霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

11 / 31
花より団子な亡霊

「はぁ~♪ご馳走さまでした♪」

 

「はい。お粗末様です。」

 

「うん。その。取り敢えず救命活動みたく、急いで食料を料理調理する嵐を厨房で繰り広げてて疑問に思ったんですけど...何人分食べましたか!?」

 

「乙女にそんな質問するなんて失礼ね~?二十人分よ?」

 

「返答の方が桁数多いのに失礼とはこれいかに?」

 

「まぁまぁ細かいことは気にしないの~。それより、妖夢が男を連れ込んでくるなんて...あれかしら?お赤飯炊こうかしら♪」

 

「すんません。そのくだりもう家でやったんです。」

 

「そうなの?でもいいじゃない折角だし♪妖夢。100合位お願いするわね♪」

 

「わかりました。」

 

「待った!!二桁ほどおかしいぞ!?」

 

「え?10000合?そんなに多く赤飯あったかしら?」

 

「増やすな増やすな減らせ減らせ!!」

 

「赤飯はありますが...釜で1度に炊けるのは1000合までですので、少々時間がかかりますね。」

 

「あるのかよ!?というか1000合一気に炊ける釜がここに用意されてることに驚きだわ!!」

 

「あら?あなたの家には1000合釜無いの?」

 

「そんな『あって当然でしょ?』みたいな顔で言われても無いです!!あっても場所取るだけだわ!!」

 

「え?無いんですか?なんて貧しい生活...」

 

「妖夢さん?分かってて言ってるよね?むしろ1000合釜を常時必要としてるのが異常だからね?」

 

「ふふ♪冗談よ冗談♪ところで今日は何か御用かしら?わざわざこんな寒い季節に冥界まで足を運ぶ人間なんてそうそう居ないわ?」

 

「御用というかなんというか。妖夢さんを家から送るついでに西行寺の主人に挨拶をしようかと思いまして。」

 

「あら♪やっぱり妖夢の男なのね♪」

 

「違います。」

「違います。」

 

「もう、妖夢ったら照れちゃって~♪あなたの半霊が彼にくっついてるのが何よりの証拠よ?」

 

「あ、あれは半霊が勝手にっ!!」

 

「あらあら素直じゃないのね。まぁいいわ♪半霊ちゃ~ん、こっちゃこーいこいっ♪」

 

「...!!」ピューン!!

 

「あっ、白いの...何か寂しいな。」

 

「ふむふむ...半霊は貴方のこと気に入ってるみたいだから、心配しなくていいわよ♪」

 

「そうか。ならオッケーだ!」

 

「私的にはあまり良くないんですが...」

 

「あ、そう言えば挨拶がまだだったわね。私は西行寺幽々子。ここ白玉楼の管理をしているわ♪」

 

「えーと、じゃあ西行寺さん?」

 

「ちょっと堅苦しいわね。幽々子でいいわよ♪」

 

「それは柔らか過ぎません?幽々子さんで。」

 

「はぁい。で、あなたは?」

 

「俺は『串田(くしだ)(とおる)』っていいます。団子屋『梅枝(うめえだ)』で世話になってる外の世界から来た人間です。」

 

「へぇ~、トオルくんね。今日はわざわざどうも♪」

 

「あ、あなたのフルネーム初めて聞きましたね。どうでもいいですが。」

 

「一言多いんだよなぁ。」

 

「トオルくんは団子屋やってるの?今度寄らせて貰おうかしら♪」

 

「幽々子さんがいらっしゃると全部食べられてしまいそうなので、お越しになるときは是非、御一報ください。どんな数だろうと親父が丹精込めて作りますんで。親父が!」

 

「あら♪じゃあそうさせてもらうわ♪」

 

「まぁ、結局は店にとっての冬が訪れますがね。」

 

「そうならないよう蓄えておかないとなぁ...」

 

「そうそう!団子屋の人の家から来たってことは、妖夢がついにお団子作ってくれるの!?」

 

「そうですね。今からご用意しましょうか?」

 

「ええ!食後の甘味、沢山作ってきてね♪」

 

「わかりました。ではしばらくお待ちください。」

 

 

 

スタスタスタ...

