霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

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半人前は共に行く

「そういえば親父、もう団子の作り方は教え終わったのか?」

 

「おう、バッチリよ。」

 

「ありがとうございました。」

 

「いやぁ、嬢ちゃん料理手慣れてんのか?トオルに教えるより何倍もやりやすかったぜ。」

 

「悪かったな不器用で。」

 

「おめぇは外の世界で料理しなさすぎただけだろうが。」

 

「そんな俺を1年で叩き上げようとしたんだからすげぇよな。」

 

「結果はそこそこだったがな。さて、嬢ちゃんはこれからどうするんだい?もう日はとっくに沈んじまったが、これから主人のとこに帰るかい?」

 

「いえ、新調したい材料がありますし、それに私は冥界に住んでいますので、今から帰るとなると少々手間ですね。」

 

「おう?ということは西行寺さんとこの屋敷の人か。」

 

「そうです。まぁ主人というのが"西行寺幽々子"にあたりますね。」

 

「なんだ?冥界?冥界ってあれか?死んだ人が彷徨(うろつ)くっていうあの?」

 

「当たらずとも遠からず、ですね。」

 

「そういや、ちょうど春の終わりにトオルは来たんだっけか?幻想郷じゃあな、春は冥界に花見に行くのが常識なんだよ。あそこの桜は絶景と呼ぶに相応しいぜ。」

 

「まぁ、常識になったのは異変後ですけどね。」

 

「そーなのかー。んで?妖夢さんはどうするんです?宿でもとってるんですか?」

 

「まさか。ここまで遅くなるとは考えていませんでしたので...」

 

「わりぃな嬢ちゃん。団子の事となると時間忘れちまうからよぉ...」

 

「いえ、私も集中していたので、お気になさらず。」

 

「よかったらうちに泊まっていくといい。場所は...まぁトオルの所を使え。」

 

「えっ?い、いいんですか?」

 

「まぁ他に寝床もないしなぁ...俺客間で寝るのか...久々だな。」

 

「あ、トオル。布団の余裕無ぇから風邪引かないようにな。」

 

「えっ!?それは勘弁...!?」

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

「お、お布団をォ...だ、誰かァ...寒い...寒いよぉ...ひもじいよぉ...あれ?こんな台詞を前に聞いたような?つーか、冬に布団無しで寝るとかあり得ねぇ...そう考えるとあの神様姉妹凄いな...こんなんに毎日耐えてんのかよ...今度布団送ろうかな...」ガタガタ

 

 

 

 

 

ふよふよ~...ピトッ

 

 

 

 

 

「ん?...あっ!!白いの!?白いのじゃないか!!なんだ?俺を心配してくれたのか?」

 

「...。」

 

「そうかそうか、ありがとうなぁ...」ナデリン

 

「~♪」

 

「お!お前抱き締めると意外と暖かいんだなぁ...!!」ギュッ

 

「~♪」

 

「あっ...急に眠気が.........Zzz」

 

「~Zzz」

 

 

 

 

 

青年睡眠中...

 

 

 

 

 

「んぁ~っ...ん?もう朝か。ありがとうなぁ白いの。」ナデナデ

 

「~♪」

 

「おぉ、トオル...よく生きてたな。」

 

「おう、親父。白いのを抱いて寝たから、寒さを少しはしのげてな。この通りぐっすりよ!」

 

「いや、寒さじゃなくてだな...」

 

 

 

 

 

バァン!!

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

「ーーーーーーーーっ///」プルプル

 

「あっ、妖夢さん。おはよう。ところで髪の毛が跳ねまくってて目の下にクマをつくってる上に息を荒げてるのはまだいいとして...なぜ真剣を抜刀してるんですかね?」

 

「なぜ...なぜ私の半身が貴方のところにいるんですか...」プルプル

 

「え?夜中に俺の元に来てくれたんだけど?」

 

「それで?私の許可を得ずに撫でたと?挙げ句の果てに抱き締めたまま寝たとっ!?」プルプル

 

「いやだって白いのの方からくっついて...」

 

「ーーーっ!!問答無用!!今すぐ貴方を刀の錆びにしてくれるぅっ!!」バッ!!

 

「ちょっ!?やめっ!?真剣危ない!!振り回すのよくないっ!?いや本当にやめっ...やめろおおおおおお!?」ダッ!!

 

「だからいわんこちゃねぇ。」

 

 

 

 

 

少女暴走中...

