霊夢の賽銭箱に、お金を入れ続けてみた   作:sayutan

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常識と奇跡は恋の味を知る

「なにとぞ…なにとぞ我を泊まらせてたもぅぅぅ!!!」

 

「いいから早く帰ってください!!ここにはもう泊めませんから!!」

 

「もう夕日が落ちかけてんだよ!?今戻ったら確実に妖怪に喰われるんだよ!!」

 

「ならもういっその事死ねばいいんですよ!!死ね!!」

 

「おいいい!!?仮にも神関連の仕事やっててそんなこと言っていいのかよ!?」

 

「いいんです!!神は人間に想われた上位存在なので、良くも悪くも人間は我々に従う他ないんです。だから死ね!!」

 

「ぐおぉ…どうしたんだ!?ひ、人の心を失ったというのか早苗ぇ!!」

 

「ぐっ…し、仕方ありません。夜でも大丈夫な場所を紹介します。」

 

「え?ここ以外にそんなところあったっけ…?」

 

「外の世界です。」

 

「強制送還!?」

 

「さ、そこの門を通れば外の世界に戻れます。外の世界なら夕刻でも大丈夫でしょう?」

 

「いやいやいや!!戻るにしても急すぎるわ!!お別れの挨拶も何もしてねぇよ!?」

 

「あ、それは私がしておくんで、大丈夫ッス。ハイ。」

 

「それ絶対しないやつだ!?どうしたんだ早苗!?そんなに俺を見殺しにしたいのか!?」

 

「…そ、それは…。」

 

 なにやら言いよどむ早苗に不信感を抱いていると、早苗の後ろから人影がひょこっと顔を出した。

 

「はいはい、そこまでだよ早苗。」パンパン

 

「「えっ!?す、諏訪子様!?」」

 

 諏訪子様が手を叩くと同時に、門の異様な気配は無くなった。

 

「まったく、夕食の用意が出来たから呼びに来たってのに、なんだい早苗。余程のことがない限りは、外の人間との同意の上で帰還させないといけない決まりだろう?仕事くらいは公平性を保たないと、顔が立たなくなっちまう。」

 

 やれやれと首を左右に振りながら、諏訪子様は早苗を宥める。

 

「それに、わざわざ賽銭を奉納しに来てくれたんだろう?それを邪険にするのはどうかと思うねぇ。」

 

「ぐむむ…。」

 

「え、えっと…諏訪子様?」

 

「おう、こんばんわトオル。こんな時間に来るのは初めて来た日以来じゃないかい?それとも…確信犯?」ニヤニヤ

 

「あーうー…はい、確信犯です。せっかく来るならと挨拶して回っていたらこの時間になりまして…。ぶっちゃけ守矢神社に泊めてもらう前提で行動してました。えぇ。」

 

「ほら!!やっぱり危険人物です。人様の迷惑を考えないのは最もな愚行ですよ!不徳の致すところですよ!!」

 

「人様じゃないからねぇ私達は。じゃ、腹も空いただろうし、上がっていくといいよ。」

 

「そうだぞ現人神早苗様。神は神らしく人に使われてなきゃ。」

 

「都合のいいときだけ神様扱いしないでもらえます!?」

 

「「早苗がそれ言う?」」

 

 そんなことを言いながら、裏手へと足を運ぶのであった。

 

 

 

■■■

 

 

 

「おお!どうしたんだいトオル、こんな時間に来るなんて。」

 

 居間にお邪魔すると、エプロン姿の神奈子様が出迎えてくれた。

 

「突然すみません。色々ありまして…また泊めてもらえませんか?」

 

「あぁ構わないよ。空いた席に座って待っててくれ。」

 

「はぁい。っしょっと。」

 

 神奈子様から景気良くOKの返事を頂いたので、こちらも気兼ねなく席に着く。

 

「はぁ〜、やっぱりここは落ち着く…。」

 

「ははっ!久しぶりに帰ってきたって感じがするだろう?」

 

「ええ、そうですね。」

 

