黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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この話で一回目の予約隔日投稿は終了。
未来の作者が隔日更新を続けていることでしょう。


9話 サバイバル生活3

 全員がそろったため、一度結果報告をすることになった。

 いつの間にか完成していたログハウスに入ると、内装はさすがに殺風景であった。

 

「内装なんてパソコン内の家具を適当に置けばよかろう?」

「アイちゃんは黙ってて」

「むう」

 

 アイには美的センスがかけている。どちらかと言えば機能性重視で、私の家で色が単色の部屋を作り、何も違和感を感じていないところがある。内装はルチアに任せればいいだろう。

 大きな円卓の机にいすを並べて報告しあう。

 

「まずは私から。きのみは適量水を与えると数時間で回収が可能だね。回収後は枯れるけど。水を与えすぎても枯れる。感覚的では水を与えなくても1日で生える感じだね。あと特定のきのみを組み合わせて埋めると木になる。木は枯れることなく一日に複数のきのみが実りそうだね。アイ、今度水を引いてもいいかな。何もしなくても適量の水が含まれる畑にしたい」

「任せるがよい。ついでにきのみを自動回収、自動栽培できる仕組みも作ろう」

 

 私の成果について報告する。摩訶不思議きのみは生態も摩訶不思議であった。

リラから質問が上がる。

 

「ならすべてきのみのなる木にすればいいと思うけど?効率はいいだろう。わざわざ収穫すると枯れるきのみを作る必要があるかい?」

「それも考えたけど、質があまりよくなさそうなんだ。質の高いきのみを作るには枯れる方のきのみ栽培が必須になる。適当に高級きのみって言うけど、こちらは薬などに。木に実る方を食用にしたいかな」

 

 あと高級きのみは味が尖りそうなのである。すべてが食用には向かないだろう。その分効果が高そうだ。

 

「なら次はボクから。交渉はうまくいったよ。緊急時にスボミーを匿うことになったけど、友好関係が築けるのなら安いものだろう」

 

 やはり交渉はリラが一番である。このまま友好関係を深めていって、いずれ仲間に引き込みたい。戦力も労働力も現状足りなすぎる。

 

「うむ。では最後は我だな。見ての通りログハウスは完成だ。現在はヘイガニ対策にいそしんでいる」

「でも作っているのはパーツ的に水車だよな」

「うむ」

「????」

 

 水車でヘイガニ対策?私には訳が分からない。他のみんなも首をかしげている。いや、ダイゴさんは何かに気が付いたようだ。

 

「もしかしてだけど音かな?水中の生き物は視覚よりも嗅覚や振動による触覚を頼りにしている。うるさいものがあれば生活しづらく離れていく。さらに少し離れれば弱い音につられて獲物が寄ってくるかもしれない。安全と食料調達の二つを合わせた策か!!」

「う、うむ。いやそこまでは考えては…ただ音は公害にも指定されるものだ。我が水車の音を水中だけに流れるようにすれば、我々も問題ない」

「「「おお」」」

 

 なるほど、自信満々に言うだけのことはある。ただ問題が、アイがここまでプレゼンするんだ。何かしらの欠点はあるだろう。問題ないなら勝手につけているはずだ。ホウレンソウは最低限のやつなのだから。

 

「問題はヘイガニたちが逃げるまでに、大勢で襲ってくることだろう」

 

 案の定である。でも、放置できる問題ではない。

 

「いつからできる?」

「今すぐにでも」

 

 私の問いにやりと返すアイ。時間をかければ何が起こるかわからない。ならば手早く安全を確保したい。

 

「やろうか」

 

 

 

「今回はスピード勝負の防衛線となる。ゆえにダイゴさんのメタングを貸してほしい念力により一瞬で組み立てて見せよう」

「かといって電動ドリルでも使えば音でヘイトがそっちに向くよ?」

「参謀よ。誰がそんなものを使うといった。すべてはめ込み式さ」

「ズレがあれば時間がかかりそうだね」

「ダイゴさんよ。我にその心配は無用なり」

「結局何時間かかる?」

「盟友よ、三十分で終わらせて見せよう」

「さすがアイちゃん!!」

「であろう!!!」

 

