ウタとアイリスはアイスバーグの執務室に移動し騒動について謝罪した。
「「すいませんでした」」
「んまー、頭を上げてくれ、特にうちの社員に被害が出たわけじゃあ無かったんだ。全員すぐに元に戻ったし、悪気がなかったのはカクから聞いてる」
むしろカクから自分が無遠慮に過去をほじくろうとした挙句、フォローしようとされてそうなったから自分の責任だとまで言われてしまっていたので、自分からこれ以上責める謂れはないと考えるアイスバーグ。
それに隣に控える秘書のカリファが続ける。
「あの場にいた他の社員からも余りの良い歌に感動しただけだと証言が出ています。さらにはもう一度歌を聞かせて欲しいとも言っておりますので、この件に被害者はいません。うちの社員たちが慰問に対してちょっと羽目を外しすぎた、ということになります」
そう言われて、どう返したらいいのか分からず固まる2人にアイスバーグが続ける。
「ンマー、ガレーラの社長としてだけでなく、ウォーターセブンの市長としてもお願いする。これからも機会があれば市内で歌ってくれないか?みんなその話を聞いて、失神するほどの歌なんてどれほどのものか聞いてみたいと言っててな。俺も聞いてみたい」
漸く状況を把握できて、顔を見合わせたあと緊張を解く2人。
特にウタは自分のせいでとんでもないことをしてしまったと、落ち込んでいたので逆に高評価を受けて安堵にへたり込む。
一方、アイリスはもしウタが罪に問われて捕まるなら、強引にでもこの場を脱出させ、サウスブルーから援軍を呼び寄せて、その到着までなんとか逃げ回る算段をしていたので無駄に終わって喜ぶ。
「良かったですねウタ、この町の人たちから才能を認められて。おめでとうございます」
「ありがとうアイリス、それにアイスバーグさんと秘書のひともありがとう。お礼に歌いましょうか?」
その提案にアイスバーグは乗り気になり、了承しようとするが。横から迎撃される。
「セクハラです。わたしはこんなところであんな間抜けづらを晒したくありません。今度プライベートでお願いします」
「ンマー、それなら仕方ないな俺も今度にする」
「わかりました、今度にします」
そして、商談に進むことにするアイスバーグ。
「2人は船の建造の依頼に来たと聞いたが?」
「あっ、そうですね。造船の依頼に来たんです」
「これサン・ファルドの町長さんにもらった紹介状です。」
そこには素晴らしい才能を持った歌手のためにぜひ船が必要だと書かれており、確かにそこについては確かめる必要はなさそうだと苦笑する。
「ンマー、船が必要なのはわかった。どんなのが欲しいんだ?」
その問いにまずウタが答える。
「とにかく大っきくて、それから最新の音響設備付きの収録室とコンサートホールが必要かな?」
さらにアイリスが続ける。
「自衛用に出来るだけ強力な武器、とりあえず海軍が装備してる最強の武器は必要です。あと、最新鋭の蒸気機関と推進装置、他の海にも行ける様にカームベルトも超えられる様にしてください」
要求、特に最後の部分を聞いてアイスバーグが渋い表情になる。
「他はともかく、最後は無理だ」
その答えに一応予測していたアイリスが冷静に食い下がる。そんなに簡単に実現できる技術ならもっと民間に普及しているはずなのである。
「どうしてですか?海軍の船はカームベルトを渡れると聞きますし、海列車にも何かしら海王類避けの仕掛けがあるんじゃないですか」
目の前の見た目、10代前半の少女が意外に博識なことに感心しつつも、残念そうに伝える。
「よく知ってるな、確かに海列車のレールには海王類が嫌う音を出す仕掛けがしてある。ンマー、だが逆に言えば船が不快な音を盛大に鳴らしながら動くわけだからな、向こうから近づかない様にするならともかくこちらから連中のテリトリーに入るときに使うと逆に怒らせて襲われる可能性もある。おすすめはしない」
