ジンダイさんが去ってから数日。ついにジンダイさんの言っていた事態になった。
「げへへへ。ようやく見つけたぜ」
林の中から現れたのは、数人の男たちだ。その手には銃が握られている。
その姿を私たちはため息をつきながら迎え入れる。向こうはこちらの反応を気にせず続ける。
「おいおい!上玉ばっかじゃん。ちょっと楽しんでいこうぜ」
「そうだな。おい!こんなところにいても未来は見えているだろう?保護してやるよ」
「ちょっと楽しませてもらおうかな」
ああ、彼らは私たちの事を知らないらしい。このあたりに設置した監視カメラとマイクでこちらの準備は万端だというのに。さらに彼らは銃の力を過信して、ポケモンを連れていない。いや、ポケモンに好かれることもなかったのかもしれんない。本当に下種な人種とは、ポケモンはパートナーに成れないのかもしれない。
適当な考察もそこそこに私は、指パッチンを鳴らす。すると、地面の隠し通路からグラエナたちが現れ、銃を奪い取る。
突然の事態に男たちは対応できない。私は無慈悲に告げる。
「はあ、まったく。さっさとあなた達のリーダーを連れてこい。グループで来ていることは把握済みです。それとも戦いますか?」
様々な所から私たちのポケモンが現れる。アイによってこの防衛陣地改は、奇想天外な仕掛けが満載である。もし、もう一度スピアー戦があったとしても、無理なく押し返せるだろう。
すべてのポケモンの敵意のこもった視線に、男たちは背を見せて逃げていった。
「所詮は小物よ」
「しょぼ」
「アイ君、ルチア君、ここからが本番なんだから」
「グラエナたちも十分育ったし、そろそろ次のステップかな参謀?」
「うん。これからのことを考えて、人の組織との連携は必須だからね」
だからこそ、舐められてはいけない。私たちは所詮子供の集まりだ。さあ、本場はここからだ。
「すんませんでした!」
「「「すいませんでした!!!」」」
「えー、なんでさ」
リラの呆然としたセリフがむなしく響く。
赤いモヒカンの男のリーダー、カゲツを中心とした数十人が、私たちに頭を下げている。カゲツはアブソルを、しったぱ達も多くはグラエナを連れている。
我らが参謀リラの反応もよくわかる。相手はどんな手段を使ってきてもおかしくない集団だったはず。事実、カゲツは覚悟を決めた顔でやってきたのだ。すぐに頭を下げてくれば、何事かと思うだろう。私たちの覚悟を返してほしい。
ちなみにカゲツはホウエン四天王のカゲツだった。
話を聞けば、あまりよろしくない若い下っ端が暴走しただけで、カゲツ達月華は善意で生存者を集めているらしい。リラの読心術も嘘の気配はしないようだ。
月華の中には意図的にポケモンと触れ合わない人もいるようだが、ポケモンに選ばれなかった人もいるらしい。そういう人は性格がゆがんで暴走しがちだが、危険な外での活動では積極的に行動してくれているため、やむなく採用しているらしい。
ポケモンが全年齢対象であるためか、そことなくセーフティを感じる。
ジンダイさんの時も巨大なポケモンに危機を感じ、攻撃してしまったようだ。攻撃した本人たちもかなり後悔している。
本拠地には万単位で避難民がいるようだ。そして私たちに接触したわけもここにあるらしい。
「アイの力を貸してほしい?」
「正確にはここの全員だな。もちろんこの本拠地から引っ越す必要もない。必要なら人も出す。急ぎインフラ整備を依頼したい」
何とかだましだましやってきたが、かなり限界が近いらしい。それでも彼らのカシラはできるだけ人を助けたいようだ。そんな人柄にカゲツもほれ込んで、今では外部の人間だったのに若頭とまで呼ばれるまで尽力したらしい。そんな中、私たちの事を知り、こうしてやってきたようだ。
「その割には、お粗末だったな」
「すまねえ」
アイの皮肉にも素直に謝罪している。カゲツのことは信用してよさそうだ。リラに目配せをすれば彼女もうなずき返す。実際人手は不足している。少なくてもトップの人は良さそうだし、ここは乗るべきだろう。
「ありがとう!此処にはオレの信用できる部下を付ける。大家族で親戚が多くて警察の家系のやつだ。生真面目すぎるのが玉に瑕だが、こういう状況には適しているはず」
一人の女性が出てくる。その姿に私とアイは驚きを禁じ得ない。
「巡査シロと申します。よろしくお願いします!」
「「ジュンサーさん!?!」」
挨拶して敬礼する姿は、アニメでよく出てきた姿そのままだった。何でも親戚一同似た顔をしている女系の家系らしい。この様子だと、ジョーイさんも居そうだ。