ウタと機械と新時代   作:またたびライト

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初投稿です。


第1話

プロローグ

 透き通るような青い海、快晴の下、海鳥たちが飛び回る平和な空。しかしそんな中に1つの異物が飛んでいる。それは知らない者が見れば羽の生えたカヌーのようにも見える、飛ぶことが何かの冗談としか思えないような明らかな人工物であった。中央に取り付けられた二枚重ねの羽根、後方に伸ばしたフレームの先に着く小さな羽根、その内側で回転する何か、胴体から響かせる爆音、前部から顔を出すヘルメットを被った頭。空を飛ぶものといったら鳥か悪魔の実の能力者かといった程度のこの世界には本来ありえないはずの飛行機械である。それは太陽を煌めかせながら翼を翻し、エレジアと呼ばれる島へ進路を向けた。

 エレジアはかつては栄えていた王国であった。音楽を愛する国民と世界中からやってくる学生たちによって絶えることなく演奏が行われる平和で文化的な島国としてサウスブルーのみならず他の海にも知られるほどだった。しかし現在ではその面影はなく、住民はたった2人だけである。そのうちの1人、少女ウタは今日も特に意味もなく海を見に浜辺へとやってきていた。

「今日も誰も来ないなぁ」

 なんとなしに思ったことが口から溢れ出す。この島には定期的に訪れる連絡船以外に船が訪れることは稀である。大海賊時代の只中、あちこちに蔓延る海賊ですらもこんな宝の噂もない滅びた島にわざわざやって来る物好きはほとんどいない。

 海賊に亡国、ふと思い浮かべてしまった言葉に少女の感情はずんと沈んでしまう。どちらも辛い記憶に直結するものである。しかし一度思い浮かべたものは打ち消せない。

今でも鮮明に思い出せてしまう楽しかった仲間との冒険の日々、一夜にして失われた当たり前だと思っていた幸せをついつい思い返す。それが自身を傷つけるものだと知りつつも。

 赤髪海賊の音楽家、それが少女がかつて胸を張って名乗っていた肩書きであった。少女はまだ言葉も話せない赤子の頃に海賊に攫われ、宝箱に詰められていたところを赤髪海賊団に助けられ、それ以来船長赤髪のシャンクスの娘として育てられた。海賊とは思えない程気の良い船員たちはみなウタを実の娘のように可愛がり、ウタも彼らのことが大好きであった。特に船長のシャンクスのことは血の繋がった親子と変わらない絆で結ばれていると信じていた。もともと歌を歌うのが好きなウタであったがそんな彼らのために歌うのはもっと好きで、赤髪海賊の音楽家であることを誇らしく思っていた。あのころはそんな幸せがいつまでも続くものであると無邪気に信じていた。

 だから、そんな自分にとって全てであった仲間たちに裏切られるなんて、あの頃は想像もしていなかった。さらに思い出してしまう悲劇の日、冒険の途中で立ち寄ったエレジア、自分の歌の才能に国を挙げて歓迎され、何事もなく終わるはずだった最後の夜、目が覚めるとあたり一面は瓦礫と死体の山となり、業火に包まれていた。何が何だかわからないまま、唯一の国生き残りだと言う国王ゴードンから話された信じがたいの真実。赤髪海賊団が自分を騙しエレジアへ入り込むために利用し捨てたという、前日までなら一笑にふして信じなかったであろう与太話。そして、裏付けるかのように、甲板に奪った宝を積み上げ、祝杯を挙げながら去っていく仲間たち。叫び声を上げながら追い縋ろうとする自分。

 ふと正気に戻るとガクガクと震える体を抱きすくめながら涙を流していた。未だに赤髪海賊団については割り切れず思い返すと強い負の感情に押し流されてしまう。そして今回も少しでも気を逸らそうと幸せな記憶を振り返ろうとする。いつものようにかつて訪れた寂れた村で友人となった少年のことを思い返す。最初に出会った際の船が着くや否やわざわざやって来て海賊が嫌いだと言われた時はあまり良い印象ではなかったが、すぐに仲良くなり同年代の友達は彼だけだったので村にいる間はいつも一緒に遊んでいた。自分より年下で泣き虫で意地っ張りで子供っぽくて、何度も競走して、一度も勝てないのにいつも勝ったと負け惜しみを言う、でもあきらめることを知らず、何度も挑んできて、一緒にいると楽しくなれる一緒に夢を語り合った大切な友達。

