B.O.O.《ブラストオフ・オンライン》   作:Sence023

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Blast5-3

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 アイランの城門で合流した武達は命辛々の振りをしながらお互いに笑っていた。そんな彼らをポカンとした顔で見ている秋穂と香美は隼人から見せられたドロップアイテムの量に驚きつつ、それを如何するべきかで迷っていた。

 

 その事に気づいた夏輝は黒字だの何だのと言いながら歩く武に談判し、許可を貰うと秋穂達も含めた女子を連れて装飾品を扱う店に向かっていった。男子は置いてけぼりを食らい、本来ならホームタウンに戻るつもりだったプランが一旦保留になった事で手持ち無沙汰となり、良い機会だからと宿屋のバイクを工場へ持っていった。

 

 そんな男子を他所に買い物へ出た女子達は行きつけの道具屋に入るとマジッグバックのコーナーに移動し、夏輝達は様々な種類があるそれを吟味していった。マジッグバッグとは通常のRPGで言うとこのアイテム欄にあたる保管用の装飾具だ。

 

 これが無いと携行できる物の量に大きな制限が出来てしまう為、常時携行していたい重要なアイテムだがその実デメリットが数多くある。

 

 まず装飾品扱いされる為、大きな物ほど装備者の動きに干渉する事。もう一つは装備分の重量が機動力に影響する事、そして、ストレージ(収納可能量)が大きさに比例する事等がある。それ故、攻撃職ほど小型のバッグを使う傾向がある。

 

「二人ともウェストポーチとかどうかな、動く時に邪魔になりにくいし」

 

「おー、でも何か工事現場の人みたい・・・」

 

「バランス良いんだけどねぇ・・・カミちゃんはどう?」

 

「私は、これで良いと思います。外見とのバランスも良いし・・・」

 

「じゃあ、カミちゃんのだけ買おうか。アキちゃんのはまた今度にして、追加でリュック一つと」

 

 砂漠柄のリュックサック型とマットブラックのウェストポーチ型マジッグバックを手に取った夏輝が会計に向かう背を見送った秋穂と香美は店の時計で時間を確認するとそう言えば、と気になった事を恋歌に聞いた。

 

「このゲームの時間計算ってどうなってるの?」

 

「確か現実と変わらないはずよ。今は・・・十時だから現実も十時、だから基本的にこのゲームやる時は夜が多いのよ」

 

「じゃあ、あの時計に合わせてゲームの時間を調整すれば良いんだね?」

 

「そう言う事よ。さて、ナツキが帰ってきたらカミの弾を補充しないとね」

 

 秋穂にそう言った恋歌はポシェットサイズのバッグにリュックを収めたらしい夏輝がマガジンの無いP90を肩にかけた香美にウェストポーチ型のマジックバッグを手渡すのを見ると自動的に腰へ移動したそれの調子を見ている彼女に回復用ポーションを手渡した。

 

 これから秋穂とのペア運用が多くなるであろう香美が実質的にサポート役になるだろう事は策を弄することを大の苦手とする恋歌でも容易に想像できた。拾い物とはいえ少しでも足しになればと恋歌は渡したのだが周囲からはそれが先のドロップアイテムと勘違いされたらしく香美に先の戦闘で獲得したアイテムが集中する事になってしまった。

 

 あわあわと慌てる彼女に苦笑した恋歌はアイテム譲渡を終えた彼女らを連れて武器屋に移動しようとして、先のグループの一員を見つけた。基本的に町では戦闘しないと言うのがアイランの鉄則だがどうやら町から町へ移動するキャラバングループらしくアイランでのローカルルールを知らない様子で恋歌達を狙って挑みかかってきた。

 

 戦闘状態に移行していなかった事が災いし、発見が早かった恋歌達だが武器を抜くまでに時間が掛かってしまった。だが、一人。アークセイバーの柄が剥き出しと言う部分が思いがけず役に立った秋穂が襲い掛かってくる男を得物ごと切り裂いた事で初撃を奪われることは無く、続く二人のファイターに熱線を向けた彼女は逆手で柄を引き抜くと既に発振しているセイバーの柄と連結させて発振した。

 

「な、ダブルブレードアークセイバー?!」

 

「へぇ、この武器持ってるだけで目立つんだ。あはは、ほらほらかかっておいでー」

 

「な、なんて腕だ。自傷設定のある武器なのに軽々と扱うなんて・・・」

 

 ご丁寧に解説してくれる相手の説明に改めて武器の特性を理解した秋穂は癖の強い武器だと言われていた己の得物を風車の様に振り回して牽制すると相当強力な武器らしいアークセイバーの間合いに飛び込めない相手が徐々に引いていく。

 

 流石に地面は切断できないのか地面に触れた瞬間、接触エフェクトが散る。睨みあいを捨てて挑みかかろうとした勇敢なプレイヤーは熱線と鍔競り合う厚刃の剣に希望を見出した。が、剣はプラズマ収束用の干渉フィールドと接触してスパークを散らす。

 

 秋穂は柄を手繰って弾くと一旦スイッチを切って長巻の様にし、体勢を整えながら柄尻側のスイッチを入れた。

 

 現出した熱線でもう一方の刃を防いだ秋穂は干渉フィールドのノックバック効果と相乗させて刃を弾くと逆手持ちで分割し、二人を相手に攻めかかった。アークセイバーの威力は絶大だ、レベル13の秋穂の攻撃とは言えど直撃すれば即死する事は間違いない。

 

