EDFがオバロ入り   作:罪袋伝吉

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 ※誤字脱字はお友達。修正いつもありがとうございます。

・装甲車で轢かれたら普通は死ぬ。

・ガゼフさん車酔い。

・ニグンさん、実は悪役の振りしてた(原作とはかけ離れた性格してます)

・なお、無駄な足掻きを止め、そこで大人しく横になれ。せめてのもの情けに苦痛なく殺してやる、もショックウェ!もありません。

(※ 後で読み直して、これはちょっと読み物としてあんまりじゃないか?と思ったので修正しました)



ニグン落ち(全身骨折)。

 

「で、ガゼフ戦士長。アイツらは何なんだ?」

 

 俺は礼賛……ライサンダーのスコープを覗きながら、俺が貸した双眼鏡を使っているガゼフ・ストロノーフに言った。

 

「……私の事はガゼフだけでいい」

 

 顰めっ面をしつつガゼフは、うぅーむと唸り、

 

「……あれだけの数のマジックキャスターを揃えられるのはスレイン法国だけだ」

 

 と、言った。

 

 しっかし、マジックキャスターというのはやたら奇妙な格好をしているものだ、と思うもアインズのあの珍妙な仮面とローブ姿に比べればスレイン法国のマジックキャスターは量産型的な感じに見えた。

 

 それでもガゼフ・ストロノーフの部下達よりは良い装備を整えているように思え、比べて見るとガゼフの部隊がいかに恵まれていないのかがわかろうもんである。 

 

「へぇ、あんた大人気だな。つーか王国戦士長ってのはスレイン法国にも敵視されるくらいの重要人物なんだ?」

 

 スコープから目を離し、ガゼフの顔を見れば理由がわからないとその顔に書いてあるようだった。つまり、何故なのかわからず今も、うーむうーむと唸って考察中ってわけだ。

 

……バハルス帝国の騎士に偽装した連中に村を襲わせ、王国戦士長を辺境に引っ張り出し、始末する。そこにスレイン法国の利益があるとするなら何だろな。

 

「バハルス帝国とスレイン法国が同盟を結んだってことか?」

 

 まぁ、それが一番分かり易いのだが、しかしガゼフはそれを否定した。

 

「いや、それは無いはずだ。スレイン法国は基本的にどの国にも介入などしない……はずなんだがな」

 

 はずなんだが、と言うことは何かスレイン法国側にその方針を変えねばいけない理由が出来たということかも知れない。

 

「……おい、ぺり子。レーザー盗聴器の音声まわせ」

 

 俺は村のはるか上空に飛ばせたぺり子に無線で指示する。

  

 ペイルウィングのぺり子のフライトユニットは他のウィングダイバーよりは長く飛ぶ事が出来……というかインベーダーの超巨大マザーシップの皇帝要塞アダンの上まで行けるくらいの出力がある。

 

 斥候、偵察にはもってこいだな。うん。

 

《誰がぺり子よ誰が。ったく、はい、スピーカーに送ったわよ》

 

 不機嫌そうなぺり子だが、しかし仕事はキッチリしやがる。まぁ、そうでなければ困るんだが。 

 

「オケオケ。まぁ、そのまま頼まぁ」   

 

《あんたもこんなのよく持ってたわね。つーかエアレイド用のレーザー盗聴システムなんて》

 

「うまく使えばミサイルとか衛星砲の照準にも使えるんだぞ?」 

 

 いや、本来の使用法はそれなんだがな?ちょちょいと改造したらあら不思議、レーザー盗聴器になっちまう。

 

《それ、まんま照準器じゃない。装備の勝手な改造は違法よ。……奴ら会話を始めたわ。聞こえる?》

 

「ああ、よく聞こえるぜ。ペイルはそのまま上空で盗聴、頼む」

 

 

 

