「え、ってことはつまり、うちの団子のつくり方を知りたいってことか?」
「はい、まあ、そういうことです。」
「ほう、じゃあ、うちで働くってことかい?」
「何でそうなるんだよ親父...とりあえず、その理由を聞かせてもらえるか?」
「そ、それなのですが...」
『妖夢~なんか~団子食べたくなっちゃった~♪』
『団子...ですか。わかりました。ちょっと待っててください。買ってきますから。』
『う~ん。買ってくるのもいいんだけど~、妖夢の手作りが食べたいな~♪』
『手作り...ですか。』
『うん、手作り~お願いね~♪』
「と、いうわけなのです」
「なるほど分かった。しかし嬢ちゃんは団子作れないのかい?俺が言うのもなんだが、いっぱしの団子を作るわけでもあるめぇし、そこまで本腰入れなくてもよくねぇか?」
「いえ、私もそれを考えましたし、主人も軽い気持ちで言ったのはわかるのですが、せっかく作るのであればよいものを作りたいと思いまして...」
「で、団子屋のうちに来たってわけね。」
「はい。その通りです。」
「しかしなぁ...どうする?親父?」
「別に構わねぇよ?」
「いいのかよ!!?」
「まあ、練習するときの材料は気にしなくていいが、実際に主人に作るって時の材料はそっち持ちだかんな。」
「あ、ありがとうございます!!」
「う、う~ん。まあ親父がいいっていうなら構いはしないんだが...ん?」
ふよふよ~...
「何だこの白いの?なんか俺を見ているような気が...」
「ああ、それは私の半身です。気になさらないでください。」
「そうか...でもなぁんか気になるんだよなぁ...」
この白いの、なにかして欲しそうな雰囲気出してるんだよなぁ...触れてほしいのかな?取り敢えず撫でてみっか。
ナデナデ...
「~♪」
「ん?なんだ?気持ち良さそうじゃねーか。ほれほれ。」ナデリナデリ
「~♪」
「もっとしてほしいのか?うりうり~」ナデルンジャー
「~♪」
「ち、ちょっと...んっ///...な、何してるんですかぁ!?」
「え?なんか白いのが触れて欲しそうだったから撫でてるだけだけど?」
「いや、だからさっき気にしないでと...んあっ///...な、撫でるのをやめていただけませんか!?」
「え?あ、う、うん。はい...って、あれ?白いのが手に近づいてくるんだけど?」
「そそそ、そんなことありません!!手を後ろに隠してっ!!」
「わ、わかったよ...って、白いのがぐったりしたんだけど、大丈夫か?」
「あっ...だ、大丈夫です。大丈夫ですから余計な事を...」
「あれ?なんで妖夢さんもぐったりしてるの?」
「ききき、気のせいですっ!!」
「そうなの?でもぐったりしてる白いの見るのはなぁ...ほれ。」ナデリ
「~♪」
「あぅぅ....///」
ん?妖夢さんも心なしか喜んでる...?
「あっ、まさか妖夢さんの半身ってことはつまり...」
「ハッ!?う、うおおおおおっ!!!一振り幽霊十匹
「うおわぁぁっ!!?や、やめて妖夢さん!?いきなり真剣抜刀辻斬りとか洒落になんないですって!?って、あぶなぁっ!?だ、誰か助けっ...!?」
「いやー、若ぇもんは元気があっていいもんだ...はぁ~。」ズズッ
「なに呑気にお茶啜ってんだよ!?早く助けろぉぉ!!」
青年&少女落ち着き中...