「ルフィ、あれからどうしてるかな。また会いたいよ……、チキンレースして歌を歌って、負け惜しみってからかって……」

 ルフィにならまた会って昔みたいに一緒に遊べるかもしれない。今はまだ、世界一の歌姫を目指してトレーニング中だから、エレジアから出ることはできない。しかしデビューした後ならまたフウシャ村に行ってライブを開いて、ルフィに歌を聞いてもらえる。

 そう考えて少しは気分が上向いてくる。残った辛い気持ちを振り切るように海に向かって歌い出す。歌うことは純粋に好きである。人に聞いてもらうのはもっと好きだが、こうして1人で歌っているだけでも彼女は自分だけの世界を作ることができる。それに浸ろうとしたとき、ふと違和感に気がついた。

「何、この音、聞いたことない」

まるで爆発音か絶え間なく連続して起きているかのような、今は普段静寂に包まれている島に似つかわしくない異音。それが徐々に音量を増してきている。そして耳を覆わんばかりの爆音となり、風切り音も聞こえ始めてはっと頭上を見上げる。

 何かがこちらに向かって落ちてきている。一般的な動体視力しか持たない歌手志望の少女には一瞬ではそれしか認識できなかった。しかしそれに気圧され一歩下がった足が何かに取られ仰向けに転倒したことが命を救った。視界が真上を向いた直後、何かが猛スピードで横切り、直後に凄まじい轟音が頭上から響き、巻き上がる砂埃にむせかえる。涙目になりながらも起き上がるが幸い足元は砂浜であったため頭部を打ち付けてのたうち回ることにはならなかった。

 落ちてきたものの方へ視線を向けて、息を呑む。砂を盛大に削りながら進み続け、ビーチの端の大岩に激突して漸く停止したらしい何かはもし巻き込まれていればタダでは済まなかったことを物語っていた。

 盛大に被った土砂を振り落とし落下物の正体が気になり恐る恐る近づいていく。後方から見ると落下の衝撃によるものか、へし折れている2本の棒の真ん中で風車のようなものがゆっくりと回転していた。真ん中に2枚の羽のようなものが有り、それに遮られた前方に回るとなんと機体から人の頭のような者が見えた。

 誰かが乗っていたことに気づき、慌てて駆け寄る。

「ねえ、大丈夫?生きてる?」

 外傷はなさそうだが呼びかけても全く反応しない。手当てのために座席から引っ張り出そうとするが、小柄な見かけによらず重く、ウタの手では引っ張り出せなかった。仕方なく諦め、まずはヘルメットを外す。

 中に詰め込まれていた金髪の長髪が下に流れ出てくる。大きめの目に整った形の鼻や口、どう見てもウタより年下の少女にしか見えない顔立ちが現れた。

 状況からこのわけのわからないもので飛んできたと思ったウタはなんとなくこんな危険なものに乗ってるのは夢のためなら我が身をかえりないような無謀だが勇敢な少年のような気がしていたのだが意外で唖然としたまま少女の寝顔を見つめる。

 あの衝撃があったにも関わらず、謎の少女は幸せそうな表情でスウスウと眠っているのであった。とりあえず緊急性はなさそうなことに安堵していると、唐突に少女の目が見開かれる。覚醒したというにはあまりにも脈略のない表情の変化にビクッとして後ずさる。少女はまるで機械か何かのようにクイっと顔をウタに向け凝視する。そして笑顔に変えながら声をかけてきた。

「あなたは墜落前に下にいた子ですね」

 そう言いながらヒョイっと座席から立ち上がり地面に飛び降りる。引っ張り出すのに苦労したウタからは予想外の軽快な動きであったが、地面に着地する際の盛大な砂埃がやはり異常な体重を示唆する。

