霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

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普通の魔法使いは普遍を望む

「いや、異変は解決したって巫女さん言ってたじゃん。そもそも何の異変か知らんけども。」

 

「あれは霊夢にとっての異変が解決したのであって、私達の異変はむしろ解決と同時に起こったのぜ。」

 

「は?ど、どゆこと?」

 

「いいか?事のあらましを説明するぞ...。」

 

 

 

少女説明中...。

 

 

 

「なるほど。つまりお賽銭が入って毎日宴会が起きるのが魔理沙側の異変で、お賽銭が入らないのが彼女...霊夢さん側の異変だと。」

 

「そーゆーこと。で、この二つの異変を起こすキッカケを作ったのはお前達ってことなのぜ。」

 

「そ、そうか...といっても、俺らは役員の仕事をしたに過ぎないぞ?」

 

「仕事だぁ?今までそんな仕事聞いたことないのぜ。」

 

「そりゃ今まで殆どの人サボってたっぽいし...。『賽銭奉納士』って役名なんだけど、ホントに知らないのか?」

 

「なんだその霊夢に媚しか売らないような役職は...そうだ、親父さん、その仕事っていつからあるか解るか?」

 

「んぁー、少なくとも4、5年前からか?まぁ、役員といっても、暇な老人が里の為になんかしようと発足しただけなんだけどな。」

 

「その中に怪しい人とかいなかったか?」

 

「さぁねぇ...俺が入った頃からこの役職はあったしなぁ...。」

 

「そうか...わかったのぜ。とりあえずトオルは明日からも賽銭入れに行ってくれて構わない。」

 

「え?良いのか?」

 

「あんまし良くないけど、賽銭が入らない時は霊夢が動くってことはわかった。だが元がトオルとわかった今、次入れない日があったらどうなるか想像がつかないのぜ。」

 

「まだ死にとうないでござる。」

 

「だろうな。ま、だからこれからは賽銭を入れる傍ら、異変の元凶を見つけて、表裏一体の異変をまるっと解決するために動いてくれ。」

 

「おう。お客さんに目を光らす位しか出来そうにないけどな。」

 

「それでも良いぜ。灯が多けりゃ謎が照らされやすいからな。」

 

「それで?魔理沙はこれからどうすんだ?まとまった数の団子作るにはまだまだ時間かかるぞ。」

 

「そうさなぁ...んじゃ、ちょっくら聞き込みしてくるのぜ。はっきり言えば秘密裏にトオルを闇に葬ったらそれで異変解決なんだが、それだと一時的に過ぎないし、何より...」

 

「何より...何だよ?」

 

「あー、そうなったら霊夢が暴走しそうだしな。ま、最終手段として考えとくわ♪」

 

「考えるなっ!!」

 

「あっははは!じゃあな!夕方位に寄るのぜ!!」

 

「おう。頑張れ~。」

 

 

 

ピューン

 

 

 

「お?話とやらは終わったか?」

 

「あぁ、そんじゃ、本格的に団子作りをするとしますかねっと!」

 

 

 

団子屋奮闘中...

 

 

 

「ふん。まぁこんなもんでいいだろ。」

 

「うわぁ...客席にまで団子の山が出来てやがる...。」

 

「まぁ二日分以上の生地使ったからな。」

 

「明日から大丈夫かよ?」

 

「しょ、正直不安だが、信用には変えられねぇよ...。」

 

「それもそうか。」

 

「トオルぅ~?もう出来たのぜ?」ガララッ

 

「あぁ、魔理沙。この通りだ。」

 

「うっわー...。こんな量よく作れたな...。」

 

「まぁ、ほぼ昼間ずっと作ってたからな。このくらいにはなるだろうよ。で、そっちは何か収穫はあったか?」

 

「なぁんにも。収穫ゼロだぜ。あちこち回ってみたんだがなぁ...有用な情報は無いに等しいのぜ。」

 

「そうか...。」

 

「まぁまぁ、過ぎた時間は悔やんでも仕方無いのぜ。今はトオルの出来ることをすりゃいいのさ。それじゃ...おーい、アリスぅ!運ぶの手伝ってくれ!!」

 

「はいはい。全く、人使いが荒いんだから。」

 

