私を助けてくれたということも。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
あっぶねー……マジで危なかった。あと少しでも俺の紗々で受け止めるのが遅れてたら、アクアさんがお亡くなりになるところだった。ヴァニタスめ、ちょっと容赦なさすぎんか?アクアさんがお亡くなりになったら、光の守護者は7人揃わないんやで? ……多分。
「チッ……何者だアンタ?」
「さてね……君はどう思う?」
いかん、焦ってたせいで質問を質問で返してしまった。余裕なさすぎだろ俺。相手がスタンド使いだったら質問を質問で返すなぁー!!とか言われちゃうぞ。
「キーブレードを使い、キーブレードマスターを庇った……ならアンタは光の守護者ってことか?」
ヴァニタスはキーブレードを受け止めている俺の紗々を見てそう言ってくる。う〜ん……守護者って言われると違うかな。闇の回廊使えるし、守護者としての自覚はないから。
「残念、俺は光側でも闇側でもない」
「何……?」
「片方だけではダメなのさ。光と闇の両方が必要なんだ」
「一体何を……クッ!」
それっぽいこと言って紗々を持ってる手に力を込め、ヴァニタスを押していく。ヴァニタスも負けじと力を込めるが、俺には遠く及ばない。力勝負では勝てないと悟ったのか、ヴァニタスはソラ達よりも後方に飛び退き、鍔迫り合いを終わらせた。
「さすがに四人相手は無理だわ。兄弟の顔も見れたことだし、俺は帰らせてもらうよ」
「待てヴァニタス!」
そう告げるヴァニタスに対して、ソラが走りながら近づいてキーブレードを振るうも、掠りもせずにヴァニタスは瞬間移動で逃げおおせた。逃げ足が早いのはそのままなのね。
ソラはヴァニタスに逃げられ悔しそうに唸り、ドナルドとグーフィーに宥められている。一方で腰が抜けて座り込んでしまっているアクアさんは、俺の後ろでヴェントゥスにまた肩を貸してもらいながら起き上がっていた。
「…………」
「「………………」」
どうしよう……この状況。この前と違ってヴェントゥスとアクアさんが俺を見てるから、クールに去るぜ……ができないんだけど。二人ともめっちゃ見てくる。誰か助けてクレメンス。
「そうだっ! アクア、ヴェントゥス、大丈夫!?」
ッ!二人の意識がソラに向いた今がチャンス!やっと、この場からクールに去ることができる……助かったぜソラさんよぉ!!
★★★★★★★★★★
はい。ということで、あの場から逃げてきました。え、俺が今どこにいるのかって?それはね…………
「君も、ここによく来るね」
「まあな」
終わりの世界さ!ウユニ塩湖をモデルにしたであろう風景が広がる世界!これ以上先がなく、死にきっていない奴が辿り着くとされる世界!
ここは闇の世界以上に人が来ないから、緊急避難先に最適なんだよね。闇の世界と同じように時間の流れもないし。
「それで、今回はいつまで留まるつもりなんだい?前は1ヶ月くらいはいたと思うけど」
この世界で俺以外に唯一形を保ち、色もある存在のチリシィがそう言ってきた。
はてさて……何も考えずに来たからな……。何も考えてないや。……同じこと2回言ってるな俺。
いや、マジでどうしようかな。ぶっちゃけこの後って、ソラが過去に戻ったうえでハゲノートに負けさえしなければいいからな。クァッドラトゥムへ行くために、カイリがバラバラになる必要があるから心配だけど……それは魔法使えばこっからでも確認できるし。最悪の場合は俺が……まぁいいわ。
「ん〜、今回はそう長くはいないかな。キーブレード戦争とその行方を見るだけだからね、せいぜい三日くらいか?」
「キーブレード戦争…………君は参加しないの?」
「ああ、面倒なことになるから参加しない」
この顔はキーブレード戦争前の守護者達にも、ゼアノート側にも見られる訳にはいかないからな。それに……俺が参加したら戦争じゃなくなっちゃうしね。
やたらと瞬間移動を多用していたヴァニタスさんは、モンスターズインクでのことがトラウマになっているのかな?