黎明のポケットモンスター   作:チリラーメン

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視点変更が難しすぎる。
side○○でしか表せない自分の力量がむなしい。


4話 モール2

 ショッピングモールで迎えた朝は最悪にだった。

 目覚まし時計が仲間の悲鳴なんて最悪すぎる。

 

「きゃー!!!!」

「?!」

 

 包まっていた布団を蹴飛ばし、とにかく悲鳴のあったほうに向かう。

 何か考える余裕はなく、体が勝手に動いていた。

 

「大丈夫か!!」

 

 たどり着いた先には、倒れて呆然としたルチアと血だらけの男とチルットがいた。

 どゆこと?

 

 

 

 

SIDEルチア

 

 わたしはアイドルとして人一倍気配には敏感であった。ただ極限状態での行動に体は、かなりの疲労を迎えていたようだ。そうでなければこんなことにはならなかったのに。

 

 臭く生暖かい風が顔にあたり私は目を覚ます。すると目の前には脂ぎったおっさんがいた。

 

「?!?!」

 

 あまりの事態に声を上げられなかった。いや上げなくて正解だろう。声を上げればおっさんの拳が飛んでくる。そういう危ない雰囲気を醸し出していた。

 

「ぐふぐふ、いやあ。あのルチアちゃんがこんなところにいるなんてね。声は上げないでね。どんなことをするかわかんないから。こんな世界だし、神様は微笑んでくれているのかなあ」

 

 最悪!!こんな変態が紛れ込んでいたなんて。周りとみると寝た場所とは違っていた。

 運ばれていたことに気が付かないなんて、わたしの間抜け。

 

「さあ。痛いのは一瞬だからさ」

「痛いのはあんただけよ!!」

 

 油断だらけで近づく男にわたしは思いっきり蹴り上げ、男の弱点を直撃した。その隙に離れる。

 さらにわたしは大声を上げる。

 

「きゃー!!!」

 

 声を上げればこのおっさんは何をしでかすかわからない。それでも離れたのなら、他の人が来るまでくらいならなんとかなる。ユウちゃんの提案でわたしたち全員体は鍛え、護身術も会得している。

 悲鳴に反応した人が来るまでもってみせる。

 

「このガキが!!」

「うるさい!変態」

 

 おっさんが右腕を振りかぶってくる。ただその動きは大きく、簡単に躱すことができる。

 むきになったのか、何度も拳を振り下ろすがわたしには当たらない。

 いける。

 そこで調子に乗ったのがいけなかった。ここはいつも練習しているところではなく、障害物の多い場所であることを失念してしまった。

 床に落ちていた布を踏んでしまいそのまま尻もちをつく。

 力では勝てない。だから逃げていたのに。

 

「このガキ!!」

 

 ゆっくりとすら感じる中、拳が振り下ろされる。

 そんなわたしを助けたのは白い雲をまとった青い鳥であった。

 

「チルル」

 

 

 

 

SIDE ユウ

 

 なるほど、この男はギルティだな。すでに気絶しているので問題ない。

 問題は人間を攻撃するこのチルットだろう。

 結果的に助かったが、次の矛先がこちらに向きかねない。

 私がどう排除するか考えていると、剣呑な雰囲気を感じたのかルチアが私の腰に飛び掛かってきた。

 

「違うの!!このチルルちゃんは友達だから」

「…説明。あと重い」

「失礼ね!えっと、昨日自由行動したでしょ。その時窓の外にこの子がいて、ビスケットがあったから、えっと、その、え、餌付け、しま、した」

 

 その言葉を聞いて私の怒りボルテージも上がっていく。それに伴ってルチアの言葉も力を失っていくが、加減はしない。

 

「勝手に、一人で、野生のポケモンに、近づくなって!言っただろうが!!!!!」

「だって、お腹が空いてそう、痛、ご、ごめんなさーい!!!」

 

 私のぐりぐりがルチアに当たった。効果は抜群だ。

 

 

 

 私はルチアを説教していたが、ようやく悲鳴を聞きつけた人たちもやってきた。この環境であまりに動きが遅いのではないだろうか。

 正座をし、頭を垂れる彼女の上にチルットが丸くなっている。話を聞いた先ほどの勇敢な姿とは打って変わって今はのんきだ。こいつの性格が分からない。ただこちらを害する気持ちはなさそうだ。

