霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

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巫女が動くは異変が為

「これは、異変よ!!!」

 

「いや、不変だ。もっと言うなら普遍なのぜ。」

 

「何よ魔理沙!!お賽銭の入る日々こそ普遍そのものでしょ!?」

 

「お前今までの日々振り返ってみろよ!?」

 

「え?一昨日まで入ってたじゃない」

 

「一週間前までは入ってなかっただろ!?」

 

「お賽銭の入ってない日々なんて無かったも同然よ。」

 

「お前ホントさらっと毒吐くよな!私たちの関係がたった五日に集約されたぞ!?」

 

「そんなわけ無いじゃない。56時間46分12秒に集約されてるわ。」

 

「違う!正確なツッコミだけど突っ込む所が違う!!」

 

「そんなことより魔理沙、この異変を解決するの手伝いなさい。一刻を争うわ。」

 

「『そんなことより』で済んじまうのか!?その一刻で争いが勃発するぞ!?」

 

「なによ、ゴチャゴチャ煩いわね。来るの?来ないの?」

 

「い、行きます...。」

 

「そ。なら、さっさと行くわよ。」

 

「『行く』って言ったって、どこに行くつもりだよ。」

 

「昨日アリスが言ってたじゃない。『団子屋がお休みだった』って。」

 

「んぁ?あー、確かそんなこと言ってたな...。」

 

「満月の日に営業しない団子屋なんて、よっぽど商売が下手か、何かあったに違いないわ。」

 

「巫女が商売の云々言うのかよ。」

 

「巫女だって商売位するわよ。お守りとか。まぁ、気になる所がそこしかないから、とりあえず向かうわよ。」

 

「お、おう。というかあの時の会話ちゃんと聞いてたのな。」

 

「そりゃそうよ。賽銭の事しか考えてなかっただけで、あんたらの会話は一字一句覚えてるわ。」

 

「そうなのか...。やっぱすげぇな、霊夢は...。」

 

「何言ってんのよ。魔理沙も十分やってんじゃない。私が保証するわ。自信持ちなさい。」

 

「そ、そうなのぜ?...え、えへへ♪」

 

「え?なんで顔赤くしてるの?...まぁいいわ。華扇、悪いけど針妙丸の世話、頼んで良いかしら?」

 

「別に構わないけど...。」

 

「そ。ありがと。じゃ行ってくるわね。」

 

 

 

ピューン!

 

 

 

「れ、霊夢が私を認めて...ウヘヘ...。」

 

「魔理沙。いつまで悶えてんのよ。ほら、霊夢が見えなくなっちゃうわよ?」

 

「はっ!?ちょっ、待ってくれ霊夢ゥ!!」

 

 

 

ピューン!

 

 

 

「...はぁ、霊夢はホント、良くも悪くも人間関係に関心無いんだから...。」

 

「ふぁぁ...霊夢ぅ?」

 

「あぁ、針妙丸...だっけ。おはよう。霊夢なら異変解決に行ったわよ。」

 

「そうなんだぁ...っ!?」

 

「えっ!?ど、どうしたの針妙丸!?針なんか構えて!?」

 

「なんだか...貴女を...倒さないといけない気がする...っ!!」

 

「え"っ!?な、何でよ!?私鬼なんかじゃ...鬼なんかじゃ...!!」(←嘘が苦手)

 

「よくわからないけど勝負だ!!」

 

「くっ、そ、そこまでやる気なら相手になってやるわ!!かかってきなさいっ!!」(←鬼の気質『好戦的』)

 

 

 

包符「義腕プロテウス」っ!!
小槌「伝説の椀飯振舞」っ!!

 

 

 

■■■

 

 

 

「ふぅ、ようやく竹林を抜けたか。」

 

「おぅ...嬢ちゃん、こんな竹林の道のりよくわかるな...。」

 

「あたぼーよ。毎日ここらで息吸ってんだ。慣れもするさ。」

 

「そうかい。んじゃあ、ありがとな。お礼は今度持ってこさせるよ。」

 

「朝っぱらからすまねぇな妹紅。親父が起きるなり店に戻るってきかなくてよ。」

 

「いやいやいいよ。それに、私も人里に向かわにゃならんからな。」

 

「え?何か用があるのか?」

 

「ほら、昨日って満月だったろ?満月の次の日は慧音が疲れて寝ちまってるからさ、今日の寺子屋は私がやるんだよ。」

 

