黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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作者はちゃんと書いていたみたいです。
10話前後投稿します。


10話 小話

ザリガニパーティー

 

 ヘイガニ掃討を完了したころ、私たちは大きな問題に立ち会うことになった。

 

「どうやって食べよう?」

 

 水から引き上げたヘイガニは数十匹に上る。一匹一匹が大きいため、山のようになっている。こんなご時世である。放置はあり得ないし、全部食べてあげたい。

 

「ふむ。これだけの量だ。火の問題は我に任せろ」

「そんなこと言って逃げ…もう居ないんだけど!アイちゃん!!」

 

 ピューなんて擬音語が似合うぐらいの逃走術である。それを見たルチアが憤慨しているが、さもありなん。

 ただ、このままではいられない。さすがに生では食べられないため、処理が必要となる。

 

「さて料理やりますか」

「「「…おー」」」

 

 今までで一番心のこもっていない返事であった。

 

 

 

 

 

 幸いというべきか、比較的川がきれいなためかヘイガニそのものが泥を体内に入れないのか泥臭さはなかった。ただ、ポケモンの調理は我々の想像を超えていた。

 

「ギャー!!目が!デカい!白い!」

「落ち着けルチア。魚だと思え!魚も目が大きいだろ」

「イヤー!」

 

「この大きさじゃあ、鍋には入らないな。部位ごとにカットしないと」

「ダイゴさん。頷いていないで手伝ってください」

「っう。僕は初めての料理なんだけどなあ」

 

「ユウ。新しい包丁貸して」

「おう。…て、リラ!目が死んでいるんだけど」

「アハハ。ナニヲイッテイルノカナ?」

 

 なんだかんだと、調理が進んでいく。一番の問題は外皮が固く包丁が入りずらいことだろう。結局ポケモンたちの力を借りることで、下処理が完了した。

 人の力は無力なり。

 

「皆の者ども!ご苦労!!」

「「「ほんとだよ!!」」」

 

 

 

 

 

 

「おいしい」

 

 塩ゆでにされたヘイガニたちは、さらに鮮やかな赤色になり、その味はエビに近かった。

 ヘイガニではなく、ヘイエビとでも改名するべきだろう。姿もエビだし。

野生動物を狩る経験は、このような状況になると考えていた私たちは獲得している。ただ、本当に命のやりとりをした生き物を食べる経験はない。

 何とも言えない感情がこみあげてくる。こうして生きていくんだなあ。

 

「一匹で十分なんだよね」

 

 リラの言葉に現実に戻される。後ろには山になったゆでられたヘイガニたち。これを私たちで消費するのは無謀だろう。

 

「ご近所に配ろうか」

「それはドクケイルやスピアーにも?」

「良き隣人に成る可能性は捨てたくないからね」

 

 

 

 

 友好的なロズレイドたちにはルチアが、関係の薄いドクケイルたちにはダイゴさんが、敵対的なスピアーには私とリラが配りに行くことになった。アイは居残りで住居の拡張に努めることになった。

 

「他のみんなは大丈夫かな」

「私たちが一番危険だけどね」

 

 アイ特注のリアカーにヘイガニをのせスピアーの住処に向かう。これで友好的になれば儲けものだろう。そんな期待と不安を感じながら歩いていると、数匹のスピアーが向かってきた。哨戒だろうか。一匹のスピアーが他のスピアーを引き連れている。ずいぶん組織的な動きをする。

 私は前に出て交渉する。

 

「私たちはそこに住んでいる人間だ。食料を手に入れたので分けに来た。君たちとは有効な関係を築けたら嬉しい」

「ブーン」

 

 スピアーたちは警戒を緩めることはなく、それどころか戦意を高めているように見える。それに反応してウインディたちも戦闘態勢に入っている。

 結果は分かり切っているが一応、ポケモンの気持ちのわかるリラに聞いてみるとしよう。

 

「…リラ。なんて?」

「ボクたちも餌に成れってさ」

「残念だなあ!!!ウインディほえる!」

「ガウウ!!」

「ボクたちはスピードスター」

 

 一気に攻めてこようとするスピアーの気勢をそぐように、ウインディのほえるがささる。そこにブイズのスピードスターが敵全員に当たる。キラキラした星は目くらましにもなる。

 

「ユウ!殺したらだめだよ!弔い合戦になる」

「わかっている!ウインディ、ほのおのうずで足止めを」

「僕たちもまねっこでほのおのうずを!」

 

 四つのほのおのうずがリーダー格のスピアーたちを包み込む。他のスピアーも動かない。

 

「逃げるぞ」

「うん」

 

 荷物は捨てることになるが、命には代えられない。今はまだスピアーに敵対できる準備はできていないのだ。残念だがここで今回は終了のようだ。

 

 

 

 

 

 

 うまく退散できた私たちは、他の仲間に合流することが出来た。ダイゴさんも問題なく渡せたようだ。お礼にきのみを貰っている。

 問題はルチアだろう。

 

