「異変だぁ?何言ってやがんだトオル。お賽銭がどうかしたってのか?」
「そのお賽銭を入れていった結果、気持ちが舞い上がった霊夢さんが、常連の華扇さんが倒れる位の異常な宴会が、ほぼ毎日起こしてたらしいんだよ。」
「なっ!?そんな事が起きてやがったのか!?」
「そ。で、その異変となった元凶とも言える存在が今神社にいるかも知れないから、そいつを捕まえに行こうってわけ。」
「んだが、その元凶はどんなやつかもわかってねぇのに、どうやって捕まえんだ?」
「まぁ、ぶっちゃけその元凶がどんな奴かはわからないんだけど、『お賽銭』に強い関心があるのは確か。つーわけで、作戦はズバリ、そいつを『釣る』のさ!!」
「そのために賽銭ってことか。つっても、今まで賽銭入れても現れなかったんだろ?どうやるんだよ?」
「今まで通りだったらそりゃ出てこれないわ。なんでってそいつより先に霊夢さんっていう『魚』が『釣れてた』んだから。だから、まぁ、どうにかしてお賽銭を守り抜いて、じっと釣れるのを待つ!!それが作戦よ!!」
「ははぁん。でも、そんな作戦、トオルにできんのか?」
「はっきり行って無理。」
「だろうな。」
「と、いうわけで、『
「おう、そういうことなら協力するぜ。ほれ!もってけ!!」
「おう!ありがとな親父!!そんじゃ行ってくるわ!!」
ダッダッダッ!!
「はは、張り切っちゃってまぁ。いいねぇ、若いってのは。そう思わねぇか?仙人さんよぉ。」
「ホントですね。でも...それが彼のいいところなんじゃないでしょうか?」
「...全くだ。」
■■■
「と言うわけで、早速やって来ました博麗神社。『
華扇さんの言った通りの状態の神社の空気に目眩を覚えながらも、目的のために目を見張る。
「さてさて、どんな様子なのか...。」
石階段に寝そべって境内を覗いてみると、大勢の妖怪が跋扈していた。が、大半は顔を赤くして様々な姿勢で倒れている。そんな中で一組の妖怪が酒坏と瓢箪を掲げていた。
「うお~い、天狗ぅ!!まだまだいけんだろぉ?」
見た目鬼のような少女が黒い羽を持つ少女を抱えながら、酒の満ちた酒坏を彼女の口元へ持っていく。
「あやや!?もう50杯超えてますって!!ちょっと、もうマジ無rごぼぼばばっ!!?」
「あっはっは!!なんだまだいけるじゃないか!!ほれほれぇ!!」
「ーーーっはぁっ!!もう無理ですって!!これパワーハラスメントですよ!!アルコールハラスメントですからね!!?」
「なに訳のわからない事を言ってるんだい?口動かしてる暇があるなら酒を飲めってんだ!」
「いやいやいや、訳のわからんこと言ってるの萃香様ですからね!?って、もうダメ酒が服について全身酒だらげぼぼぼぼぼっ!!?」
彼女の言及も虚しく、酒に流されていった。
「うわぁ...こりゃひどいな。ていうかあの人(?)よくうちに新聞売りに来る
今度彼女が来たときは新聞代に付けて団子もあげよう。そう思った時、
「グルルぅ...ん?はっ!!?あやちゃんあやちゃん!!あんなところに人影がっ!!」
「誰があやちゃんですか!!上司である私にそんな物言いを...おや?あそこにいるのは!!」
「げっ!!?見つかった!?」
鬼と聞屋さんの隣でうたた寝をうってた白髪の女性がこちらに気がついた。ここからあそこまでの距離は相当あるのに、なぜか彼女からは見えているようだった。
「ちょっ!?今バレるのはダメッ!!しゃべるなしゃべるな...!!」
なんとか身振り手振りで阻止しようとするが...
「あやや!!あそこにいるのは私の新聞をご贔屓に購読していただいている、団子屋に居候していながら、今回の異変の元凶で、近々取材させていただこうと思っていた串田通様ではありませんか!!」
「誰が大声で事細かに俺の事説明しろ...と?」
ジェスチャーの甲斐虚しく、境内中に聞屋さんの声が響いた。 それと同時に、倒れていた妖怪や妖精がまるでゾンビのように這い、立ち上がってこちらを見てくる。
ゴゴゴゴゴ…
「あ、あれ?どうしたんですか皆さん?」
「ひっ!?」
溢れんばかりの殺意を向けられ、腰が抜けたのか体を動かことができない。
「ちょちょちょ、ちょっと待ったっ!!俺は異変を解決に...。」
「元凶は白?...黒、くろ、クロ、KURO、黒々クロくろ■◆●■■■■■■■■■■■■!!!」
「ダメだ!!聞く耳も脳も酒に沈んでやがる!!って、は、はあっ!!?」
何体かの妖怪が突撃すると同時に、その突撃を全く考慮しない光の弾や束が一斉に襲いかかってきた。
「あっ、これヤバ死ぬ...」
空観剣「六根清浄斬」ッ!!!
