・墳墓でふんぼー。
・地底探検お手のものっ♪
ユリ・アルファの話によると、アインズの住んでいる拠点は、ナザリック地下大墳墓というらしい。
墳墓とは、盛り土をした墓の事である。故に小規模の盛り土をした所に墓石を建てたものも墳墓というが、ナザリック地下大墳墓の場合は日本における前方後円墳などの古墳をめちゃくちゃデカくしたようなもん、というかむしろエジプトのピラミッドやら王家の谷やらそんなもん……いや、それよりもうこれはウィザー○リィとかに出て来るダンジョンやろこれ。
そんな古代遺跡に住んでいるアインズはつまりは太古のアンデッド……らしい。至高の御方とか絶対なる支配者とか呼ばれていることから察するに、ダンジョンのラスボスのワードナーポジじゃねぇかよおい。
「アンデッドって、リビングデッドの事よね……。生きている者に強い恨みを持って襲いかかって来る、とか……」
ぺり子の顔色が悪い。こいつ、ホラー苦手なんかな。
「……昔に見た映画がトラウマなのよ。ロメロとかフルチとか、とにかくそういうの」
あー、昔は金曜のロードショーとか土曜の洋画劇場とか、年齢制限とか無視っつーか、そんなん無しでそういう映画とか平気でやってたもんなぁ。
……ホラーだけじゃなくてスペースバンパイアとかエッチぃ奴とかもやっとったなぁ。やたらおっぱい出て来る奴な。
「あと、暗くて狭い場所も苦手なのよ」
……EDF隊員の癖に何を、いや、そういやコイツは地下の侵略生物の巣穴に入らされたこと無かったな。
「慣れておけ。地底探検は必須になってくる。侵略生物の巣穴の探索任務は、いつか必ずEDFならやらされる事になる。俺なんか無能な上のせいでやたらやらされたからな……」
しっかしEDF名物の地底探検ではなく、こういう石壁造りのダンジョンなんぞは初めてだ。規則正しい幅としっかりした構造。
……フレイムガイザーか使いやすそげでいいな。うん。フレイムガイザーはちょっと付け所を間違うとこっちに炎を噴射してくるからなー。こういう壁ならキチンと通路を封鎖できそうだから大量に敵がワラワラわいて来ても焼き尽くせそうだ。
つーか、実際のところ狭い場所での戦闘の方が飽和攻撃しやすかったりするから、まぁ、広い平地で大量の敵と戦わされるよりはよほど楽だったりもする。
こういう所だとマグマ火炎砲とか貫通しつつ高威力なのでオススメだぞ?あと、フレイムガイザーもな。だがいきなり広い空間に出て、マザーモンスター(デカい蟻の女王)とエンカウントとかはやめてくれ。特に金色の奴だけは勘弁な?
「いえ、アインズ様が是非にとお望みになったお客様に危害を加えるような事をする下僕などこのナザリックにはおりませんので、徒に破壊行為等はご遠慮下さい」
俺の思っている事がわかったのか、ユリが釘を刺して来た。勘がいい娘は嫌いじゃない。……ただ、めんどくさいだけだ。
「いや、破壊行為て。ただ俺はこれが罠だったらお前の胸をよーく揉んで揉んで揉みし抱いて泣くまで止めないところだなーと思ってただけだ」
まぁ、乳なんざ揉もうとは思ってはいない。
もしユリ達が俺達を罠にかけたとすれば、どうせコイツらはテレポートかなんかで逃げるだろうから、とりあえずテレポート前にC-70爆薬をつけてやろうと思ってただけだ。
ユリはバッ!と俺から離れて胸を隠すようにして、まるでセクハラに遭った新卒新人OLのように真っ赤な顔をした。
「な、なななななな、何を?!」
ワキワキワキワキ、と俺は手を動かしてユリの反応を見る。
「罠じゃ無いならそれも無しだが……、まぁ、無いだろうから今、揉んどくのもありか?」
「罠なんてはめる訳ないじゃないですか!疑われるのは私達プレアデスの不徳ですが、信じて下さい!」
ユリは涙目である。いかんな、いぢめ過ぎた。
しかし、まぁ、それでも謝らずにしれっとしておくのがこの場合肝要である。
何故って?