 部屋を見渡すと、ガスコンロ、炊飯器、冷蔵庫にシンク、風呂の湯沸かし器。外の世界の文明が身の回りにあると、『帰ってきた』というのが本能的に感じられる。

 

 外の世界から神社ごと移住という、壮大なお引越しをやってのけた守矢神社。そしてその文明を河童たちに教えて技術の片鱗を貰うという、この妖怪の山に適しつつ外の世界の技術を維持して快適に過ごすというやり方は、かなり理に適ったものだろう。

 

 そんなこんなで、初めてここに訪れたときは、異様なほど親近感を覚えたものである。

 

「でも、一報ぐらい欲しかったなぁ。来るとわかってたらもう少し夕食を凝ったってのに。」

 

「あはは、酒に酔った人達が無計画にもこんな仕事を頼んできましたからね。博麗神社の賽銭奉納士やってたからって、守矢神社までは流石に無理です。」

 

「えー、毎日来てよー。人里の連中が信仰してくれてるってのは嬉しいけどさ、年1じゃあ寂しすぎるよ〜。」

 

 机に突っ伏した諏訪子様が駄々をこねてきた。

 

「それでも毎日行うには距離がありすぎますって。やってたら往復だけで日が沈むんですから。」

 

「いいじゃん、毎日泊まってけば。ねぇ、神奈子も構わないよな?」

 

「構いはしないが、トオルにも人里での立場ってのがあるだろう。無理強いはできないさ。」

 

「ならここに住めばいいよ。はい、万事解決ってことで。」

 

「それだと賽銭を奉納する人がいなくなるんですが…。」

 

「あんなの年一でいいよ年一で。」

 

「さっきと言ってることが違う!!」

 

「あっはっは!!まぁ、毎日が駄目なら月一でも構わないから顔を出しに来ておくれ。同胞が来てくれるのは、やはり嬉しいものだからね。」

 

「そうそう。たまーに人里へ布教しに降りることはあるけど、仕事の側面が拭えないからね。こういう私的な時間に来てほしいのはあるよな。」

 

「…まぁ、検討しておきます。」

 

 神奈子様と諏訪子様のお誘いに、魅力を感じながらも、団子屋との兼ね合いもあるので、よくある流し用の台詞で対応する。

 

(まぁ、椛さんの将棋やらにとりから呼び出されたりと、何かときっかけはあるからな…。)

 

 と、行く動機を思い浮かべていると、

 

「それ、絶対に来ないやつですよね。」

 

「いや、割と頭の中では検討してますよ?ええ。ホントダヨ?」

 

 巫女服から私服に着替えてきた早苗が、軽口を叩きながら居間へ入ってきた。

 

「で、今日はどういう風の吹き回しでここに来たんですか?」

 

 隣の椅子に腰掛けて、疑いの目を向けてくる早苗。二柱の神様からは許可をもらってるのが効いたのか、追い出すつもりはもうないらしいが、納得させる説明を要求しているらしい。

 

「まぁ、仕事については一通り聞いたけど、今日の山は妙に騒がしかったからねぇ。良かったら話題がてら聞かせてくれないかい?」

 

 興味ありげに話を促してくる神奈子様。が、その隣でソワソワしていた諏訪子様が切り込んできた。

 

「いいね。でもその前に食べ始めないか?つまみの話も結構だけど、食事が冷めるのは我慢ならないからね。」

 

「おお、これはすまない。じゃ、頂くとするか。では、お手を拝借…。」

 

 そして、その場の4人が手を合わせて言う。

 

「「「「いただきます!」」」」

 

 

 

□□□

 

神様&青年食事中…

 

□□□

 

 

 

「さ、ここがトオルの寝床だ。前もここだったし、勝手はわかるだろう?」

 

「はい。ありがとうございます。神奈子様。」

 

「気にしなくていいよ。ところで明日はどうするんだい?やっぱり早朝には団子屋に戻る?」

 

 夜も更けてきた頃、寝床を案内してもらっていると、神奈子様から明日の予定を聞かれた。

 

「ええ、親父の不始末が原因ですけど、長くほっとくとまた倒れかねませんからね。春だから尚更です。」

 

