私たちの目の前には覚醒したレジギガスが佇んでいる。その圧力はあの時の異常個体のサザンドラに匹敵か上回っている。今のまま,まともにやり合えば勝ち目はないだろう。
ただ、この戦いは試合であって殺し合いではない。降参も退却もあり得ない。
たとえ負けるにしても、ここでしか得られない経験だけはいただいていこう。
「メタグロス!メガシンカ」
スピアー戦で手に入れたダイゴさんとメタグロスの絆の力。直接見せてもらったときは、圧倒的な力に恐れおののいたものだ。今はその力も心もとない。
実況の説明で、ジンダイさんもメガシンカの脅威と可能性を認識したようだ。
「メガシンカか。人間とポケモンの未来を担う素晴らしいものだ。ただし、容易く超えられる壁とは思わないことだ」
「速い!!」
ジンダイさんはメガメタグロスを先につぶすことを決めたようだ。一瞬でメガメタグロスの背後を取るレジギガス。その速さは先ほどの比ではない。速度差に翻弄され容易く背後を取る。
たたきつける。レジギガスの巨体で振り下ろされる攻撃は、メガメタグロスを地面に叩きつける。地面は放射状にひび割れ、威力を物語る。さらに空いた手でかみなりパンチ。そのまま踏みつける。タイプ一致技のオンパレードだ。メガメタグロスは地面に埋まってしまう。
「無茶苦茶させるか!ウインディ、フレアドライブ」
「サンダース、10まんボルト」
「両方にはかいこうせん」
あっけにとられるが私たちは攻撃する。しかし、素早さを得たレジギガスは鬼に金棒だ。サンダースの十万ボルトをやや遅れて片手で放つはかいこうせんで迎え撃つ。ただし、威力はレジギガスが勝つ。はかいこうせんは10まんボルトを破り、サンダースに直撃する。
くそ、特殊攻撃の種族値はサンダースの方が上なんだぞ。
ウインディにもはかいこうせんが直撃する。ただ、フレアドライブが壁になり、ダメージを軽減してくれる。
「しんそく」
「アイアンヘッドだ」
私はしんそくで距離を詰めようとするが、カウンター気味にアイアンヘッドが突き刺さる。頭だけで放たれるアイアンヘッドは、迎え撃つ分には出が速いのか。
押し負けるウインディに隙が生まれる。そこに打ち込まれるかみなりパンチの連打。それでも私のウインディは落ちない。
「なかなかの耐久力だな!」
「ウインディ!だいもんじ」
ウインディの苦し紛れに放つだいもんじが、レジギガスの足元に打たれる。直撃しなかったが、さすがにかみなりパンチの連打は止まる。
「そのままだいもんじに突っ込み、もえつきる」
巨大な爆発が起こる。
これが私にできる最後のあがきだ。もらいびに追加してもえつきる。私の出せる最高火力がレジギガスに突き刺さる。
煙から現れるは余裕そうなレジギガス。
「よいポケモンバトルであったな」
「まだ!僕たちは負けていない!メガメタグロス!」
「む!」
メガシンカしたボケモンがそう簡単に落ちることはない。メガメタグロスは、意識の外から現れ、レジギガスの背後に迫る。これにも超反応したレジギガスが振り向こうとするが、ウインディの放っただいもんじによって崩れた地面に足を取られ大きく体制を崩す。
「メガメタグロス、じしんだ!」
「その技は!!」
本来であればじしんは地面に放つ技である。ただし、レジギガスほどの巨体であれば、直接じしんすら叩き込める。さらに鋼と電気を取り込んでいるため、ダメージは4倍だ。
あの巨体のレジギガスが宙に浮く。そのままフィールドを超え、川に落ちる。その姿にジンダイさんや実況席は驚愕の表情を浮かべている。これは急所にも入ったかな。
これが伝説か。これほど強いポケモンでもゲームではネタ扱いされるのか。未だ見ない禁止伝説扱いのポケモンがどれほどの強さが想像することもできない。
パチパチパチ。ジンダイさんの拍手が響く。
「本当に見事だ。君たちならどんな困難にも立ち向かえるだろう。正直子供たちだけというのはかなり心配だったのだ。少々遠いが、私の知っている安心できるコニュニティーを紹介するつもりだったが、その必要もなさそうだ」
「ありがとうございます」
「だからこそ、ここで理不尽を経験するべきだろう」
「え?」
不穏な発言である。と同時に、川の中からさらに巨大な気配が感じる。
「本当にほめたたえよう。まさか寝坊助な私の相棒が起きるまで善戦するとは思っていなかったよ」
「マジかよ」
ここまで来てようやくスロースターターが解除されるのか。いや、気づける材料はあったか。いくらサンダースが早くても、私の知る限り最速のポケモンであるレジエレキの素早さを持っていれば、レジギガスが技の出で負けることはないのだ。
これが伝説か。
川から現れる全力の絶望に、私たちは最後の力で挑むのだった。
当たり前だが、蹂躙で終わった。まず素早さが負けていて、耐久の低いサンダースが一蹴され、メガメタグロスが全力のたたきつけるに地に落ちる。多少時間があったウインディは多少体力を回復させていたが、レジギガスの連打に敗北した。
あの巨体が、試合を俯瞰的に見ているトレーナーの視線を振り切っている時点で、やばすぎる。質量×速さの威力はトラックの衝突も優に超えるだろう。
これを受けて気絶ですむポケモンのなんと不思議なことか。気絶状態で攻撃されれば死亡する可能性があるとはいえ、将来はポケモンの方が平均寿命が上回りそうだな。などと他愛もないことを考えていると、動画のエンディングも終わる。
「強くなろうなウインディ」
「ガウ!」
すでに回復済みの相棒も闘志に火をともしている。この世界は強くなくては意思を通せない。この仲間が欠けることなく過ごしたいものだ。
その後は一拍程度でジンダイさんは私たちの拠点を離れる。この間にお礼として、知識の塊であるアイ特製のスマホをプレゼントし、レジギガスの育成をした。スマホを見たジンダイさんはたいそう驚いてくれたが、同時に忠告もしてくれた。これだけの技術を持つアイを狙うグループは数多くあるだろうと。忠告をありがたく受け取る。
時間がなかったため、そこまで育成できたわけではないが、じこさいせいを覚えさせることが出来た。ゲームにこの技があればなあ。もう少し時間があればすごい特訓もできたのに。 いよいよ私のチートもチートらしく成長してきたものだ。
今後ジンダイさんは海を越え、韓国の方に行くらしい。しかも泳いで。さすがに無茶だろうと簡易的な船をアイが用意していたが、動力がレジギガスに引っ張ってもらうらしい。
レジギガスがバタフライで海を泳ぐ様はシュールである。何でも韓国には古の炎の巨人の気配がするらしい。新たな伝説ポケモンかと、見てみたい衝動にかられたが、さすがに我慢する。もし出会えたら出来る限りの情報を送ってもらうように交渉した。
そんなこんなでジンダイさんは、私たちの拠点から旅立っていった。
出会いがあれば別れもある。そんなポケモンの代名詞のような旅をいつかしてみたい。
唐突な訪問者は唐突に去っていった。
裏設定 究極完全体レジギガス(17タイプのレジの試練をトレーナーと共に乗り越え、全盛期の力を得たレジギガス)
タイプ ALL
技 ALL
専用技 古の拳:威力200 相手の弱点タイプに変わる
種族値 ALL 500
個体値 6V(主人公のすごい特訓のおかげ)
特性 シン・スロースターター:毎ターン全ステータスが1段階上昇