B.O.O.《ブラストオフ・オンライン》   作:Sence023

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Blast9-3

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 二度目となる降下を完了した隼人はケリュケイオンが担当する商業区画の左側にある公園に降下、木に引っ掛かったそれをサバイバルナイフで切断。パラシュートを解除して着地する。周囲を警戒していた隼人は忙しなく走る兵士を見るや

公園を埋め尽くす雪景色に飛び込み、伏した。

 

 すると雪に紛れる様にメタマテリアル・サーモカモフが作動し、隼人の周辺の光は全て屈折する。見えない事を補う為、ステルス作動モードのファンシアが隼人の視覚情報を補う。

 

「急げ、この地域にも降下してきた。援軍と合流される前に連中を撃滅しろ」

 

 通り過ぎるまでリーダー格らしい少年の声を聞いていた隼人は装備付随の簡易スキャンで周辺を探ると雪から体を起こした。白の中で目立つ、黒色の装備を身につけていた彼はスカルマスクの中を動かして自分の目で周囲を探る。

 

 そして、合流地点にセットした場所に向けて走り出す。

 

「リードより全ユニット、聞こえるか」

 

『フォワード感度良好っ』

 

『シューター感度良好だよ』

 

『リコン感度良好です』

 

『リーパー、感度良好』

 

「他のメンバーは? 反応なしか、取り敢えず、聞こえている奴だけでいいから聞いてくれ。予定通り、合流ポイントに移動する」

 

『フォワード、了解だよん』

 

『シューター、了解』

 

『リコン、了解です』

 

『リーパー了解』

 

「よし、移動」

 

 そう言って隼人は通信を切り、移動を開始する。通信可能なのは今の所、五人。安定して通信できる人数だけでも合流しなければ単独戦闘は非常に苦しい。

 

 雪を踏みしめながら走る隼人は曲がり角で気配を感じて立ち止まり、レンガ造りのアパートメントの壁に体を押し付けてカモフを作動させる。壁と同化した隼人は路地から見えた四脚歩行の戦車を見ると護衛に付いている歩兵の人数を数える。

 

(5、いや6人か。歩兵を潰そうにもなかなか難しい人数だな)

 

「ここの制圧はそんなに難くなかったな」

 

「ああ、やっぱり食料を押さえられたらここの戦力も脆弱なもんだ」

 

 護衛の兵士が小話をするのを聞きながらカモフを解除した隼人は周囲を確認して大通りを駆け抜ける。歩行音に違和感を懐いたらしい護衛の一人が振り返り、隼人が飛び込んだ路地に近付いてくる。それよりも早く隼人はカモフを作動、自身の姿を隠してじっと待つ。

 

「誰もいないな・・・。勘違いか」

 

 覗き込み、辺りを探って見張りは離れていく。安全圏まで離れた事を足音で感知した隼人はカモフを解除して走り出す。仕切りの壁に向けて跳躍し、よじ登った隼人は角に背を当てて周囲を探る。大丈夫だ、と判断して移動し始めた隼人は裏路地の集合地点に入る。

 

 足を踏み入れた瞬間、真横から銃口が向けられ咄嗟に反応した隼人は交錯させる様にバンカーを向けた。

 

「遅かったね、ハヤト君」

 

「リーヤか、驚かせるなよ」

 

「あはは、ゴメンゴメン」

 

 そう言って笑い、謝った利也はMk17を下ろす。それに合わせてバンカーを下ろした隼人は通信したメンバーが集まっている事を確認し、状況の確認に入った。

 

「今、集まれているのは俺を含めて五人か。連絡取れた奴はいるのか?」

 

「一応、全員と連絡は取れました。ただ皆さん敵と交戦中の様で、振り切れていないそうです」

 

「一番交戦するとまずいのは・・・。ナツキか。カミ、ナツキのシグナルを全員に表示してくれ」

 

 そう言って香美のファンシアと同期した全員は夏輝のシグナルを表示、こちらに来る事を目指しているのか然程距離が離れていない事を確認する。楓と香美を利也につけて先行させた隼人は残らせた加奈を屋根に上げ、自身は別ルートを通って夏輝の元を目指す。