《ザーッ、ザッ……腐りきった王国はもう救えはしないという本国の判断だろう。ガゼフ・ストロノーフ、恨みは無いが、奴にはここで死んでもらう。……忠義に厚く義に厚い戦士の鑑だと聞いているが……。命は絶対だ。せめて、正しき怒りの元に戦わせてやろう。今から私は非情なる悪のマジックキャスターの仮面を被る。奴の義憤を全て受け止め、奴の生き方が正しかったと後世にまで伝わるようにするのだ」

 

《……ニグン隊長、しかしそこまでせずとも》

 

《言うな。奴が我々に降るような男ならば……いや、そうで無いからこそ、こんなに奴を惜しむ気持ちが生まれるのだな。私は腐敗をこそ憎むぞ……!》

 

 

 

……なんか拳握ってめちゃくちゃ悔しそうにしとるぞ、あの敵のニグンって隊長。実はめちゃ善い奴なんじゃね?

 

「……つーかあんた、敵からの評価も随分高いんだな。敵の部隊の隊長もなかなか人間が出来てると見える。……しかしあんなに腐敗、腐敗って繰り返し言うほど王国は腐ってんのか?」

 

 まあ、腐ってんのは予想出来てんだがな。

 

 この世界に来てからちょっとの情報や断片的な判断材料をつなぎ合わせて考えても、そりゃあわかろうもんだ。

 

「……王は努力なさっているが、貴族達の横行は増えに増えてなかなか動けない状態が続いているのだ。王も苦悩なさっている」  

 

 絶対その王さん、後の世に暗君って言われるタイプだと思うぞ。悩んで悩んで『成すべきか成さざるべきか』とかやってるだけで愚かさ故に周りまで不幸のどん底に道連れにするタイプだ。

 

 まぁ、言わんけど。

 

 つーか、世の中には世界と妻子を救うために何度も何度も歯を食いしばってタイムリープを何百回も繰り返して、血反吐吐くような思いでわずかな確率と可能性を引き当てた男もいるのだ。プロフェッサーの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。

 

 

 

 ザーッ、ザーッ……。

 

《……ン隊長、二つの騎士団が壊滅している模様ですが、その調査はどうなさいますか?》

 

《……ライトニングの魔法を使い、空を飛ぶマジックキャスター。しかも魔導銃を撃ったという情報が入っている。ここは王国だ。おそらくそれは『朱の雫のアズス・アインドラ』の仕業だろう。奴の活動範囲は北のはずだが、該当する能力を持つ者は他にいない。しかし奴は冒険者だ。村の救助はしても国家間の戦いには手出しは出来ないだろう》

 

《……村はどうしますか?》

 

《ガゼフ・ストロノーフを討ったなら我々の任務は終わりだ。いいか村にはくれぐれも手を出すな。村人達はガゼフの事を正しく他の人々に語り継いでくれるだろう……。それが奴への手向けとなる。それに村人に危害を加えれば『アズス・アインドラ』が出てくる可能性が高い。奴はあの忌々しい蒼の薔薇のラキュースの叔父、一筋縄ではいかん》

 

《はっ!》

 

 

……アズス・アインドラねぇ。ウィングダイバーかなんかか?つーかEDFか?つか叔父ってことは……PAギアの可能性もあるか。それに『蒼の薔薇』か。

 

 ふーむ、いろいろ情報が出て来たな。

 

 つうか、村人達に危害を加えない、か。よほどアズスとやらを警戒している……と、言うよりは口実にして村人達にこれ以上危害を加えたくないって感じだな、やっぱり。

 

 何となくだが、俺はあのニグンという奴を殺したく無くなって来ていた。無論、ガゼフもそうなのだが。

 

 しかし、奴らが連れているあの翼の生えた奴らはなんなんだ?なんとなくフォーリナーの使ってた無人兵器にデザインが似ているような気がするんだが。

 

……まさかスレイン法国というのは宇宙人の手下、もしくは宇宙人の技術を研究している連中じゃないだろうな。

 

 などと思いつつ、ガゼフに俺は話しかける。

 

「で、あの飛んでる奴はなんだ?宇宙人か?」

 