 

 

 

 

 

「すみません。また少し取り乱しました。」

 

「あれを少しというのは無理があると思うぞ?」

 

「元はと言えば貴方のせいじゃないですか。」

 

「元凶は白いのだと思うんだけどね?」

 

「いえ、絶対貴方です。半身はこれっぽっちも悪くありません。貴方の存在自体が悪いんです。」

 

「存在が理由!?」

 

「あー、ところでこれから嬢ちゃんはどうするんだ?」

 

「そうですね。これから材料を買い足して、冥界で早速作ってみます。」

 

「そうかい。気ぃつけて帰れよ。お前さんの団子づくりの腕は俺が保証するから安心してくれ。」

 

「さようなら妖夢さん。もしよかったら今度は主人さんと一緒に団子食べに来てくれよな。」

 

「はい。ありがとうございます。では...」

 

 

 

 

 

ガラララッ

 

 

 

 

 

「さて、開店の準備でもするかねぇ。親父ぃ!俺、暖簾(のれん)掛けてくるわぁ~」

 

「...。」

 

 

 

 

 

ダッダッダッ!!

 

 

 

 

 

「って、帰れるかぁっ!!」

 

「あ、お客さんですね!!いらっしゃい!!」

 

「なに他人のフリしてるんですか!?私の半身返してくださいよぉっ!!」

 

「だって白いの、妖夢さんを怖がってるのか俺の首に巻き付いて離れないんだもん。」

 

「『離れないんだもん』じゃないですよ!!私の身体の半分ですよ!?置いていける訳無いじゃないですか!!なんなら首斬って取り戻して差し上げましょうか!?」

 

「やめてください死んでしまいます。」

 

「あー、トオル。おめぇ冥界に行ってこい。」

 

「えっ?いいのか親父?」

 

「まぁよくねぇが、嬢ちゃんを帰さない訳にもいかねぇし、荷物持ちも必要だろ。なんなら主人さんにも挨拶しとけ。」

 

「まぁそう言うなら...あんま無理するなよ?」

 

「身の程はわきまえてるつもりだ。」

 

「えっ!?貴方付いて来るんですか!?」

 

「半身をここに置いていくか、俺を連れていくか、さぁ選べっ!!」

 

「なんですかその選択肢!?私は三番の『貴方の首を斬って半身を取り戻す』を選択します!」チャキッ!

 

「残念!不正解!!」ブブー

 

「私にとっては至極真っ当な『大正解』なんですが!?」

 

「はいはい。愛の語り合いはそこまでにしな。」

 

「ちっげぇよ!?」

「違いますっ!!」

 

 

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

 

 

「おお、嬢ちゃん久しぶりだね。ってか、買い物にしてはやけに早くないかい?」

 

「えぇ、今から帰って支度をするつもりです。」

 

「今から?...(チラッ)...あー、今後ともお幸せに。」

 

「違います。」

 

「八百屋のおっちゃん。もうそれ6回目なんだわ。」

 

「なぁんだ違うのかい!んで、あんちゃんはどうしたの?」

 

「今から妖夢さんと一緒に冥界に行くんですよ。」

 

「...結婚前の挨拶か?」

 

「ごめん。それも6回目。」

 

「はっはっは!まぁこんな風にからかう位しか暇潰しが無いからね。許しておくれや。」

 

「じゃぁ少し安く売ってくれたら許そう。」

 

「...そのやり取りも?」

 

「もちろん6回目だ。」フフン

 

「抜け目ねぇなぁ...ほれ、値段は変えねぇが、少し色を付けとくよ。毎度あり!」

 

「ありがとうございます。」

 

「ありがとなおっちゃん。」

 

 

 

 

 

ザッザッザッ...

 

 

 

 

 

「...というか、嬢ちゃんの霊魂首に巻いてりゃ誰だってそう思うっての...罠か?」

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。ちょっと博霊神社に寄ってっていいか?」

 

「え?なんでです?」

 

「ちょっとした野暮用さ。」

 

 

 

 

 

青年少女移動中...