その言葉に、その手があったかと感心しつつ、実際にどの程度効果的か確認するために実験を行おうと決めるアイリス。彼女の無人船ならばリスク無しで実験できるのだから。
そして、もう一つについても説明が続く。
「海軍の連中がやっているのは、軍艦の底に海楼石を敷き詰める方法だ。なんでもそれで海王類の連中からは海に一体化して、気配に気付きにくくなるらしい。目で見つかるとダメらしいが。まぁ、それでもある程度安定してカームベルトを超えられる方法ではある様だ。だがこの方法は海楼石の希少性がネックになる。ンマー、民間じゃあまず無理な方法だな」
その話に不思議そうに聞くアイリス。
「なんで、希少な鉱石を海軍だけそんなに大量に使えるんですか?」
「さあな、希少なのは産地の和の国が国外との関わりを絶っているせいで、ほとんど外に流れてこないためだ。海軍は他の産地を抱えているか、和の国との独自の交易ルートでも持ってるんじゃないか」
とりあえず、産地だと分かっている和の国については調査を決定し、ウタに目くばせする。
技術的な話はアイリスに任せて黙っていたウタも、今回は諦めるんだと察して頷く。
「わかりました、カームベルトを渡るのは諦めます」
「ンマー、理解してもらえて幸いだ。だが、他の機能も可能ではあるがだいぶ金が必要だぞ」
「どのくらいですかね?相場がわからなかったのでとりあえず手持ちのお金を全部持ってきましたが?」
「あれで足りるかな?」
そう言いながらアイスバーグを窓まで呼んで本社前の敷地に積み上げられた大型のスーツケースの山を指さす2人。山の周りは護衛が取り囲んでいる。
「うん?どれがそうなんだ?」
「あれ全部です」
「……はあ⁈」
つれてくる前に大量の荷物をどこに置けばいいか聞かれ、女の2人旅にしても荷物が多いと感じて、何が入っているか聞こうとしたらカリファから「セクハラです」と言われ氷の様な視線を向けられたためそれ以来気にしていなかったが、50個以上はある大型のスーツケース全部に金目のものが入っているのかと耳を疑う。
今まで黙って隣に控えていたカリファが、窓から飛び降り、スーツケースに駆け寄り一つを開く。
するとギュウギュウに詰め込まれたベリー札の束が溢れ出る。
思ったよりも詰め込まれていたことに驚きながら、鬼気迫る表情で次々と目にも留まらぬ速さでケースを開けていく。近くにいたガレーラの社員たちがなんだなんだと寄ってくるが、次々に積み上がる札束の山に口をあんぐりと空けて固まる。
さらに偶然通りかかった金髪にゴーグルをつけた男が札束にダイブしようとして、周りに止められ騒ぎになり、鳩を肩に乗せた男に鎮安されるなどが繰り広げられるが、カリファは気にせず数え続ける。
そして、建物から出てきたアイスバーグたちや騒ぎを聞きつけてきた社員たちの前で集計結果が叫ばれる。
「全部で110億ベリーです!!貴方達、こんな大金をずっと持ちあるていたの⁉︎」
「ずっとではないですね、途中でなんか増えましたし」
「いや、あの人が言いたいのはそういうことじゃないと思う」
その危機感のないやりとりに脱力しながらカリファが続ける。
「よく無事でここまで辿り着けたわね、こんな大金を持っていることが知られたら海賊から狙われまくるわよ」
「まぁ、海賊にはよく襲われましたね」
「あれは、知っててきたわけじゃなさそうだったけどね」
とりあえず、必要な金額がありそうなことがわかったため、アイスバーグが話をまとめに動く。
「ンマー、とりあえず正確な見積もりは後日になるが、さっきの話を全部盛り込んでもだいぶ予算には余裕があると思うぞ。あと、いくらこの町とはいえ、そんな大金持ってる話が出回ったら悪い奴らが寄ってくるかもしれん。良ければうちに泊まっていくか?下手な軍の駐屯地より安全だが?」
「社長、セクハラです」
若い女性を自宅に誘うことに過敏に反応して突っ込むカリファ。
慣れているアイスバーグは聞き流す。
「そうですね、これから探すのも大変ですし、お言葉に甘えませんか?」
「私もクタクタだし賛成」