「うまく避けてくれたようでよかったです。最後の思い出作りで誰かを轢き潰すのは寝覚が悪いですし」

 そう言って周りを見回しピシリと固まる。視線はボロボロになった物体に向けられている。突然のことに言葉もなく見ていたウタは気がつく、少女の目尻に涙が浮かんでいることに。

「泣いてるの?もしかしてあれが壊れちゃったせい?」

思わず話しかけるウタに、少女は目尻を触って驚きの表情になる。

「私が泣いている?そんなはずはないんですが。でも、込み上げて来る怒りとは違うこれが悲しみなんでしょうか?」

最早、誤魔化しようが無いほど止めどなく流れる涙に戸惑う少女。それを見て不思議に思いつつも年下にしか見えない少女が泣いている状況になんとか慰めの言葉を考える。

ふとさっきまで思い起こしていた幼馴染の少年の泣き顔と重なり、かつての思い出を手繰りながら言葉を選ぶ。

「ねえ、もしあれが壊れて困ってるんなら私が直すの手伝ってあげようか?」

そう話しかけられて、少女はハッとしたように泣き止む。

「直す……。そうです、直せばいいんです。いえ、直さなければいけません。あの人が遺した大切なものをなんですから!」

いきなり勢いよく話だした少女に驚くウタ。

少女は向き直ると申し訳なさそうにする。

「本当に手伝ってくれるんですか?結構大変だと思います。私も木製の機体は初めていじりますし、激しく壊れてますし。」

 それに目を向けると確かにひどく壊れていた。先端部分は潰れ、後部等は折れて木材の断面が見えている。

「気にしないでよ、困ってる人を見捨てるなんてできないし。それに、ゴードンにも見てもらえるように頼んでみる。ゴードンなら木の楽器だって扱えるんだからきっとこれも直せるよ」

 その言葉を聞いてぱっと笑顔になる少女。

「ありがとうございます。」

 ウタは少女が初めて笑ったことが嬉しそうに返す。

「うん、一緒に作り直そう」

「初対面なのに助けれくれるなんて、あなたとても良い人です」

そう言われて照れるウタ。

「どういたしまして、私はウタ、この島にゴードンと2人で住んでるんだ。あなたのお名前は?」

 少女は少し考えながら答える。

「私はアイリスって呼ばれてました?」

妙な自己紹介にウタは笑いながら答える。

「変な言い方、普通に私はアイリスで良いじゃない」

 少女、アイリスも笑う。

「そうですね?私はアイリス、これからよろしくお願いします」

 

 エレジアには現在2人の住民が居る。ゴードンはその1人で有り、かつてのエレジア唯一の生き残りであり、在りし日の国王であった。その彼は今、出かけているもう1人の住民であるウタのために夕食を作っているところである。エレジアが彼を残して全滅してから、こうしてウタのために生きてきた。彼女はこの島を守ろうと必死に戦ってくれた素晴らしい海賊たちの娘で有り、彼女を世界一の音楽家に育てることは彼らとの約束で有り、音楽の国の王であるゴードン個人としても素晴らしい才能を持った育て甲斐のある娘である。ウタ自身の夢も世界中に自分の歌を届けることで有り、彼の献身が無ければ今まで彼女が夢と歌を支えに生き続けることは出来なかったであろう。

 しかし、そんか彼の献身でさえウタの心の傷を癒すことはできなかった。彼女にとって仲間を失うことはそれだけで心が死んでしまう程の悲しみであった。あの日から8年が経つ今でさえ、時折ウタが死人のような目をして居る場面に出くわす。しかし、彼女に真実を伝えることは決して出来なかった。責任感の強い彼女がそれを知ってしまえば、どれだけ違うと言い聞かせても彼女の心を救うことは不可能となってしまうだろう。