「そうか。初めてここに来た時より随分馴染んだようだな。関心関心♪」

 

「ありがとうございます。それで、ちょっと伺いたいことが…。」

 

「ん?なんだい?」

 

「早苗のことなんですけど…なんであんなに不機嫌そうなんです?久しぶりに来たと言っても、正月には顔見せてますし…何かあったんですか?」

 

「うーん。心当たりは無いねぇ…。正直、早苗の叫び声を聞いた時、私も不思議だなぁと思ってたんだよ。」

 

「ふーむ…。わかりました。ありがとうございます。」

 

「いやいや、力になれなくてすまないね。ま、乙女の心は秋の空模様って言うし、気にしすぎないようにな、青年♪」

 

「神奈子様もまだまだ乙女でしょうに…。」

 

「あっはっは!!言ってくれるねぇ!!トオルゥ!!」バンバン

 

「痛い痛いっ!!」

 

「まぁ、気分なんて本当にその時その時で変わるもんさ。寝たら明日は気分が快晴になってたりはよくあるんだ。トオルも一旦寝て考え直すのもありだと思うよ?今日は疲れただろうしね。」

 

「…はい。そうさせていただきます。」

 

「うむ。ではおやすみトオル。」

 

「ええ。おやすみなさい。神奈子様。」

 

 挨拶を交わして、部屋へ戻っていく神奈子様を見送り、布団の準備をしながらふと思う。

 

(うーん。どうして冷たい態度を取ってたんだろうなぁ…。)

 

 心当たりが無いのが癪にさわるが、テレビドラマでもよくそんなシーンがあったような気がするし、深く考えてもたどり着きそうにもないので、とりあえず神奈子様の言うとおり布団に潜って目を閉じる。

 

(ま、明日になったら聞いてみよう。気まずいままなのは嫌だしな。)

 

 疲れからか、それとも感じないようにしていただけなのか、目を閉じて数分も経たない内に、睡魔に思考を奪われるのであった。

 

 

 

■■■

 

 

 

ザッ…ザッ…

 

「ん…んぁ?もう朝か…。」

 

 目を覚ますと、障子が朝日のかすかな光で白んでいる。どうやらかなり早い時間に起きたらしい。

 

 そして耳を澄ますと、そとから箒が地面を擦っていく音が心地よく響いている。

 

「あー、もしかして…っと。」

 

 布団を手早く片付けて、境内を掃除している人物に、話しかけに行く。

 

 

 

青年移動中…

 

 

 

「おはよう早苗。今日も早起きだな。」

 

「…おはようございます。」

 

「…。」

 

「…。」

 

 なんだろう。この沈黙。いつもなら適当に流して話題を振ってくれる筈なのに、妙に重苦しい。

 

(…まだ機嫌が悪いのだろうか…?)

 

 時の流れでも、流石に一日では解決してくれないのかと、かすかに抱いていた希望も無くなった。

 

「あ、あのー、早苗=サン。どうして昨日から素っ気ないんだ?」

 

「…。」

 

『ええい、なるようになれ!!』と、聴かないで損するより聴いて損の覚悟で話しかけると、箒を動かす手をやめ、こちらを向かずに続ける。

 

「へぇ…私と仲直りしたいんですか…そうですか…。」

 

「え?お、おう?そ、そうだけど…?」

 

 どこか上ずった声で言う早苗に驚きながらも、不可解なのは変わらないので、続きを促す。

 

「じゃ、じゃあ…『花果子念報』についてはどう思いますか?」

 

「ゲッ!?か、『花果子念報』ッ!?」

 

(あっ!!そういえば早苗もガラケー持ってたんだった!!)

 

 昨日の夕食では、はたてとの出来事は話すのが恥ずかしくて伏せておいたのだが、早苗の携帯のことを失念していた。

 

「そ、それは…写真は事実だけど、内容はデタラメだ。はたての脚色ばかりなんだ。」

 

「…。」

 

「そ、そうだ!!なんならはたてに直接聞くか?一応電話番号聞いてるし…。」

 

「…プッwww」

 

「へ?」

 

 今、早苗…笑ったのか?