進行方向の前方になんかゲートが出現しそこからやたら殺意を俺に向けてきているロリが顕れたからである。
ギロリ、とダンジョンだというのに日傘を差しつつ睨みつけてくるロリ。おーおー、顔は可愛いのにこの殺意は尋常じゃねぇなおい。
「……ユリっぺ、あのいかにも俺に恨みがありそげに殺意の眼差しを向けてくる巨乳ロリっ子ちゃんは何なんだ?」
「いえ、その呼び方はお止め下さい。というか、し、シャルティア様?!」
「お前がストームでありんすか。お前のせいであちきは、あちきはっ、アインズ様の正妃になれず、勝負する間もなく第二妃にっ……!!」
ゴゴゴゴゴゴ…………!
あ、そういう恨みかよ。
ってか、いやロリはいかんだろロリは。つか、おそらくアインズも手を出しかねとるのでは無かろうかな、これは。つーか、奴にロリコンの気は……。
いや、そういやカルネ村で助けとった娘達はやたらアインズの事を誉め讃えとったな。
……あいつ、もしややたらロリに好かれるタチ何じゃ無かろうかな。
「しかもぉ、あの美しい骨格がぁ!アインズ様のお姿がぁ、お前のせいで、肉に隠れてぇ!!」
……何を言っとるのだ、このロリは。
「シャルティア様は、性癖にネクロフィリアをお持ちっす」
ルプスレギナがなんかあっけらかんと言ってくるが、おうふ、死体愛好癖かよ。
ユリ達からここに来るまでの間、様々な話はきいていたが、アインズは元々は骨だけの姿のアンデッドだったという。
まぁ、ファンタジー世界に転移するのは俺も初めてだが、リビングデッドがわく世界には嫌になるほど転移しており、嫌だがその手の物には慣れてしまっている。
……むしろリビングデッドよりも何よりも、ビキニテンガロンの刀振り回す痴女共や双葉理保の方がなんぼか扱いに困る、というか遭遇したくないまである。
いや、このロリっ娘の殺気は連中よりも剣呑、か。
「シャルティア様、おやめ下さい!このお方はアインズ様が御自らナザリックにお招きした賓客、たとえシャルティア様とて傷つける事は許されません!」
「……わかっているでありんす!不本意でありんすが、危害を加えるつもりはないでありんすっ!!」
不本意、って本音では危害加えたいんか、このロリっ娘は。つかその殺意をもうちょっと抑えてくれねーかな。ぺり子が激しすぎるその殺意でシズの後ろに隠れちまったじゃねーか。
つか、この娘も人間じゃねーな、こりゃ。
「あちきは……。アインズ様に言われてゲートを繋ぐ為に来たでありんす。ただ、文句の一つや二つくらい言わずにおれないんでありんすっ!」
……あーあー、しかし涙目になってまぁ。殺意を向けるのか泣くのかどっちかにしてくれ。
とはいえ居たたまれんなぁ。
「……俺は謝らないが、その代わりにアドバイスを一つさせてくれ」
「……黙れ、人間。お前ごときが喋るな!」
かなりの剣幕である。だか、ここでこのシャルティアなるロリっ娘の恨みをそのままにしておくと、後でおそらく襲撃されてしまうだろう。
実際、こんなロリから放たれるとは想像もつかないほどのすざまじい殺意なのだ、これは。クルール(タコ型エイリアン)の出す恐怖のオーラ同様、新兵なら恐慌状態になるだろう。
……つーか、ぺり子もなんか怯えとるしなぁ。訓練と場数が足りてねーぞ、おい。仮にもEDF隊員だろがお前。
ふぅ、と俺は息を吐きつつ肩をすくめながら、
「まぁ、聞け。王国、帝国、国は数多あれどな、王や帝の寵愛を受けて可愛がられるのは愛妾、第二夫人枠なポジが多い。これは歴史ネタとしてはガチ」
ぼそりと小声でシャルティアにそう言ってやる。無論、実際にはその限りではない。
だが、女の子向けの漫画などにはよくある設定ではそういうのがわりかしある……ようだ。
つーかこのネタの出所は、ウイングダイバーのペイルチーム……フォーリナー(地球防衛軍4)の飛行型侵略生物(巨大蜂)にやられて集団入院しやがった時に、何故か少女マンガの雑誌の差し入れを頼まれたんだが、そん時にうっかり好奇心から読んでしまった漫画雑誌だ。
読むんじゃなかったと後悔したぞ、あれは。
世の中の少女達が、あんなドロドロした愛憎劇とか読んでるなど、思わんかったわい。やたらえげつない性的描写とかはもはやエロマンガだろがあれは。
軽くマジでペイルチーム見る目が変わったわ……。つーか、俺ら男がエロ本読んでたらギャーギャー言う癖に自分らはあんなえげつないモンを読みやがってからに。
そんな漫画の傾向としてやたらヒロインが意中の男を別の女から寝取るような話が多かったのだ。
美形の王子様を婚約者の貴族令嬢から平民のちんちくりんが寝取ったり。妾になった女が貴族の男の寵愛を独り占めしたり。大学のキャンパスのイケメンを別の女から取ったり。大奥物だったりヨーロッパだったり古代エジプトだったり、やたら男が壁ドンとか、女の子の口をキスで塞ぎに来るとかめちゃ強引で、そんな男なんざ見たことねーわ、いやそれ犯罪やろ!