 だが、肝心な所でアークセイバーと連動していた擬似HMDからの警告に首を傾げた秋穂は圧縮空気で排出されたバッテリーに驚愕し、徐々に消えていく熱線が秋穂から攻撃力を奪って消滅した。それを見ていた全員も突然の事にあっけに取られていた。

 

「何でいきなり電池がぶっ飛んだのぉ!?」

 

「アキちゃん、何でバッテリー換えなかったの!」

 

「え、セイバーのバッテリーって交換するもんなの?」

 

「そこら辺の説明受けてないの!? アークセイバーには時間制限があって15分経過するとバッテリー切れで使えなくなっちゃうんだよ?!」

 

「あっちゃー・・・まー徒手空拳で時間稼ぐから姉ちゃん達援護よろしく」

 

 お気楽な笑い声を上げて跳躍した秋穂が柄を両腰に収めて着地し、隼人が見せる物に近い構えを取って男二人の目を引いた瞬間、楓と加奈が消音器付きの拳銃を引き抜いてヘッドショットを決めた。

 

 援護と言うよりは囮に近かった秋穂は拳銃を収めた楓と加奈にハイタッチを決めるとバッテリーが入っている筈のアークセイバーの柄を見てスイッチを闇雲にオンオフした。それも無駄だと分かった秋穂は大人しくそれを腰に収めると武器屋に移動した。

 

 最初に言った所とはまた別の武器屋では応対用のNPCが機械的な挨拶をして出迎えてくれていた。購入するのは消耗品、P90に使用されている5.7m弾が50発も入った類を見ない形状のマガジンを手に取った香美は必要なだけそれを購入すると、初陣で使用する事になったPx4に使用していた9mm弾のマガジンを補充する。

 

 マジックバッグがあるお陰でかなりの数を携行する事ができ、今回の購入で金を使い果たす結果にもなった。一方の秋穂は拳銃弾の補充とアークセイバー用のバッテリーの補充を行うとナイフコーナーにある汎用性の高いサバイバルナイフからコンバットナイフ、コンパクトで殺傷性の高いカランビットナイフ、殴る様な動きで相手に突き刺すプッシュダガーナイフを見て回っていた。

 

「アキちゃん何見てるの?」

 

「んー? ナイフだよ、アークセイバーが切れた時に使おうかなって」

 

「あれ、アキちゃんバトルファン持って無いっけ? アレは使わないの?」

 

「アークセイバーと違ってアレは補助武器として使うから一つしかないんだよー。それにバトルファンは武器としては少し扱い辛いのもあるしね・・・」

 

「つまり汎用性に優れた補助武器が欲しいの?」

 

「そう言う事。ナイフはカナ姐に借りて使ってみる限りスタンダードで扱いやすいし、バトルファンと併用すればそこそこ戦えるかもって」

 

「でもそうしたらアキちゃんの体、刃物だらけになっちゃうよ?」

 

 そう言って笑った香美を他所にカランビットナイフを手に取った秋穂は初めて触るそれのフィンガーリングに指を通し、器用にそれを回した後に逆手持ちで構えて見せた。一見すれば手のひらサイズの鎌の様な形状が特徴のかなりマニアックなナイフだ。

 

 粗方振り回した秋穂は刃を収めると元の位置に戻してサバイバルナイフを手に取った。シース付きのマット加工が成された一体成形タイプのそれを抜いた秋穂は峰に木を伐るための鋸刃が付いているのに気付いた。確かに多目的だ、と納得した秋穂はツールとしてこのナイフを購入し、腰後ろにシースを配置した。

 

 右太股に拳銃のホルスター、両腰にアークセイバーの柄、そして腰後ろにナイフシースと言う近接装備のオンパレードとなった秋穂が軽くジャンプして体の調子を見る。

 

「んーまあ、この位の重さなら許容範囲でしょ」

 

「じゃあ、先輩たちに報告しなくちゃね」

 

「そだね」

 

 そう言って恋歌の方に移動した香美はマガジンをセットしたP90を背中に回し、秋穂共々備品調達が終了した事を報告するとちょうど連絡を入れていたらしい彼女が手で待機を指示した。通信を終えて振り向いた彼女は要点をまとめて指示し、修理とカスタマイズを終えたバイクに乗って戻ってきた男子がマヌケなクラクションを鳴らす。

 

「よう、お待たせ」

 

「遅いわよ。それで、集合は良いけどどうするのよこれから」

 

「ホームタウンのウイハロに戻ろうと思ってるんだが、時間が厳しいな。今日は宿に戻って明日移動しよう。それでいいか?」

 

「私は別に良いわよ。他はどうなのよ」

 

「まあ、大丈夫そうだ。詳しい事は明日、部室で」

 

 そう言った隼人に頷いた恋歌は素直に挙手した浩太朗に目を向けると大体察した。

 

「明日バイト」

 

「了解、いつも通りなら夜は大丈夫か?」

 

「大丈夫。話し合いの詳細はメールしてくれれば見るから」

 

「分かった。それじゃあ、残りの奴らは明日一旦部室に集合してくれ。解決する依頼があればそこで話す」

 

 浩太郎達にそう言った隼人は男子を連れてバイクに乗ったまま、宿の方角へ走り去っていった。それを見送った女子達はサービス精神の足りない男子達に呆れながら徒歩で宿を目指した。女子達が到着した頃、宿の入り口では樽を椅子代わりに大型物転送用のウィンドウを開いて話し込んでいる男子達がいた。

 

 彼らに話しかけた女子はちょうど良い頃合だったらしく、ウィンドウを表示していたファンシアを収めた隼人を中心に男子先導で宿へ入った。そして、二人一部屋の割り当てで鍵を貰うとそれぞれ宿のベットでログアウトした。

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