黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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35話 四龍

Side アイ

 

「ケホケホケホ。一体何が」

 

 サザンドラのいた辺りから、莫大なエネルギーがほとばしった。我はとっさにキングシールドを指示出したが、あまりのエネルギーに全員吹き飛ばされた。ドククラゲの巨体がなければ、この山を越えて向こうの町まで飛ばされていたかもしれない。

 衝撃を耐えきったギルガルドが地面に倒れて甲高い音が鳴る。

 

「ギルガルド!!」

 

 幸い気絶しているだけのようだ。そして、ようやく辺りを見回せる。そこには木々もなく巨大なクレーターが生まれていた。そして、中心には異形の四龍が生まれていた。

 

 8枚あった翼は2枚に減っていた。しかし、その面積は今の方が大きい。翼のおかげか完全に宙に浮いている。

 長い尻尾は健在だが、強靭な鱗に覆われている。

 胴体は以前よりも一回りほど大きくなり、こちらも鱗に覆われ防御能力が上昇している。

 そして一番特徴的なのは頭だろう。胴体から延びる四つの首は半円を描くように生えている。すべての首が太く、以前よりも長い。

顔も大きく鋭くなっている。口から出ていた黒い炎はなくなっているが、無駄なくエネルギーを扱えているのだろう。

 

異常個体メガサザンドラ

 

「分かっておったわ。ゲンシカイキという頂点がある時点で、ポケモンのステージにはまだ上があることぐらい。それを加味しても勝率は変わらないと思っていた。トレーナーを介さないメガシンカは苦痛と共に異常な回復能力と若干の種族値の変化を生み出す。これなら超猛毒の前に倒れるとな」

 

 しかし、現実はどうだ。サザンドラが放つオーラは今まで見たことのないものだ。そしてかなり安定しているように見える。

 不意にサザンドラの四つの首のうちの一つが顔を上げ、あくのはどうを放つ。先ほどまで3つの首すべてで放っていた技と同じとは思えない威力を、たった一つの首が放つ。

 ドククラゲに向けられたあくのはどうは、とっさに防ごうとした触手を弾き飛ばしてドククラゲを吹き飛ばす。

 たった一撃で特殊耐久に優れたドククラゲが気絶する。

 あの巨体のドククラゲを宙にあげる威力もヤバいが、たった一撃で気絶させた事実の方がやばい。特防125は伊達ではないはずなのに。

 

「違うのか。重量のある飛行機が高高度を高速で飛ぶことで安定するように、異常個体とメガシンカの同時発動は成功できれば安定するというのか?!」

 

 アイは自身のチートゆえの物理的な理論から、正解を導き出す。ただし、もうアイには何もできない。

 手持ちもロトム以外戦闘不能。事前に仕掛けた仕掛けも全て吹き飛ばされた。後は他の仲間に託すしかない。

 声を上げる。

 

「聞け参謀!!別に毒の影響からは逃れたわけではない。強靭な力で無理やり抑えているにすぎない。勝つ可能性があるとすれば後は貴様だけだぞ!」

「まったく。音を聞いて駆けつけてみれば変な方向にぶっ飛んでいるんだけど」

 

 最後のメンバーが駆けつける。

 

 

 

Side リラ

 

 まったく。アイのことだから、やらかすかもと思っていたけどこれは想像以上でしょ。

 冷静にサザンドラを観察するがそのたたずまいから余裕が感じられる。

 実際、異常個体や準伝説以上でないと、もうダメージすら与えられないだろう。昔見たメガスピアーのように大きな壁を感じる。

 ここまで誰も死んでいなことから策はほぼ完結している。後は時間が解決するだろう。もし、ボクまで回ってくるなら倒してやりたいなあとは思っていたが、これは想定外だ。

 アイめ、可能性があるなら事前に伝えとけよ。情報がそもそも足りないのだ。

 だからこそ、少し情報を集めようかね。

 

「さあ行くよ皆!!この姿になってから全員で初の全力の実践だよ!気合入れていこう」

「「「!!!」」」

 

 

 

 一番前に立つのはエンテイである。地面からエネルギーの供給を受けられるエンテイを落とすのは容易ではない。四つの首から放たれるあくのはどうを守りながら正面から受ける。

 守っていても、足の後が生まれ押されていく。しかし、こちらも準伝説。咆哮と共にあくのはどうを打ち破る。

 

「よし!スイクン!」

 

 まずは第一関門突破。そもそも手数の多いサザンドラの攻撃をすべて避けれない以上、受けのエンテイが機能しないと戦いにすらならない。

 次はスイクンの霧による拘束を試みる。今のところサザンドラが移動する気配はない。それだけの力の差があり、戦いを楽しむために自ら枷を作っているんだろうけど、遠慮はしない。霧の拘束がサザンドラを包む。

 

「ガアアアアアア!!!」

 

 咆哮一閃。ただ吠えるだけで霧の拘束を吹き飛ばした。これで翼や尻尾で破るならよかったけど、想像以上に力もありそうだ。

 ならば質量はどうかな。スイクンが莫大な水を顕現し、叩き込む。技の分類ならハイドロポンプだろけど、災害に匹敵する一撃ならどう。

 サザンドラが直撃するが、鬱陶しそうに首を振るだけで動かすこともできない。

 飛行能力もかなりあり。この分だと飛翔能力もヤバそう。

 

「でも濡れたよねライコウ!!」

 

 雷のごとく距離を詰めたライコウは、無数の連撃を放つ。比喩ではなく1秒に20回は攻撃しただろう。さすがにこれにはサザンドラも苦悶の声を漏らす。

 つまり、強靭な防御能力はあの鱗由来で、内部は今までとそう変わらないと。

 ついにサザンドラも攻勢に出る。尻尾を横なぎに払う。速度は速くないので、ライコウに当たることはないが飛んでいるため出も早く、触れていないはずの地面に跡が残っていた。。攻撃は一撃でも当たったらお陀仏と。

 サザンドラは四方向にあくのはどうを放つ。二つはエンテイ、スイクンの牽制だった。

 残り二つがライコウに迫るが、自慢の速度をもって躱していく。

 強くなっても狩人としての勘は損なわれないのか少しずつ避ける距離が狭くなっていく。エンテイ、スイクンも援護に行きたいが牽制が援護を許さない。

 そしてついにライコウの足に少し掠ってしまう。たったそれだけでライコウの体制が大きく崩れる。もともとライコウはかなりの慣性を身に受けている。バランスが崩れれば立て直しに少し時間がかかる。そこを狩人は見逃さない。

 あくのはどうの直撃によりライコウが落ちた。

 スイクンも耐久には優れているが、4つの纏まったあくのはどうの前に落ちる。

 エンテイは最も耐え凌いでいたが、三つのちかいとそれをまとめる風の一撃の前に落ちた。

 三犬になってから、負けを経験したことはなかった。ボクも知らず知らずのうちに慢心していたのかもしれないなあ。

 

「だから後は頼んだよリーダー」

「おう!」

 

 最後は頼れるリーダーに締めてもらおう。

 

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