 

 一方、楓達の後ろに付いて進撃する利也は手にしたMk17を大通りに向けてクリアリングすると後ろにいた楓達に合図を送ると雪を被ったポストに隠れる。移動地点を少し前に出た先にある路地に指定した利也は楓達が移動するまで待つとポストから出て前進、

隠れた衝撃でずれたバッグを直すと、通りの向こう側のT字路に照準を向ける。

 

 刹那、T字路にある商店の屋上からオレンジ色の光が迸り、移動していた楓達を掠める。遅れて発砲音が轟き、放たれたライフル弾が威嚇する様に二人の足元に直撃、バランスを崩した香美が転倒する。

 

「カミにゃん!」

 

 叫び、引き返した楓は起き上がろうとする香美の手を取ろうとして足に直撃弾を貰い、バランスを崩した。そのまま、転倒し地面を転がった彼女は香美を逃がすとそのまま横ロールで遮蔽物に入ろうとして二発目を貰った。

 

 商店に身を潜めた香美はP90を連射して威嚇しようとするが距離、そしてかなり複雑な風が軽量な弾丸を流してしまう。楓に手が伸びず、歯噛みする彼女は向かい側から響いてきた銃声に顔を上げた。

 

「リーヤさん!」

 

『カエデちゃんを隠せ! 早く!』

 

「はい!」

 

『後、援護要請をカナちゃんに』

 

「分かりました」

 

 Mk17を連射した利也に銃弾が放たれ、スナイパーの気が逸れる。その間に楓を引き込んだ香美はリュック型のマジックバックに手を突っ込み、救急キットに手を伸ばして救急キット内の部位修復アンプルを打ち込む。そして、通信機に手を当てて加奈を呼び出した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 距離にして約300m先、利也達に銃弾を撃ち込み続けていたスナイパーはスポッターに周囲の状況を確認すると2個目のマガジンを『ワルサー・WA2000』に装填した。マガジンを後ろに配したブルパップ方式の半自動狙撃銃であるそれは高い命中精度を誇っており、

その命中率はアサルトライフルのカスタムモデルである利也のMk17を凌駕していた。

 

 スライドを引いたスナイパーはスコープ内の利也を見て軽く舌打ちする。彼を見落としていたのはミスであり、そしてこちらの狙いを完全に読まれているとは思っていなかった。彼は敢えて楓の手足を狙撃して放置する事で利也達の侵攻自体を遅滞させようとしていた。

 

 が、その狙いを真っ先に読んだ利也がスナイパー達を牽制し、注意を向けざるを得ない様にして楓達を守ったのだ。

 

「やるな、あのプレイヤー」

 

 そう呟いたスポッターに何も返さず、スナイパーは利也への狙撃に集中した。こちらの狙いが読まれる以上、直接排除が望ましいと考えたからだ。幸い、相手は大きなマジックバッグを背負っていて機動力が落ちている。狙撃は容易だ。

 

「ターゲット、距離294m。当てられるか?」

 

「無論だ」

 

「よし、いい返事だ。奴は今ダストボックスに隠れている。出てきた瞬間が――――」

 

 そう言った瞬間だった。スポッター目掛けて弾丸が飛翔し、スポッターの体が大きく仰け反る。何、と目を見開いたスナイパーがスコープを覗き、利也の手にDSR-1がある事を見た瞬間、彼は絶命した。

 

「クリア」

 

 寝そべっていたスナイパーの死体を見下ろした加奈は大振りのコンバットナイフを血振りすると鞘に収めた。短機関銃を手に光学迷彩を展開した彼女は商店の裏路地を覗き込み、誰かいないか確認すると雪を被ったコンテナの間で縮こまるブラックローブを見つけた。

 

「リードへこちら、リーパー」

 

『どうした』

 

「ナツキを見つけた。対応を請う」

 

『了解した、取り敢えず確保しておいてくれ』

 

「了解」

 

 そう言って通信を切った加奈は何も考えずにコンテナに降りると落下の音に驚いた夏輝が悲鳴を上げる。

 

「ナツキ」

 

「ひぇええええ?! 何?! 何ですか!?」

 

