・頭を使うのが嫌いだが回らないとは限らない。
・中世(っぽい)世界。
※なお、原作には貨幣を潰すとか、そういう事は出て来ません。念のため。オリジナル設定です。
亡くなった民間人の葬儀に出て、いろいろ考えた。
俺がもう少しこの世界に早く来ていればもっと助けられたのかも知れないが、こればかりは仕方あるまい。
何度も戦災の……と今回の場合は言って良いのかわからないが……被害者の弔いに俺は立ち会って来たが、慣れることは無い。そして、これからも幾度となく立ち会う事になるのだろう。
助けられた村人達にはやたら礼を言われたが、助けられなかった者の家族の心情たるやいかばかりか。
そういえば、なんかアインズ星人が助けたという少女達を迎えに行ったのだが、どうもその少女達は俺が最初に助けた男女の娘達だったらしく、かなり感謝をされた。
つうかなんか俺とアインズ星人を仲間だと勘違いしているようで
「えっと、アインズ様のお仲間さんですよね?あの方はどちらに?」
とか言ってきたので、きっちりと、
「俺に変態の仲間はいない。あと、奴は怖いおねーさんに連れて行かれた」
そう言ったら、なんか娘さん達は落ち込んだようになった。
いや、どう見てもあれは変態だろ。もしかしたらこの世界であれは当たり前の格好なのか?普通なのか?と聞いたら
「アインズ様かっこよかったですよ?」
「うん、アインズ様強かったもんね、おねぇちゃん」
とか娘さん達はやたらあの変態を持ち上げていた。いや、もしかしたら、ああいう格好のが子供ウケすんのか?うーむ、わからん。
しかしああいう変態は子供の精神的な成長にはよろしくない気がするんだが。
まぁ、そんな事はどうでも良いのだが。
その後、村長の家で村長からいろいろな情報を聞き出した。
村長の話によれば村を襲った鎧の男達は隣国『バハルス帝国』の騎士達……らしい。
この村、カルネ村が所属する『リ・エスティーゼ王国』と敵対しており、このリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国は国境付近にある『エ・ランテル』という都市の付近の平野で毎年のように合戦を繰り返しているらしい。
つまり今回の民間人虐殺は人間の国家間の争いだったってわけだ。
人間の国家間の戦闘行為にEDFは介入してはならないわけだが、そこはそれ、もう俺は開き直っているし、人間相手に使用してはならないと国際法に明記されている対侵略生物用兵器器を使っちまった事に対してもまーったく気にもしてはいない。
なんせ俺は現時点ではまだEDF隊員ではない。つーか明らかに現在俺がいるこの世界は俺がいたどの世界とも毛色が違う世界であり、EDFどころか国連やそれに類する組織もおそらくは無い。
つまり、戦時国際法も無ければEDFに関する様々な法、条約、規則すら無いっつーことで、それなら誰も俺を裁くことはできないっつーことだ。
何故俺がそう推測したかといえば、いろいろあるが、無線がまーったくどこにも通じない、付近に電波を発する施設等も無い、汚染された大気を計測する機材……宇宙人共が地球の大気を弄くっていた世界線で使っていた……のデータを見るに、文明社会にありがちな化石燃料による大量のカーボン放出や汚染の痕跡がまったくない。大気汚染に弱いカエルエイリアンもにっこり、めっさ空気が良い。
つまり、ケミカル的な産業や動力を使った産業が無いということである。
それにこのカルネ村だ。
この村が何らかの宗教や思想で伝統的な昔の生活を守っている村というなら話は別なのだろうが、未だに広い農地を人力で耕しており、牛や馬による耕運やそのための道具すらも無い。
かろうじてクワやスキなんかには鉄が使われているが、その質もあんまりよろしくない。
それに畑に育っている作物、麦や穀物類のその実は収穫量の少ない原種に近いものでほとんど品種改良もされていないものだったし、肥料の概念もあるかどうか、という感じである。
さらに、村を襲った兵士……騎士か?は馬に乗ってやってきたと思われ、今時 馬かよ、と思ったがしかしこの世界の文明レベルがそうなのだと悟ってうんざりとした。
つまり、この世界の文明レベルは産業革命よりさらに前の中世、17~18世紀ごろのヨーロッパに似た感じであり、そんな世界に国連法とかEDF憲章とかあるわけは無い。
つーか、リ・エスティーゼとかバハルスとかスレインとか、そんな国の名前なんぞ聞いたことはなく、ひょっとしたら完全に異世界なのかもしれない。
つーか、EDFがこの世界に無いなら俺を裁く法は無いわけでその辺では気は楽になったが、しかしどうやって生活していこうか、とかそっちの面では気が重くなってきた。マジどーすっかなぁ。
