霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

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驚かせ!この世の全てを!!

「ねぇ妖夢さん?」

 

「何でしょうか?」ギューッ

 

「何で白いのを抱き締めたまま歩いてんの?」

 

「分からないんですか?あなたに近づけさせないためです!!」

 

「え?なんでだよ?もう少し撫でさせてもらっても良いじゃないか。」

 

「良くないです!!半霊は私と一心同体なんです!!撫でられたら...その...あなたの腕を斬りたくなる衝動に駆られるんです!!」

 

「怖っ!?何で撫でられるだけでそんな衝動に襲われんだよ!?」

 

「ししし、知らないですっ!!」

 

「じゃあ妖夢さんを撫でたらどうなるんですか?」

 

「えっ...そ、そんなことされたらアレです!!あなたどころかここら一帯の有象無象を滅多切りにします!!」

 

「なんだ!?頭の上に暴走スイッチでも搭載してんのか!?」

 

「だから私を撫でるのは絶対にしないでくださいっ!!」

 

「...そうは言うけど、半霊はめっちゃ撫でて欲しそうにこちらを向いてるが?」

 

「向いてません。早く帰りたいと白玉楼の方を向いています。」

 

「じゃあ白いのを解放してみろ。白玉楼に向かうかどうか見といてやるから。」

 

「出来ません。きっと手を離した瞬間に捕まえられて好き放題撫で殺されるのが目に見えています。」

 

「チッ。バレたか...」

 

「...あなたの方に行くとは考えなかったんですか?」

 

「いや、ほぼ確実に俺の方へ飛んでくるという自信があるが、もし白玉楼の方へ飛ぼうものならショックで立ち直れなくなりそうだからな。それを阻止する為の考えだったが...読まれてたか...くっ!」

 

「そ、そうですか...ところであなたは苦手なものってあります?」

 

「嘘が苦手かな?すぐバレるし。」

 

「いや、そういう苦手じゃなくて、虫とか食べ物とか。」

 

「...何でそんなことを?」

 

「次会うとき、半霊に近づけさせないようにする計画の為です。」

 

「それなら尚更言いたくないんだが...というかむしろ、俺の方が妖夢さんの苦手なものを知る必要がある気がするけど。」

 

「どうしてです?」

 

「いや、撫でられるのがそこまで苦手ならしないようにしないとだし、他に苦手なものを知っとけば不用意にはしなくなるじゃん?」

 

「そ、そうですね!!撫でられるのは凄く苦手ですね!!絶対にしないでくださいよ!!絶対ですからね!?」

 

「...フリかな?」

 

「フリじゃありません!!」

 

「...じゃあ他には?」

 

「他?...そうですね、何が苦手だと思います?」

 

「クイズかな?...まぁいいか。うーん。流石にお化けってのは無いでしょ。半分幽霊なんだし。」

 

「!?」ビクウッ!!

 

「多分、肝試しとかも全然平気だろうな。見慣れてるだろうし。」

 

「!?!?」ビッビクゥッ!!

 

「妖夢さんなら外の世界にあるお化け屋敷なんてあっさりクリアしそうだな。」

 

「!?!?!?」ビビビクゥッ!!

 

「だよね?妖夢さん...妖夢さん?」

 

「ソソソ、ソーデスヨ!!オバケナンテコワクナイデスヨ!!サ、モウスグデグチデス!!ハヤクイキマショウ!!」

 

「あ、ほんとだ。ってかどうしたの?いきなり棒読みしだして...」

 

 

 

 

 

 

すぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!

 

 

 

 

 

 

「おどろけーーーっ!!!」

 

 

 

 

 

「あ、小傘じゃないか。毎度の事だがそんなおどかし方じゃ誰も...」

 

 

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!お、おおお、オバケェェェェェェ!!!??!?!?」

 

 

 

 

「ええええええ!?」

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!オバケは嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ダットノゴトク!

 

 

 

 

 

ズダダダダダダダ...

 

 

 

 

 

「...行っちゃった...。」

 

「...!?」オロオロ

 

「ん?置いてかれちまったのか、白いの?...お前も大変だなぁ...」ナデルベシ

 

「~♪」

 

「ま、妖夢さんがちゃんと家に帰れてるか、見に行ってくれ。あの様子だと心配だからな。頼んだぞ~白いの。」ナデツヅケロ

 

「~♪」ピューン

 

 

「...さて、まさかお化けが苦手だったとは...自分も半分幽霊のくせに...いや、そもそも小傘は妖怪なんだけど...あ、傘の方に反応したのかな?...まぁ、なにはともあれ良かったな小傘、驚いてくれるやつがいて...ん?小傘?」

 

「............。」

 

「おーい、どうしたん...