 

「と、トオルさん必死すぎ///嫁に問い詰められる夫みたいで本当におかしかったですよ///」

 

 こちらをようやく向いた早苗は、腹を抱え涙を湛えながら大笑いしていた。

 

「さ、早苗ぇぇぇ!!!」

 

「いやぁ〜笑わせてもらいました。ドッキリ大成功ですね♪」

 

「この…!!人の気持ちも知らずに…!!」

 

「私神様ですからぁ〜?人の気持ちなんてわかりませんよぉ〜?」

 

「地味に昨日のこと根に持ってやがる!?」

 

「というか、神奈子様に相談したはいいものの、秒で寝てしまうような人に気持ちがどうこう言われたくないですね!!」

 

「ぐっ…!!」

 

「ふっふっふ〜。私の演技も中々のものでしょう?トオルもこのくらいは見抜けないと、女の子達に喰われてしまいますからね?」

 

「あ、あぁ、そうだな。忠告有り難く受け取っておくよ。」

 

「是非そうしてくださいねぇ♪」

 

…。

 

 

 

 

「「…っはぁ〜。」」

 

 

 

 

 とりあえず嫌われているわけでは無かったので安堵の溜息をつく。

 

(あ〜、なんだよぉ〜ドッキリかよぉ!!人をからかいやがってぇ!!)

 

 安心と怒りがないまぜになる感覚に苛立ちを覚え、悶々としていると、

 

(…あれ?)

 

 ため息と同時に抱えた頭を元に戻そうとした時、あることに気がついた。

 

(なんで早苗も溜息をついてんだ?)

 

 俺とほぼ同時だったので聞き取りづらかったが、早苗も何か緊張が解けたときのような溜息をついていた。

 

 チラと早苗の様子を伺うと、胸を撫で下ろす仕草をしている。

 

(…おかしい。こういうとき早苗なら嬉々として上からの態度を楽しむはず…。)

 

 と、頭の推理を繰り返してみると、さらに思い当たったことがあった。

 

「なぁ…早苗。」

 

「えっ?は、はい?なにか?」

 

「なんで俺のこと呼び捨てで呼んだんだ?」

 

「…!!?」

 

 それを聞いた瞬間、早苗は目を丸くして絶句した。

 

「あ、や、それは…。」

 

「それに、花果子念報の事なら多分正月より前から知ってたはずだよな。」

 

「うっ…!!」

 

 花果子念報で俺のことが発刊されたのが去年の夏頃の出来事であれば、今年の正月にはもう知っていて当然の事である。

 

「それなのに正月にはそのことに言及しないで、俺に早苗の呼び方を変えるよう迫った…。」

 

「あ…あ…っ。」

 

 ジリジリと後ずさる早苗。問い詰めるべくその距離を空かさず狭める。

 

「そしてドッキリが終わったと宣言した後に呼び捨てで呼んだってことは…。」

 

「ん…っ!!!」

 

 早苗の震える両肩を掴み、たどり着いた答えを言う。

 

 

 

「早苗は俺のこと…」

 

 

 

キィィィィィィィン…

 

 

 

「へ?」

「んあ?」

 

 

 

 突然風を切り裂くような音が飛来し耳を震わせる。と、その時。

 

 

 

ドゴォォォォン!!!

 

 

 

「うおおおっ!!?」

 

 とてつもないスピードを地面へ叩きつけ、境内の石畳を粉々にして不時着した飛行物体。

 

 だがその姿勢に揺らぎはなく、大きな黒い翼を広げたまま、ゆっくりと上体を起こして、叫んだ。

 

 

 

霊烏路( れいうじ )(うつほ)、ただいま到着いたしました!!」

 

 

 

 

「「カアアアアアアアアアアットォ!!!」」

 

 

 

 

□□□

 

 

 

「うにゅ〜!!どうしてぶつんですか神奈子様ぁ〜!!」

 

