EDFがオバロ入り   作:罪袋伝吉

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・誤字脱字修正、ありがとうございます。

・エ・ランテル入り。

・チーム漆黒の剣(二人だけ)と遭遇。



エ・ランテル

 

 エ・ランテル。

 

 王の直轄領という、辺境に程近い城塞都市である。

 

 入ろうとしたら、なんか街の入り口の検問所の兵士に止められた。どうやら俺達が乗った軍用サイドカーSDL1が問題だったようだ。

 

 しかし馬車で入って行く商人や農夫達がいるのだからバイクくらい良いだろう、と思っていたが止められた時に内燃機関で動くバイクなんぞこの世界に無かった事を思い出し、めっさ焦った。

 

 俺達は検問所の中に入らされ、そしてなんかローブを着た変態、もといキモイおっさん、さらにもとい、魔法使いらしき人物の魔法によって検査されたが、

 

「魔力も何にもないただの人間ではないか。それに、あれもただの絡繰りだ!なんの危険も無ぁい!つまらん!」

 

 と言われ、「問題なぁし!」の一言で、許された。

 

 つか、つまらん!ってなんだよ、

 

 SDL1には巨大蟻とかぶっ殺せるクラスの機銃が搭載されてるんだが、それを魔力がないだけで危険が無いと言い張る魔法使いェ。

 

 まぁ、それだけ魔法というものがこの世界では主流の技術であり、かつ恐れられていると言うことだろう。

 

 科学の力を知らん異世界、か。

 

 魔法については、スレイン法国の連中が何か装甲車にぶっ放してやがったが、とはいえ装甲車のボディの塗装がややハゲたり焦げたりした程度でさほど耐久値も削れてなかったので巨大蟻の酸やドローンのレーザーよりも低いと言わざるを得ない。無論、マジックキャスターは人間なので装甲車で轢けば全身骨折、下手すれば死ぬ。うまくすれば死ぬ。

 

 魔法で召喚された天使に関しても榴弾の爆発で消し飛ぶところを考えると、巨大蟻以下の耐久力であり、EDFの新兵で榴弾2、3発は耐えられる事を考えればアーマー値はさほど高くない。

 

 うーむ、とは言え魔法についても調べる必要はあるだろう。スレイン法国の連中がああだったとはいえ、もっと強い奴はいるに違いあるまい。

 

「あ~、とりあえず馬……なのか?これ。まぁいいや。馬一頭の乗り入れ代金として銅貨二枚を払ってくれ。で、速やかに街に入るように」

 

 よほど魔法使いの検査結果を信用しているのか兵士達はSDL1に危険性が無いとわかるとそう言い、

 

「後が使えてるんだ、早く出して行ってくれ」

 

 と、呑気に言った。

 

 なお、俺は金貨と銀貨しか持っていなかったので銀貨を渡したが、

 

「おいおい、細かいのないのかよ、釣り銭が面倒だろぉ、今度からはちゃんと用意しといてくれよ?」

 

 と、銅貨をジャラジャラと出し、いちにぃさん……と数えて数えて渡してきた。まぁ、きっちりしているのは良いことだ。

   

 後ろの馬車の農民に追われるようにSDL1を出し街に入ると、行き交う人々がもの珍しそうに見てくる。

 

「やっぱり、バイクは目立つわね」

 

「まぁ、この世界には無いモンだからな。しかし魔力が無いから問題ない、か。舐めてんなぁ」

 

 俺がそうぼやく。ぺり子がくすくす笑いながら、

 

「問題になった方が良かった?」

 

「それは無いが、魔法というものがわけわからん」

 

「そうね。私にも理解不能だわ。まだインベーダーの技術って言われた方が納得出来るけどね」

 

「だな。とはいえそっちも俺にはわからん」

 

……馬車の後ろをトロトロ走るも、人が歩くのとそう変わらないそれにイライラくる。

 

「おい、前の変なの!お前の出す煙で馬が進むのを嫌がってる!それ、やめてくれんか?!」

 

 後ろの馬車の御者が俺達に怒鳴りつけて来た。

 

 後ろを見れば、馬車馬がなんかイヤイヤするように首を振っていた。

 

「あ~、排ガスかよ」

 

「どこかにバイク停めて仕舞って歩く?そう大して速さ変わらないわ」

 

「だな。ちょうど良いことにあそこで道が広くなってる。そこに止めて後は歩きだ。俺もトロトロ運転は疲れる」

 