「宇宙……?いやスレイン法国の召喚術師がよく召喚する天使だろう。種類までは知らないが、一体だけでもかなり強い。それをあれだけ喚ぶとは、かなりの戦力だ」

 

……天使なぁ。なんか俺のイメージとはかけ離れてんだけどな。

 

 つか、性格がキツいのにペイルウィングとかウィングダイバーとかが空の女神とか言われてる以上にかけ離れてんぞあれは。 

     

 

 

 ザッ……ザザッ……。

 

《しかし、悪のマジックキャスターか。うーむ、どのように演じてみせるのがいいんだろうか。やはり、『お前は腐りきった王国の貴族に売られたのだ!哀れな男よ!そんな国に、果たして忠義を尽くす価値はあるのか?我と共に来るが良い!真の正義の道を……』》

 

《いやいや、隊長隊長、それは勧誘ですって。我々が受けたのは抹殺命令ですよ、それは命令違反ですって!》

 

《……そうであった。しかし惜しいよなぁ。ウチの国にもあんな忠義者、なかなかいないというのに》

 

《いや、ですから!ここはやはり彼の義憤を煽るようなセリフでお願いしますよ。たとえば『無駄な足掻きを止め、そこで大人しく横になれ。せめてのもの情けに苦痛なく殺してやる!』とか高らかに嘲り笑いながら言ってやるとか》

 

《そうそう、『貴様を始末した後は、村人も抹殺してやる!』とか》

 

《え?それ酷くない?》

 

《いや、だから隊長ぉ、ガゼフ・ストロノーフを抹殺したくないのはわかりますけど、我々にはまだ亜人達の討伐任務があるんですよ?ここで時間をとられていたら奴らに人々が……》

 

 

……善い奴通り越してアホに見えてきたぞ。

 

 つーか、隣で聞いているガゼフもなんか俯いてどう反応していいかわからんような顔をしとるがな。

 

《なんなの、あの人達。村人達を襲った奴らの黒幕……なんでしょうけど、なんか憎めないわねぇ》

 

 ぺり子も俺と同意見のようである。俺はぺり子に降りて来るように言うと、ガゼフに

 

「で、どうすんの、あんたは」

 

 と聞いた。つーかあんなん聞かされたら戦意も萎えるわなぁ。つーか俺も萎え気味だ。

 

「……スレイン法国の陽光聖典が悪役を買って出てくれるのはありがたいのかありがたくないのか。だが俺はまだ死ぬ気は無い。死中に活を求めるには討ってでるしかあるまい」

  

 真面目だねぇ、この人は。死を覚悟している。

 

 とはいえ、このまま出撃させれば奴らがああいう奴らだとしても確実に殺されてしまうのは目に見えている。

 

 まあ、俺やぺり子が本気を出せばあの敵部隊を全滅させるのは容易い。

 

 超破壊兵器ならそれこそ大量に選り取り見取りにある。たとえばジェノサイド砲やらアポカリプス、なんならぺり子のアーマゲドンクラスターをぶっ放せば事足りる。

 

 そういう手段をとらなくともライサンダー……いやリロードを考えりゃAF-99STのがいいか……とかで狙撃するとか、ロケラン系やミサイル系をぶちかますとかでも実際事足りるだろう。

 

 だが、ああいうのを聞かせられると俺もなんか殺すってのはやりにくい。

 

……ここは一丁、どっちも生かす方向でやるかなぁ。

 

「まぁ待てよ。戦術ってのは勝って生き残るためにあるんだ。つうか、何もあんたがバカ正直に戦う事も無い」

 

 俺はそういうとガゼフを連れて外に出た。降りて来ていたぺり子にも作戦……というにはお粗末なものだが……を話す。

 

「村を巻き込まないために、馬で突撃ぃーっ、て、やるつもりだったんだろ?いやいや、それじゃ奴らの連れたあの妙な兵器にまんまとやられる事になる」   

 

「まさか村で籠城戦をしろと?こんな開けた村で行えば俺達が負けるどころか村人達をも死なせてしまうだけだ!奴らは村人達には危害を加えないと言っていんのだぞ?!」

 