 

 

 

「いやったあああああああ!!!やっと人間をおどかせたぞおおおおおおお!!!!」

 

 

 

「まぁ、半分だけだけどぉおおお!!?」ヒョイッ

 

「嬉しいなー嬉しいなー♪あんなに驚いてくれるなんて嬉しいなー♪」

 

「怖いなー怖いなー!?傘の舌で巻き取られて胴上げ(?)されるなんて怖いなぁー!?」

 

「人間が驚いてくれたのなんて何年ぶりだろ~♪久々過ぎて小躍りしちゃうよ~♪」クルクル♪

 

「やめて小傘さん!?小躍りついでに傘回さないで!?め、目が、目が回るううううううう!!?」

 

 

 

 

 

少女興奮中...

 

 

 

 

 

 

「うげぇ...腹にたまってた団子を『ジオ・リバース』するところだった...」

 

「ご、ごめんね?あまりに嬉しくってつい振り回しちゃって...」

 

「うん。まぁ、気持ちは分かるからいいよ。うん。大丈夫...大丈夫だからもう傘の舌でベロベロしなくていいぞ?」

 

「そう?傷がないか確認してたんだけど、本当に大丈夫?」

 

「うん。どちらかというと関節にダメージが入ったからな。舐められても仕方ねぇよ。」

 

「そうかい。でも、すごい驚きっぷりだったねあの娘!!いやー、おかげでわちきのお腹は満腹だよ~♪」ホクホク

 

「ほんと満足してんだな。ところで何で冥界の入り口に?用でもあったのか?」

 

「いや?特にないけど?今日も今日とて人間をおどかそうと人里を練り歩いてたんだけど、冬のせいか出回る人はあんまりいなくてねぇ...」

 

「毎度毎度、精が出るな。」

 

「しかも大人たちに見つかったら『あっち行け!』って追い払われちゃってさ...仕方無く幻想郷中をフラフラしてたらトオルを見つけておどかしたって訳さ!」

 

「まぁ、驚いたのは隣にいた妖夢さんだったけどな~。ってか、また人里行ってたのか...遂に張り紙まで出されてるってのに、よく行けるな?」

 

「そういえば、わちきの人相書きがあちこちにあったね。いつの間にか有名人になってたのか~♪」

 

「いや、変質者としてだかんな?」

 

「え?なんでなのさ!?『注目!!』って書いてあったじゃん!!」

 

「『注意!!』って書いてあったぞ!?なにか?お前の右目と左目で見えてる世界が違うのか!?」

 

「なんで注意なのさ!?わちき悪いことしてないよ!?今だって『ベビーシッター』って仕事で、世の中の役に立ってるんだから!!」

 

「手当たり次第に子供たちおどかして回る変質者のどこに善意があるの!?というか、『ベビーシッター』は子供をおどかす職業じゃねぇよ!!しても『いないないばー!』ぐらいだわ!!」

 

「なにさ、その『いないいないばー!』とか言う超古代文明並みのおどかし方!?わちきの文明最先端のおどかし方である『おどろけー!』の足元にも及ばないよ!!」

 

「超古代文明の最先端並みじゃねぇか!!そもそも役に立つんだったら鍛冶出来るんだからそっち方面で人の役に立てよ!!」

 

「得意なことで役に立つのとやりたいことで役に立つの。どっちがいいって言うのさ!?」

 

「...はぁ...わかったよ。ちなみに小傘の言うやりたいことって?」

 

「もちろん、人をおどかすことさ♪」

 

「それが人の役に立てる事ならどれほどよかったか...」

 

「何言ってるの?おどろかすことは良いことじゃん?お腹も満たされるし。」

 

「それは小傘だけなんだよなぁ...」

 

「あ、得意なことは2番が鍛冶で1番がおどかすことだから、結局どっちも一緒だったや!あはは~♪」

 

「なんだろう?頭痛が痛くなってきた気がする...」

 

「って、そんなことよりも、最近子供たちすらおどろいてくれなくなってさ~、前みたいに、わちきにおどかし方教えてよ~。」

 

「得意なこと第一位じゃなかったんですかねぇ?」

 

「あれさ!得意分野を極めすぎちゃったから、他のみんなはついて行けなくておどろけないのさ!」

 

「本末転倒じゃん!?」

 

「だから時代遅れのトオルのおどかし技術が必要なのさ!だから、ね?」

 

「なんと!?俺が時代遅れともうすか!?いや、だからって、俺が教えた時のおどかしが結果どうなったか覚えてる?」

 

「え?慧音の時は成功したでしょ?」

 

「あの日たまたま満月の日で気が立ってた慧音先生をおどかしたら俺ら頭突きくらったんだが?」

 

「妹紅の時なんて大成功だったじゃん!」

 

「湖の(ほとり)で釣りしてて食事をとろうとした妹紅をおどかしたら、持ってた弁当が湖にダイビングしちゃって、昼飯の代わりとして俺ら炭火焼きにされそうになったんだが?」

 

「そんなの結果論じゃないか。おどかすことには成功してるし、わちきも満足してたんだから!」

 

「はぁ...わかったよ。じゃあまずおどろかすのに必要なことは?」

 

「相手の前に出て、『おどろけー!』」

 

「動作じゃなくて、相手はどうしておどろくのかを聞いてるんだが...」

 

「え?びっくりするからじゃないの?」

 

「じゃあ、なぜびっくりするんだ?」

 

「わちきがおどかしたから!!」

 

「...えーっとな?人をおどろかすには相手の意表を突く必要があるんだよ。」

 

「意表?」

 

「予想外の事をするってことさ。そうだなぁ...例えば...よっ!!」

 

 

 

 

 

パァン!!