 俺は路肩に停め、ぺり子が降りたのを確認してSDL1をバッグパックに仕舞った。

 

「……ホント、四次元ポケットみたいね、それ。よほど魔法みたいよ」

 

「魔力は検知されてないみたいだけどな。しかしよく考えたら、ペイルウィングって武装二つしか装備出来なかったと思うんだが、おまえ、そういやアーマゲドンクラスター持ってなかったっけか?」

 

「え?ええ、持ってたわよ」

 

「なのにカルネ村の隣の村を助けた時に、レイピアとサンダーボゥ使ってたとか言ってたが……。おまえも俺みたいにいろいろ収納、出来んじゃね?それ」

 

「……言われてみれば。え?え?ええっ?!ちょっとまって、グングニルにモンスターゼロ?!え、なんで考えただけで出せるの?!」

 

……ああ、お前もバックパックがそうなったか。

 

「落ち着け。最初は俺も混乱したもんだが、今まで使ったことのある兵器を呼び出せるようになったはずだ。同時に得たものを仕舞うことも出来る。装備も同様だが、服とか食料とかも劣化せずに保管できる。慣れれば便利だぞ?」

 

「うわぁー私のブースターパックもしまえるわ。あ、ヘルメットも。確かに便利ねぇ」

 

 あ、もう慣れてやがる。 

 

 しかし……ふむ。

 

 俺はぺり子の顔をまじまじと見る。

  

「な、なによぉ」  

 

「いや、ヘルメットのバイザーだとどんな顔なのかわからんかったが、そうして見ると……」

 

「見ると?」

 

「いや、そこいらの女子高生に見える。若いな」

 

「……童顔で悪かったわね」

 

 いや、なんで怒るんだ?若く見えるってのは悪いことじゃないと思うんだがなぁ。

 

 俺もぺり子に倣ってヘルメットを仕舞い、そしてコキッ、コキッ、と首を回す。メットのサンシェードの茶が視界から取れて世界が鮮明に映る。何というのか、メットは身体の一部のようになっている兵隊稼業でもやはり息を吐くときは外したいものなのだ。

 

「……あんたはなんか普通ね。目つきが荒んでる」

 

「悪かったな。戦場暮らしが長い奴で荒んでない奴なんざいねーよ」

 

 キラキラした目をしてる兵士なんざ、新兵くらいのもんだろが。

 

……そんな新兵もやがて曹長みたいなドリルインストラクターに扱かれて死んだ目をするようになるんだがなぁ。

 

「ま、いいんじゃない?んじゃ行きましょ」

 

 ぺり子に促され、俺は街を歩き出した。打ち合わせして、とりあえず宿を探そう、という事になったが、しかしまぁ、この街は結構な広さだ。

 

 歩いて行くと露店の並ぶ市場へ出た。

 

 活気があり、店の者達は声を張り上げて客を呼び込もうとし、客はそれぞれの店に足を止めて買い物をしたり、冷やかしたり、値切ったり。そこには人の生活があった。

 

 様々な見たことのない野菜や果実の並ぶ八百屋、穀物の入った麻袋を売る店、焼いた何かの肉の串焼きを売る露店、吊した豚の肉を削いで売る肉屋、鶏の卵を並べている卵屋、そんな食べ物関連の店の並ぶエリアを抜けると、アクセサリーや革の鞄を売る店や刀剣類や盾を並べた武器屋、絨毯屋、何かの人形やら玩具とおぼしきものを売る店などのエリアへ出た。

 

「ねぇ、あのアクセサリーの店、見てきていい?」

 

 許可を取りながら俺の返答など聞かずにぺり子はアクセサリーを見にとっとと行ってしまった。

 

 年頃の女の子だからああいうものに目が無いのだろうと俺も制止はしなかったが。

 

 ふぅ、と息を吐いてしゃーねぇなぁ、と思っていると後ろから、

 

「そこの旦那。あんた、冒険者になりに来たのかい?」

 

 なんぞと露店の店主と思しきジジィに声をかけられた。

 

 振り返ればそれは刀剣類を扱う露店で、なんか古臭そうな錆と埃だらけの剣などが並んでいた。

 

「まだどうするか決めかねてんだ。この街にするか他の街に行くか」

 

「そうかい。だが、あんた剣はどうしたんだ?どこへ行くにも最近は物騒だ。ここんとこ近くの村が襲われたりモンスターが頻繁に街道辺りに出て来るって言うしゃないか。旅をするにも腰の物は必要さ。どうだい、ちょっと見ていきなよ」

 

……いや、強化外骨格の剣とかPUギアのがあるし、それにこの店のボロいのはいらんぞ。

 

 などと思いつつ、その店に並んだ刀剣の中に俺は日本刀があるのを見つけた。

 

 ん?んんん?