 いや、そんな事はしねーっての。

 

「いいや、討って出るのは出る。だが何も馬で、ってわけじゃない。もっと良い物を使うのさ」

 

 俺はおもむろに発煙筒を取り出して地面に投げつけた。通称『ポイポイ発煙筒』である。

 

 輸送機いらずでその場で即、ビークルを呼び出せる不思議な発煙筒、それがこの発煙筒である。

 

 原理も何もわからんし、なんで俺の発煙筒がそうなってんのかも知らないが、なぜかそうなっているのだ。

 

 ポン!と爆ぜる音がして、ガッシャン!といきなりデカい装甲車両が出現する。

 

「な、なんだこの鉄の塊のようなものは……?!」

 

「武装装甲車両グレイプ。コイツはその中でも一番速いし頑丈だ。まぁ、並みの攻撃ではそうそう壊れない。ま、念のために……」

 

 ガードポストをボスッ!とグレイプの上に設置した。ガードポストは耐久値の減りを抑えてくれる装置だ。

 

「あんた、そんなもんまでガメてたの……。あっきれた」

 

……いや、人聞き悪いこと言うな。ガメてたんじゃねぇ、こう見えて俺はいろんな世界でいろんな兵科を経験しながら生き抜いて来たんだぞ。なんて今言うとコイツは多分、うるさく騒ぐだろうからなぁ。

 

 とりあえず、否定しない方向で。

 

「役に立つんだから良いんだよ」

 

 とだけ言っておく。

 

「ま、相手は人間だからな。撃つのはあの飛んでる奴らだけだ。乗りな。乗り心地は最悪だが、馬より速く敵を蹴散らす事が出来る」

  

 そして、俺はぺり子に『ワイヤーネット』と『リバースシューター』を渡すと、

 

「俺は『天使』を榴弾砲で落とす。天使が全滅したら奴らを軽ーく轢き逃げアタックすっから、お前は即座に後部から降りて『ラピッドファイヤーワイヤー』で奴らを捕らえ、その後に『リバシュ』ぶちかまして回復させろ。出来るな?」

 

「……轢き逃げアタックって、あいつらに聞くの?いえ、吹き飛びはするかもだけど」

 

「だからこそのワイヤーだろ?」

 

 だがその時、俺は知らなかったのだ。

 

 この世界の人間達は、俺達のいた世界の一般市民のような無敵性は無く、また、新兵達でも少しは耐える攻撃でも簡単に死んでしまう、そういう存在だということを。

 

 装甲車両で轢いたら大惨事になった。

 

 いや、天使も榴弾砲を使うまでも無く、装甲車ぶち当てたら消滅したし、敵の部隊の連中も、

 

「ショックウェー……うわぁぁぁっ!!こっち来るなぁぁぁあ゛、」←グシャバキグチャゴキドシャアアアァッ。

 

「さ、最高天使を召……うわぁぁぁぁっ!!」←グッシャアアアアッ。ドサッ。

 

 陽光聖典、全員全身骨折でリタイヤ。ニグン瀕死の重傷。

 

 こちらの世界の人間って脆いんだな。つうか、巨大蟻とかに慣れきっていて、敵にぶつかってダメージを負わせられるなんてあんまし期待してなかったのに。

 

 リバシュ用意してて良かった。つか、リバシュしててもワイヤーネットのダメージでも死にかけるのかよ、コイツ等。

   

 なお、ガゼフは装甲車の後ろでなんか伸びてた。あと、降りたらゲーゲーしてた。うーむ、振り回しすぎたか?

