黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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36話 至龍

 今回の作戦は簡単だ。サザンドラに殺すのではなく、倒すことでまたもう一度戦えると、まだ戦いを楽しめると教えることだ。

 だからこそ、回復能力と耐久力に長けて因縁もある私が初戦に挑んだ。殺さなかったから、次にまた戦える。これを実感としてサザンドラに知ってほしかった。

 アイが追い詰めすぎたせいで、何やら覚醒しているけど作戦に変更はない。なんたってサザンドラの気配は楽しそうだから。こちらの意図を理解してくれたのだろう。最初に感じていた殺気は一切ない。もうサザンドラが、無為に殺しをやることはないだろう。

 

「だからと言って、勝てないから戦わないトレーナーなんていないよなあ!!」

「ガウ!!!」

「ガアアアア!!!!」

 

 力量差は明確だ。もともと力の差があったが、それが広がった程度なんだ。ポケモントレーナーは負けず嫌いなんだよ!

 ウインディがしんそくを使って距離を詰める。これをサザンドラは尻尾を使って受ける。空を飛んだことで、自由になった尻尾を存分に使っている。

 返しにサザンドラのあくのはどうが放たれる。これに呑まれるウインディ。自分の放つ威力は分かっているのだろう。サザンドラの気が緩む。

 

「ここだ!じゃれつく」

「?!」

「ガウ!!」

 

 黒い波動を突き破りながらウインディが現れる。突然の事態にサザンドラは、しかし、冷静に尻尾を使って防ごうとする。

とっさなため、防御の仕方が先ほどと一緒である。私のウインディにそれは愚策だろう。

躱しながらサザンドラの最大の弱点に叩きこむ。昔、私と戦った時に貫通させた鉄骨後は、メガシンカした後であっても鱗に覆われていない。それだけ大けがだったのだろう。みんなにここは責めないでくれと言ったかいもあった。考慮していなかった場所に4倍の弱点技を受けたサザンドラは吹き飛び、地面を転がる。

戻ったウインディも、肩で息をしている。1回分の防御能力ならエンテイを大きく超えているウインディなら一発なら耐えられる算段だったが、かなりぎりぎりだったか。

そして、当然のごとく立ち上がるサザンドラ。

 

「たく、強いなサザンドラ」

「ガアア!!!」

 

 サザンドラがとどめを刺そうと近づいてくる。

 

「「りゅうせいぐん」」

 

 サザンドラにドラゴンタイプ最大の技が炸裂した。私もサザンドラも技の放った場所を見れば7人のトレーナーとポケモンがいた。

 

「よう!ユウ!やばそうだな」

「頼んでねえよ」

「頼まれてねえよ。俺様達が戦いたかっただけだ」

 カゲツは相棒のアブソルと共に立っていた。まったく、あいつはかなり忙しいはずなのに直接来るなんて馬鹿なんじゃないのか。作戦がうまくいっているかどうかなんて部下にでも確認させればいいのに。

 

 

「想像力が足りないよ」

 少し前にこちらで保護したヒガナとボーマンダ。師匠に感謝はしてもかたき討ちをする気はない。視線もいやらしかったし。などと言っていた彼女がここに来るとは。彼女も負けず嫌いなトレーナーであったということか。

 

 

「いつぞやの借り、返させてもらうぞ」

 相変わらず渋い男のゲンジさんとボーマンダ。ポケモンパニックは相互援助が基本だったというのに義理堅い。いや目を見れば、自分の知らないドラゴンタイプを前にしてキラキラしている。この人意外とドラゴンスキーだったのか。

 

 

「ヤッホー!!元気してるのだー?」

 この状態が元気そうに見えるなら眼科にでも言ってくれ。フヨウとヨノワールが手を振っている。忙しい忙しいと言いながら、私たちの拠点にお菓子(ポロック)をよくたかりに来るのでそうは見えないが、本当に忙しいはずなのに来たのか。

 

 

「最高のステージだね!!」

 ああハイハイ。そうですね。ミクリとミロカロスは謎のポーズを決めている。この人は単純に目立ちに来ているのだろうな。別に損得の判断が出来ないわけじゃないのに、目立てるならそんなものをぶん投げる性質は、何度苦労をさせられたものか。

 

 

「やれやれ!世話が焼けるね」

 すいませんね。ヒースとラグラージを見て周りは呆れている。この人がツンデレなのは全員が知っている。今回も心配でわざわざ見に来たのだろう。

 

「………」

 こういう場に慣れていないのは知っているが、何か喋れよナギ。エアームドが呆れているぞ。

 今まで、こういう救援は頼んだことも陥ったこともなかった。私たちは救援する側だった。いざ助けられると何とも言えない気持ちにさせてくれる。

 

「じゃあ行くぞてめえら!」

「「「「「指示しないで」」」」」」

 

 カゲツ、総スカン。ウケる。

 

「「「「「「「メガシンカ!!!!」」」」」」」

 

 次々とポケモンたちが光に包まれる。

 カゲツのアブソルは、たてがみが天使の羽のように発達し、四肢が強靭になる。

 ゲンジさんとヒガナのボーマンダは、翼が大きく広がり繋がった。

 フヨウのヨノワールは、体の模様が増え四つの大きな手が宙に浮いている。

 ミクリのミロカロスは、美しいひれが複数生え、美しさと優雅さを兼ね備える。

 ヒースのラグラージは、両腕が発達し、力強さを手に入れた。

 ナギのエアームドは、翼が大きくなり、羽根が剣先のようになり無数に生えている。

 

 こう、一気にメガシンカをする場面にはなかなか出会えない。ゲームでは見たことない姿もある。

 全員が一斉にサザンドラに挑む。ただのメガシンカでは今のサザンドラには一蹴されて終わりになる。そこを支えるのが、メガアブソルである。メガアブソルの角は少し未来の未来視の域にたどり着いている。サザンドラの攻撃を予知して伝達し回避させ、危ういシーソーゲームを成立させている。

 ただ、力の差はどうしようもない。一匹また一匹と倒れていく。

 

「どう思う?」

「ガウ」

「そうだなこの因縁。最後は私たちの手で締めたいよな」

「ガウ」

「異常個体メガシンカの攻撃を受けて感覚はつかめたか?」

「ガウ!」

「なら行こうか」

 

 

 最後のメガアブソルが倒れる。メガアブソルだけで10分は稼いでいた。避けてばかりであったが、圧倒格上に対して大金星だろう。

 私はカゲツに話しかける。

 

「お疲れ様」

「ケッ!かっこよく俺様が勝ってやろうと思ったんだがな」

「助かったのは事実だ。お礼は考えといてくれ」

「なら勝て!!」

「…ああ!!」

 

 私はサザンドラと対する。

 

「決着を付けよう」

「ガウ!」

「ガアアアアアア!!!」

 

横には白く輝く新しい姿を手に入れた相棒を伴って。

 

 

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