「あー、そうだったそうだった。なら俺も手伝おうか?」

 

「いやいや、トオルは店をちゃんと再開できるよう手伝ってやれ。自分の今の住みかを疎かにするんじゃないよ。」

 

「へーへー。」

 

「なっはっは!今日は覚悟しろよトオル!」

 

「...もっと寝ててもよかったのよ?」

 

「老人が一番気にしてんのは残りの生きる時間だ。団子を1つでも多く作んなきゃなんねぇからな。できればずっと起きてたいくらいだぜ。」

 

「どこまでも団子一筋なのね親父...。」

 

「残りの生きる時間か...やっぱいいねぇ、そういうの。」

 

「妹紅は時間の過ごし方が問題だもんな...よし!んじゃ、人里に向かうまで妹紅の暇潰しを色々考えてみようぜ!」

 

「お?なんだなんだ?嬢ちゃんは暇人なのか?」

 

「あぁ、ずっとな。」

 

「そうかそうか。なら、ゆっくり考えてみようじゃねぇか。」

 

「おうよ!」

 

「...ありがとな。トオル。」

 

 

 

■■■

 

 

 

 

ピューン...ストッ

 

 

 

「さって、人里に着いたけど...団子屋って何処よ?」

 

「え?霊夢、お前団子屋知らないのか?」

 

「は?そんなこと寄れるわけ無いじゃない。ほぼ一文無しなのに。」

 

「カツカツなのな、生活...。」

 

「悪かったわね。で、その団子屋って...」

 

「おや?そこに居るのは博麗の巫女さんかえ?」

 

「え?あぁ、お婆さん、朝早いのね。」

 

「んあぁ、そうだよぉ。朝は三文の徳って言うからねぇ。早起きと散歩だけは私の取り柄さね。」

 

「そう。それで、団子屋の事について知らない?出来れば場所も。」

 

「団子屋さん...ほなら『梅枝』さんのとこやねぇ。でも、昨日の朝早くから閉まっちゃっててねぇ...人里の皆心配してるのよぉ...。」

 

「そうなの?ますます怪しいわね...魔理沙!案内お願い!」

 

「わかったのぜ!」

 

 

 

ピューン!

 

 

 

「おやおや、巫女さんあんな剣幕で飛んでいくなんて...もしかして異変なのかねぇ...?」

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「あ、もう人里か...あんまり良い案思い付かなかったな...。」

 

「いや、いろんな楽しみ方が有るんだなって参考になったよ。それに、楽しい時間はあっという間にすぎる。それが証拠さ。」

 

「なんか妹紅がカッコいいこと言ってる...。」

 

「あ"?なんだ喧嘩売ってんのか?」

 

「いや、ただ単純に格好いいなって思っただけだ。」

 

「ふーん...惚れたか?」

 

「そこまではないな。それに、妹紅には慧音先生がいるだろ。」

 

「なんだその言い方!慧音とはそんなんじゃ...。」

 

「ほらほら妹紅さん。早く慧音先生の代わりに寺子屋行かないと、遅刻しちゃうぞぉ~?」

 

「くっ...覚えてろよトオル...今度直火焼きにしてやる...。」

 

「はいはい楽しみにしてるよーっと。」

 

 

 

ダッダッダッ!!

 

 

 

「なぁ、あんな扱いでいいのかトオル?」

 

「ん?まぁ妹紅とはなんかこう、男友達に似たものを感じるんだよな。気軽に喋れるし。」

 

「ほう...ま、たまには意識してやれよ。」

 

「なんだ?今だったら『朝日が綺麗ですね』なんて言えば良いのかよ?」

 

「それは直球過ぎやしねぇか?」

 

「というか、結婚してない親父から異性交流アドバイス貰ってもなぁ...。」

 

「やかましいっ!!俺だって若い頃は女子(おなご)にモテてだな...!!」

 

「はいはい...ん?あれ?店の前に誰かいるぞ...。」

 

「何っ!?もう待ってくださってるお客さんが居るってのか!?こいつぁ急がねぇとっ!!」

 

「そういや張り紙も何もしてなかったな...。そりゃ心配もされ...って、ん?あの二人どこかで...。」

 

 

 

□□□

 

 

 

「んー、とりあえず来てみたが...。どうだ霊夢?」

 

「そうね...特にこれといった妖怪の反応もないし、人もいないようだけど...。」

 

「どうする?他当たるか?」

 

「そうね。じゃあ行きま...」

 

 

 

ダッダッダッダッ!!