 やはりポケモンは良き隣人に成れる可能性がある。あとあの男を攻撃して、私の説教はスルーしていることから、予想以上に人間の感情に敏感なのだろう。よかったよかった。

 

 問題は後ろの避難民だろう。状況を理解してか、男を庇うものはいないが、見知らぬ生き物と仲良くしている私たちを警戒している。こんな環境なら当たり前か。これは早くここから離れたほうがいいだろう。

 

「ちょっと!!なんで化け物がここにいるのよ!!さっさと殺しなさいよ!」

「落ち着いてください。相手は子供ですよ」

 

 声に出す人もいる。声をあらげるこのおばちゃんは、昨日も同じようなことをしていた。

 警察官の人に止められてもお構いなしだ。ここは、私から切り出すべきだろう。

 

「では、今日中にここを立ちます。それでいいでしょう」

「いや、それでは君たちが」

「精々するわ!!」

「では失礼します」

 

 頭を下げると、ルチアとリラを連れて離れる。

 

「よかったのかい?」

「現実から目を背けている人たちと一緒にいても、大変なだけ。これでいいよ。それよりルチア、こんな状況だ。安定するまでは、できるだけ隠し事は無しで頼むよ。君の観察力は頼りにしているんだから」

「ぐ。わかっているわよ」

 

 おい、視界の端で顔を背けたリラ。お前もなにか隠しているのか。

 おう。ブルータス。お前もか。なんて言えばいいのか?

 

 

 昨日目星は付けていたため、そこまで出発の準備に時間は掛からなかった。

そしてリラの隠し事は1階のペットショップの中にポケモンが混じっていたという情報だ。なにやらポケモンと動物どちらもいたようだ。

 ケージの中にいたため、餌と水だけ与えたらしい。お前もか。なぜ餌付けする。そういう情報もすぐに伝えてくれ。それにしてもケージの中にいたということは、ポケモンは動物と入れ替わったりするのか。それも全てではなく、一部だけ。

 リラの先導についていき、ペットショップに行くと何やら騒がしい。

ポケモンが見つかったのかと頭を抱えていると、数人の男たちが何かを蹴っている。

 なぜかケージの外に出されているポケモンが。

 発見したと同時に隣にいたリラが駆け出す。

 

「おい!」

 

 リラは私の制止も振り切り男たちの前に飛び出していった。両手を広げポケモンを庇う。

 

「やめなさい!!」

「邪魔すんな!!化け物退治をやっているんだよ」

「これじゃあ、ただの弱い者いじめよ!!」

「この!!」

 

 頭に血が上っている男はすぐに腕を振り上げる。躱すわけにもいかず、ルチアは目をつぶり耐えようとする。

 

 まったく、せめて目は開けて防げよ。何のための護身術だ。そんなことを思いながら、男の振り上げた腕に自分の手を伸ばす。

 勢いの乗った拳は9歳の体では止められないが、その前なら簡単に止められる。前提に身体能力向上(小)があるが。

 

「大の男がみっともない」

 

 私はそのまま男を押す。殴るために重心が高くなっている男は簡単に、よろける。

 バカにされたと感じたのか、すぐにほかの男たちも殴りかかろうとしてくる。

 

「やめといたほうがいい。こちらに君たちのいう化け物がいることは、朝の騒ぎで知っているだろう?」

「チッルル!!」

 

 チルットが勇ましく羽を広げる。私たちから見ればかわいらしい仕草だが、男たちには威嚇しているように見えたのだろう。

 ポケモンに恐怖を持っている男たちは、悪態をつきながら去っていった。

 私はため息を吐きながら、リアに拳骨を落とす。

 

「勇み足」

「ユウがいるから大丈夫さ」

 

 一切詫びれないリラ。

 もう一度ため息をつきながら、今度はポケモンのほうを向く。

 憔悴したイーブイが三匹身を寄せ合っている。そして、男たちに殴られていたのは、ガーディであった。正義感のあるこのポケモンらしいものだ。

 

「リラ」

「わかっているよ」

 

 リラをイーブイたちのところに行かせる。ポケモンの気持ちのわかる彼女しか、あのイーブイたちはダメであろう。

 そして私は傷だらけになりながらも、悠然と男たちと戦った小さな勇者に目線を合わせる。ぼろぼろになりながらもイーブイ達を守り切った姿は誇らしげだ。

 

「よく頑張ったな」

「ガウ!」

 

 頭に手をのせれば、モフモフした毛が気持ちいい。ガーディも受け入れて気持ちよさそうにしている。

 

「わあ、ありがとう!似合う?」

「ブイ!」

 

 リラも問題なかったようだ。何やらイーブイ達からプレゼントを貰っているようだ。髪飾りにしている。私の目にはその髪飾りが虹色に輝いている羽に見える。

 このショッピングモールのどこにあったんだよ!