「え...?」
死をもたらすはずだった光は一瞬にして消え去り、目前には唖然とした表情の妖怪たちがいた。
そして、突然現れた二人の人影、
「『酒は飲んでも飲まれるな』...格言よね。ずっとあなたを見張っててよかったわ。ひとまず大丈夫よ。」
宙に半身だけ出しながら語りかけてくるのは、金色のウェーブがかった長髪に、特徴的な帽子と傘を持った女性。
そして、
「はぁ...あなたの護衛とは心底気に入りませんが、主の命とあらば仕方ありません。」
以前、団子屋に団子作りを習いに来た白玉楼の剣士、魂魄妖夢さん。
で、
「あぁーっ!!ありがとう白いのぉぉ!!」
ギュゥッ!!
「~♪」
目の前で仁王立ちするようにして俺を守ろうとした心優しい白いのがいた。
「ひゃあああああっ!!?だ、抱きつくなぁぁぁ!!!」
「あぁー、やっぱお前抱くと安心するわぁ~♪」
「~♪」
「紫様!!助けてもらった恩を仇で返してきたこいつ切り殺していいですよねっ!?」
「あらら、随分好かれてるのね。よかったじゃない♪」
「よくないですっ!!...切る、斬る、
「まぁまぁ、どうどう。落ち着きなさいってば。」
「...おい、あいつら仲間割れし始めたぞ。」
「さっきは防がれたが、数ならこっちが遥かに有利!!ここは一気に...。」
死蝶「華胥の永眠」
「うわっ!?」
「なんだ!?蝶があちこちに...!!」
「ふふふ♪下手に触れたらダメよ?眠ってしまうわ...
「「「ひっ!?」」」
「あらら、幽々子、脅しにしてはちょっとやり過ぎじゃないかしら?」
「先に手を出したのはあっちよ?正当防衛だわ♪」
「過剰防衛...というか、形勢逆転しちゃってるんだけどね。」
「ふふ♪でもトオルくんに死なれるよりは、遥かに良い方法と思ったのだけれど♪」
「それもそうね。」
「私はっ!!同意致しかねますけどねっ!!」ゲシッゲシッ!!
「妖夢さん蹴るのやめてっ!!痛い!!主に弁慶の泣き所が痛いッ!!」ナデナデ
「だったら早く半霊を撫で回すのをやめろぉ!!」
「それは出来ない相談だ。ご褒美はちゃんとあげないとな。」ナデリン
「~♪」
「ーーーっ///」
「あら?なら私も撫でてくれるのかしら♪」
「ふぇっ!?幽々子さん!?いつの間に!?」
「せっかくトオルくんを守った(敵を脅した)のにお礼のひとつも無いなんて、寂しいわ~?」
「え?...あ、ありがとうございます幽々子さん...。」
「で、撫でるのは?」
「い、いやそれは...恥ずかしいというかなんというか...。」
「ふふ♪じゃあしたいときに言って頂戴♪」
「あ、ありがとうございます?」
「はぁ...幽々子ったら...で、トオルだったかしら?」
「はい、そうですが...あなたは?」
「幽々子の友人よ...あぁ、紫でいいわ。それで、どうするの?あいつらに見つかった以上、欲しかった『
「私は死んでも守り通すわよ♪」
「元から死んでちゃ無茶しっぱなしよ...で、作戦とやらはできそう?」
「はい、というか、幽々子さん達が居てくれて、大分楽にできそうです。」
「え?そうなの?」
「はい!!それで…作戦に乗ってくれますか?」
「もちろんよ。」
「当然ね♪」
「癪です…。」
「ー!!」
「じゃあ、早速始めますね...っ!!」
スウウウウウウウッ...
「霊夢さん!!お賽銭持って来ましたよっ!!」
ピクッ
「待ってましたぁっ!!」ガバァッ!!
俺の声に反応したのか、『お賽銭』という
「と、いうわけでぇっ!!」クルッ
霊夢さんのいる賽銭箱...ではなく、その反対、つまり石階段のある方へ振り返り、その空へ向かって...