 頭に漫画のようなたんこぶを作った少女が、神奈子様に泣きながら問いかける。

 

「なぜか?それはお前が一番いいシーンをぶち壊したからだ!!」

 

「そうだそうだ!!もう少しで既成事実を録音しきれるところだったのに!!」

 

「何やってんですか二人共ぉ!?」

 

「ううー!!ちゃんと時間通りに来たんですよぉ!!間に合うようにちょっと急いじゃって地面砕いちゃいましたけど、ぶつことはないじゃないですかぁ!!」

 

「ええい、石畳の損害なんぞ今はどうでもいいのだ!!」

 

「そうだそうだ!!どうせ河童にきゅうり握らせりゃ半日で終わるんだよぉ!!」

 

「いや諏訪子様、そこ理由述べるところじゃないです。」

 

「うにゅ〜!!私悪くないぃ〜!!」

 

「あーあー、もう泣くな。空は偉い偉い。」ナデナデ

 

「うー!!この人優しいぃぃぃぃ!!」

 

「…はぁ、まったく…。」

 

「なんてタイミングで来るんだよもぉ〜。」

 

 その後、空を泣き止ませるまで10分位撫で続けた。

 

 

 

□□□

 

 

 

「さて、じゃあこの人を人里まで運べばいいんですか?」

 

「ああ、流石に突然朝っぱらから警備を緩くしろなんて、私情による命は出せないからね。頼んだよ空。」

 

「はい!お任せください神奈子様!!」

 

 機嫌が元に戻ったのか、元気な笑顔で受け答えする空。

 

「まったく…余計な手を回しちゃってさ。」

 

「仕方ないだろう。安全に勝るものはないんだから。」

 

「そうだけどさ…。」

 

 なにやらブツブツ諏訪子様が神奈子様にいっているが、いまいち聞き取れない。

 

「さ、人間さん、このロープを体にくくりつけて!!」

 

「あ、はいどうも。」

 

 どうやら空が持ちやすいように体に装着するタイプのロープらしい。慣れた手付きで空は俺の体に縛り付ける。

 

「それじゃ、いってきますね!!」

 

「あ、すみません。ちょっと。」

 

「うん?なに?」

 

「神奈子様、諏訪子様…早苗は…。」

 

「あー、うん。今はそっとしておいてくれ。」

 

「まったく、ほんとうに…。」ブツブツ…

 

「…わかりました。よろしくお伝え下さい。では、泊めて頂いてありがとうございました。」

 

「またいつでも遊びにおいで。」

 

「近いうちに来ることを願ってるぞ〜。」

 

「はい。ではまた。」

 

「よぉーし!!それじゃあ、人里までひとっ飛びです!!」

 

「あ、さっきの速度で飛ぶのは…」

 

「いきます!!」ギュン!!

 

「あああああああああ!!!?と、とまってええええええええ!!?」

 

 

 

■■■

 

 

 

「…はぁ…。」

 

(やってしまった。本当はふざけながらノリで呼び捨てにするつもりだったのに…なんであんなときだけ鋭くなるの…。)

 

「…。」

 

ピッピッピピピピッ、ピッ。

 

「…はぁ。」

 

(あーあ、嫌な女だなぁ…私。)

 

 

 

「「はぁー、まぁーたはぐらかしちゃうんだ早苗はぁ〜。」」

 

 

 

「…まだ盗み見るんですか。」

 

「「もちろんさぁ!!」」

 

「くっそぅ…。」

 

 親指を立てる2柱の神に、心底ムカついた。

 

「…ま、それが早苗の選択なら止めはしないよ。」

 

「はぁ〜、いっそのこと夜這いさせりゃ良かったか。」

 

「…いえ、多分ダメでしたから。」

 

「え?どーゆーこと?早苗?」

 

「…。」

 

「だってあのとき、空さんがあのタイミングで来たの…私が能力で祈っちゃったせいですから…。」

 

「あー…うん。そっか。」

 

「ま、そういうことだ。じゃ、今日はパーッと憂さ晴らしするとしよう!!そして次に向けて邁進あるのみさ!!」

 

「はっはっは。いいこと言うね神奈子。今日はハレの日に変えて、楽しもうか。ね、早苗。」

 

「…はい。ありがとうございます。神奈子様、諏訪子様…。」

 

 

 

■■■

 

 

 

(う、うーん…?)