しっかしバハルス帝国、ねぇ。
俺は、村長の家に運ばれてきた敵の騎士達の鎧甲、剣、装備品を見た。
約束通り村長は食事を振る舞ってくれたのだが、それをいただいている間に村人達が持ってきたのだ。
村長は、騎士達を倒した俺にこれらの権利があるとか言い、金品を入れた袋もテーブルに置いて、
「騎士達の持っていた金貨や銀貨、金目の装飾品をまとめました。いえ、むろん村からのの謝礼は別ですが!」
と言った。どうも彼らは律儀な人達のようで、わざわざ集めてきてくれたらしい。
わざわざ俺に渡そうとかせずにガメときゃいいのに、とか思ったが彼らがこのように俺に報告するのはおそらくトラブルを回避するためだろう。
いや俺の予想する以上に農民達の地位はこのリ・エスティーゼ王国では低い、と見るべきか。彼らは相手が地位が高い者と見るや、やたら恭順と献身を示してくるが、それは彼らの境遇からの学習、つまり上の身分の者達にずっとろくでもない目にあわされ続けてきたという事に他ならない。
……リ・エスティーゼ王国もあんましいい国じゃないのかも知れんな。
と思う俺に構わず村長はなおも話を続ける。
「あと、騎士達の馬も集めさせました。あなたに権利がございます。騎士達の兜は『エ・ランテルの街』の役人に渡せば騎士達を退治した報奨金が出るでしょうし、鎧や剣、盾は売ればそこそこの金になるでしょう。馬はこちらで買い取らせていただければ……」
うーむ、と俺は思案した。
金は何にしてもこれから必要になるだろう。なんせEDFがこの世界には無いなら自力で生活せねばならないのだ。
しかし、兜を街の役人に引き渡すってのは少々考えものだろう。
なんせ敵の騎士団丸々一個中隊分を役人の元へ持って行ってみろ、どうやって手に入れたのかとか根掘り葉掘り聞かれるのは間違いなく、そして俺が全滅させた……いや、最後の一人はデスナイト星人が殺ったんだが……とか言ったなら面倒くさい事になるのは目に見えてあきらかだ。
その場で誤魔化しても目を付けられるのは間違いないだろうし、あまつさえ軍に入れとか兵士になれとか言われるとか、すんげぇイヤだ。
確かに俺は兵士であり、戦うことしか能がない男だが、地球を防衛するために、人々を守るために兵士になったのだ。人間同士の戦いの為に戦うのは正直御免被る。
それに噂にでもなってみろ、バハルス帝国から命を狙われんとも限らないのだ。
「……この袋の金は、バハルス帝国の貨幣か?」
とりあえず聞いてみた。いくら金や銀そのものに価値があると言ってもリ・エスティーゼ王国内で敵国であるバハルス帝国の通貨を使うのは危険だ。
「いえほとんどが潰し金貨、潰し銀貨ばかりです。中には潰し損ねたスレイン法国のものがいくつかありますが」
潰し金貨とは、ハンマーなどで叩いて模様などを潰した物で、元々は敵国からの賠償金や略奪した金に公然となされていたとの事だ。相手の国の貨幣を潰すという行為はつまり相手の国に対する侮辱の意味を込めて為される……らしい。
いや、村長の説明なのでそういうもんと思っておくしかないが、村長になると村人でも結構博識なのな。
とはいえ潰し金貨とか出所を誤魔化す用途でもやっとるよな、絶対。
「……例えば、これを『エ・ランテルの街』で使ったとして問題が発生するとか、そういう事はないか?」
「いえ、特にありません。街で使われている通貨は様々な国のものが混ざっておりますし、その中にはこういう潰し貨幣も当然混ざってます」
……結構アバウトなんだな。いや、金貨や銀貨の場合、その含有量で価値が決まってんのか?うーむ、異世界の通貨、よくわかんねー。まぁ、使えるならどうでもいいか。物価の相場はわからんけど。
だが、叩き潰した貨幣か。ふーむ、デカデカと盾に自国の紋章を掲げてんのに持ってる貨幣は叩き潰してあるってのはいかにも怪しい。そして潰しそこなったスレイン法国の貨幣が混ざっているのもすんげー怪しい。
俺はそれぞれの国の場所を聞いてみたが、村長はなんかざっくりと山やら道やらが書かれた地図を出してきてそれぞれの国の位置を教えてくれた。
……むぅ、まるで時代劇や大河ドラマに出て来るような地図だな。ざっくりしすぎて位置関係しかわからん。誰か精密地図をくれ、ってこの世界じゃ無理か。
無いよりはマシなので、俺はヘルメットのカメラでその地図を撮影して保存した。うん、とりあえずはこれと照らし合わせてマッピングしながらの移動になるが、しかたあるまい。