 アイが言うのだから本当に三十分で終わらすのだろう。無茶だろうが無理とは言わなかった。ならばあいつを信じるだけ。

 ちなみにダイゴさんはロトムを借りるようだ。

 

 そして全員が所定の位置につく。私はサザンドラ戦以来の戦闘だ。隣のウインディに目を向ければ、信頼のこもった眼で返される。

 まったく、私のところが一番激戦区予想なのに困ったものだ。というか、炎タイプに水タイプのヘイガニの激戦区を普通任せるのか?

信頼のあかしと受け取っておこう。

 

「なあ、ウインディ。今後あさのひざしを常時発動できるようにしないか?」

「わふ?」

「これからあのサザンドラを超える敵が出てくるかもしれない。対抗するにはこちらも異常個体を目指す他ない。ならば特別なことをしないといけないだろう。私たちは全員の盾で鉾でもあるのだから」

「ガウ!!」

 

 無茶を言っている自覚はある。それでも今後生き残るにはどん欲に力を追い求めるしかない。だからこそ

 

「行くぞ!!」

「ガウ!!!」

 

 私たちは川に飛び込んだ。

 

 

「かみなりのキバ。尻尾でアイアンテ、いやしんそくで距離を取れ」

 

 ウインディはかみなりのキバで噛みついていたヘイガニを、攻撃してきた別のヘイガニにぶつけて、しんそくで距離を取った。

嚙みつきと足と尻尾で器用に戦うウインディ。ただし多勢に無勢。

 ヘイガニの群れは数が多かった。群れを相手するときは囲まれないを第一と考えて行動する。危ないときは上空からチルットが助けることになっているとはいえ、余裕は見せれない。どうしても体力温存の方針となる。

 そうすると今度は殲滅力が足りなくなってくる。一進一退の攻防が続く。

 そのまま場面は第二フェーズへ移行する。

 

「全員、組み立てが完了したぞ!!」

「「「!!」」」

 

 アイの言葉に私たちは水車を囲うように防御陣形を取る。そして、ヘイガニたちも目の色を変えて迫ってきた。公害音作戦は有効のようだ。

 ヘイガニの標的が私たちから水車に移る。この瞬間を逃がす手はない。

 

「ウインディ!群れの密集地帯にもえつきる!!」

「ガウ!!」

 

 もえつきる。非常に強力なほのお技だが、代償として一時的に炎タイプを失う。タイプ一致が放てなくなるのは大きなリスクだ。ただしこの場合は違う。水タイプという明確な弱点がなくなるということだ。

 さらにもえつきるによって、水面に大きな水しぶきが上がる。標的を見失ったヘイガニたちが動きを一瞬止める。このチャンスは逃がせない。

 

「ウインディ!ワイルドボルト」

 

 大技ゆえに隙も大きく反動もある。しかし、隙は動きが止まった今は問題なく、反動はあさのひざしで補える。

 雷の閃光が走ればほとんどのヘイガニたちは倒れていった。

 このまま押していけるか、などと考えたのがフラグだったのか川底からさらに大きいザリガニが現れる。

 ならずものポケモン、シザリガーだ。今の私たちよりも格上の雰囲気を出している。

 

「メタング、かみなりパンチ」

 

 シザリガーの雰囲気に当てられたのか、ダイゴさんが指示を出す。いつの間にポケモンを元に戻していたのか?ただ安易に距離を詰めるのはよくない。

 シザリガーの振り下ろしの一撃でメタングは川底にたたきつけられた。

 たぶんはたきおとす。それにしては威力が高い。こいつの特性適用力じゃないか?

