イゼルローン要塞の事後処理   作:名無し名人

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これで最後です。お読み頂き有り難う御座いました。


帰還

宇宙暦796年6月イゼルローン要塞が同盟軍により掌握されてから半月が経ち要塞の調査が漸く一段落した第十三艦隊に吉報が齎された……

 

ー イゼルローン要塞司令部 ー

 

「要塞に接近する艦隊あり……同盟本国から派遣された応援を乗せた輸送艦隊です!!」

 

オペレーターの報告に司令部全員が安堵の声をあげた

 

パトリチェフ「やれやれ、漸く到着ですか……」

 

パトリチェフは自身の軍用ベレー帽を握りながら呟いた

 

フィッシャー「しかし、少々遅かった気がしますな」

 

ムライ「規模が規模だからだろうな、人員の選抜に時間が掛かったのかもしれん」

 

ヤンも指揮卓に胡座をかき幕僚達の言葉に耳を傾けながらスクリーンに映る輸送艦隊を見つめていた

 

「輸送艦隊より通信が入っています!」

 

ヤン「こちらに繋いでくれ」

 

ヤンはオペレーターに命じスクリーンに映し出すと黒髪の女性士官が敬礼してきた

 

「輸送艦隊司令のリン・ヤオ准将であります。イゼルローンの英雄にお会い出来て光栄であります」

 

ヤンは英雄と呼ばれるのを内心うんざりしながらヤオ准将に尋ねた

 

ヤン「御苦労様、入港ビーコンを出すからそれに従って入港してくれ」

 

ヤオ准将「了解しました、要望のあった守備兵以外のコンピューター技師や工兵も連れてきましたので後ほど確認書類に目を通してください」

 

ヤンはまた追加の書類仕事にうんざりしたが必要だと割り切った

 

ヤン「判った。他には何かあるか?」

 

ヤオ准将「は!統合作戦本部から第十三艦隊は要塞要員を降ろした我が輸送艦隊に捕虜を乗せて我々を護衛しつつ帰還せよ、との事です」

 

ヤン「了解した、では我が艦隊も出港準備を整えつつ捕虜も乗せる用意をしよう」

 

ヤオ准将「宜しくお願いします」

 

ヤオ准将は再び敬礼してから通信を切った

 

ヤン「さぁ、ハイネセンに帰る準備をしようか?」

 

ヤンは幕僚達に向き直り告げた

 

それから再び第十三艦隊将兵は忙しくなった。新しく着任する要塞要員に調べ上げた設備の所在を説明したり港湾の帝国規格から同盟規格に切り替える工事が始まり、コンピューター言語を帝国から同盟用に切り替え作業も始まった。それと同時に帝国捕虜を輸送艦に乗せる手続きを始めてる中ヤンは一人の帝国人捕虜と対面していた。

 

ヤン「御足労かけて済みません。シュトックハウゼン大将閣下」

 

ヤンは拙い帝国公用語と敬礼でこの帝国軍大将を迎えた

 

シュトックハウゼン「何、私は既に俘虜の身だ。卿らの指示に従うのは当然だヤン少将」

 

それに対してシュトックハウゼンは流暢な同盟公用語と答礼で応えた

 

ヤン「同盟語が上手いですね……」

 

ヤンの驚いた顔を見てシュトックハウゼンはニヤリと笑った

 

シュトックハウゼン「これでも陛下から大将の位を預かってる身、ましてや此処はイゼルローン要塞だ、何度卿ら叛徒……いや失礼、同盟と戦って来たと思っている…当然捕虜を尋問したりするし、私自身何度もそっちの言語で降伏勧告をしたりもした。嫌でも覚えるさ、それで……私を呼んだのは捕虜の後送についてかな?」

 

ヤンは頷いた

 

ヤン「えぇ、大佐以下の将兵は辺境惑星の捕虜収容所ですが閣下を初めとした将官クラスはバーラト星系の高級士官用の捕虜収容所に収容されます」

 

シュトックハウゼン「バーラト星系、卿らの首都星のある星系か……まさか敵の星系に行く事になろうとはな、了解した。なら私の役割は部下達にその旨を通達する為だな?」

 

ヤンは再び頷いた

 

ヤン「当然捕虜として制限が加えられますが不当な要求を拒否出来る権利は保証致します。どうかご安心ください」

 

シュトックハウゼン「制限か……同盟に美味いワインはあるのかね?」

 

ヤン「さて、どうでしょう?…ワインは帝国と比べたら醸造の歴史が浅いですからね。ビールなら同盟製は勿論、帝国のシュバルツビアー(黒ビール)がフェザーンから輸入されてますが」

 

シュトックハウゼン「ほう?ならそれを期待するとしようか……長い休暇になりそうだ」

 

宇宙暦796年6月第十三艦隊は捕虜を乗せた輸送艦隊を護衛を兼ねハイネセンに帰還した。尚要塞司令官シュトックハウゼン大将に関する公式な記録が少なくアムリッツァ会戦後、銀河帝国との捕虜交換のリストに名が載っていたとの記録もあるが定かでは無い……銀河の歴史が又、1ページ………

 

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