もうすぐ学生生活終わっちゃうので最後に頑張ることにしました
物語の展開を考えて、投稿済みのものも含めて、いくつか話の流れ修正しました。
試合が終わり、基地を後にした三人は帰路についていた。
五条が達也にダル絡みをし、達也はそれをうっとうしそうに躱していた。
そんな二人を深雪は後ろから見ている。
「まさかお兄様があんな力を隠していたなんて…」
「そうだよな、深雪!お兄様ぁ~兄妹で隠し事はよくないんじゃないの?」
「辞めろ、五条。あの試合で勝てたのは偶然だ」
実際、達也の言う通りだ。二人の体術における実力は五条の方が上。にも関わらず、負けてしまったのは舐めプをかましたからに他ならなかった。
(ったく、再生の術式があるからって殴られるの利用して攻撃とか無茶し過ぎだろ…やっぱ、魔法師も呪術師同様、イカれてんのか?)
魔法師事情に明るくない五条は勝手にそんなことを考えていた。
ちなみに世間では魔法という技術が一般化されているにも関わらず、五条が魔法について無知なのには理由があった。
呪術師ならではの理由だが、今回はそれを割愛しよう。
「それに…力を隠していたつもりはない。ただ機会がなかっただけだ」
「嘘つけ!最初は舐めプかましてきたくせによ」
舐めプして負けた人間のセリフとはとても思えない発言だった。
「それはお前だろ。お前が最初から全力だったら、勝てていたんじゃないか?」
「お兄様が煽ってくるんですけど、めっちゃぶん殴りたいんですけど」
拳をプルプルと震わせながら青筋を浮かべた五条。
「お、落ち着いて下さい、五条君!お兄様もなんでそんなこと言うんですか!『負けた五条君』が『可哀想』じゃないですか!」
「ごふっ…!」
『負けた五条』『可哀想』…どうやら深雪は無意識で傷口に塩を塗るのが得意らしい。
「え、五条君?」
なぜかうなだれている五条を不思議そうに見ているあたり、自覚は皆無だ。
「い、いや、なんでもないよ……なんでも…」
胸を押えつつ、五条は立ち上がった。
「とにかく!…次は負けねぇ。はじめっから本気でいくから」
「…勘弁してくれ」
心底面倒そうに返してくる。
その態度を見て絶対に次は勝つと闘志を燃やした。
「あ、そういえば五条君。もうお母様とは仲直りされたんですか?」
「え、いや、全然……ハァ…深雪って意外と嫌なとこついてくるじゃん」
思い出したなかったのに、と不貞腐れる。
深雪は仕方がありませんねと苦笑いしつつ、五条の手を握った。
「深雪?」
「私だって一歩踏み出したんです。五条君だけ何もなしなんてダメですよ」
深雪を諭した五条が逃げるなんて卑怯だといった。
真っすぐな眼をみて言われてしまった五条は少し怯んだ後、観念したかのように溜息を吐いた。
「あーもう、わかった…わかったよ……」
「ホントですか?」
「ホントだって」
「噓はダメですよ?」
「どんだけ疑うんだよ!?信用ゼロか!?」
五条の反応が面白くて、つい揶揄ってしまった。
そんな深雪を見て、達也は内心で小さく驚いていた。母親の前ではないとはいえ、深雪があそこまで感情豊かに、年相応の少女のような一面を見せるのは極めて珍しいことだったからだ。五条という存在は、深雪にとって特別な何かをもたらしているのかもしれない。
「ハァ…まぁ二日連続で野宿は嫌だし、ちゃんと謝りに行くよ」
「え、野宿してたんですか!?」
「うん、そうだけど…言ってなかったけ?」
「言ってません!野宿なんて何考えているんですか!」
なにやら口論をしている五条と深雪だったが、口調とは裏腹に楽しそうだった。
そんな二人を達也は後ろから眺めながら静かに微笑んだ。
「ただいま~」
一日ぶりに帰って来たホテル。そこに母親の姿はなかった。当然と言えば当然のこと。
五条カサネの性格上、探しに行かないわけがない。
(ハァ、探し行かなきゃだよなぁ…)
自分を探しに行った母を探しに行くというもどかしい状況に溜息を吐いた。
しかし、今の五条はそれよりも先にシャワーを浴びることにした。
夏に野宿をし、運動をした彼の体はべとべとなのだ。
(だから携帯持たせてくれって言ったのに……)
頭から温水を被りながら少し愚痴を吐いていた。
実は五条、携帯を持っていなかった。
母親から中学生のうちから携帯なんて持っていたら携帯依存症になってしまうといって待たせてもらえなかったのだ。
過保護な母はゲームは一日一時間まで、出かける時は許可をとることなど、なにかと縛りを課してきた。
(ふぅ、すっきりした。……面倒だし探さなくていっか)
風呂に入り、すっかり気力が抜けた五条はそのままベッドにダイブ。
そのうち戻ってくるだろうと探しに行くのはやめた。
母親だって子供ではない、そのうち見切りをつけて戻ってくる。
そもそも五条悟が二十四時間以上行方不明になった場合、探しに行くのは母ではなく、五条家所属の術師の任務に切り替わる。
そうなった段階で五条カサネは一旦拠点に戻ってくるという手筈だ。
つまり、わざわざ探しに行かずとも、勝手に戻ってくる。
重くなった瞼に抗うことなく、五条は目を閉じた。
今回は短めです。
すみません。