 弱点を突けば、メタングすらノックダウンさせる一撃を持つシザリガー。

 ならばやることは一つ。全員での総攻撃。

 

「ロトムでんじは!!」

 

 アイから絶妙な支援があった。

 ロトムのでんじはがシザリガーに入る。これで動きが鈍くなる。

 

「ウインディ!じゃれつく」

 

 ウインディが距離を詰めるが、シザリガーはまたしてもはたきおとすの構えだ。なるほど、麻痺っていても接近戦のカウンターならあまり意味がない。麻痺によるスピードの半減は問題ないようだ。もっと早く知りたかった。

 カウンターの餌食になるぞ。

 

「チルル!おいかぜ」

 

 ここで絶好の手助けが入る。追い風により速度が上がったウインディを、目測を誤ったシザリガーでは迎撃できない。じゃれつくの直撃が入る。

 ただ相手も並みではなかった。じゃれつくを受けながらも今度は逆の手で攻撃しようとしている。今度はクラブハンマーか。

 

「浮上しろ!メタング!!」

 

 ノックダウンはされていなかったか!タイゴさんの機転により、完全にメタングのことは頭から抜けていただろう。ウインディの足元からメタングが現れる。

ウインディごと空へ上り、クラブハンマーをかわす。

 

「ウインディ!メタングを足場にさらに空へ。そこからワイルドボルト!!」

 

 ウインディが私の指示通りにさらに空高く飛ぶ。位置エネルギーの合わさったワイルドボルト。当たれば一撃で落とせるだろう。当たればだが。

 シザリガーも当然迎撃の構えだ。麻痺下では躱せないと判断したのだろう。

 

「おいおい。ボクたちを無視して空なんか見上げていいのかい?三方向からにどげり!」

 

 三色の一撃がシザリガーに突き刺さる。無防備な体に強烈な一撃が突き刺さる。

 これで完全に体制は崩れた。

 

「いっけええええ!!!!」

 

 空から雷の一線が落ちてきた。

 

「ガウー!!」

 

 ウインディの足元には倒れ伏すシザリガーの姿が。

 ウインディが勝鬨を上げる

 ウインディの一撃がシザリガーを沈めたのだった。

 

 

 その後は大将のやられたヘイガニたちはちりじりになって逃げていった。

 私たちは死体となったシザリガーやヘイガニたちを集める。このご時世、いただいた命を残すわけにはいかない。少々量が多いが、その日の夕食はザリガニパーティとなった。

 

「うん、それにしてもなんで進化しているの?!」

「ブーイ?」

「シャー?」

「シー?」

 

 そう、私は最後のにどげりの時しか見ていなかったが、イーブイ達がブースター、シャワーズ、サンダースに進化していたのだ。進化の瞬間見ていないんだけど。

 

「川で戦っていたら急に光るんだもの。ボクもびっくりしたよ」

「川底には進化の石がたまっているのか?」

「今の川の底にはどんな未知の石が…いこう。今すぐ探しに行こう!!」

「ダイゴさん!!もう日が暮れていますって」

「…なぜ私だけ進化の場に立ち会えないんだ。もう三回目だぞ」

 

 結果として戦力アップになったのだから良しとしよう。

 

 

 

 

 翌朝。

 まだ日が上がっていない時間帯に、目が覚めると巨大な水車が三台並んで回っていた。その動力を使って、物を素早く均一に削る旋盤や空気を送り込むことで製鉄するかまどや巨大なガラス瓶に金属の板が入った旧式の電池がつながっている。電池の先には、まだ製作途中の鉄のタワーが出来ていた。

 うん。一晩で何が起きた?!

 

「おはよう盟友。どうした?打ち上げられた鯉のような顔をして」

「いや、おま、これ」

「ああ、すまんな。この電波塔を完成させてから見せたかったのだが、さすがに眠くて。また起きたら続きをするのでな。我らの第二段階に進む時がもうすぐ来るのさ」

 

 私たちの第二段階。生活基盤が出来たら全国にポケモンの情報をお届けする。

 もちろん目標にしてはいたけど、ポケモンパニックが始まってから、まだ5日目なんだけど…。

 やっぱりチートだ。チーターや。

 




シザリガー(ヌシ)LV45

突然、広大すぎる河川に群れごと転移させられ、
分不相応な土地を一人で収めることになった群れの主。
全てを治めることをさっさと諦めて、
住みやすい土地のみに注視すればもっと強くなり、生き残ることが出来た。
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