 夕飯が出来上がる頃、ウタが帰宅する。

「ゴードンただいま」

「お邪魔します」

 その時、ゴードンいつにない程の衝撃を感じて、とっさに答えることが出来なかった。知らない客人の存在にではない。今のエレジアに誰かが訪れることは珍しいが皆無ではない。彼が衝撃を受けたのはウタの声が楽しそうに弾んでいたことにだ。8年前の惨劇から聞いたことのないものだった。そしてゆっくりと振り返るといつもと違う様子のゴードンに客人がいるからと考えたウタが紹介し始める。

「この子はアイリス、さっき浜辺で会ったんだけど隣の島の子だって言うの」

「こんばんは、アイリスです。お隣にあるアトラス島から来ました」

「アイリスが乗ってきた乗り物が壊れちゃって困ってるから助けてあげたいんだけど、ゴードンて木製の楽器直せるよね、修理を手伝って欲しいんだけどいいかな?」

「よろしくお願いします」

 一白置いてゴードンは衝撃から立ち直る。

「あ、あぁ……、私にできることなら手伝わせてもらうよ。ウタから紹介してもらったようだが私がゴードンだ」

 ウタはアイリスに笑いかける。

「やった、手伝ってもらえるよ。これで治ったも同然だよ。」

「ありがとうウタ、ゴードンさん、あれは私の大切な人の遺品なんです。治るんだったら何でもします」

「そんなの良いよ、私とアイリスはもう友達なんだから、困ってたら助けるよ」

 アイリスはそう言われて一瞬キョトンとしたが、すぐにぱっと笑顔になる。

「友達ができたの初めてです、私もウタが何か望むなら何でも叶えて見せましょう」

 そう言って小さな胸を張りふんすとわざとらしくいかにも本気ですと主張する仕草をするアイリス

「私の方がお姉さんなんだから私が助けるのー」

いつかの楽しい記憶を思い出しながら軽い調子で姉主張するウタ。

 そんなやりとりを見ながらゴードンは気がついた。何のことはないウタに必要なのは同年代の友人だったのだ。保護者ではない、しかし楽しく話せる存在が。こんなことなら島の外へ連れ出すべきだったとそう思ってはっとする。彼はウタを連れ出そうとすればいつでも連れ出せたのだと。こんな年老いた亡国の国王と2人暮らしより友達をたくさん作れたはずだ。歌の歌唱力ならとっくに歌手としてももてはやされていたかもしれない。それをしなかったのは再びあの悲劇が起きるのが、ウタの力が怖かったのだとゴードンは自分を責める。だから実質的にこの島に閉じ込める形になってしまっていたと。

 しかし、客観的に見れば彼の判断も間違いとは言えないだろう。なぜならば島の外には平和な国の善良な国民たちの王であったゴードンには馴染みのない危険が無数にある。ウタの夢である歌手として有名になることが実現された場合、あるいは悪名をあげようとする海賊の襲撃の対象にされるかもしれない、または突然天竜人に奴隷にされるかもしれない、ウタウタの能力がバレれば世界政府や海軍にも追われるだろう。いずれもこの世界ではありふれた、ウタが有名になれば必然的に起こる悲劇である。だからこそ精神的には徐々に弱っていくかもしれないこの滅んだ国での生活も、日々悲劇に覆われるこの世界の大半の住民からすれば望んでも手に入らない恵まれた平和な生活ではあるのだから。

 感傷から彼が立ち直るのはウタが空腹を訴えたからであった、上の空状態だった彼を心配するウタに何でもないと笑いかけ、食事の準備をする。

 料理を自分で行うようになって初めて用意する3人分の食器。

「あ、でも料理足りるかな?いつも2人分だし」

「大丈夫、いつもウタがお代わりするから多めに作ってあるよ」

「ゴードン、それだと私が食いしん坊みたいじゃない、違うからね、いつもそんなに食べてないよ」

実際ウタは幼馴染みの少年と早食い勝負でタメを張れる大食いであり、普段は人一倍食べるため食事は多めに用意している。

 新しい友人の前でなんとなく見栄を張って少食を主張するウタにアイリスは何でもないことのように答える。

「私の分はいらないですよ、どうぞ2人で食べてください」

 不思議そうに顔を見合わせるウタとゴードン、お互いの目がえ、今一緒に食べる流れだったよねと語っている。ゴードンはサングラスだが。

「遠慮しなくていいんだよ、ウタだって1食分くらい我慢できるよ、何だったら私の分も食べていい今日はウタに久しぶりに友達ができた記念日だ。ふたりが楽しめるんなら私はあとで作るからいいよ」