 

 

 

「まだ食べるんですね...」

 

「あら?甘味は別腹って言わないの?」

 

「いや、言いますけど、あれほど食べた後にって思うと想像するだけで胸焼けが起きそうで。」

 

「私は想像するだけで涎が出るわ♪」

 

「でしょうねぇ...って、最初に合ったときなんで倒れてたんですか?そこまで食い意地があるのなら料理とか自炊とかできたんじゃ...」

 

「...私に料理をしろと?」ゴゴゴ...

 

「え?何か料理出来ない理由が?」

 

「冗談♪ただ妖夢が作った料理じゃないと満足しなくって...」

 

「なにその不便な体。人里の料理じゃ満足できないとか...」

 

「いえ?そうじゃなくって、妖夢の手にある『ヨウムニウム』ってのを摂取しないと生きていけないのよ♪」

 

「なんかすごい切実な理由だった!?」

 

「もちろんこれも冗談♪本当は妖夢の団子を楽しみにしてお腹を空かせて待ってたんだけど、待ちすぎて一晩中何も口に入れなかったらあぁなってたのよ♪」

 

「死にかけるまで一途に待つとは、主人の鏡ですね。」

 

「あら、嬉しいわぁ♪まぁ、私は死なないんだけどね?亡霊だし。」

 

「亡霊?幽霊とは違うんですか?」

 

「う~ん。まぁ私もよく違いは分からないんだけどね?亡霊は霊として生きてるような存在、かな?まぁそんな感じよ♪」

 

「人間が人間として生きるように、亡霊は亡霊として生きているって感じ?」

 

「そうそう!幽霊は人の魂として存在してるけど、幽霊として生きてるって訳じゃないのよね。閻魔の判決を待つ人間の姿って感じだし。」

 

「ふむふむ。でも幽々子さんを見ている限り、人間と区別がつきませんね。辺りに浮かぶ霊魂を除けば、ですが。」

 

「ま、元は私も人間だったのかも知れないからね...あ、そうだ!トオルくんは外の世界から来たって言ったわよね?外の世界の話、是非聞かせてもらえないかしら?」

 

「へ?外の世界ですか?」

 

「えぇ。私、外の世界に結構興味があってね、友人によく聞かせてもらってるんだけど、最近来てくれなくてね...」

 

「そうなんですか。まぁいいですよ。何か聞きたいことは...」

 

 

 

スーッ...

 

 

 

「幽々子様、団子が少しではありますができたのでお持ちしました。」

 

「あら、ちょうど良かったわ♪これを食べながらお話しましょう♪」

 

「えぇ。是非。」

 

「はて?あなたに寄越す団子は無いですが?」

 

「なんで!?」

 

「いえ、幽々子様の為に作ったものなので幽々子様に差し上げるのが道理...」

 

 

 

ふよふよ~

 

 

 

「お!白いの!俺に団子を持ってきてくれたのか!?ありがとなぁ♪」ナデナケレバ

 

「~♪」

 

「ーーーーーっ///」チャキッ!

 

「こらこら妖夢?お客さんの前よ?失礼なことはしないの。」

 

「そうだぞ!!私はお客様へと昇格したのだ!!我をもてなすがよいぞ!!」

 

「調子に乗って...も、戻りますよ半身!!」ガッ!!

 

「あっ!?俺の白いのがぁ!!」

 

「何が『俺の』ですかっ!?私のですぅっ!!」

 

「ほんと、素直じゃないんだから♪さ、こっちはこっちで楽しみましょう♪」

 

 

 

青年少女会話中...

 

 

 

「へぇ、そんな場所があるの...行ってみたいなぁ...」

 

「物語の世界を遊べるってのは魅力的ですよね。」

 

「そうね。空想を現実で体験するって言うのは、中々新鮮なことだと思うわ♪」

 

「まぁ、幻想郷に来たときはその体験の真っ只中でしたけど。」

 

「それもそうね...あら、もう夕刻が近くなってきたわ。そろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 

「えっ!?もうそんな時間!?」

 

「えぇ。そろそろ帰らないと、夜道を歩いて帰ることになるわよ?」

 

「それは勘弁...うーん。もう少し話したいことがあったんですが、またの機会ですね。」

 

「えぇ、そうしましょう。生憎私はいつまでもいるから、機会だけならいくらでもあるわよ♪」

 