「ナツキ、落ち着いて。あ、光学迷彩展開したままだった」

 

 そう言って迷彩を解除した加奈は周囲を警戒すると夏輝を立ち上がらせた。体力が既にレッドゾーンの夏輝に回復アイテムを渡した加奈は周囲を警戒していた。その間に夏輝は回復し、ホッと一息ついていた。

 

「ありがとう、カナちゃん。私もう駄目かと思ったよ」

 

「・・・どういたしまして。取り敢えず、移動。ハヤト達と合流して他の面々を追う」

 

「うん、分かった」

 

「私が先行する。ナツキは後方警戒。攻撃は・・・」

 

「ん、SP余ってるから攻撃魔法は使えるよ。逃げるのに必死だったし・・・」

 

 そう言って笑った夏輝に無言で頷いた加奈は赤面している彼女に意味が分からず首を傾げていた。訳が分からないので取り敢えず進む事にした加奈は角で立ち止まるとヴェクターを構えながら大通りに出る。

 

 人っ子一人いない通りを進んだ彼女は突き当たりにビークルモードの四足歩行戦車を見つけて夏輝を角に隠れさせると自身は光学迷彩を展開して戦車を監視する。随伴部隊と別れた戦車はそのまま直進して

加奈から見えなくなり、随伴していたプレイヤー四人が加奈達の方にやってくる。

 

 小さく舌打ちした加奈は夏輝の元に戻ると光学迷彩を解除して裏路地を進む。哨戒を避けた二人は利也達三人と合流する。

 

「良かった、無事で」

 

「うん、ゴメンね。心配かけちゃって。あれ、ハヤト君は?」

 

 どう答えた物かと悩む利也に首を傾げる夏輝はマップを開く。

 

「別行動するとかいってたけど・・・。カミちゃん、ハヤト君のシグナル追える?」

 

 そう問うた利也に香美は戸惑いながら答える。

 

「んー・・・。あ、タケシさんの所にいますね。結構離れてますけど」

 

「そうか・・・。ここから近い人は?」

 

「ここから近いのはアキちゃんとレンレンさんですね、一緒に戦ってます」

 

「コウ君が気になるけどひとまず二人との合流を目指そう」

 

「了解です」

 

 分隊長的ポジションに納まった利也の指示に頷いた香美は手持ちのP90をリロードすると楓、加奈に続いて秋穂と恋歌のシグナルに向けて小走りに進み始める。進行スピードが欲しい彼らは多少索敵能力を犠牲にしてでも

秋穂達と早めに合流したかった。

 

 角で止まり、クリアリングを行う彼女らはぽつぽつと聞こえる銃声に不安を募らせながら移動、数分進むと突き当たりに先ほどの戦車が現れる。瞬間、戦車の主砲が放たれ、咄嗟に飛び退いた彼女らは戦車からせり上がった

ランチャーに目を見開き、店舗に飛び込む。

 

 直後、店舗の入り口を対人ミサイルが滅茶苦茶に破壊し、衝撃波が彼女らを嬲る。体を起こそうとした香美は利也に庇われている事を知り、呻きながら体を転がした彼から大量のガラスの破片が落ちる。

 

「ゲホッ。カミちゃん、大丈夫・・・?」

 

「は、はい・・・。何とか」

 

「痛たた。やれやれ・・・、相手も派手な事するよね。っと・・・。どうしようか」

 

「この調子だと戦車を避けて進む事になりそうですね・・・」

 

「まぁ、そうね。あっちには僕らの攻撃は通らないし。尚更アキホちゃん達と合流する必要性が増えたなぁ」

 

 そう呟きながら店舗の裏側に移動した利也は後をついてくる女子の人数を確認するとゆっくりドアを開け、カバーポイントに移動した。敵が来ない事を祈りながら香美達が出てくるのを待っていた彼は案の定来た哨戒の喉笛に

ナイフを突き立て、近場の倉庫に隠した。

 

 加奈を通らせてサプレッサー装着のPx4を手にした利也は先の哨戒を探しに来たらしい半狐ファイターの少女を素通りさせ、敢えて夏輝とかち合わせた。慌てる夏輝に動揺したファイターは背後から射殺された。