 

「おーい、お兄さん起きてー!」ユッサユッサ

 

「おーいトオルー!!最強のアタイが起こしてるんだ!!起きないかー!!」ベシベシ

 

「ち、チルノちゃん!!そんなに叩いちゃだめだよ!!」

 

「ふむ…いっそ頭突いてみるか?」

 

「やめとけ慧音。多分頭割れるぞ。」

 

「あぁっ!?トオルさんが!!トオルさんが大変な目に…!!」

 

「姉さん!!あんたが近づいたら不幸が移っちゃうでしょうがっ!!」

 

「…ハッ!!?こ、ここは!?…って痛ってぇ!?」バシーン

 

「お、ようやく起きたか!!さすがアタイのビンタだな!!」

 

「あー、トオルさんのほっぺが真っ赤に…。」

 

「ち、チルノ!?ってことは、人里?」

 

「うん、そうだよー!!じゃ、私お家に帰るから、またね~!!」

 

「あ、あぁ、ありがとな空。」

 

「はぁ〜い。」バッサバッサ

 

 

 

…。

 

 

 

「よーし、トオルの無事を確認できたことだし、寺子屋に戻るぞ。」

 

「「はーい!!」」

 

「お大事にな、トオル。」

 

「トオルさん、大丈夫でしたか?」

 

「あ、あぁ、大丈夫だぞ紫苑。」

 

「ほら姉さん行くよ!あんまり長居すると不幸で体調悪くするかもしんないんだからっ!!」

 

「ああっ!!女苑待って!!トオルさん!!トオルさぁ〜ん…!!」

 

 

 

「おはようトオル。えらく大きな鳥に運んでもらったんだな。」

 

「まぁな。」

 

「んじゃ、少し休んだら表に出てこい。今日も働いてもらうぜ〜!!」

 

「おうよ…親父…。」

 

 

 

…。

 

 

 

ピロン!!

 

 

 

「?」

 

 スマホが何かを受信したようだ。にとりからだろうか…。

 

「えっ。」

 

『From:早苗

 To:トオルさん

 

 ドッキリ大失敗!!ってやつですね!!まさかあそこまで気づかれるとは思ってなかったです。いやー、呼び捨てって結構恥ずかしいもんですね。勇気出してみましたが会話に挟む程度が限界でしたもん。

 

 じゃ、ドッキリだったので、今まで通り『トオルさん』呼びなので、そこのところよろしくです。あ、トオルさんは変えても変えなくてもいいので、それでは!!

 

P.S.なぜすぐ寝たことを知ってたかって?スマホ覗きに寝室侵入しましたからね。パスは変えておいたほうがいいですヨ♪』

 

 

 

「…。」

 

 

 

『そしてドッキリが終わったと宣言した後に呼び捨てで呼んだってことは…。』

 

『ん…っ!!!!』

 

 

 

「…あのときの顔が嘘だったんなら、名女優だよホント。」

 

 メールの通りなら、あのときの顔だって嘘になる。演技になる。俺の勘違いを加速させ、明後日の方向に出した結論に、それとなくフォローを入れる内容のつもりかも知れない。

 

 

 

 でも…。

 

 

 

「あー、早苗に次会う時、どんな顔すりゃいいんだよ…ったく。」

 

 砂まみれになった服の汚れを軽くはたいて、頭を抱えながら、団子屋の暖簾を避けて入る。

 

…最後に早苗に会えなかった事を、後悔しながら。




再投稿分は終わりです。案外早く終わった(txt.からコピペしただけだし…)。

やっぱりハーメルン用に書いたものだから、他の媒体で読んでも物足りなかったので投稿させていただきました。自分が読む用ですしね。

更新は今のところ予定しておりません。ニートになったら考えます。

では、もしここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

Goodbye!!
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