とある有名キャラの崩壊があるため注意してくだい。
私が課した使命がついで扱いされている件について
「「「「ワアアアアアアア!!」」」」
「「「「キャアアアアアア!!」」」」
舞台に現れた俺を迎えたのは、ドーム内全ての席に座り歓声を上げるファン達。
デビュー当初は、他人の曲をさも自分の曲かのように歌うことに、多少罪悪感はあった。だが、こんなにも素晴らしい曲があることを伝えたかったんだ。
「お前達ー!! 私の歌は好きかー!!」
「「「「ワアアアアアアア!!」」」」
「ポケモンは好きかー!!」
「「「「ウオオオオオオオ!!!!」」」」
腹の底から声を出し、大きな声で観客達問うていく。
俺が広めた歌は好きになったか?ポケモン達のことは変わらず好きなままか?
観客達は言葉ではなく……先程よりも大きい心からの歓声でもって、俺の問いに応えてくれた。
ならば、お前達の声に…………俺も応えよう。
「ゴリッ!」
「ストッ!」
「ピカッ!」
「チルッ!」
「コロトッ!」
「『問題ない』」
俺がそれぞれの位置についたポケモン達に視線を送ると、みんな「大丈夫だ」や「問題ない」と返事をしてくれる。準備は万端なようだ。
なら、あとは俺が歌うだけだ。
「それじゃ1曲目、行くぞー!!『めざせポケモンマスター』!」
「「「「キャアアアアアアア!!」」」」
★★★★★★★★
時は少し遡る。
イッシュ地方に存在するエンターテインメントの中心地、ライモンシティ。テーマパークやポケモンミュージカル、ポケモンスタジアムやバトル検定などがあり、「娯楽都市」や「ポケモン勝負のメッカ」とも呼ばれることがあるライモンシティには、いつも多くの観光客とポケモントレーナー、コーディネーターなどで溢れかえっていた。
しかし、今日はいつもと違い……ライモンシティに存在する巨大なドームで、とある世界的人気の歌手の大規模なライブが開催される予定があるため、ライモンシティに来る観光客の人数は通常の倍以上になっている。
「フフッ。見ろ、お前達。人が多すぎてまるでゴミのようだ…………」
ある場所からドームの中に次々と入ってくる人々を見て、傍で控えているポケモン達にそう話す一人の女性がいた。とある大佐の台詞を少しアレンジしているが、残念ながらポケモン達は元ネタを知らないため、反応は薄かった。
彼女は若くして性別を問わず見るものすべてを魅了してしまうような美しさをもつ有名なポケモントレーナーであった。
「お前達、今日のライブもハデにきめるぞ!」
同時に、彼女は今日ライモンシティのドーム開催されるライブの主役である歌手でもあった。
彼女が己のポケモン達に強くハッキリと……まるで宣言するかのように伝えて控室の方へと向かうと、ポケモン達もそれに応じて雄叫びを上げ、女性の向かった控室へと歩き出した。
近くにいたライブのスタッフは、突然ポケモン達の雄叫びが鳴り響いてビックリしたそう。
★★★★★★★★★★
俺は小さい頃、兄弟から突然ポケモンのゲームを渡されて、それからポケモンというジャンルが好きになった。新しいシリーズのポケモンが発売する度に買っていたし、アニメも全部ではないが視聴していた。ポケモンはストーリーもいいし、ゲームやアニメに使われてる曲、アニメの主題歌も素晴らしいものが多いところが、俺がポケモンにハマったキッカケだったと思う。
あの日は、新発売のポケモン……パッケージ版を買うために家を出た。だが、目的地に向かう途中の横断歩道で、信号無視の車に轢かれて死んだ。
悔しかった……新しいポケモンをプレイできずに死んでしまうことが。悔しかった……ゲームに合わせて新たな地でのサトシの冒険が見れないことが。…………とても悔しかったんだ。
結局俺は、その日何もできずに意識を落とし、命も落とした。
しかし、命を落とした筈の俺は再び意識が戻り、真っ暗闇の中で見覚えのある生命体と対面していた。そいつは俺に、全てのポケモンと出会えなどと言い、俺を光の渦の中に突き落とした。私は邪神ではないとか言ってもいた気がするが……言うだけ言って何の説明も選択肢も与えない時点で良い神ではないだろう。
そうして次に目を覚ました時、俺はポケモンの世界(現代)に転生していたッ!