 

「ん、大丈夫。出てきていいよ」

 

「囮に使うなんてひどい・・・」

 

「あはは、ゴメンゴメン」

 

 そう言いながら様子を窺った利也はドアから香美と楓が出てきた事を確認するとバックアップに香美を置いて先に進む。加奈と楓を香美の後ろに置いて先に進んだ利也は大通りに繋がる道で立ち止まると戦車を探す。

 

「オッケー、戦車はなし。進もう」

 

「はい。取り敢えず早いとこ合流しないとですね」

 

「うん、まあ合流するとして激戦なのは必死だから。まあ、気合入れていこう」

 

 そう言って進んだ利也は近くなった銃声にハンドサインで列を一度止め、銃声が聞こえる通りをスコープで覗く。案の定複数人を相手取る二人を確認した利也は上方を陣取るスナイパーを確認して、楓と加奈を屋根に上げた。

 

 スナイパー二人を排除させた利也は通信回線を開く。

 

「シューターよりバンガード、アサルト両名へ。カウント3より飽和攻撃を実施、0と同時に現交戦地帯より回避せよ」

 

 通信を送ってフルオートに切り替えたMk17を構えた利也は3秒のカウントから数えていき、0と同時に遠距離職の火力を生かした一斉攻撃を仕掛ける。突然攻撃に慌てたプレイヤーにフラッシュグレネードを投擲した利也は

炸裂と同時に待機させていた加奈達を突っ込ませた。

 

「行くよ、二人とも」

 

 そう言って路地から走り出した利也はリロードしながら進むとHPが減っているプレイヤー達にセミオートで射撃する。歩行しながらの射撃は命中率が芳しくないので牽制程度の効果しかないがそれでも近接職へのサポートにはなる。

 

「レンレンちゃん、アキホちゃん」

 

「リーヤ・・・。助かったわ、HPがレッドゾーン寸前だったのよ」

 

「やっぱり二人ともギリギリだったみたいだね。回復アイテム、渡しとこう」

 

「ありがと。あと、アンプルある? さっき二本使ったから補充がないのよ」

 

「ん。カミちゃん、一本渡してあげて」

 

 牽制射撃をしながら回復の時間を稼ぐ利也は救護兵ポジションになった香美に指示を出す。

 

 残弾少ないMk17を手放し、腰からPx4を引き抜いて射撃した利也は香美の隣で待機している夏輝に楓と加奈へエンチャントをかける様に言うと周囲を警戒、安全確保を確認してMk17にマガジンを装填する。

 

「それで、どうするのよ」

 

「ここを脱出してハヤト君たちと合流する。後はサクヤさん次第だね」

 

「ノープランって事? 随分とのん気ね」

 

「のん気っていったって元々ここの地域に居座る敵の殲滅が主任務なんだから。皆と合流がてら、って感じでね」

 

「取り敢えず集合するのが先って事?」

 

 首を傾げる恋歌に頷いた利也はMk17を手にして立ち上がると次第に押され始めた二人の状態を確認して道路にブラストチャージャーを設置、雪で埋めて偽装するとグリップ兼用のコントローラーを抜き取る。

 

「二人共十分だ、戻ってきて」

 

 通信にそう吹き込んだ利也はコントローラーを手に裏路地まで下がると二人を追ってきた相手を見据え、効果範囲に入った瞬間スイッチを入れた。

 

 瞬間、雪を吹き飛ばす大音量の超音波が下から上に突き抜け、超音波に揺さぶられて鼓膜を破られた数人が悶絶し、その場に膝を突く。

 

「撃て!」

 

 同時射撃で身動きの取れないプレイヤー達をキルした四人は合流してきた二人をフォーメーションの中心に入れ、回復を施す。

 

「お疲れ様。二人のおかげで何とかなったよ」

 

 そう言って苦労を労った利也は道路に座り込む二人を見ながら周囲を見回す。

 

 と、その時になって射撃戦用の補助装備として右側に用意されていたモノクルタイプディスプレイのスイッチを入れる。

 

「あ、これ、望遠とターゲッティングだけなんだ。まあ、ありがたいけど」

 