 

 

 

「今回は本当に済まない」

「気にしないでください、警察官さん。私たちは何とかできます。心強い仲間がいますからね」

「そのようだ。これからはその姿が正しくなるのかもな」

 

 あの後あまり時間を置かず私たちはショッピングモールを後にすることにした。あれだけ騒ぎを起こせば当然だろう。大き目の荷物を全員が持っている。そして周りにはルチアのバックの上にチルット、私の足元にはガーディ、リラの周りにイーブイ達がいた。彼らもついてくれるそうなので、私たちは一気ににぎやかになった。

 

「ではお元気で」

「ああ、君たち3人の武運を祈る」

 

 敬礼をしながら、警察官さんは私たちを見え送ってくれた。

 目指すはキャンプ場。まっすぐ進めれば、昼前にはつくだろう。私たちはそろって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って、アイは?」

「「あ!!」」

「盟友の馬鹿野郎!!!!」

 

 あ、よかった。アイもちゃんと来た。目の下のクマは一日寝ていないのだろう。

ショッピングモールの出来事が濃かったのだから、忘れていたのは仕方がない。アイのドロップキックは甘んじて受け「ぐえ」

 

 

「みぞおちに入っ…た」

「ふん!!」

「ごめんごめん」

「あははは、で君の後ろの人の紹介もしてほしいんだけど」

 

 そう、アイと一緒に高校生くらいの青年がいた。いかにもなイケメンで、気品からお金持ちの雰囲気を出している。

 

「聞いていた通り、仲がいいんだね。では自己紹介させてもらうよ。僕はツワブキ ダイゴ。趣味は石集め。アイ君にいろいろ聞いているよ。よろしくね」

「大誤算だ」

「…ん?なんかイントネーションが違ったような」

 

 まさかの原作キャラの参戦である。え、でもなんで。

 

「ああ、君たちと同じく僕もポケモン?と一緒に行動しているからね。あそこは居づらかったのさ」

「バルバル」

 

 ダイゴさんの背後からダンバルが現れる。なるほどまあ、納得のペアである。

 強力な助っ人をつれて来たからか、アイが胸を張っている。

素直にすごい。

 

「やるなあアイ。ついでに背中に背負っているものの説明もお願い。あと、ロトムを冷蔵庫にした理由も」

 

 そうアイは身長よりも大きな箱を背負っている。違和感がすごい。その横にはフロストロトムがいた。

 

「くくく。さすがの盟友も解らないか!この箱こそはポケモンパソコンver1.02なり!!」

「まじか!たった一日でできたのか!!」

 

 ポケモン界の不思議の一つ。パソコンを完成させたのか。

 まともな施設がないのに、原理も解らないものを作り上げるのか。

 素直にこいつはチートだわ。

 

「そして盟友は生鮮食材のコーナーは行ったか?」

「いいや。保存ができないから見てもない」

「甘い。甘すぎるぞ盟友。ここはポケモンの世界、なればきのみがあるとは考えなかったのか?」

「?!でも腐…なるほど!!」

「全ての野菜や果物がきのみになっていたわけではないがな。そしてそのためのフロストロトムよ!パソコン内できのみが腐るかどうかはまだ不明だが、こ奴がいれば保存は問題ない」

「ロトー!!」

 

 すごい。すごすぎる。きのみはゲームでも万能であった。現実でも同じ効果は分からないが、期待はできる。それはそれとして

 

「で、移動は?今からロトフォンの出番だぞ。このでかい冷蔵庫は誰が持つんだよ」

「くくく。我が考えていないと思ったか。お願いします!大誤算」

「アイ君、君もイントネーションがおかしくないかい?まあそういうことだね」

 

 ………最後は人力かい!!

 ダンバルのねんりきは便利すぎた。

 




Q,ポケモンパニック物の相棒は?
A,作者の回答はガーディです。
四足歩行で自分より速く、正義感も強いので守ってくれる。
火で食糧や飲み水の確保もしやすい。
何より電気が使えなくなった時、凍え死ぬことがない。
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