立地的にリ・エスティーゼ王国、バハルス帝国、そしてスレイン法国の位置は山に遮られたりしているが、どの国からもそれぞれの国にちょっかいかけやすそげだよな。とくにスレイン法国は。
「しかし潰し金貨ねぇ。そんなん見たこと無かったなぁ。ふーむどれどれ?」
……大根役者か、俺は。
意図を悟られないようにそう言って俺はテーブルの上に貨幣を全部袋から出して見てみた。
たしかに叩き潰されてぐにゃぐにゃになった貨幣だらけだが、その中に紋章のようなものが残っている金貨を何枚か発見。これがスレイン法国の金貨の模様か。
潰された金貨と紋章が残っている金貨を見比べるが、似ているような似ていないような。うーむ、比重を比べることが出来れば何かわかるかも知れないが……。
そんな俺を見て、村長が天秤を出してきて、
「使いますか?」
と言ってきた。どうやら村長は俺が金貨の価値を調べているのだと思っているらしく、
「街ではそんなに金の比重は気にされませんが……」
などと言ったが、そう思っているなら訂正する必要はない。
襲撃してきた連中の正体はスレイン法国の連中の可能性があります、なんぞと彼らに言ってもなんにもならないし、言う必要も無い。
彼らは村人であり農民なのだ。
自分達を襲撃したのが敵国ではなく、別の国だったと知っても彼らに何が出来る、いや何もやって欲しくはないのだ。彼らは戦う者ではない。そうなる必要も無いし、そうなって欲しくも無い。
願わくばいつまでも木訥で、出来れば平和に暮らしていて欲しいのだ。これは俺の勝手な考えだし、傲慢とも思われるかも知れないが。それに恨みの行く先を迷わせてもなんにもならないのだ。こういう場合。
金貨を量ってみて、やっぱりな、と思った。
「どれも、おんなじ重さだな。減ってなかった。うむ、これなら問題も無いだろう」
「まぁ、最近では金の重さなどはあまり咎められることはないですからそんなに心配なされなくても」
……守銭奴、とか思ってんだろーなぁ。
と思いつつ、それに乗る形で、
「いや、なんか減ってたらガックリ来るだろ?」
と、苦笑しつつ金貨と銀貨を分けて勘定する。守銭奴ムーヴだな、これは。
……無作為に選んで量った金貨の重さは、それこそ量ったようにどれもがほぼ同じだった。
つまり、全部スレイン法国の金貨だという可能性が高いってことだ。すなわち奴らはスレイン法国の関係者で、バハルス帝国の騎士に偽装させ兵士を送り込んで村々を襲撃させているって可能性が大きいということでもある。
その意図は、リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の戦争を煽っている、というのがわかりやすいが果たして本当にそうなのかと言えば、わからん!としか言いようが無い。なにしろこの世界には来たばかりでどの国がどんな思惑をもって動いているかわからんからだ。
……いきなり厄介な事に首を突っ込んでしまった感がパナいなおい。つーか厄介事にどっぷり浸かる前に抜け出すのが良いだろう。
そう思いながらも袋に金を戻しながら数え、その結果、金貨が約五十枚、銀貨が100枚ちょっと。あとは金の鎖や指輪などがいくつかあったが、それは騎士達の身元を特定しかねない物品でもある。それらはテーブルの上に置いたまま、袋を紐で閉じる。
「この金は受け取っておくが、これらの装飾品は……」
あなた方に、と言おうとしてふとアインズ星人の事を思い出した。
「アインズ星人、いやアインズ氏の取り分として幾らかは残しておこう。……彼がどんな要求をするかはわからないが、俺の知る限りでは彼が倒した騎士はリーダーと思しき男と、あとは一人か二人のはずだ。……いや、それと兜を2つと剣と鎧程度、渡せばいいと思う」
と、俺が言ったその時、村長の家の入り口の戸が開き、そして
「ああ、私はそれで構わないとも」
と、入ってきたアインズ星人がそう言った。
「……またややこしい奴が来やがったな」
戻って来なくてもいいのに、という気持ちをたっぷり込めて言ってやる。
「だが、後々のトラブルを避けるためにはこういう事に関してはしっかりと意思確認をお互いにすべきだ。村長、彼と話し合うために納屋をお借りしたい。いいだろうか?」
アインズ星人はそう言い、有無を言わせず村長の家の納屋に俺を連れ出した。
つーか俺、とっととこの村から退散しようと考えていたのにな。
・アインズさん、ナザリックから逃亡中(主にアルベドとシャルティアから)。
・エンリ、覇王ルート有り。
・次回、1ガゼフ(単位)さん登場。
・さらにニグン星人登場で種明かし。
次回、EDFがオバロ入り【ぶっ放せ!アルマゲドンクラスター】でまた会おう!(嘘タイトル)。