黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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本日ポケモンカードの最新弾発売!!
ポケカは絵も素晴らしいので、一度は見てほしい。
高いカードのほとんどは絵違いなだけで、
デッキを組むだけならそんなにお金がかからないのが
ポケカのいいところ。(作者はコレクターです)


11話 配信開始

 ついにこの時がやってきた。ポケモンパニック7日目。予定よりもいささか早いが昨日一日を準備に当てて今日を迎える。後はやるだけだ。

 

「さあ!丸太は持ったか!」

「持っているわけないでしょ」

 

 

 

 私たちは以前から持っていたアカウントを使い、事前に告知を行っていた。その成果もあり、生放送の待機所では1000万人が待っている。途中で処理落ちしないか、これ。

 これはルチアの知名度だけでなく、告知の概要欄に貼ってあったリンク先にある自作サイトで、ポケットモンスターの情報を惜しみなく公開していたからだろう。

 ポケモンについてや、ポケモンの種類など今必要不可欠な情報盛りだくさんになっており、わざと具体的な信憑性は書いていない。注目度は抜群である。ちなみにわざと伝説の情報は省いている。今後のことを考えると悪の組織の温床になる事柄はできるだけ省いていきたい。

 

 画面が付けばコメントが一気に流れてきた。しかし、画面には誰も映っていない。

 初見は?などコメントしているが、昔の動画を知っているものには見慣れた光景だ。ルチアの登場はいつも派手だからだ。

 

「キラキラ~!くるくるー?って、ルチアが登場!!」

 

 今回はカメラの後ろに台を置き、そこを踏み台に前転を行う。着地もポーズも完璧。これをリハーサルの一回だけで成功させるのだから、さすがの一言だ。

 

『きちゃ』『ルチアちゃんだ』『生きてた!!』『キラキラ』『くるくる』『また会えた』『うおおおお』

 

 つかみはばっちり。元気はつらつな10歳は友好的に迎えられた。

 

「元気な人も、そうでない人もルチアが元気にしてあげるから。今日の生放送もよろしくねえ」

 

 ああ、リラが頭を抱えている。確か台本はみんなにまた会えてうれしいみたいな内容だったはず。こんな世の中だ。できるだけ刺激の少ない言葉で台本を書いていたはずだ。

 まあ、ルチアが台本通りにしないなっていつものことだ。いい加減なれればいいのに。

 

「さあ、飛ばしていくよ!みんなも気になっているメンバーも紹介だ!まずは我らがリーダー」

 ギュイイイン

 

 ギターを鳴らしながら私が入っていく。こんな世の中で実名を隠す必要はないと思うが、前の雰囲気を残すためにあえてリーダー呼びだ。最初に投稿した動画では、私の呼び名はトレーナーだったはずなのに、いつの間にかリーダー呼びに代わっていたのは、いまだよくわからない。インターネットの闇である。

 

「続いて我らが技術屋!魔女っ娘」

『閣下!』『閣下来た!』『オールハイル閣下!!』

「閣下違うわ!」

 

 憤慨しながら、アイが入ってくる。なにやら口上を考えていたらしいが、視聴者の反応にいちいち突っかかるアイはこの登場がデフォルトになっている。尊大な物言いが原因で閣下などと言われているが、悪意はないためじゃれ合いですんでいる。

 アイが後方に陣取り、バックからそれ以上の大きさのピアノを取り出す。コメント欄は何やら騒がしい。

 

「まだまだ行くよ!我らが参謀!!」

『いや』『え?ピアノが』『お前ら平伏しろ!』『ははー』『ハハー』『haha―』

「なんでボクの時はこうなるんだい」

 

 頭を振りながらギターを背負いリラも入ってくる。過去に暴走するルチアとアイを何度も止めていたら、こんな反応に落ち着いた

 

「続いて新メンバーのストーンだ」

「よろしくね」

『イケメンだ』『もげろ』『高校生くらいか、ロリコンか?』『ロリコン?!』『ルチアちゃんは渡さない』『リーダーは渡さない』『ショタコンか』『ストーンは閣下』

「誰のどこがストーンだ!!」

「ロリコン呼びは勘弁してほしいな」

 

 さわやかな笑顔でダイゴさんの登場だ。大きなドラムを運びながらコメントは軽く流す。むしろ憤慨するアイに焦点が集まっていく。配信慣れしていないダイゴさんを庇う立ち回り。いや、素か。ちなみにストーンは石から来ている。

 新メンバーも増えたが昔の雰囲気というか流れが色濃く出ている。過去にこだわっても仕方がないが、少しは安心感が出ただろうか。

 