「それじゃあカリファ、部屋の手配を頼む」
「了解しました、ご案内します」
そして、ウタ達がお金を詰め直して移動すると、残りの社員達も集めてアイスバーグは宣言する。
「お前ら!、今日はこの子達から我が社史上最大最高の船のオーダーが入った!明日からその実現に向けて全力で取り組んでもらう、気合入れろよ!!」
「うおっー、アイスバーグさん直々に指示が出たぞ!」
「よし!、景気づけに今夜はパーッと飲むぞ!」
その後、社員達は本社前で盛大な宴を始めたが、
ウタ達は旅の疲労からそこには参加せずに少人数で食事にしていた。
そこにアイスバーグを連れたカクまで合流して、一緒に食事をすることになった。
「いやー、昼間はすまんかったの」
「どうして謝るの?むしろ私が騒ぎを起こしちゃったのに」
そう言って気落ちする。
「ワシが余計なことを聞いたせいじゃ。お主は悪くないわい。それに歌もよかったしのぅ」
それを聞いた、アイリスが誇らしそうに答える
「ウタの歌は世界一です。エレジアのゴードンさんのお墨付きです」
「いやー、それほどないよー、私なんてまだ本格デビュー前だしー」
そう言っててれるウタ。
「あら、ゴードンさんってエレジアの王様だった?」
そうカリファが聞く。
「ンマー、そうだオレは直接会ったことないが、お前らのためにあの金を用立ててくれたのか?」
気を利かせたアイスバーグが話の方向を変える。
「そうなんです。ゴードンさんはウタの才能を見込んで育てて、デビューのために手を尽くしてくれたんです。今回の移動のための手配も、資金提供もしてくれました。まあ、旅の途中で資金は増えましたけど」
その話にアイリスも乗る。お陰で、ウタの地雷からは遠ざかることができた。エレジアの滅亡原因から。
「あれはびっくりしたねー。同じ船の人たちがみんなついてくるって言ったり、お金をくれたり。」
「ウタの歌声に魅入られたんですね。まぁ、船旅の途中で私たちに何度も命を救われたのもあるのかもしれないですけど」
それを聞いて得心がいったのか、カリファが頷いている
「だからあんなに大金を持ってたのね。どうやって手に入れたのか不思議だったの」
「やっぱり船を作るとなると相手に信用があるか調べたりするんですか?」
アイリスが気になっていたことを聞く。
「ンマー、普段はそこまで気にしないんだがな。額が額だし気になるだろう」
「そうじゃのう。特にお前さん達の様な若いのが大金を持ってると気になるじゃろう。ワシもあやかりたいしのう」
そう言われて苦笑するウタ。
「あははは、私もこないだまであんな大金見たことなかったし。また稼ぐなんて無理そう」
「そんなことを有りませんよ。ウタの歌声ならできないことなんて有りません」
「そんなー、持ち上げすぎだって」
そうして、和やかな雰囲気のまま世はふけていき、その場は、お開きとなった。
ウォーターセブンの下町にあるとある酒場、昼夜を問わずそこそこの繁盛を見せるのだが、今日は早めに店じまいをしていた。
ガレーラの社員たちが宴を始めたせいで、普段やってくる客の多くがそちらに行って騒いでいるため客の入りが悪いのもある。
しかし、本命は店主にとって外せない用事があったためである。
その用事とは、締め切った店を使った彼の仲間達の秘密の会合。
世界政府の誇る秘密暗殺機関CP9、そのウォーターセブン潜入チームの集まりである。
「今回も大した情報は集まってないのう」
そう言ってうんざりした表情をするガレーラカンパニー所属船大工のカク。
「私の方も不自然な動きは掴んでいないわ」
続ける、アイスバーグの秘書カリファ。
「俺の方も、有益な情報は何もない」
筋骨隆々の巨漢、この酒場の店主ブルーノが普段の店主としての愛想笑いを捨てて淡々と話す。
「やつは切れ物だ。そうそう尻尾は出さん。このまま監視するしかないだろう」
普段の鳩に喋らせる腹話術を使わずに、やや苛立たしそうに言い捨てるガレーラカンパニーの船大工のルッチ。