「アリスは人じゃないから大丈夫なのぜ!」

 

「やかましいわよ?って、久しぶりねトオル。まさかあなたが異変を動かしていたなんてね。想像もできなかったわ。」

 

「あぁ、アリスさん。お久しぶりです。アリスさんも異変の調査を?」

 

「そうよ。まぁ、お賽銭が入り始めて3日目に魔理沙と張り込みをしたくらいで、本格的に行動したのは今日くらいだけどね。」

 

「そうなんですか。」

 

「あ、せっかく会えたんだから言っておくと、最近人形劇に顔出しに来てくれなくて寂しかったわ?子供達もあなたがいるかいないかで数や表情が全然違ってくるんだから。」

 

「あっあー...すみません。ここの所立て込んでまして...。」

 

「おいトオル。嬢ちゃん困らせんのはいけねぇぜ?ちゃんと行ってやんな。」

 

「親父が夏頃から団子作りを毎日みっちり教え込んでたり余計な仕事押し付けたからだろうがっ!!」

 

「そうだったか?まぁこれからは広告も兼ねてちゃんと顔出すんだな!」

 

「全く...。」

 

「あはは♪じゃあ次やるときは来てちょうだい。待ってるわ♪」

 

「はい。是非。」

 

「さ、そろそろ行こうぜアリス。ま、なんだかんだ言って今日の宴会は何かと面白くなりそうだしな。団子もあるし。」

 

「そうね。なかなかいい宣伝にもなるんじゃないかしら。私達も少しはここのこと吹聴しておくわよ。」

 

「ありがてぇなぁ。よろしく頼むぜ嬢ちゃん達。」

 

「おぅ!まかせとけ!それじゃあな!」

 

「おう、またな~。」

 

 

 

ピューン

 

 

 

「ふぃー。やっと終わったか...。」

 

「病み上がりからこれたぁ、ちとやり過ぎたな。腕がもう上がりやしねぇ。」

 

「そうだな。今日はもう休もうぜ。」

 

「あぁ、そうするか...。」

 

「お疲れさん。親父。薬飲んでから寝ろよ。」

 

「わーってるよ。んじゃ、明日からもよろしく頼むぜトオル。」

 

「おう。お休みー。」

 

 

 

■■■

 

 

 

「はぁー、ただの確認のつもりだったが、アリスに付き添ってもらって正解だったのぜ!まさかこんな量作ってくるとは予想してなかったからな。」

 

「そうね。私もこの量は予想してなかったわ。」

 

「だろだろ?ちょっと親父さん張り切り過ぎなのぜ。」

 

「まぁでも、これくらいあれば宴会には十分でしょ。」

 

「そうだな...。ところでアリス。どうだったのぜ?」

 

「そうね。なんだか異変以上に驚いちゃったわ。まさか...」

 

 

 

「「トオルがパチュリーの香水を付けてるだなんて!!」」

 

 

 

「いやー、これにはまいったわ。少し見ない間にこんなことになってるだなんて...」

 

「だろだろ!!パチュリーのやつ、どうやって香水を渡したんだか。」

 

「いやそもそも香水を渡すっていう考えにパチュリーが至ったって事が驚きよ!?しかも自分が普段からつけてるやつ!!もはや相手に香りをつけて『この人は私のもの』って言ってるようなもんじゃない!!」

 

「え?なにその動物の縄張り主張的な考えは?私はてっきり『あなたの側に居させてください』って表現かと思ったのぜ。」

 

「ま、魔理沙、あなた以外と乙女チックなのね...。ちょっと意外...。」

 

「なっ!?わ、私は普段こんな口調だから勘違いされがちだが、恋愛的なのにはちゃんと乙女やってるのぜ!?それよりアリスだってなかなかの考えの持ち主じゃないか!!」

 

「えっ!?い、いやだって、私だってすすす、少しはトオルに興味はあるんだから、そう思っても仕方ないじゃない!!いつも一人で本読んでるパチュリーにいつの間にかトオルがいて、人形劇やらなにやらやってる私が置いてかれるのってなんかおかしくない!?」

 

「ま、まぁまぁ、熱くなり過ぎてるのぜアリス。一旦落ち着くのぜ。」

 