 そう言って利也はスイッチを切る。ディスプレイが収納され、元通りの視界になったそれに安堵を懐いた利也を横目に見た香美はスキャニングを使わず目視で通りを監視する。

 

 と、その時、大通りに独特の原動機の騒音とモーター音が轟き、そちらを向いた利也達の目の前に戦車が現れる。先ほどの戦車とは違ってかなり大型で聞こえる音もかなり独特なそれは繋がっている様なキャタピラが

通常型戦車と思わせる様な形を崩し、六脚型の戦車に変形した。

 

 大型のボディを持ち上げる為に足の本数を増やして荷重を分散させる設計の六脚型の戦車に歯を噛んだ利也は自信満々の秋穂が先行するのに慌てる。

 

「どんな装甲持ってようがアークセイバーさえあれば・・・!」

 

 そう言って二刀流で攻めかかろうとした瞬間だった。戦車の中央下部から大型のアームが現れその先端から超高出力のアークジェットが放出される。

 

「げぇっ!?」

 

 交差したアークセイバーと干渉したそれから迸る火花に秋穂の顔が照らされる。

 

「う、ぐぅううっ・・・」

 

 高出力に干渉する為、アークセイバーの出力調整機能がリミッターを解除して対抗しており、秋穂のHMDに映るバッテリーの限界時間が目まぐるしく減っていく。

 

 まずい、と思った秋穂は刃を逸らし、有効範囲から逃れようと下部をすり抜ける様にしてスライディング。同時にバッテリーが排出されたアークセイバーから白煙が上がり、腰のラックに装着した秋穂は

予備兵装のバトルファンを取り出す。

 

 起き上がりと同時にファンを展開、開いた片手でバッグから予備バッテリーを取り出す。右側マウントのセイバーの柄にそれを装填した秋穂は逆手で手にかける。

 

「ショートカット! 『剣の舞』!」

 

 逆手で引き抜いた右の柄からアークの刃を迸らせた秋穂は戦車に向けて走る。そして、上空に飛び上がった彼女は横回転しながら戦車を切り刻んで着地する。輪切りにされた戦車が轟音を上げて倒れたのを確認した秋穂は

息をつきながらその場に座り込む。

 

 息を切らせる秋穂に歩み寄った利也は間髪入れず放たれたライフル弾の掃射に秋穂の襟を掴んで走ると角に引き込んで路地に銃口を向ける。

 

 インファントリ三人とシールド装備のハンターナイト二人に気付いた利也はシールドの合間から放たれる機銃掃射に圧倒された利也は直後に放たれたロケット弾に目を見開き直撃を避ける。ロケット弾の爆発と同時に崩落したアパートから

壁の破片が落下、咄嗟に反応した秋穂が利也を引き込む。

 

 引き込んだ瞬間、破片が利也の足を直撃した。膝下を潰された利也がリンクした痛覚に表情を歪ませ、悲鳴を上げかけた口をきつく締め上げて彼はナイフを引き抜いた。そして、膝下を切断し、顔面蒼白の秋穂に引き上げさせる。

 

 間髪入れずに修復アンプルを打った彼は元通りになった足で立ち上がると裏路地を通って先に逃がしていた夏輝達と合流する。

 

「よし、戦車は破壊したから早めにここから離れてコウ君と合流を」

 

 そう言った瞬間だった。後ろから聞こえる喧騒に振り返った利也は接近してくるファイターの長剣をナイフで受けた。残存兵力の一部らしいファイターの体が消えた事に驚いた利也は屋根の止まり木に吊るされているファイターの死体に気付いた。

 

「一体何が・・・?」

 

 そう呟いた直後、雪から現れるスカルマスク。地面に手をついた体勢から変わったスカルマスクが手首を振ると死体が雪に落ちる。ファンシアの認識からスカルマスクの正体が浩太郎だと理解した利也は上げかけた銃口を下ろした。

 

「ワイヤードキルかい?」

 

「うん、あれだけ隙だらけだとね」

 

「君らしいね。さて、移動しよう。集団に囲まれると一溜まりもない。早めに隼人君達の所に移動しよう」

 

 そう言って利也は全員を隼人たちがいる場所に移動させた。

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