彼らこそが、アイスバーグのもつとされる古代兵器プルトンの設計図を奪取すべく世界政府が送り込んだ精鋭たちである。
そんな彼らが送り込まれたからには、大抵の任務は簡単にかたがつくはずであった。
しかしながら、今回の相手はそうはいかなかった。
これも、ひとえに彼らが弱いせい……ではない。
設計図の持ち主であると目されているアイスバーグの立ち回りが厄介なためである。
そもそも、本来なら世界政府にとって単なる一般市民にすぎない男から紙切れを一束巻き上げることなど造作もないことである。
適当な罪状を被せて拘束し、捜索の名目で家探しするなり、拷問や人質を用いた恫喝なりで堂々と奪えば良い。
そんな彼らの十八番が使えないのは、アイスバーグが世界政府にとっても重要な人物になってしまっているからだ。
彼は今や、ガレーラカンパニー社長権ウォーターセブン市長の肩書を持ち、それを生かして世界政府や海軍に接近し、造船を引き受けることで多大な貢献をしているのだ。
それだけなら良い、御恩と奉公で成り立つ関係でもなし、恩着せがましい貢献など踏みにじれば良い。
しかしながら、今やアイスバーグ、ひいては彼によって発展し、維持されているウォーターセブンの造船能力は政府や海軍の世界支配にとって切り捨てがたい必要不可欠な存在と化してしまっていた。
なんといっても全ては忌々しい、大海賊時代のためである。
日々無限に湧いて出てくる海賊相手の戦いは、世界政府や海軍の艦船が無傷で済むことなどない。
傷つき、時に沈み、常に補修と新造を必要としているのだ。
だが、それを行うべき世界各地の多くのドックがその能力を落としていた。
あるドックは直接海賊の襲撃に遭い壊滅し、またあるドックは必要な資材の運搬船が海賊に襲われるか、船そのものが海賊として旗揚げし、届くことがなくなり廃業する。
そこまでは行かなくとも確実に負の影響は受けている。
状況を改善しようにも、ただでさえ不足する艦船は傷つき沈んでいき、手は回らず、結果さらに状況が悪化する負のループに陥る。さらに最悪なことに不足するのは艦艇のみならず、襲われたり海賊船と化したりする民間の商船とて同じことである。
そんな悪夢の様な末期状態の中で、海列車の運行により安定して資材を調達し、襲撃してくる海賊も大抵の相手ならば自前の自警団で撃退し、衰退するどころか、発展すらしてのけた異質な存在であるウォーターセブンの生産能力は最後の希望と化してしまっている。
そんなウォーターセブンの発展の立役者にして、現在の運営の中核であるアイスバーグがいなくては、それは維持できないだろうと予想する役人は多い。
船大工のとしての有能さはもちろん、腕っ節も強いガレーラカンパニーの社員たちをまとめられるのは自身も天才的な船大工にして、カリスマ的リーダーでもあるアイスバーグが不可欠であると。
だからこそ、普段の強硬な手段を封じ、可能な限りアイスバーグを害することなく任務を達成せよとCP9には非常に強い圧力がかかっていた。
まあしかし、彼らの上司は自身の上げるであろう手柄とそれによる栄達にしか興味がなく、そのようなことは気にもしていなかったが。
結果、彼ら自身もそんな圧力の存在など知らず、アイスバーグに対し強硬な手段を取らないのは単に彼らの善性と、アイスバーグのカリスマに対する畏怖の念からに過ぎない。
しかしながら、そんな彼らの任務も既に開始から3年が経過し、折り返し地点を過ぎていた。
全く尻尾を出そうとしない現状に焦りが募る。
だからこそ少しの手がかりも逃すまいと、細かなことも調べていた。
「そういえば、今日海列車で来た金持ちの女二人組はどうだった?」
そう聞くのは、まだ2人がウォーターセブンに到着する前から珍しい客車貸し切りを行った民間人に目をつけていたルッチである。
「才能はすごいみたいだけど普通の歌手志望の少女とその取り巻きよ」