 

 

 

 

 

「うわっ!?びっくりしたぁ...いきなりどうしたのさトオル?」

 

「これは相撲で用いられる技の一つ、『猫騙し』ってものだ。本来は出会い頭にやるものなんだが...おどろかすだけなら別だ。言いたいのはこれ、小傘は俺がこんなことをするなんて思ってもみなかったろ?」

 

「思う暇すら無かったよ...でも、確かにトオルがこんなことをするなんて思わなかったな~。」

 

「だろ?それに対して小傘はどうだ?毎回相手の前に立って『おどろけー!』のワンパターン。いくらおどろかせの極致(笑)だからって、何度も見せられちゃ相手は慣れちまうのさ。」

 

「なるほどぉ...わちきがおどかすことの有名人になったもんだから、わちきのやることがバレバレなのかぁ...」

 

「...有名人かはともかく、その通りだ。だから最前線を突っ走る小傘は、たまには昔々のおどろかせ方でやってみた方がいいのさ。」

 

「ふぅん...やっぱりこういう時、トオルは頼りになるね♪」

 

「そりゃどうも...ま、出会ったときからこうだしな。」

 

「最初にトオルをおどかしたときはこっちがおどろいたよ。『そんなんで驚くわけないだろ!!なってねぇ、俺が見本を見せてやるっ!!』ってさ。」

 

「今も昔も変わってない気がするけどな?」

 

「まぁまぁ...あ、これって...」

 

 

 

 

しんしん...

 

 

 

 

「おっ、雪が降り始めたか...こりゃ早く帰らねぇとな...悪いな小傘。先に帰るわ。風邪引かないようにな!頑張っておどかしまくれよ~!!」ダッ!!

 

 

 

 

 

 

 

............。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピューン...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........えいっ!!」ドン!!

 

「おわっ!?なんだなんだ!?」

 

「雪が降ってる中、傘も差さないトオルの方が風邪引くよ?ここは化け傘のわちきの出番だよ!!」

 

「確かにそうだが...どうしたんだ?いきなりこんなことして...」

 

「どう?おどろいたでしょ?」

 

「おどろいたよ。いきなり『相合傘』してくるんだもんな。」

 

「へへ~♪早苗から『男を絶対におどろかす方法』として相合傘を教えてもらってたんだ~♪はぁー、うまくいって満足満足♪この気持ち、トオルに分けてやりたいよ♪」

 

「もう十分伝わったよっと...ってか、その方法、とにかく男にしまくってないだろうな!?」

 

「してないさ!『この方法は小傘さんが絶対におどかしたい人にだけ使え』って早苗に念押しされたんだから!」

 

「まったく...外の世界の知識を変に振り撒くなって、早苗に教えとくべきかねぇ...」

 

「さぁさ!雪も酷くなる前に、ちゃちゃっと帰ろ~♪」

 

 

 

◼️◼️◼️

 

 

 

~団子屋『梅枝』付近~

 

 

「ふぅ、助かったよ小傘。ありがとな。」

 

「礼なんていいよ。久々に傘として役に立てたしさ♪」

 

「そうか。で、小傘はこれからどうする?店に寄ってくか?」

 

「うーん。魅力的なお誘いではあるんだけど、夜は人間をおどろかす格好の時間だしね。トオルから教えてもらったことをさっそく生かすチャンスさ!」

 

「ほうほう。てか、それなら人の役に立ててるんじゃないか?」

 

「ふぇ?どゆこと?」

 

「小傘は人間をおどかして満足。人間はびっくりして家に閉じ籠り、不用意に夜の外に出ないようになる。これで人食い妖怪に会う事が少なくなる。結果的に人間の役に立てて小傘も満足。まさにwin-winの関係だな。」

 

「ま、まさかそんな風に役に立ってたなんて...うん!夜のおどかし、頑張ってくるよ!!またね、トオル!!」ピューン!!

 

「ああ、頑張れよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...って、夜中に『おどろけー!』って人里中で連呼されたらうるさくてさらに厄介者扱いされそうだな...すまん。小傘。今度団子奢るから許してくれ...」

 

 

 

ガラララッ

 

 

 

「親父ぃー、今帰ったぞぉー。幽々子さんと長く話してきちまった。すまね...え?」

 

「...。」

 

「お、おい。親父?どうしたんだ?棚に頭突っ伏し...!?」

 

 

 

バタン!!

 

 

 

「おい!?親父...?親父ぃ!?」

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