 

 

 

「お客さん!!お待たせしちまって申し訳ねぇ!!今すぐ準備しますんで少々お待ちをぉっ!!」

 

「はぁはぁ、親父、その走力どっから出てんの...ってあれ?魔理沙!?なんでここに...」

 

「え?トオルか?今までどこに行ってたん...」

 

「話してる場合かっ!!今すぐ準備するんだよっ!!」グイッ!!

 

「えっ!?あっちょっ、親父引っ張るなっ...ああっ!!」

 

 

 

ガララッ!!ピシャッ!!ドンチャンバンゴンガチャガチャピーポー

 

 

 

「...え、えーっと、お待たせしました。寒かったでしょう。さ、お入りになってください。」

 

「...なぁトオル。なんでそこまでご丁寧な接客してんだよ?」

 

「そんなこと言われてもなぁ...親父が見てるこっちが哀れになるくらい必死に団子作ってるもんだから、気が動転してね。あ、暖簾掛けるから早く入れ。」

 

「お、おう、わかったのぜ。」

 

「ちょっと待った魔理沙。こんなことしてる場合じゃないでしょう?店員さん。昨日はどうして店を閉めてたのかしら?」

 

「あー、昨日は親父が体調悪くなっちゃって、永遠亭に世話になってたんですよ。」

 

「ふーん。原因は?」

 

「メディスン...あー、毒の妖怪が俺に用があって来たときにたまたま毒が体に入ったみたいでして。」

 

「そう。ならもう良いわ。行きましょ。」

 

「あー、すみません。もしよろしければ入って下さいませんか?」

 

「え?なんでよ。今それどころじゃ...」

 

「今親父がお客さんを待たせてしまった償いをしようと必死に団子作ってるのです。それでもし、お客さんが帰ったとなれば親父心折れちゃうと思うんですよ。だから少しだけでも...」

 

「えー...。でも異変解決しなきゃだから私は...」

 

「今回は御代は要りませんのでどうか...」

 

 

 

シュン!!

 

 

 

「さ、早く団子とお茶出しなさい。今すぐ!!」チャクセキ

 

「えっ!?いつの間に席に!?」

 

「あー、霊夢に『タダ飯』なんて餌吊り下げたら食い付かない訳無いわな。んじゃ、ごちそうになりまぁ~すっと。」

 

 

■■■

 

 

 

「んんーーー!!おいしいわ!もう1セット頂戴!!」

 

「はいよぉー!!」

 

「…って、親父大丈夫か?こんなに振る舞っちゃって...。」

 

「あ?大丈夫大丈夫。どうせ昨日作り損ねた材料から作ってんだ。今日売る団子の心配はねぇよ。」

 

「いや、それもあるけど金は...。」

 

「下手に金取るよかタダでパーッと使った方が良いだろ?あの嬢ちゃん見てみろよ。あんな笑顔なんだぜ?曇らせるのは野暮ってもんだろ。」

 

「あー、うん。それには同意するわ。」

 

「ほれ、出来たぞ。持ってけ持ってけ。」

 

「はいよ...お待たせしましたぁ!オススメセット一丁!!」

 

「きゃー!待ってましたぁ!!」

 

「お、おい霊夢。そんな勢いで食べて大丈夫か?」

 

「大丈夫に決まってるじゃない!久々に団子食べれて、しかも食べ放題だなんて、今までの人生で最高の時間だわ!」

 

「えぇ...もっと良いことあったろうに...。」

 

(なんだろう、あの姉妹に重なって見えるのは俺だけだろうか?)

 

「あ、もっと良いことと言ったら、お賽銭が入ったことぐらいしかないわ!」

 

「ん?お賽銭...?」

 

「んぁ?賽銭だぁ...?」

 

「え?なんだ?トオルも親父さんも心当たりあるのぜ?」

 

(あれ?そういえば昨日...)

 

(永遠亭に1日世話になって...)

 

((あっ))

 

 

 

((昨日賽銭入れてねぇ!!!))

 

 

 

(というかあの人いたずらの時に賽銭箱に入ってた人じゃねえか!!)

(というかあの嬢ちゃん博麗ん所の巫女さんじゃねぇか!!)