「じゃれ合いはその辺でね閣下「参謀よ!誰が閣下か!!」ルチア」

「うん!みんな気になることはいっぱいあると思うけど、まずは聞いてください新曲『acacia』!!」

『新曲キター』『待っていました』

 

 アイドルとして大成したルチアの原動力の一つ。私たちの前世の曲である。これがなくても大成したと思うがインパクトはあった。前世の名曲ばかりでデビュー曲は紅蓮華である。アニソン中心は仕方がない。私はしがないオタクなのだ。

 かなりズルをしているが、いずれ起こるポケモンパニックで消えるくらいならと自重なしで行っている。

 コメントもおおむね好意的だ。中にはこんな時に歌うんじゃないなどと批判的なコメントもあるが、すぐに消えていく。

 

『888888』『888』『感動した』『いい曲』『さすがリーダー作詞作曲』

 

 最後のコメントに罪悪感がマシマシになる。それでもこういう時に元気づける曲としてあたためた甲斐があった。

 

「それではルチアたちが手に入れた情報を公開していくよー!概要欄から飛べるサイトに詳しく載っているからみんな見てね!」

『早速来た!』『そうだよポケモンって?』

「うんうん。さあ来てロトム」

「ロトー」

 

 いきなり現れたロトムにコメント欄が阿鼻叫喚だ。ポケモンに対する恐怖感は一週間程度では消えない。過激なコメントは今すぐ殺せなどもある。

 

「この子はなんと日本語がしゃべれます。理由は閣下のスパー技術です」

「閣下言うな!!まあ、我にかかれば、造作もない」

「ちなみにこのロトムっていうポケモンの能力が大半だからね。みんなもできるかも?じゃあお願いロトム」

「任せるロトー」

 

 ちなみに今回の配信はできるだけ女性陣が司会進行を務める。安心感の差というやつだ。

 そしてそこから語られるのはポケモン側から見た現状の説明だ。私たちからしたら既存の事実だが、世間一般からは初情報の連続だろう。後でサイトを見れば見返せるので、まずは情報の波で視聴者を飲み込む。理解できない化け物と理解できるポケモンとでは恐怖度が違う。できるだけこの配信で世論をポケモンとの融和に持っていきたい。反対意見はできるだけ出せないような流れにしていく。

 

『ふざけんな化け物ども!今すぐ消えろ』

 

 まあこういうコメントは必ず来る。あの恐怖は簡単に拭えるものではない。

 だからこそ、わざと陰に徹していた私が大きな音を両手で上げて画面の中央に移動する。

 これで注目は集まった。女性陣もスウっと画面から抜けてくれる。ここからは私の出番だ。

 

「いまのロトムの話は聞いていたと思う。彼らにも原因は分からないのだ。もしかしたら人間が変な実験をしたのかもしれない。ポケモン側が何か力を行使したのかもしれない」

 

 まあ実際はただの天変地異なのだが。それを理解できるのは転生者以外居ない。だからこそ勝手な推測も許される。

 

「原因の所在なんて誰にも分らないんだ。起こったことに何か言っても、どうしようもない。重要なのはこれからだろ。家の中にこもって日常が返ってくるのを願うだけなのか?彼らは認めてくれれば良き隣人に成ってくれるぞ」

 

 私の合図でウインディが私に近づく。ウインディの頭を撫でれば気持ちよさそうに鳴いてくれる。

 ウインディの体は大人に匹敵する。いまだ10歳の私の倍はあるのだ。顔もいかつい。そんな存在が仲良くしている。印象に残るだろう。

 

「確かに私たちの出会いは最悪だった。だからと言って迫害が正解なのか?戦争が正解なのか?私たち人間は考られる生き物だ。ここで思考停止するのが正解なのか?違うだろう。私たちはこれからポケモンたちと仲良くしていく。たとえ道半ばで倒れることがあっても」

「  はいはいー!いったん休憩ね!」

 

 一拍おいてルチアがカメラにドアップで映り、笑顔で手を振る。

 映像は待機画面になる。

 

『すごい小学生だ』『小学生なんだよな』『かっこいいな』

 

 コメントは好意的な意見が多い。否定的な意見がないわけではないが、口に出しずらい空気になった。ここから第二部に入る。野生のポケモンとの付き合い方など私たちの実践してきたことを見せる予定だ。サイトの投稿欄に情報共有を求めている場所もあるし、これから様々なポケモンとの付き合い方が生まれるだろう。良くも悪くもこの配信で大きく変わることになるはずだ。

 

 

 

 

 ちなみに、ロトムの説明の終わりに否定してきた意見と最後の待機画面の初めに私を称賛した意見は自作自演である。さすがリラである。わざと目立つようにして、さらに小学生が中心になっているように見せることで裏がないように見せる。汚い。

 




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