「なんで一番友好的なところに行ったルチアのチルットがチルタリスになっているんですかねえ!!戦ったのか!」

 

 ふわふわな羽をもつ、はみんぐポケモンチルタリス。ルチアは苦笑いをしている。

 

「いやあ、急に戦いたいってさ。たぶんこちらがもうすぐ進化することが分かったんじゃないかな。お礼らしいよ」

「すごいね」

「なんでユウは悔しんでいるんだい」

「盟友はいまだ直接進化を見れていないからだろう」

「チクショー!!」

 

 一番進化が見やすいと思っていたのに。私の無意味な叫び声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

探索

 

「さあ!みんな!!石探検の時間だ!!!」

 

 ヘイガニたちと撃退して一日たった後。ダイゴさんが元気よく宣言する。朝食の席なので落ち着いてください。

 

「土産に期待しているぞ」

 

 仮眠をとったアイは無慈悲に宣言する。というか今日も4時間も寝ていないんじゃないか。いつか倒れるぞ。

 

「アイ君!未知の石が眠っているんだ!!」

「ダイゴさん。もうすぐ完成する電波塔に電気を家具に使えるようにする変圧器。向こう岸にかかる橋づくりと、我は暇ではなんだがな」

「でも「はいはい。大きな子供にはボクが付き合いますよ」リラ君」

 

 進化の石が川底にあると知ってから、たびたび目線が川に行っていたのは知っていたが。なるほど予想以上の石好きだな。3月の水温は、かなり冷たいぞ。

 そしてアイは、相変わらずモノづくり。向こう岸は広い平地にその先は森となっている。何が住んでいるか不明だが、平地に姿を現さないところを見ると、森にすむポケモンがいるのだろう。平地は私たちが有効利用させてもらう。平地にあるフットサルのコートはポケモンバトルに最適だと思っていた。

 

「わたしは新作の歌の練習をするとして、ユウは?」

「私はこのあたりの地理を確認してくるよ。大丈夫無理はしないさ」

 

 現状私はあまり周りを知らない。ポケモン出現前はまだわかるが、ポケモンの影響がどこまで現れているかわからない。特に私は意識を失ってここにたどり着いている。今後の事を考えると、直に見ることも大事だろう。

 アイ、だからって無言でバックを押し付けてくるな。いろいろなものを拾って来いって?え、入れたものがパソコンに繋がるようになっている?

 おまえ、いつの間にそんなものを。

 

 

 

 

 

「お、青いイチゴだ。チーゴの実だっけ?にが!!!」

 

 ウインディを伴って、林をめぐる。時々実っているきのみを収穫していく。一応検食を行っているが、さすがにきのみの味までは覚えていないので、このようにイメージと異なる味に驚くことがしばしば。一応毒対策にももんの実を持ってきているが、甘いももんのみは、もっぱら口直しに使っている。

 

 探索のほうも順調であった。中でもスピアーの巣が発見できたのは大きいだろう。遠目から見たらただの木であったが、よく見ればハチの巣ならぬハチの木であった。双眼鏡を覗けば巣をうじゃうじゃとスピアーが動いていたのは鳥肌が立った。あの数を支える食料はどこから来ているのか。人の頭蓋骨らしきものが転がっていることが答えか。いやになってくる。

 ただ、統制が取れすぎているのは気になる。ポケモンは人に友好的や無関心が多い中、あれほどの数が人と敵対している。すべてのポケモンが人間と友好的とは言えないが、人を積極的に襲うのはスピアーのリーダーがそういう性質なのか。スピアー攻略にはそこがカギになりそうだ。

 

 

「…」

 

 上流に行けば私たちは無言になった。そこにかかっていた大きな橋は完全にぐずれていた。いやな記憶がよみがえってくる。

 あれほどの存在が人を襲っているのだ。今も被害があるのか、傷を癒しているのか。いずれ雌雄を決さなければいけないだろう。

 決意を新たに、崩れた橋を越えていく。

 

 

 半日ほどかけて、あたり一帯を確認した。残念ながら人の生存者には出会うことはなった。まあ、いたとしても息をひそめているだろう。そう簡単に出会うことはなかった。

 一方廃墟を歩いていると野生のポケモンも少ないように感じた。むしろ自然の多い場所のほうがいるように感じる。少ないだけでいないわけではないので、相棒を連れて行かないとあっという間に蹂躙されるだろう。

 町の中は餌が少ないのか飢えたポケモンが襲ってくる。今のウインディには鎧袖一触であった。きのみが食料としてあるため、積極的に命を狩ることはしない。

 こんな世界なので、逃げたポケモンが他の人を襲ってもそこは自己責任で考えている。ドライかもしれないが、関係のない人とポケモンとの関係で比べれば後者に傾く。彼らを殺して別のポケモンが縄張りにするぐらいなら、私に畏怖を持っているポケモンが近くにいたほうがいい。

 

「ウインディ。かえんぐるま」

 