「魔理沙はいいわよね。霖之助さんがいるから余裕持てて!」

 

「はあっ!?あいつがなんで話題に上がってくるんだよ!?」

 

「え?だって暇さえあれば霖之助さんの所行ってたじゃない。」

 

「あれは幼なじみのよしみというかだな...。それに、あんなぶっきらぼうよりは弾幕勝負に付き合ってくれるトオルの方が幾分...いや、大分ましなのぜ!!」

 

「はあっ!!?魔理沙、トオルと弾幕勝負までやってるの!?」

 

「あぁそうだぜ!まだまだ未熟だし長い時間は持たないが、私の弾幕やスペルに対ボムスペル編み出すほどにはなってるんだぜ!」

 

「ちょっ!?私が人形達と戯れて紅茶啜ってる間になんで二人ともそこまで仲進展してるの!?おかしいわ、なんか私だけ貧乏くじ引いてるみたいじゃない!!」

 

「え、えーっと、アリス?私は別にトオルと仲良くやってるだけで、パチュリー程好意を持ってる訳じゃ...。」

 

「なによ!私の名前以上に頭メルヘンしてるクセに!どうせ『いつか弾幕勝負じゃなくて愛の言葉の弾幕浴びたいな♪』とか考えてるんでしょ!?」

 

「な、なんでそのこ...じゃなくて、そろそろ自重しないと墓穴掘るだけだぜアリス!?」

 

「あーあ!何だか嫌になってきちゃったー!ちゃんと人里で上手くやれてると思ってたのにどうして仲間には大事なところで差をつけられてるのよぉー!」

 

「あ、あれ?アリス、もう酔ってるのぜ?」

 

「もういいわ!今日の宴会で鬱憤晴らすわよ!!魔理沙!!早く行きましょ!!」ピューン!

 

「えっ!?あっちょっ、待ってくれよアリスー!!」

 

 

 

~翌朝~

 

 

 

「はっ!!?なんだか魔法使いに追われる夢を見た気がするぅっ!!?」

 

「おう、起きたかトオル。寝起きが悪いとこ悪いが、準備に取りかかってくれ、早めに店を開けたいからな。」

 

「お、おう、わかった...。つか親父こそ早く起きすぎだっての。また体調崩すぞ?」

 

「そうも言ってらんねぇよ。流石に二日分以上の材料パァにしたんだ。その分取り返さねぇとな。しっかり働いてもらうぜぇ♪」

 

「はいはい。じゃ客席の清掃でもするとしますかねぇ...」

 

 

 

ガララッ!!

 

 

 

「へっ?まだ暖簾掛けてないですよお客さん...って、華扇さんじゃないですか!?どうしたんですか?」

 

「.........。」プルプルプル

 

 

 

バタン!!

 

 

 

「ちょっ!?華扇さん!?華扇さぁん!!?」

 

「おい!どうしたんだトオル!?」

 

「いや、常連の華扇さんが店に来るなり倒れちゃって...。」

 

「おぅ、なんだか最近(せわ)しないな...。まぁいい。裏の寝床で休んで貰え。店開けんのは...まぁ、昼からでもいいだろ。トオル、看病を頼む。」

 

「了解。っと、華扇さん。大丈夫ですか?」

 

「うぅ...あんまり、大丈夫じゃ...ない...わ。」

 

「裏の方で休んでいいですから、そこまで一緒にいきましょう。」

 

「うぅ...ありがとう。トオルさん...。」

 

 

 

少女休息中...

 

 

 

「はぁ...いくらかマシになったわ。ありがとう、トオルさん。」

 

「いえいえ。それでどうしたんです?かなりやつれてますが...。」

 

「あ、あぁ、それがね?昨日の宴会はまさに『大規模』と呼ぶに相応しい人数で開かれたんだけど...。霊夢が調子に乗りすぎて鍋奉行ならぬ酒奉行になっちゃって...あ、特大の悪い意味でね?」

 

「はい...えっ!?」

 

「事前に持ってこさせたお酒をほぼ全部、しかも全員に飲ませまくったのよ。結果、もうあの神社一帯は酒の臭いとぶっ倒れた人や妖怪たちで溢れてるわ。もはや泥酔神社よ。」

 