 

「……長脇差し?」

 

 何で異世界に日本刀なんぞあるんだ?拵えも日本刀そのものだ。つかこの世界には日本が存在するのか?!

 

「お、そいつに目をつけるとは、あんた目利きだねぇ。そいつは遥か東の島国からはるばる渡ってきた『カタナ』って剣さ。……大きな声じゃ言えないが、そいつぁバハルス帝国の皇帝に家を取り潰された貴族が食い詰めて手放したもんがこっちに流れてきたって話でな。なんなら長いのも……、ほれ、それとこれが対になってる」

 

「……拵えが確かに一緒だな。見てみても?」

 

「ああ、見てみな。そいつぁ『カタナ』ん中でも割と珍しい物だって話だ」

 

 店主から刀を受け取り、抜いてみると確かに日本刀だ。刀身に何か文字が彫ってあるが、それは日本語ではない文字……というか、これ、ケルトのルーン文字じゃねぇか……が、五文字あった。しかも切っ先が小烏造り。

 

 なんぞこれ?

 

「ヒヒヒヒヒ、それはドワーフが彫る文字らしいが、ワシもあんましそういうのには詳しくない。詳細は聞かんでくれ」

 

 うぁ~、なんかパチモンくせぇ。

 

 長脇差しも抜いてみたが、やはり切っ先小烏造り。こっちもルーン文字が彫られている。

 

 刃紋がくっきり浮いてて確かに日本刀なのだがルーンなんぞもうわけわからん。

 

 もしかしたら、流れ着いた日本刀にこっちで彫金したのかもしれないが、うーむむむ、鑑定士でも無いから俺にはよくわからん。

 

「試しに紙を切って良いか?」

 

 と俺が言うと店主は了承した。

 

 俺はバックパックから今となってはいらなくなった作戦指令書を出して日本刀の刃に当ててみる。

 

 すると、刀を引きもしないのに、嘘のようにするり、と紙の束がなんの抵抗も無く滑るように真っ二つになって唖然とした。

 

 な、なんぞこの切れ味?!プラズマとか高速振動とか、そんなもんじゃない、なにこのえげつない刃は?!

 

「どうだい?掘り出し物だろ?」

 

「……いくらだ?」  

 

「二振りで金貨100枚!と言いたいところだが、出所がバハルス帝国じゃからな。それにこの都市にゃカタナ使いもおらず、カタナ使いがおる王都ん仲間に引き取らせようと思っとったんだ。ま、損切り考えて金貨70。帯付きでどうだ?」

 

…………ちゃりちゃりちゃりーん。

 

「ヒッヒッヒ、毎度あり」

 

 むぅ、買ってしまったじゃねーか。

 

 帯を巻いて大小差すとむぅ、レンジャーの戦闘服にはなんか合っていない気もする。

 

 まぁ、刀はトルーパーやってた時もフェンサーやってた時も使ってたからな。ある程度は扱いも出来るからいいか。

 

 と、思っていたら、

 

「しっつこいのよ!ナンパ野郎はお断りなの!」

 

「あいっててててててて!!」

  

 と、大声が向こうの方、アクセサリーの店の方から聞こえてきた。

 

 なんだ?と人混みをかき分けて見てみると、なんかぺり子が金髪の軽薄そうな男の腕をひねりあげていた。

 

……あいつ、何やってんだよ。

 

「おいおいおいペイル、何をしてんだ、おい」

 

 ぺり子の元に行くと、腕をひねり上げられている男が痛いだろうに、

 

「ペイルさんと仰るのですね!ぐえぇぇっ、いや、僕は、あなたの美しさに惚れました!一目惚れです!ぎぃぃ、イタタタタタタ!」

 

 なんぞと口説いているのか痛がってるのかなんなのか、笑いながら苦痛の表情を浮かべるという変態じみた事をやっていた。

 

「おい、離してやれ。つーか本気で締め上げる奴があるか!」

 