 

 

 

(てぇことはつまり、巫女さんは団子食べに来たんじゃなくて...)

 

(俺たちが昨日お賽銭を届けなかった事に不満を持って来たってのか!?)

 

(こうなりゃあ...)

 

(やることは一つ!!)

 

 

 

「親父ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

「おうよぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

ズザァァァァァァッ!!!

 

 

 

「えっ?何?」

 

「お、おいおいどうした二人とも土下座なんかして...!!」

 

 

 

「「この度は申し訳ありませんでした博麗の巫女様ぁぁぁぁ!!!」」

 

 

 

「え?私?」

 

「そうですあなた様ですぅ!!昨日お賽銭を入れなかったことをお許しくださいぃぃ!!」

 

 

 

「えっ!?てことはあんた達がお賽銭を!?」

「えっ!?てことは犯人はお前達だったのぜ!?」

 

 

 

「そうですこの馬鹿二人ですぅ!!と言うわけで巫女さん!!これ昨日と今日の分の賽銭です!!どうか受け取って下さいぃぃ!!」

 

「えっ!!ホント!?貰って良いのね!?」

 

「勿論です!これからは毎日何があろうとトオルに届けさせますんでどうかお許しください!!」

 

「なんか俺の扱いが理不尽な気がしてならないけどお許しくださいぃ!!」

 

「ま、ままま、毎日!?え、えぇ!!勿論許すわ!!」

 

「「有り難き幸せ!!」」

 

「やったわ!早期異変解決に加えて、お賽銭と団子まで貰えちゃったわ!!今日は大規模宴会ね!!」

 

「げっ!?ちょっと待て霊夢...!!」

 

「そこの店主さん!今日は宴会やるから、ありったけの団子うちに頂戴!!」

 

「合点承知!!」

 

「魔理沙!あんたは団子を運んできてちょうだい!」

 

「へっ!?あっ、いやだからちょっと...!!」

 

「そこのトオルって人は毎日ちゃんとお賽銭入れるように!!」

 

「合点だっ!!」

 

「じゃ、私は宴会の準備してくるから。よろしくね!」

 

 

 

シュンッ!!

 

 

 

「えぇ...神社まで瞬間移動するなんてアリかよ...。」

 

「さあ、ありったけの団子こしらえるぜぇ!!里の人にゃ申し訳ねぇが暖簾下げてやるぞ!!」

 

「おうよ!今日は俺もフルで頑張る...」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

 

「「へ?」」

 

 

 

■■■

 

 

 

「はぁ...はぁ...」

 

「ぜぇ...ぜぇ...」

 

「ち、小さい体のくせに、よくやるじゃない...。」

 

「あ、あんただって、どっから出てんだい?体格を軽く越える力は...もしかして...」

 

「ただいま!...って、あんたら何やってんのよ?」

 

「えっ!?あ、あぁ、霊夢か。いや、ちょっとした手合わせをね?」

 

「え?私は真剣そのもの...」

 

「ふーん。まぁいいわ。それより今日は宴会よ!それもとびっきりの!!」

 

「えっ!?どうして!?」

 

「それは異変解決して、しかもお賽銭まで手にはいったからよ!!」

 

「ほ、ほんとかい!?良かったね霊夢!!」

 

「いや、針妙丸そこ肯定するところじゃ...ん?」

 

 

 

ガササッ!!

 

 

 

「あれ?今なにか居たような...?」

 

「ほら、なにボーッとしてるの華扇!早く準備するわよ!!」ガシッ!!

 

「わっ!?ちょ、ちょっと...!!戦った後で疲れてるから休ませてぇ!?」

 

 

 

■■■

 

 

 

「んで、どしたの魔理沙?」

 

「あー、すまん。水頼んでいいか?ちょっと落ち着きたいのぜ。」

 

「はいよ...ほれ。」

 

「ありがとよ...。ん...ふぅ...。」

 

「もういいか?そろそろ調理場に戻るから、出来たら呼ぶよ。」

 

「あー、その前に...親父さん!!ちょっとトオルを借りていいか!?」

 

「んぁ?いいぞ。そのかわり、ちゃんと返してくれよな?」

 

「ありがと!!っと、言うわけで、ちと尋問タイムだ。」

 

「え?何々?何があったの?」

 

 

 

「異変だよ。」

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