あと、不倫物とかそんなん若い女の子に読ませちゃいかん!現実だと慰謝料やらなんやらかんやらで破産するぞ、いや、めちゃくちゃ金持ち設定で社会生活にも何ら影響しねーのなんでだよ、つか、なんでそんなんばっかなんだ?!
しかもそんなドロドロしてんのになんかラストは爽やかに私達幸せです!的なハッピーエンドなのはどうなんだよ、ありえねーよなぁ。ツッコミどころしかないわい!
……いや、それより今はシャルティアのことである。
ピタリ、とシャルティアなるロリっ娘は、先ほどまでの殺気や目の涙が止まり、はっ!とその目をやや丸くして俺を見た。
よし、食いついたな。ふっ、やはりそういうのがお好きなのかこの巨乳ロリっ娘は。
「あ、殺気が消えた?!」
ぺり子がなんかシズの後ろからこっちを覗き込んでるが、EDF隊員としての誇りとか闘志とかは無いんか。つか殺気を察知する能力は一人前だが。
「序列では無く、愛される事。それが重要ではないか?婚姻はゴールではなく、真のスタートはそこからなはずだ。今はまだ歩んでいく過程、その始まりなのだ」
俺はグッ!と親指を立てて、
「これからが本当の勝負だぞ、頑張れ!」
シャルティアを元気づけるように無責任に言った。するとシャルティアの目がめっさキラキラ輝き、
「寵愛は……第二妃、むしろ結婚してからがスタート……!」
と、なんか希望と力に溢れた表情を見せた。
うんうん、単純な子でよかったわー、はっはっはーっ、だ。これで妙な恨みも持たれずに済むというものだ、などと内心ほっとしつつ、しかしそれを気取られないように平静を保ちつつ。
「ああ、あちきは何に拘っていたでありんしょうか!そう、スタートラインに立ってからが勝負!いえ、むしろ第二妃の愛され率というバフがあれば……勝つる!でありんす!」
いや、バフ言うな。そんなんは少女マンガだけだ、と言い掛けたがいやいや。
とはいえどうせ俺にはなんも負担は無いし、ヘイトや恨みを反らせることには成功した。アインズの負担が多くなるかもしれんがそんなのは俺の知ったことではない。
もっと言えば、ロリに手を出して犯罪とか問われるのはアインズなのだ。俺は無関係だ。
「おんし、人間の癖に、なかなか良いことを言うでありんすね。……また、迷ったら相談に乗って欲しいでありんす!よく考えたら、あちきは婚姻とかよくわかっていないんでありんす。愛情には自信はあるけど……」
……え゛?
あかん、これ、アルベドに敵視されるんじゃねーか?つかやりすぎた。
「……まぁ、俺は男だから、相談は女性の方がやりやすいと思うよ?それに、ほら、アインズが妬いたらいかんし?」
一方に関わりすぎるとロクでも無いのだ、こういうのは。
「ふぅむ、そういうもんでありんすか……。っと、アインズ様から通信が……。アインズ様、はい!申し訳ないでありんす!すぐに客人をそちらに!」
……ナイス、アインズ。いや、これは多分、ややこしくなる前にアインズが止めたってことだろうな。
はぁ、と安堵の溜め息を吐き、俺達はようやくアインズの待つ玉座の間に向かった。
【ストーム】
・地下で爆発物を使うとんでもない奴。つーかフレイムガイザーとかも酸欠が怖くないんか?
・ゾンビより、お姉チャンバラの面々のが怖い。あとゲスト出演の双葉理保とか戦娘のが厄介。
【ぺり子】
・ホラーは苦手だけど、サメ映画は平気。
【アインズ・ウール・ゴウン】
・鏡で覗き見してて、なんかストームがやたらシャルティアに変な事を吹き込みそうだったので止めに入った人。
【シャルティア・ブラッドフォールン】
・偽乳特戦隊。
・やたらストームに恋愛相談ならぬ結婚生活の相談を持ちかけるようになる。
【ユリ・アルファ】
・ストームへの評価:アインズの客人→変態に変わった!