 俺がそういうとぺり子はそのナンパ男を離して俺の方へ来て、そして俺の腕を抱いてきた。つまり、しつこいナンパ男に男の連れがいるアピールの為だろう。

 

 ナンパ男よりかつて顔を突き合わせりゃ言い争ってた俺のがマシということだろうかなぁ、とか俺は思うが、しかしこのナンパ男もある意味災難だよなぁ。声かけたのがこのぺり子とか。

 

……顔とか容姿は良いかも知れんがコイツはキッツい女やぞ。マジで。

 

「この男、しつこくてしつこくて!」

 

 ナンパ男はそんなぺり子と俺を見てなんか悲壮な表情を顔に浮かべた。

 

「なんてことだ……。あなたにはもう、お相手がいたのですね……」

 

 ガックリ、と地面に手をつきしくしくしくと泣き出した。

 

 と、そこへ人混みを掻き分けてなんか小柄な少年が、

 

「あーもう、ルクルットさん!保存食の買い出しに来たのに、勝手にどっか行ったと思ったら!」

 

 と、ナンパ男の方にやってきた。

 

 少年は荷物をいくつも抱えており、その中身は少年の言ったように保存食なのだろう。

 

「……ニニャか。俺のことはそっとしておいてくれ。失恋だ、超失恋だ。ハートブレイクしてんだ、もう立ち直れそうにない」

 

「はぁ、大げさですよ。この前もフられてたじゃないですか……って」

 

 ニニャと呼ばれた少年は俺達に気づいたようで、こっちを見て、

 

「あ~、すみません。ウチのメンバーがご迷惑をおかけしました」

 

 と、ぺこりとおじぎして謝ってきた。

 

「いや、ウチの連れもすまなかったな。しかし、その男はいつもそんななのか?」

 

「いえ、その……お恥ずかしい」

  

 困ったようなその顔はなんか整っており、俺になにか違和感を感じさせたが、しかしその違和感がなんなのかわからない。

 

 首元になにかキラッと光るものがあり、ふむ?と見てみる。

 

「まぁ今後自重してくれるとありがたい。ところでそのアクセサリーはなんだ?そこの男もしているようだが」  

 

 俺の問いにニニャは一瞬、きょとんとしたが、俺の言っている物が首元の金属のプレートだと気づいたのか、

 

「はぁ、これはギルド証です。冒険者ギルドの。えっと、あなた方は……冒険者では無いようですね。どちらから来られたんです?」

 

「遠くから、だな。君が名前も知らないような遠くの国からだよ。昨日、ここについたばかりなんだ」

  

「へぇ、そうなんですか。遠くの国!それはすごいですね!」

 

 うっ、なんつう目の輝き。純真な少年という感じの無垢なこの目は荒んだ俺には眩しすぎる。

 

 キラキラキラキラ!とその目の輝きはかつて見たどんな新兵のそれよりも輝いており、直視するのを躊躇うほどだ。

 

 と、ぺり子が俺の腕を引っ張ってきた。

 

「ん?どうした?」

 

 と、ぺり子を見ればなんか膨れっ面をしている。

 

「私達、長旅で疲れてるんだから、早く宿に行きましょ。ほら、早く!」

 

「お、おい、つーか宿の場所もわからんのに引っ張るな、というか少年!ここら辺でちょっといい感じの宿とか知らないか?」

 

 ぺり子に引っ張られつつ、俺はニニャに聞いてみた。

 

「はい、宿ならギルドの方にありますが、たいてい泊まってるのはギルドの人達ばかりなので!この通りを西に行くと、普通の宿屋と少し高級な宿屋がありますので!本当にすみませんでした~!」

 

「いや、少年~ありがとうなぁ~!」

 

 ぺり子に引っ張られながらニニャ達から離れて行きつつ、俺はニニャに礼を言った……って、何でそんなに引っ張るのだ、お前は。

 

 





・主人公『ルーン小烏丸・大小』をゲット。なお、ルーン文字が五つのレジェンド級。

・刀剣屋の店主。

 転売屋みたいなもんで、売るだけのジジィ。なお刀の価値はあんましわからない。

・ニニャ

 必ず生き残らせたいキャラ。というかセバスの義理の弟(?)にしてやりたいですね?

・ルクルット

 女の尻に敷かれさせてやりたい。つか苦労しろや、と思ふ。

 
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