「さ、先程は失礼いたしました...」
深く頭を下げて謝ってくる妖夢の側には、なんか縄でグルグル巻きにされ、妖夢の腰にその縄の端がくくりつけられて自由に動けなくなった白いのがいた。
「あ、いや、うん。なんか悪いことしたっぽいし、軽々しく接しすぎたな。今後は控えるよ。」
「えっ...あっ、いえっ!!是非そうしてくださいっ!!例え私の半身がどんなに近づこうと撫でないでくださいねっ!?」
「わ、わかったよ...」
「わ、わかってくださったなら、いいのですが...そそ、そうですね、どうしても触りたいのであれば私を通してくださいっ!!」
「いやそれだとまた右手斬られかねないような...?」
「ほれほれ、じゃれついてないで、さっさと始めるぞ。」
「じゃれついてねぇよ!?」
「じゃれついてなんかいません!!」
「へえへえ。んじゃトオル、おめぇは表の暖簾取ってこい。どうせこの寒さだ。誰も来やしねぇし、俺も嬢ちゃんに団子の作り方教えんのに集中したいかんな。」
「はいはい。了解...うーっ、寒っ!!さっさと取り込んで...って、ん?」
「お、お恵みをォ...だ、誰かァ...寒い...寒いよぉ...ひもじいよぉ...」
「いや、そんな薄着で極寒の中歩いてたらそりゃ寒いだろうよ。ほら、こっちこい。あったけぇぞ?」
「...えっ...いいの?」
「良いも悪いもあるか。これも何かの縁だ。さっさと囲炉裏であたたまってけ。」
「でも、私一文無しだし、やっぱり...」
「あぁもう焦れったい!!金も意気地も無いのかっ!?それなら助けてって言うなよなっ!!」グイッ
「あわわっ!?」
「おーい、親父ぃ?なんか店の前で寒さに震えてた人拾ったんだけど。暖取らせて大丈夫か?」
「あぁ?トオル...どんだけ女の子連れ込みゃ気が済むんだ?」
「違うよ!?」
「女たらしだったなんて...最低です。」
「だから違うってば!?妖夢さん真に受けないでぇっ!!?」
「まぁ暖取る位なら構わんが、こっちの邪魔はすんなよ。トオル、おめぇが連れて来たんだからおめぇが世話しろ。んじゃ、厨房に行くから頼んだぞ。」
「わーったよ。んじゃ、そこに座...あれ?」
「はぁ~あったかいぃぃぃぃぃぃ♪」
「ってもう座ってるぅっ!?」
青年準備中...
「はいお茶。熱いから気を付けてな。」
「あっ、はい。ふーっ、ふーっ...ん...ふわぁぁぁぁ!!お茶ってこんなに暖かいものなのねぇ!!体に染みる熱が心地いい~♪」
「え?お茶って大体熱いものじゃないのか?急須で入れるし...もしかして冷やして飲むのがそっちのやり方?」
「へ?いえ、違いますよ?というか今までお茶をまともに飲んだこと無いのよね。」
「は?じゃあ普段は何飲んでんの?」
「溜めておいた雨水とか...壁についた水滴とか?」
「それ飲料水として適切とは言い難いものなんだけど!?」
「それに比べてお茶って良いなぁ~♪湯飲みに触れるだけで幸せ~♪」
「いや、雨水とか水滴と比べるのがおかしい気がするんだけど...というか、なんで寒空の中こんな薄着で歩いてたんだ?」
「あ、えーっと、まず、私の家ってすきま風がフツーに入ってくるんだけど、布団も何にもないからとにかく寒さに耐えながら、体力を極力減らさないよう寝て過ごしてたのよね。」
「さらっと言ったけど凄い生活してんな。」
「で、一週間も食べてないと流石に限界が近づいて、妹が痺れを切らしたのか私を外に蹴飛ばして『何でもいいから食べ物持ってこいっ!!』って言うもんだから、とにかく恵んでもらおうと外に出て歩き回ってたってわけ。」
「なんかもう色々と突っ込みたい事が有りすぎるが、とにかく食いもん欲しさに北風に煽られながらも歩き回ってたって訳か。」
「そうなのよ。でも今日は運が良いみたい。まさかこんな暖かい思いが出来るなんて...」
「なんかもう感動するレベルが低すぎてこっちが泣けてくるな...。うん。わかった。ちょっと待ってろ。」
「へ?」
「ほれ、これでも食え。うちで売ってる自慢の団子だ。まぁ、これは特別サービスだ。うめぇぞ?」
「えっ...えっ!!?食べていいの!?こんな、皆が食べてるのを脇で見ながら涎を啜って水分補給する位しかできなかった物を食べていいの!?しかもタダで!?わ、私やっぱり何かされるんじゃ...」
「おめぇら普段何食べてんだよ!?いいから早く食べろ!!つーか食べてお願いだからっ!!なんか知らんけど良心の呵責が起きて気が気でないの!!俺を助けると思ってひと思いにさぁっ!!!」
「わ、わかったからそんな怖い顔しないでよ...じゃあ、いただきます...」
パクッ
「.........。」
「どうだ?うめぇだろ?」
「.........。」
「あ、あれ?どうしたの黙りこくって?」
「.........ぅ、うぅっ。美味しい。おいしいよぉっ.........」グスッ
「な、泣いてらっしゃるっ!?」
「こんなに団子がおいしかったなんて...感動で涙が止まらな...あ、この涙後の水分補給に取っとかないと。」
「そして感動する最中でも生存戦略を忘れない生きる執念。逞しすぎんだろ!?」
「ね、ねぇ?ここにある分全部食べていいのよね!?」
「うん。むしろその申し出を断る勇気が無いかな?是非どうぞ。」
「や、やったっ!!一週間ぶりのご馳走だわ!!モグモグモグッ!!」
「団子は食べ物であることにかわりはないんだが、なんだろう、この常識の違いから生まれる悲壮感は?」
と、そんなことを思っていると、
ガラララッ!!