 

「あー、車酔いするタイプの人だったのね。あーあー、大丈夫?」

 

 などとガゼフの背中をぺり子がさする。

 

 運転、かなり手加減したんだがなぁ。俺の知ってるエアレイダーさんに比べたら俺のドラテクなんぞまだマシだぞ、とか思いつつ荒縄で失神しているニグン達を俺はふん縛るのであったとさ。

 

 とっぴんぱらりのぷぅ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「うぷっ、協力感謝する……。だが、もう俺はあの『ソーコーシャリョー』という物には二度と乗りたくない」

 

 ガゼフはまだ気分悪そうである。

 

「この報酬は王に掛け合って必ず払わせてもらう」

 

 とか言うが俺達はそれを断った。絶対に厄介な事になるのが目に見えていたからである。報酬の代わりに、

 

「なるたけ俺達の事は内緒にしておいてくれるとありがたい。つーか、俺達は人間同士の戦争に関わりたくないんだ。政治的な事にもな」

 

 そう言った。するとガゼフは、

 

「だろうな。だが、もしも王都に来たときには俺を訪ねて来てくれ。出来ることは少ないかも知れないが、この借りを返させてもらおう」

 

 ニグン達についてはどうなるのか、と聞くと、ガゼフは苦笑いして

 

「おそらくは外交的な問題になるのを王国は避けようとするだろう。つまり、何日かの拘留の後に法国に送り返されるはずだ」

 

 と答えた。つまりはニグン達が死刑になったりすることはないということであり、それでいいんかいリ・エスティーゼ王国と思いつつも、納得した。

  

「さすがに、ああいう奴が殺されるってのは目覚めが悪いからな」

 

「ああ、俺も同感だ」

 

 俺も苦笑いしてガゼフに同意した。

 

「では、またいつか、どこかで会おう」

 

 そう言うと、村から金貨数枚で徴収した馬車にふん縛ったニグン達を乗せてガゼフは去っていった。

 

「義理堅い男だな。ガゼフ・ストロノーフか。ニグンって奴ががあそこまでいうのもわかる気がする」

 

「良い人には違いないわね。はぁ、でもわけのわからない国よね。いえ、世界がそうなのかしら。文明は遅れてて剣と魔法?正直信じられないわ」

 

 ごたごたに巻き込まれて考えるヒマなかったけど!と、ぺり子が文句を言うが、んなこと俺に言われても知らんがな、と言うしか無い。俺だってわけがわかっていないのだ。

 

 EDFはどこにも無い、電波もどこからも発信していない、知らない国の名前に、文明も遥か昔の中世レベル。

 

「……とりあえず今日、俺達に出来ることはやった。民間人の救助と王国戦士長を助けた。俺はもう、疲れてなーんにも考えたくない。考えるのは明日にしようぜ?」

 

 まぁ、ぺり子もそれには同意した。というかこいつもやはり混乱しまくって疲れているのだ。

  

……まぁ、結果的に俺はニグン達の懐からも結構な軍資金を得ることが出来た。金の入った袋の中身は四倍ほどに増え、金貨が六百枚、銀貨が数えるのも面倒なくらいだ。この世界の金の価値はわからないが、おそらくこんだけあったら街に行けば結構な期間は食っていけるだろう。

 

「ちょっとは協力してやったんだから、分け前くらい頂戴。私もこれからどうなるのかわかんないんだし」

 

 なんぞとぺり子が言うのでしぶしぶ金貨を二百枚くらい分けた。仕方あるまい。EDFは常に仲間を助けるものなのだ。   

 

 つーかいろいろやってたら夜になり、村長が

 

「良ければ泊まって行って下さい」

 

 と言ってくれ、そして村の人々がこぞって集まり、まるで宴会のように賑やかな晩餐会……料理は質素だったが……を開いてくれた。

 

 しかし、村長の家には泊まる部屋が一つしか無く、まさかぺり子と同じ部屋で寝るわけにもいかないので、俺は装甲車両の後部座席で寝袋にくるまって寝ることにした。

 

 なんか朝、ぺり子の機嫌が悪かったが、まぁ、コイツはいつもこの調子なのでまぁ、どうでも良い。

 

 さて、これでこのカルネ村の事件はお終いだ。

 

 俺は装甲車両を仕舞うとSDL2を『ポイポイ発煙筒』で出した。

 