そう冗談めかして言うゴードン。

「もう、ゴードンたら、私はそんなに食べないってむしろアイリスも私みたいに大きくて綺麗な大人のレディになれるようにいっぱい食べなきゃ」

ウタも遠慮しなくていいと食事を勧める。

しかしアイリスはキョトンとした後、やはり断る

「すみません何か気を使わせてしまっているようですが、私は人間用のご飯は食べられないんです。そもそも食事自体必要ありません」

「人間用のご飯?」

「食事は必要ないとはどういう……」

言葉の合間にあった、聞き捨てならない言葉に反応する2人、それを聞いてアイリスもさも今気づいたというように話し始める。

「そういえば、言ってなかったですね。この体は人間ではなくてロボットなんです。エネルギーは電池から使っているので食事ではだめなんです。ちなみに電池は当面持つので大丈夫ですよ」

衝撃的な話をさも当然のように打ち明けられて、最初は理解が追いつかずに固まる2人

 最初に復帰したウタがアイリスに詰め寄る。

「いやいやいや、ありえないでしょ、ロボットって言うともっとこうゴツゴツして金属感丸出しのアレでしょう、あなたのどこがロボットなのよ」

 そう言ってアイリスの柔らかいほっぺをこねくり回す。

「すまない、ウタの耳について居る謎のハイテクイヤホンがロボットの様だからってアイリス君も合わせる必要はないよ。友達だって十人十色って言うじゃないか」

「ゴードンってばなにわけのわからないこといってるの。私のイヤホンは関係ないでしょ」

「え、ウタってロボットじゃなかったんですか。見た目的に同族だと思ってました」

場の雰囲気に合わせていかにも驚いたという感じにオーバーリアクションをするアイリス。

「その顔、絶対嘘でしょ、わざとらしすぎだよ。というかそんなに表情豊かなロボット居るわけないでしょ」

しかし、余計に信じてもらえなくなる状況にアイリスは誇らしげな顔になる。

「そうでしょう、そうでしょう。このボディは人間に似せて作った自信作なんです」

 そう言って、テーブルの上にあったナイフを手に取る。ウタもゴードンも状況についていけずにいるなか、止める間もなくアイリスはそれを自らの手首に突き立てた。

 悲鳴を上げるウタに唖然とするゴードン。そのまま手首を一周し、ナイフを置くと切った手を握って思い切り引っ張る。そうするとすぱりと抜ける手。

 その下から現れたのは血に塗れて銀色の光沢を放つ、明らかに人工物であると主張する腕であった。

 痛々しい見た目とは裏腹に涼しい顔で話し続けるアイリス。

「表面は人工培養された生体組織で覆ってありまして見た目と感触は人と区別がつきません。一方でその下にはチタン合金製の頑強な骨格があるおかげでちょとやそっとの衝撃ではダメージを受けないんです。生体組織は破けますけどある程度は自己修復するので問題ありません。お陰で飛行機事故に遭ってもこの通りピンピンして居るわけです。ね、すごいでしょう?」

 そう言ってむき出しになった機械のフレームを動かして普段は隠れて漏れ出てこない微かなモーター駆動音をさせながら渾身のドヤ顔を披露する。

 しかしいつまで経っても期待した惜しみない賞賛の声がかかることはなく、2人は目玉が飛び出んばかりに目を見開き、大口を開けた間抜けづらのまま固まっていた。思わず吹き出してひとしきり笑う。しかしいつまで経っても動かない2人が気絶していると気がついて慌てて介抱しながら夜が更けていった。

 

 

 

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