「あっ!!ここにいたのね姉さん!!」
「
「って、なに団子口に詰めながら涙を器用に皿に溜めてんのよ!?」
「言われてみるとすげーシュールな絵面だよな。」
「
「訳も何も今目の前の事実が全て物語ってるわよ!?」
「というかさっきの言葉を理解して会話している妹さんに驚きなんだが?」
「って、あんたね!姉さんに暖かいお茶を飲ませて囲炉裏で暖めたどころか、団子まで食べさせた挙げ句泣かせたのは!!」
「なんでだろう?すごく良いことしたはずなのに悪気を感じてしまうんだが?」
「そんなことがもうできないよう、あんたの財産全て奪ってやるわっ!!」グッ!!
「ーーーゴクン!!や、やめて女苑!!」バッ!!
「なんでそんな男の前に立つの姉さん!?姉さんを幸福にするやつはこの世から抹殺しないとっ!!」
「おめーはお姉ちゃんの幸せをなんだと思ってんの?」
「こ、この人は暖かさと豊かさを与えてくれた人なの!!もはや神様よ!!そんな人に手出しさせないっ!!」
「なんかやけに壮大に捉えてません?お茶と団子あげただけなんだが?」
「くっ!!余計な事を姉さんに教えやがってぇ...この疫病神である依神女苑が全て奪い尽くしてくれ...ムグッ!?」
「あーうるさいうるさい!団子食べて静かにしろっ!!」
「ムグ...ムグゥ...んむ.........お、おいひぃっ!?」
「でしょでしょ!?」
「おいひぃよぉ姉ひゃあああああん!!」
「でしょぉ女苑んんんんんん!!」
うわ~~~ん!!
「...なにこれ?」
少女達落ち着き中...
「えーっと?それで、さっきからいたのは泣く子も貧する貧乏神、
「そうです。」
「そうよ。」
「あーうん。そりゃ誰も恵もうとせんわけだわ。」
「関わることで百害置いて一利奪ってくからね。」
「なにその害悪な神様姉妹...まぁいいや、とりあえず店閉めちゃってもう団子売れないし、全部持ってっていいぞ。腹の足しにはなるだろ。」
「ええっ!?いいの!?」
「うわぉ。こりゃ棚から団子ってやつだね!」
「団子屋の棚から団子出るのは当たり前なんだけどな?」
「んじゃ遠慮なく貰ってくね!!あんがと、お兄さん♪」
「こ、これで1ヶ月は過ごせる...」
「そこまで団子は持たないけどな?」
「あっ、そういえばお兄さんの名前は...」
「え?俺?
「トオルさん...その、またお邪魔してもいいですか?」
「邪魔するなら勘弁。団子食いに来るなら歓迎するさ。でもあんまり頻繁に来るなよ?店潰れちまったら元も子もないからな。」
「...うん。ありがとう。トオルさん♪」
「私は遠慮なく奪いに来るからそのつもりでいてねトオルぅ♪」
「おめーは来るなっ!!」
神様姉妹帰宅中...
「ん?静かになったと思ったらもう帰ったのか?」
「んあ?あぁ、帰ってったよ。」
「って、売りもんの団子全部無ぇじゃねぇか!?何があったんだ!?」
「あぁ...それなら...」
と、
「台風のような姉妹が全部買ってったよ♪」
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「ねぇ?姉さん。」
「何?女苑?」
「私は何にも取らなかったけどさ、姉さんはそこに居るだけで不幸にするでしょ?トオルに何か不幸なこと起こったかな?」
「さぁ?でも、トオルさんはそんな素振り見せなかったなぁ...」
「ま、後から何か起こるでしょ。姉さんの不幸は折り紙つきならぬ
「うーん。そうなんだけど、あんまりそんな風になってほしくないなぁ...」
「まったく、姉さんの性格は貧乏神に向いてないよ。」
そんなことを言いながら、大量の団子を風呂敷に抱えて、少し懐が暖かくなった二人であった。