ブォン!!
賽銭の入った袋をぶん投げるっ!!
「とおおおってこおおおおおおおいっ!!」
「「「え、ええええええええっ!?」」」
「ちょっ!?お、おさいせぇぇぇぇん!!」バヒューン!!
パシッ!
「よ、よかったぁ...って、あれ?中身石ころ...。トオル!?これってどういうこ...と?」
「それでは皆さん!!異変解決のため、霊夢さんの足止め...」
「あっ♪お賽銭が入った♪」シュン!!
「...瞬間移動、厄介な技を身に付けたのね...。でも、」
境符「四重結界」
紫さんが宙へ手をかざすと同時に、霊夢さんとお賽銭箱の間に結界という名の壁が現れる。
「なっ!?紫、なんで邪魔するのよ!?」
「これより異変解決のため、ちょーっとだけ、皆と遊んでもらうわ。」
紫さんと霊夢さんが対峙する。その様子を見ていた酒飲み達は...。
「これは...もはや白か黒か見当がつきませんが...。」
「紫がトオルに協力するってことはそういうことなんだろ!!やるっきゃないよう
「...ちゃんと言えてたら決まってたのにね、魔理沙。」
「アリス、うるさい!!」
霊夢さんの足止めをしようと、酔い潰れた体にムチを打ち、霊夢さんに向け構えをとる。それを見た霊夢さんは...
「...そう。皆して私とお賽銭の距離を離そうってんなら...」
振り袖から御幣(お祓い棒)とお札を瞬時に取り出して叫ぶ。
■■■
「...さて、あとは食い付いてくれるのを待つだけなんだが...。」
ドーン!!バァーン!!
「...すごいな。魔理沙との弾幕ごっこの比じゃないぞ...。」
ねぇねぇ?お兄さん何やってるの?
「何って...茂みに隠れてお賽銭の妖怪を...って、おわっ!?」
「ふふ、びっくりした?茂み、怖いでしょ~♪」
「茂みより君の方が怖かったよ...。で、君は?」
「私?私は古明地こいし!あなたは?」
「俺は
「こいしでいいよ~♪んー、えっとね、フラフラしてたら弾幕がたくさん見えたから、面白そうだと思って来てみたの!」
「な、なるほど?あっちの方に交ざりたかったのか?」
「それも楽しそうだけど、コソコソ隠れてなんかしてるトオルの方が気になったんだー。で、何してるの?」
「あ~、いま異変解決の真っ最中なんだよ。」
「えー!?そうなの!?単なる弾幕ごっこじゃなかったんだ!!おもしろーい!!」
「そ、そうかな?」
「そうだよそうだよ!!やっぱり地上って面白いこといっぱい起きるんだねぇ!!」
「うん?なんか引っ掛かるけど、まぁいいや。とりあえず、俺は異変の元凶がお賽銭箱に近づくと思って、そいつ捕まえようとここで待ってるのさ。」
「えー?トオルが?...見たところ人間っぽいけど、大丈夫なの?」
「大丈夫も何も、他に適役が居ないからなぁ...。」
「そーゆーことならこいしに任せなさいっ!!」ドンッ!!
「え?」
「私はね~、すごいんだよ?だーれにも気づかれずに動き回れるんだぁ♪」
「そうなの!?」
「うん!だってさっき、目の前にいたのに声かけられるまで気づかなかったでしょ?」
「あ、確かに!」
「そそ!だから私が箱のところで待機してあげるよ!」
「うわ~、ありがてぇ...。あ、異変終わった後でお礼にこの団子あげるよ。」
「わあ!ありがと♪じゃあまた後でね!」シュン!!
スタタ...
「うわっ!?ホントに見えなくなった...。すごいな...。」
ガササッ!!
(ん!?まさか...来たか!!)
テッテケテー・・・
(あいつが異変の元凶...。こいし、頼んだぞ!!)
□□□
「もうっ!!あんたらしつこすぎよ!!」
「へへっ!こんだけ星ばらまいてんだ!!避けれるもんなら避けてみろ!!」
「まぁ、数でごり押してるだけなんだけど、何あのお賽銭への執念。まだ一回も被弾してないってどういうことなの...。」
「くっ、結界さえ壊せれ...ば...」
「...ん?霊夢の動きが止まったぞ!?どうしたのぜ!?」
ゴゴゴゴゴ・・・
「なに!?霊夢の霊力が異常に上がってるわ!?」
「お賽銭...盗られた...。」
「へ?」
「お賽銭泥棒は、逃がさないっ!!」
プチン
「あっ!霊夢の髪留めリボンが千切れたぞ!!」
「あ、あの姿は...」
「知ってるの紫!?」
「あれは先代巫女の...いえ、あの霊力は今まで博麗神社に仕えてきた先代達の霊力が集まって...っ!!?」
□□□
(やっと...やっとお賽銭を...っ!!)