「なんですかその地獄絵図。聞いただけで目眩がしますよ。」

 

「目眩どころで済めば良かったんだけどね。私なんて正気を保ってるだけマシなほうよ。それで、朝日が昇って周りを見れるようになってから、ここにこっそり向かってきたって訳。」

 

「あー、だから華扇さんからお酒の臭いがかなりしてたんですね...嗅いでるこっちが酔いそうですよ。」

 

「わ、悪かったわね。霊夢がはっちゃけるもんだから、ついいつも以上に飲んじゃったわ。」

 

「まぁでも、鬼の華扇さんならそのお酒の猛攻に耐えれたのも頷けますね。」

 

「そうね。萃香や勇儀には敵わないけど私も鬼の端くれ...って、え?ちょっと待ちなさい。あなた今私の事仙人じゃなく何て言った?」

 

「え?鬼なんですよね?華扇さん。」

 

「...はっ!?えっ!?ちちち、ちがっ...あっ、いやそのえっ!?な、なんで知ってるの!?」

 

「あ、さっき倒れなさったときに髪飾りが片方落ちちゃったので、その部分を見たら角があったのでもしかしたらと...。」

 

「こここ、この事はまだ誰にも話してないわよね!?」

 

「え?えぇ、まだ誰にも...。」

 

「おおお、お願いだから、絶対に誰にも言わないで!!私が鬼だって事は極力知られたくないの!!」

 

「そ、そうなんですか?それなら構いませんよ。俺だって人の嫌がる事を吹聴したりはしませんから。それに、他ならぬ華扇さんの頼みですし。」

 

「そ、そう。ありがとう。でも、今後はもっと用心しないとなぁ...。」

 

「まぁ、過ぎたことは仕方ないですから...あ、それでどうしてうちに?」

 

「そうそう、霊夢や魔理沙が振る舞ってた団子ってここのでしょ?それで聞いてみたらトオルがお賽銭を入れてたって言うじゃない?それって本当なの?」

 

「えぇ。親父の役職なんですが、代わりに俺が入れに行ってましたね。」

 

「そう。なら、トオルに頼みたいことがあるの。」

 

「はい。なんでしょう?」

 

「この異変を解決して欲しいの。おそらく、今解決するもっとも大事な要素はトオルにあると思ってるわ。」

 

「えっ、お、俺ですか!?」

 

「むしろ、あなた以外居ないと思うけどね。お賽銭っていうトリガーを握ってるのは実質あなただけだもの。」

 

「そ、そうは言っても、昨日の調査じゃ魔理沙達から手掛かりが何も得られてないし...。」

 

「その手掛かりは私が握ってるわ。ほんの少しの情報だけど、それを伝えるために来たんだから。」

 

「ほ、本当ですか!?その情報って...。」

 

「それはね。昨日私が博麗神社に居て、霊夢がお賽銭を持ち帰ってきた時、少し離れた所から何かが草むらに逃げていったような音が聞こえたの。」

 

「も、もしかしてそいつが!?」

 

「そうだと思うわ。もちろん追いかけようとしたんだけど、霊夢に宴会の準備を手伝わされちゃって、追えなかったの。だから、あいつを何としても捕まえて欲しいの。」

 

「.........。」

 

「もしトオルが無理なら、私が何とかするけど、今の霊夢をどんな形であれ相手取るのは厳しいわ。かといって、その元凶を追っていても、今まで魔理沙やアリスが見張ってた中、見つけられなかった奴を見つけるのは困難...。」

 

「あ、いえ、そうじゃなくって、ちょっと作戦を考えてました。」

 

「え?本当!?」

 

「ええ。とにかく、後の事は俺に任せて、華扇さんはゆっくり休んでってください。情報、ありがとうございました。」

 

「あっ、え、えぇ。ありがと...う?」

 

「こちらこそです。んじゃ、とりあえず...親父ぃ!!お賽銭寄越せぇ!!」

 

「あぁ!?なに言ってんだトオル!?今から団子屋の準備だっての!!行くなら後に...」

 

「いや、行くのは賽銭放り込むためじゃないぜ?」

 

「は?それってどういう...」

 

「俺達が引き起こした2つの異変を、まるっと解決してくるのさ!」

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