 今もグラエナが吹き飛ばされる。いくら進化していても骨が浮き出ているポケモンにウインディが押し負けることもない。

 さっさと立ち去ろうとすると、茂みから数匹のポチエナがグラエナを囲んで威嚇してきた。そのポチエナも痩せている。なるほど、事情は把握した。

 私はため息をつきながら近づく。

 

「ガ!!」

「大丈夫だよ。これでも食べなよ」

 

 私がいくつかきのみを差し出すも警戒心から口にすることはない。口からはすごい涎が出ているが。

 

「私もリーダーをやっているんだ。仲間を守るのは大変だよな。いずれ何かで助けてくれたらいいよ」

 

 私が少し口にして毒がないことを見せて差し出せば、ポチエナたちは群がってきた。そのまま私の顔までなめてくる。

 

「はいはい。お前も食べなよグラエナ」

 

 ポチエナたちを撫でながら、グラエナに促す。

 そうしてグラエナもきのみを口にする。よかった。

おい、ウインディ。なんだそのあきれた目は。そう、これは、あの………。

 

 その後近くの空き地にきのみの木をいくつか植える。これで食糧事情も何とかなるだろう。誰かを守るためには、人もポケモンもどこまでも非情になれる。定期的な食料があれば彼らも人を襲わなくなる。だからこれで正しかったのだろう。そうなのだ。だからいい加減その目をやめてくださいウインディ。

 

 

 反対側の森にも入ってみた。ここはミツハニーしかいなかったのは印象的だった。ミツハニーたちは友好的で、きのみと蜜を交換までしてくれた。ただ、ボスのビークインは何やら女王体質で、偉そうであった。これではほどほどの関係で収めたほうがいいだろう。

 ちなみに持ち帰った蜜は女性陣に没収されました。まる。

 

 

 帰るときはいつの間にかできていた木の橋を渡った。即興で作ったはずの橋は丈夫で、ちょっとの事では壊れそうにない。

 そうやって帰れば何やら外で怪しげな踊りをしている4人を見つけた。何してるの?

 

「帰ってきたか盟友!!見よダイゴさんのお土産を」

「なんだ、ってこれキーストーンか!」

「こちらにはメガストーンもな!!」

「本当か!?複数あるぞ!…でもこれ無色だぞ」

「考察するに本当の初めはこういうものなのではないか?身に着けていればいずれメガシンカに至るとか?」

 

 夢が広がる。メガシンカは絆の力が十分にあれば、リスクを減らして使うことが出来る。

 メガストーンもキーストーンも数は十分ある。他にも進化の石が複数そろっている。この川がすごいのか、それともすべての川がこうなのか。これは大発見だ。

 

「勘違いしないでくれよユウ。ボクはこのリーフの石一つしか見つけてないから」

 

 おかしいのはダイゴさんらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本事情

 

 ついにインターネットに接続することに成功した。やはりアイはチートの塊である。

 その日の夜は集まって、一番気になっている現状の情報収集になった。

 

「さて順番に説明していこう。ポケモンに有効な手立てを打てた場所は無し。あとたまにポケモンの名前が挙がっていることから、他の転生者が頑張っているところもあるようだ。日本政府は東京から撤退して東北に拠点を置いているらしい。いち早く逃げたので不信感はすごいな。なぜ東北なのか」

「あー。私が堅牢な拠点を作ったからかな。こういう使い方をされるとは思っていなかったけど」

「なるほどな。東北にいるポケモンは山を主に生息しているので、人里の被害は今では少ないようだ。反対に食糧不足で関東はかなり混沌としているな。人同士の争いもあるようだ。近畿は何やら転生団とかいう集団が牛耳って好き勝手やっているらしい。まったく。四国中国もあれているな。ここ九州は細かいグループが分かれている現状だ。よく分からないのは北海道だな。常に雪がふぶいて人とポケモンが協力して何とかしているようだ。ある意味一番平和か?」

 

 わかっていたがかなり混沌としている。早めに何とかしないと人とポケモンの間に溝が出来てしまう。

 

「私たちは第二段階に移行し、全国に正しい知識を与えていく。幸い私たちにはロトムという図鑑を内包したしゃべれるポケモンがいる。これで信憑性は上がるだろう。アイ、ホームページの作成と情報のアップデートを」

「問題ない」

「ルチア、君の存在が視聴率に直結すると思って」

「わたしはアイドルだよ!」

「リラ、引き込むような台本をお願い」

「まったく。無茶を言う」

「ダイゴさん。子供の私たちでは信頼性は得られにくいでしょう」

「僕もまだ高校生だけどね。任せてよ」

「みんな、私とアイのわがままに付き合ってくれてありがとう。これからもよろしく」

「「「おう!!!」」」

 




実は、難易度が一番高いのは北海道。
日の光は地表に届かず、きのみも育たず、炎タイプも少ない。
常に吹雪いているが、なぜか3m以上は積もらない謎の吹雪。
どこぞの神の怒りかも?
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