カパッ
(あ、あった!!これでようやく念願の...!!)
『もしもし?わたしこいし。』
「へっ!?」
『今、あなたの...後ろにいるのーっ♪」ダキッ
「きゃあああっ!!?な、なんで!?誰もいなかった筈なのにっ!?」
「ふっふ~♪こいしからは逃げられないんだよぉ♪」
「そ、そんなぁ...。」
パリーン!!
「ん?」
「へ?」
「おさいせんとるなああああああ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
「あっ、避けられないや♪」
ピピチューン!!
■■■
「...で、君は?」
「はい。俗に言う妖怪『
「「「あ、あかなめぇ!?」」」
「垢嘗って、あの風呂場の汚れを
「はい!!そうなんです!!」
「はぁ...。で、その垢嘗がどうしてお賽銭を盗ろうとしたんだ?」
「それが...あることがきっかけでして。私が外の世界に居た頃、たっくさんお金を口に入れた妖怪*1に出会ったんです!」
「ふむ。」
「それで、その方が言ったんです!『風呂の垢もいいけど、小銭についた垢も結構うんめぇぞぉ♪』って!!でも、その方は垢をひとり占めしちゃって、わたしに嘗めさせてくれなかったんです...。」
「それでお賽銭を狙ったと?」
「はいっ!」
「...いや、それなら風呂場の垢嘗めるついでに人間の財布から小銭を拝借してこっそり嘗めればよかったじゃないか。」
「えっ、だってお金に手を出すのは犯罪だし...。」
「なんでそこは人間的思考なの!?妖怪的思考で嘗めちゃえよ!?というか、法律考えるなら住居侵入してるからね!?」
「いや、そこは垢嘗として働いてるわけで、お金の事は私情ですから...。」
「使命に忠実すぎる!?」
「で、そんなこんなしてたら幻想郷に来ちゃったんですが、まだお金の垢を味わってなかったので、色々考えた挙げ句、ここの神社のお賽銭なら嘗めてもいいかと思ったんです!」
「なんでそうなった!?」
「まぁ、お賽銭は嘗めて綺麗にした方が縁起がいいかなと屁理屈を...ゲフンゲフン!じゃなくて、この神社でお賽銭が入るのを待ってたんですが、待てども待てども入らない...。」
「なんだ、私と一緒じゃない。」
「目的は違えど、霊夢とコイツは似たようなもんなのぜ...。」
「というわけで、私は考えました!人里に掛け合ってお賽銭を入れる仕事を作ろうと!そしたらお賽銭が入って霊夢さんが喜ぶ、銭の垢を嘗めれて私も喜ぶ。さらには賽銭を入れることによって信仰してると人間は感じることができる!これぞ一石二鳥ならぬ、一銭三鳥だと!」
「今の私なら百鳥いける気がするわ。」
「霊夢なら本当にいけそうなのぜ...。」
「で、そうして待つこと五年...どうしてこんなに経ったんでしょう?新参者の私ですら、早くにここが幻想郷を維持する大切な場所だとわかったのに、それでも参拝にすら来ない人間は本当にここを信仰してるのか?と。」
「あーうん。そう思っちゃうよね。」
「それでも待ち続けてようやくあなたがお賽銭を入れてくれるようになったと思ったら、霊夢さんが一瞬にして取ってっちゃうから嘗めれなくって...。」
「まぁ、その賽銭を誰にも盗られないように封印も施しといたから、そこらの妖怪じゃ近づけもしないしね。」
「そこまでしてたのかよ霊夢...。」
「うぅ...そういうことです...。」
「はぁ...まぁ大体の事は分かったけど、老人会の仕事だよね?『賽銭奉納士』って。垢嘗さん、見た目若い女性だし、会合に居たら親父の記憶に残りそうなもんだけど...。もしかして化けてたりした?」
「あ、私にそんなこと出来ないので...あっ!マミゾウさん!ごめんなさい。バレちゃいました...しかも嘗めることも出来ず仕舞いです...。」
「んあ?おーおー、そうか残念じゃのう...って、わしとお主の関係は秘密にせぇと...!!」
「「「マ~ミ~ゾ~ウ~?」」」
「あっ!?いや、そのじゃな、そやつにせがまれての、わしを頼られたことが嬉しゅうてな!しかもやることが結構面白くなりそ...ゲフンゲフン!いい刺激になるとおもってじゃな、ととと、取り敢えずお主ら落ちつ...!!」