……いつも思うんだが俺はどこからビークルを出してどこへ仕舞ってるんだろうなぁ。昔は発煙筒を焚いて要請して、しばらくしたら輸送部隊が輸送機でコンテナを投下して、って感じだったのに、今ではどこでもビークルを出せるようになっている。

 

 武器もなんかバックパックから出てくるしなぁ。

 

……まぁ、考えたら負けか。

 

 と、SDL2を出したその下に何か赤い玉が落ちていた。なんぞこれ?と思ってそれを拾ったその時、

 

「え?ちょっと?!あんた装甲車どこやったのよ!というかなんで一人乗りのエアバイクなのよ?!」

 

 SDL2に跨がり、エ・ランテルへと行こうと思ったら、慌てて村長の家から出て来たぺり子に抗議された。

 

「え?いや、お前も着いて来んの?」

 

「当たり前でしょ!というか他にEDF隊員がこの世界に来ているかも知れないのよ。探さなきゃ!」

 

「えぇ……」

 

 どうやら、ぺり子はついてくるつもりらしい。

 

 俺は拾った赤い玉を思わずバックパックにしまい、

 

「いや、お前、これからどうなるかわからないとか言って俺から分け前ふんだくったじゃ……」

 

 と抗議したが、

 

「EDFは仲間を見捨てない!わかったらとっとと他のビークルを要請しなさい!」

 

 と、逆に反された。

 

「……ところでこの世界にはEDFもポーターズもいないのにどうやってビークルを要請してるの?」

 

 いや、こうやって、とSDL1(軍用サイドカー)を出すと、ぺり子は発狂したみたいになんか騒ぎ、サイドカーを発進させたあとでもエ・ランテルへの道中でもやたらうるさかった。

 

……そういえば、なんだっけ。なんかの映画だったっけか?いや、アニメかもしれないが、サイドカーに女の子を乗せて、主人公がなんかこう……言ってた会話があったような。

 

 あれ?あれはバイクに乗る前だったっけ?まあ、いいや。

 

「なぁぺり子。バカンスと仕事。言ってみろ」

 

「はぁ?何を……」

 

「バカンスと仕事、だ。言ってみろ」

 

「バカンスと仕事」

 

「声がちいさい!バカンスと仕事、だ」

 

「バカンスと仕事!」

 

「どっちを選ぶ?」

 

「……バカンス?」

 

「じゃあ仕事だ。俺達にそんな余裕はねぇ」

 

「はぁぁっ?!あんなに金貨いっぱいゲットしたのに?!ちょっとくらい良いじゃないの!」

 

「よくねーよ。地球の平和は1日にしてならず、だ。俺達はEDFだぞ」

 

……まぁ、昔に見た映画か何かの主人公とヒロインのセリフをもじって遊んでみるが、まぁ……。

 

 誰も俺を知らない世界でずっと戦ってきたが、こうやって偶然なのか必然なのかわからないが、知っている奴と出会えたのだ。

 

 いつまでそんな状況が続くのかわからないが、こういうのも、まぁ、悪くは無いだろう。

 

 卵が先か鶏が先か。そんな事よりも普通に親子丼を何も考えずに食った方がうまいように、こじらせて難しく悩むよりは、軽く今を生きた方がよほど良い。

 

 俺はそう思った。

 

……見知らぬ新天地、俺の明日はどっちだ?

 

 




【ニグン隊長】

・無駄な足掻きも出来ず、そこで装甲車に轢かれて全身骨折で横になった。情け容赦なく(全身骨折)の苦痛に泣きながらも殺される事がなくなった人。

・見せ場は全くなく轢き逃げアタックでグシャアァッ!

・最高天使も使う暇も無かったよ……。


【ガゼフ・ストロノーフ】

・苦労人。

・世の中に酷いチートがあることを知った人。

・車酔いをこの世界で初めて味わった人。

・ニグンが轢かれた時のグシャアァッ!という音が今でも耳を離れないという……。


なお、最後のアレは某格闘ゲームのストーリーモードの主人公とヒロインの会話から。
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