あの神の見た目や言葉から薄々気づいていたが、案の定だった。ヒスイ地方でなかったのは幸いだったが、前世と違って性別が女になっていたことがキツかった。今は問題ないが、成長するにつれて男の時とは色々と異なる部分が多くなるから慣れるまで大変だった。主に生理関係と服。
両親が俺にデレデレだったのとそこそこ金持ちだったから、生活は豊かで世間の常識や情報を集めるのも容易かった。それで調べた情報によると、この世界はどうやらアニメとゲームが混ざっているようで、レベルの概念やゲーム及びアニメにしか登場しない土地などが存在していた。
まぁ、そんな些細なこと今はどうでもいいことなのだが。重要なのは成長し、ポケモントレーナーとして各地方を旅した後だ。
十年以上この世界で過ごして、俺はついに気づいたんだ。ポケモンコーディネーターやミュージカルなど、ポケモンに主軸を置いた娯楽は多いのに、それ以外が少ないことに!
特に音楽だ!ポケモンが歌って踊り、それに合わせて人間が楽器を演奏することはあっても、その逆は極端に少ない。何故だ?人間はポケモンに洗脳でもされたのか? 前世で存在していたような素晴らしい音楽はほとんどない。楽器演奏のみに絞れば、ゲームの時の曲もあって良いものもある。だが、歌はマジで少ない。
故に俺は、前世で好きだった歌……特にポケモンの主題歌を広めることにした。幸いこの世界での俺には才能があったようで、あっという間に数少ない歌手としてデビューすることができた。
歌手となって再び各地方をゲットしたポケモン達と一緒に旅しながら、いろんな人々に歌を広め、時には地方専門のアイドルやジムリーダーでもあるホミカと一緒に歌うこともあったな。ホミカは俺が今いるイッシュ地方でジムリーダーを務めながら歌手もやっているから、同じ歌手として尊敬している。
そして紆余曲折あって、俺はついに世界的人気歌手に至ることができた。
神に課された使命? そんなことより音楽だッ! 歌うついでにやってやるよ!
★★★★★★★★★★
僕は今日のライブを特等席で聴くために、チャンピオンとしての権力を全力行使してチケットを購入した。
多くの熱烈なファンがいる彼女のライブのチケット発売は、毎回開始前から長蛇の列を作り、開始して3時間程度で売り切れてしまう。ライブを行うその地方のみでの販売なのにだ。一応、ネットの方でも彼女の運営するサイトから購入が可能ではあるが、こっちは開始して数分で売り切れてしまう。
本来であれば、僕もネット……或いは現地に行って直接チケットを購入するべきだ。だが、僕は確実にチケットを手に入れたかった。彼女の歌う曲に、僕は感銘を受けたからだ。
彼女の曲を……歌を知るまで、僕はポケモンと石達以外には興味を持つことが難しかった。音楽……特に歌なんて、興味がなかったから殆ど知りもしなかった。でも、ある時偶然彼女の歌を聴いて、僕は変わったんだ。
彼女の音楽は……曲は、なんて素晴らしいんだ!彼女はなんて綺麗な歌声なんだ!こんな素敵なことが存在していたのか!
音楽を殆ど知らない当時の僕が、彼女の歌を聴いて初めて思ったことさ。
それから僕は、彼女がいろんな地方でライブを行う度にチケットを購入し、彼女の歌を直接聴きに行くようになった。毎回チャンピオンの立場をフル活用できるわけじゃないから、時にはチケット争奪戦に敗れてしまうこともあったけどね。
「〜♪ 〜〜♫ ーッ!」
「「「「ワアアアアアアア!!」」」」
今、彼女が歌っているのは彼女がデビューした時の曲だ。僕はその時は彼女と出会っていなかったから、残念ながら聴くことができなかったけど、彼女はライブの度に必ず最初にこの曲を歌う。
ポケモンマスター。ホウエン地方のチャンピオンである僕でさえ聞いたこともなかった言葉。彼女にとってこの言葉は、一体どういう意味を持つのか。
「この世に存在する全てのポケモンと出会い、全てのポケモンの知識を得て、神すら従える存在」
そう彼女は言っていた。全く途方もない存在だ。でも、チャンピオンになったことである程度満足してた僕にとっては、新しく目指してみようと思う目標になったんだ。目指してみようじゃないか、ポケモンマスター!
まぁ……それはそれとして、今は大事な彼女のライブに集中するけどね。…………素敵だー!!
こういうキャラがいてもいいんじゃないかなって思った。