「「「成敗っ!!」」」
「あだっ!?」
ピチューン
■■■
と、言うわけで、後程閻魔様から説教を受けた垢嘗は、迷惑をかけたということで、うちの団子屋の手伝いをすることで許されることになった。ちなみにマミゾウさんは境内の掃除やら妖怪達の厄介事を引き受けることで今回の事は許されるらしい。
で、今の団子屋はというと、こんな感じである。
「ふぅ、昼間はこんなもんで閉めるか...よし、トオル!クシナ!客席の片付けをしてくれ!その後休憩だ!」
「おう!」
「はい!」
「そんじゃ、せっせと片付けましょー。」テキパキ
「...。」ジーッ
「どうしたんだ。クシナ?」
「いや、お客さんの食べた後の串って嘗めていいですかね?」
「ダメに決まってんだろ!!」
あ、ちなみに垢嘗さんがうちで働く事になったのだが、食事処で『垢嘗さん』って呼ぶのどうなの?というわけで、親父の意向で『
「えー、でもこの串に残った生地が気になって気になって~。」
「わかるがダメなものはダメだっ!」
「そんなぁ...。」
「はっはっは!二人ともその調子で午後も頼むぜぇ。」
「はぁ~い。」
「おう。ってか、忙しい主な原因はクシナにある気がするけどな。」
「え?私?」
「いや、突然団子屋に花が増えてたらそりゃ人里の皆驚いて来るって。クシナ目当てに来てる人も多いんじゃないか?」
「そうなの?でも確かに人里の人、初めてなのに気さくで優しかったし、新しい人や妖怪を受け入れる感じがしましたね。」
「ま、閉鎖的な幻想郷じゃ、新参者とも長い付き合いになるからね。そういう面もあったかも。」
「まぁ...その他の客はトオルの様子を見に来てたような気がしないでもないがな。」
「え?なんで俺?」
「...まぁいい。ほれ、今日も行くんだろ?休憩の間に行ってきな。」
「あー、わかった。クシナは休んでていいからな。んじゃ行ってくるわ~。」
「はーい!」
「おう、行ってこーい。」
■■■
「はぁ...寒い。」
歩きなれた道をのっそのっそと進んでいく。
「...今日の賽銭は...っと」
いつものように、手慣れたように。袋から賽銭を取り出す。
「今日のお賽銭はいっくらっかな~...んー、274円っ!渋いっ!!」
よくわからない判定を下しながら、石階段を登る。その先にいたのは...。
「待ってたわよ!さ、早く入れなさいっ!!」
「また待ってたんですか霊夢さん。寒いんですからおとなしく炬燵に入ってればいいのに。」
「何言ってんの?またアイツみたいに賽銭狙う奴が現れるかもしれないじゃない!」
「アイツなら今、団子屋にいますってば。」
「ならあれよ。お賽銭が冷えて取りづらくならないようにするのよ。」
「それなら手渡しでいいんじゃ?」
「それはダメ。賽銭箱にお金を投じるという儀式が、所有権をあなたから神様に移すんだから。」
「で、それを霊夢さんが取ると。」
「当然ね。神様にお金なんて必要ないもの。」
「そうですか。じゃあ...。」
チャリリン...シュバッ!!
「はい。今日もお疲れ様♪」
「はいはい。あ、約束通り、お賽銭が入ったからって、宴会は開かないでくださいね?」
「毎日言わなくたってわかってるわよ。全く、しつこいところは紫にそっくりだわ。」
「これしか言ってないんですけどね。」
「そういうところもよ。...あ、せっかく来たんだから、お茶くらい飲んでいきなさい。」
「あー、すみません。そんなに休憩長くないので俺はこれで...。」
「...ふーん。」
ギュッ
「えっ?」
「あんたの手、相当冷たいわよ。さっさとあがって暖まりなさい。それからでも遅くないわ。」
「そ、そうですか?」
「そうよ。ま、遅れたら私を理由にしていいから。」
「なら...はい。」
「そ、なら入って。」
「っていうか、霊夢さんの手も冷えきってますよ。俺より冷えてる気がするんですが...。」
「...そうかしら?ずっと待ってたからかもしれないわね。」
「ホントにずっとお賽銭待ってたんですね...。」
「あら、お賽銭だけじゃないわよ?」
「へ?」
「さ、入りましょ。ゆっくり暖まっていきなさい...。世間話でもしながら...ね?」
これにて『