「人間には寿命があるんですがねぇ?」

 

「その時は私の能力で死んでもらって、直属の幽霊になってもらってからずっとお話しましょう♪」

 

「何それ怖い。まぁ、頭のすみに置いてはおきますよ。」

 

「ふふ、よろしくね♪じゃあ、妖夢、冥界の入り口まででいいから、送ってあげなさい。」

 

「えっ!?な、なぜです!?帰り道は結構単純ですから一人でも...」

 

「そこまで露骨に嫌がられるほど悪いことしたかなぁ?」

 

「冥界は本来、死者の魂が溢れているのよ?ただの人間が歩いてたらすぐ近づいて悪さをするわ。来るときは妖夢がいたから良かったけど、帰りは分からないからね。それに...」

 

「ー!!」

 

「半霊ちゃんは行きたがってるようだし♪」

 

「ぐぬぬ///...わ、わかりましたっ!!さ、早く行きますよっ!!」

 

「えっ!?あ、あぁ。幽々子さん。楽しい一時をありがとうございました!」

 

「こちらこそ。また会いましょう♪」

 

 

 

ドタドタドタ!!

 

 

 

 

 

................

 

 

 

 

 

バッ!

 

 

 

 

 どこからともなく取り出した扇子を勢いよく広げ、口元を隠すように構え、目を閉じ...誰もいないはずの空間を、誰かを呼ぶ声で満たす。

 

(ゆかり)?」

 

「あら?気づいてたのね。」

 

「気付いて無いとでも思ったのかしら?流石に永年付き合ってればわかるようになるわ。」

 

「それは嬉しい限りね。で、何か用かしら?」

 

「それはこっちの台詞よ?最近、顔も出さなかったと思ったら、いきなり『串田(くしだ)(とおる)を白玉楼に連れてきて』なんて言うんだもの。目的は一体何なのかしら?」

 

「そうねぇ。最近あの男が毎日博霊神社に賽銭を入れるようになってね?そのせいで毎晩宴会が起きてるのよ。お陰で今五日酔いがね~...」

 

「ふぅん。でも、わざわざここまですることかしら?その異変を止めるだけなら簡単な話、トオルくんを処分すればいいだけじゃない?まぁ、そんなことするようなら、ちょっと邪魔するかもだけど♪」

 

「もちろんそれを考慮に入れてのこの頼みなんだから。まず、トオルは普通の人間で間違いないわね?」

 

「えぇ、そうね。寿命はそこらの人間とほぼ同じ。強いて言えば、少し短めかしらね?」

 

「能力は自己申告制とはいえ、そのようなものは一切みられなかった。以前から付き合いのある藍や橙も同様の証言。あなたもそうよね?」

 

「えぇ。少なくとも私の前では一度も。」

 

「と、言うことを踏まえて、私はあの男を今のところ『白』だと思ってるわ。おそらく、裏で誰かが糸を引いてる。選ばれた彼がたまたまうまく動いてるのか、それともこれから事を大きくするのか...まだ確証はないけどね。」

 

「紫も大変ね。毎日宴会に参加してるんでしょ?それと同時に異変の原因を探るだなんて。しかも冬になんてね♪」

 

「少しは手伝ってほしいわ?」

 

「もう手伝ったじゃないの。ご褒美が欲しいわ?」

 

「もうあげたじゃない?外の世界の友人をね?」

 

「そうね。これから先が楽しみだわ♪」

 

「ありがとう幽々子。それじゃあ宴会に行ってくるから。」

 

「じゃあね。面白い事が起こったら呼んでね♪」

 

「あら?早速お呼び出しよ?博霊神社で宴会ですって?」

 

「ふふ、遠慮しておくわ♪彼が居ないんだもの。退屈だわ♪」

 

「...酒が入る前からのろけた亡霊なんてこっちから願い下げよ。面倒なだけだわ。」

 

「はいはい♪そんな私を免じて、とっとと宴会に行ってきなさい♪」

 

「わかったわよ。あ、そうそう。私はトオルを『白』と思ってるけど、彼を見つけ出して異変を解決しようと動いてる輩もいるから、気にしてみたら?じゃあね♪」

 

 

 

................

 

 

 

 

「そう...それはちょっと、楽しそうね♪」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。