 

 

 

 

 

「さって、恒例のお賽銭確認ですが...280円...なんとも言えないなぁ...。」

 

「お賽銭?まさか博霊神社のお賽銭箱に入れるんですか?」

 

「その通りだけど?」

 

「あっ、いや、今までお賽銭が入ったことはないと霊夢が愚痴を溢していたので、入れる人がいるなんて意外だなぁと。」

 

「まぁ前役員がサボってたから暫くは入ってないんだろうけど...え?今まで一度も?」

 

「えぇ。聞く限りは。」

 

「そ、そうなんだ。んじゃ、さっさと仕事済まして冥界に行きますか。」

 

「殺して霊魂の状態で運んで差し上げてもいいんですよ?」

 

「物騒な剣士だこと...」

 

 

ちゃりん♪

 

 

 

 

 

□□□

 

 

 

 

 

「はぁ~。冬の朝はこたつでのんびりお茶を飲むのが1番ねぇ...」

 

「同意はするけど、少しは境内の掃除とかしたらどうだい?」

 

「うるさいわね針妙丸。居候のあんたがしなさいよ。」

 

「巫女の仕事だよね?そんなにサボって大丈夫なのかい?」

 

「大丈夫大丈夫。神様だって今頃冬眠してるだろうから、多目に見てくれるわよ。」

 

「それは紫のことじゃ...っ!?」チャリン...

 

「逃がすかぁっ!!」ダッ!!

 

「れ、霊夢がんばって!!」

 

「よーす、霊夢。おはよ...「魔理沙邪魔っ!!」グヘアッ!!?」

 

 

ダッダッダッ!!

 

 

「...魔理沙大丈夫かい?」

 

「あぁ、大丈夫だが...何があったのぜ?」

 

「今にわかるさ。」

 

 

...捕まえたぁっ!!!

 

 

「えっ、捕まえたって、まさかお賽銭の犯人...!?」

 

「捕まえたわ~♪愛しのお賽銭♪もう逃がさないんだから~♪」

 

「あー、今日も来たのかお賽銭...」

 

「あったり前じゃない!!さぁ、今日も宴会やるぞ~♪」

 

「はぁ~面倒な異変だぜ...」

 

「犯人、追いかけなくていいのかい?」

 

「追いかけたいのは山々なんだが、倒れた拍子に腰強く打っちまったみたいでな...起き上がれないのぜ。ちょいと手を貸してくれないか?」

 

「はぁ、手間がかかるねぇ。」

 

「大きくなるのにか?」

 

「その通り、二度手間さ。」

 

 

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

 

 

~白玉楼門前~

 

 

「はえー。ここが白玉楼かぁ...広いな。」

 

「えぇ。毎日の掃除や庭の手入れが大変ですよ。」

 

「え?妖夢さんは護衛とかやってるんじゃないの?」

 

「私の肩書きは『剣術指南役兼庭師』。主に剣術の指導と庭の手入れが基本の仕事です。」

 

「へぇ。あれ?でも家事までやってるのか?」

 

「えぇ。まだ私の剣術は未熟なので、指南する側になれませんから、今は家事も行ってるという感じです。」

 

「なるほど。確かにあの乱暴な太刀筋じゃそれも納得...」

 

「何か言いました?」ニコッ

 

「なんでもございません妖夢様。」

 

「わかればいいんですわかれば...さ、入ってください。」

 

「あ、ちょっとやりたいことがあるんだがいいか?」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

バァーン!!

 

 

 

 

 

 

「たのもーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

「道場破りですか。いいでしょう。微塵切りにしてあげます。」

 

「いや、こういう大きな門見るとついやりたくなっちゃうんだよね。あと妖夢さん好戦的過ぎません?」

 

「貴方だからですよ?しかし、麻袋と野菜を抱えながら道場破りする姿は見てて面白かったです♪」ニヤニヤ

 

「それを言うなっ!!...でさ、妖夢さん。」

 

「はい?」

 

「あそこでぶっ倒れてる水色の着物着た人...誰?」

 

「へ?あっ!?ゆ、幽々子様っ!!?どどど、どうなさったんですか!?」

 

「ぁ、妖夢?お帰りなさい。それと...ごめんね?私の命はもう少ししか持たないみたい。」

 

「何言ってるんですか!?元から無いでしょう!!?」

 

「あぁ、八分咲きの西行(あやかし)、もう一度見たかったなぁ...」

 

「満開じゃないんですか!?いや、満開になったらいろんな意味で困りますけど!!?」

 

「最後に1つだけ...お願いしてもいいかしら?」

 

「全然最後じゃないですけどなんでしょうか!?」

 

「もう一度...妖夢の作ったご飯を...食べたかっ...た...ガクッ」(←死因:餓死)

 

「すぐ作って口に()じ込んででも食べさせてあげますから待っててください幽々子さまぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

うわぁぁぁぁぁぁん!!

 

 

 

 

 

 

「...何コレ?」

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