でもこれの次でようやく物語が進む・・・・・・はず!
「みんなお疲れ様」
午前中の訓練を終えたFWは息絶え絶えの状態でへたり込んでいている。
最初の訓練に比べて個人の技術を底上げするための訓練も合わせればそうもなるだろう。そんな中、FW達の少し上空から凄まじいスピードで落下してくる何かがあった。
「うわああああ!」
寸でのところで気づいたスバルが咄嗟に逃げるのを見て、残りの三人も何とか落下物を回避する。大きな音を立てながら地面にぶつかったそれは先ほどまでシグナムと模擬戦を繰り返していたグレイだった。
「この位で音を上げるとは、まだまだだな」
「いやもう殆ど瀕死みたいな状態ですけど・・・・・・」
上空からグレイを叩きつけた張本人であろうシグナムが降りてくると気絶したグレイを見てそう言う。傍に寄ったティアナはグレイを叩き起こそうとしながら、グレイをここまで疲弊させた訓練に若干引いていた。
「今日はまだ個人スキルの訓練に入ったばかりだからお前らも余裕があるだろうが、これからどんどんきつくなるからな。お前らもその内こうなるぞ」
スバルの訓練を担当したヴィータがそう言うと、スバル達から乾いた笑いが出る。そうこうしている内に気絶していたグレイが鈍い音と共にようやく目を覚ました。後頭部を摩っているのをみるに中々目覚めないグレイの頭を殴って叩き起こしたのだろう。
「さて、グレイも目を覚ましたことだしご飯食べようか!」
「しかし内の部隊は身内繋がりが多いですよね」
シャーリーを加えたFWのメンバーで食事を取りながら他愛無い会話をしていると、ティアナがそう話を振って来た。グレイ達が所属している起動六課は他の管理局の部隊と比べてもやや異常な所が多い。その内の一つが八神司令を始めとする隊長陣がほぼ身内で構成されている事、他にもロングアーチに所属するメンバーにも隊長陣の知人が混ざっていることからも、身内で構成されていると言っても過言ではない。
「なのはさん達は同じ所の出身だったっけ?」
「確か・・・・・・管理外世界97番・地球って言ってたな」
六課の隊長陣は大体が地球生まれ、もしくは地球育ちになっている。これだけ見れば、名だたるエースを輩出したさぞ魔導士を育てるのに適した・もしくは魔法に根深い世界だと思われるが実際には魔法という言葉はフィクションでしか存在しないというのだから恐ろしい。
「お父さんのご先祖様が住んでた所らしいんだけど、私もお父さんも行ったこと無いからどんな所かわかんないんだよねえ」
「魔法技術が発展してる事以外はあんまり変わんないらしいぞ、ここと」
「へぇー。そう言えばグレイとエリオは何処出身なの?」
隊長達の出身世界の話をしているとスバルが視線を此方に向けてそう聞いてきた。
エリオの皿にスパゲッティをよそいながらそう言えば自分の出身の話をしたことが無かった事を思い出す。あまりそういう機会が無かったのと特段、面白い話でもないので話すことがなかったのだろう。
「俺はクラナガンの孤児院出身だよ」
「孤児院?」
「小さなころに両親が建設関係の仕事についててな。廃棄区画の復興活動に従事してたらしいけどまぁ、そこの事故でね」
そう話していると周囲の空気が重くなっていることに気づく。今のミッドチルダでは特別珍しい事ではないが、実際にその本人が話すのだから仕方ない。特に話を振ったスバルが悲痛な表情を浮かべているのを知ると慌てて別にそんな表情をしなくていいと言う。
「両親の事は殆ど覚えてないし、孤児院の暮らしも別に悪くはなかったよ。子供達は可愛いし、シスターや偶に来てくれる支援者の人達も良くしてくれたからな」
何んとか場の雰囲気を変えようとするが、上手く行かなかったようだ。苦し紛れにエリオに話を振るが。
「僕は本局の特別施設育ちです」
と更に空気が重くなり、ティアナとスバルからはジト目で睨まれてしまう。
「あ…あの…そんなに気にしないでください。僕も本局の人達に良くしてもらってましたし」
「フェイトさんもその時から保護責任者だったんだよね」
二人から睨まれるグレイにエリオとシャーリーが助け舟をだす。
魔法の事や色々な事をフェイトが教えてくれていたようだ。エリオ曰く「昔、家庭の事で悲しい事があって、寂しい子供や悲しい子供をほっとけないこと、自分も暖かい手を差し伸べてくれた人達に助けられたから」らしい。
(暖かい手ね・・・・・・)
グレイは自分が孤児院に預けられた日の事を思い出す。行く当ても無かった自分の手を握ってくれた人、そっと頭を撫でてくれた人。その人の手も確かに暖かった。
『やあ、親愛なる友人よ』
部下たちが集めた情報から信憑性のある物を選別していると、突然別の男の声が聞こえてくる。ゴーストは聞きたくもないその声にため息を吐くとしょうがなく返事を返す。
「お前に友人がいるかよ」
『そう邪険にしないでくれ。君の為に最高の手足を作ってあげたじゃないか』
ゴーストは自分の左腕に触れる、手に残る感触は人の肌ではなく冷たく硬い鉄の感触だ。過去に重症を負い左腕と左足を失ったゴーストに義手・義足を提供したのは紛れもないこの男、ジェイル・スカリエッティである。
「それで何の用だ?」
『いや何、もうすぐ君の誕生日だっただろう。だからそのプレゼントを用意しようと思ってね』
誕生日?ゴーストは全く身に覚えのない記念日に疑問符を浮かべるが、それが自分がゴーストになった日の事を指しているのだろうと考えると。興味無さそうに答える。
「それで?天下のマッドサイエンティスト様が何をくれるって?スクラップの詰め合わせなら十分届いてるよ」
『あんな物ではないさ。もっと素晴らしい物だ、きっと君も気に入ってくれるさ。フフフッ』
そう不気味に笑うその男の眼には確かな野望と狂気が渦巻いていた。
次回はようやくホテル・アグスタに入ります!
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