「ワシもそう思う、たしかに才能はなかなかのもんじゃが、グランドラインならたまにいるレベルじゃ」
「ならば、あの羽振りの良さはなんだ?かなり若く見えたが儲けるほど有名な歌手ではないだろう」
冷静に疑問に思ったところを聞くブルーノ。
「なんでも、出身国の王様が用立ててくれたらしいわ」
「それと、旅の途中で歌を聴いて心酔した金持ちの寄付もあったそうじゃ、まあ話におかしなところはなかったのぅ」
「……お前ら、歌手の女の子じゃなくて、取り巻きどもに違和感を感じなかったか?」
そう珍しく神妙な様子で話すルッチ。
「ワシは何も感じなかったが?、まあ妙に愛想がないとは思ったんじゃが、昔見たことのある天竜人の護衛もあんなもんじゃったぞ」
「私も特にはないわね」
「そうか、オレはあの連中からは妙に意思を感じなかった。感情を殺しているんじゃない、最初からそんなものなんてないみたいにぽっかりと遭いた空白みたいな無だ」
そんなことを真面目に言うルッチにギョッとする3人。
「俺たちの中で一番見聞色の覇気を使いこなしているお前の言うことだ、もしかすれば噂に聞く見聞殺しかもしれん」
「まさか⁉︎、海軍では元帥や大将、一部の実力トップレベルの中将で、海賊なら四皇や連中の最高幹部クラスでようやく使えるものがいるレベルの高等技能の持ち主があんなにいると言うの⁉︎」
「そりゃ、本当ならワシたちでも手に負えんのぅ」
そう言って取り乱すメンバーに、見た目冷静に内心では自分でも確定できないことに苛立ちながら言い捨てるルッチ
「わからん、俺もお前たちより使えるがそれでも相手の感情を明確によめるほどじゃない。ただなんとなく違和感を感じただけだ」
「しかし、なぜ歌手を目指す少女にそんな連中がまとわりついているの?」
「何か利用価値があるのかのう?彼女はエレジア出身といっとったが」
「エレジアと言えばトットムジカが有名だが、まさかな」
少なくともウタについての核心に迫りかけた時、でんでん虫のコールが鳴り響く。
彼らの上司が、報告を聞くために連絡してきたのだ。
受話器を取るルッチ、その仕草はどこかめんどくさそうにしている。
他の3人も、露骨に面倒に感じているのがわかる表情をしている。
「おれだ、どうだ何か進展はあったか?」
でんでん虫から声が聞こえ始める。
「いつも通りです。監視を続けていますが未だに尻尾を出しません。プルトンの設計図のありかは依然として不明です」
代表してルッチが報告する。
「おうおう、CP9の精鋭どもが雁首揃えて、また進展なしかよ⁉︎。おまえらことの重要性がわかってやがるのか⁉︎、俺たちが古代兵器を手に入れてこそ乱れた世界秩序を元に戻せるんだぞ⁉︎」
いつものように喚き始めた上司に、またかとうんざりした顔になるルッチ以外の3人。
ルッチは無表情だが、苛立ちを押し隠している。
「1日も早いオレの出世、じゃなくて大海賊時代を終わらるためにとっとと探しやがれ⁉︎」
「了解しました。それと、スパンダム長官、あなたに頼んだ例の少女たちの調査はどうでしたか」
気を取り直してウタとアイリスの調査について聞く。
「ああ、そのことだが何故か定期的にエルジアに行ってる奴がいるって言うんで、そいつに聞いてみたらたしかにあの2人と護衛どもはエレジアから一緒に乗ったらしい。その時話したらしいことと、お前らから聞いたたびの目的や金銭の入手先の証言は一致した。あと、サン・ファルドで金持ち連中から金をむしりとったのも事実だ、連中に伝のある役人に聞いたから間違いねぇ。つまりお前らが疑ってた資金面の不透明さはなかったわけだ。ったくオレに無駄な手間をかけさせやがって!いいかお前らの任務はプルトンの設計図をアイスバーグの野郎からぶんどることだ!それ以外を気にする必要はねえ!!いいか、これ以上余計なことに構わず任務に集中しろ!いいな!!」
そう言って一方的に切られるでんでん虫。
「……その任務の障害かどうかの判断に必要な情報収集だったんじゃが」
呆れたように言うカク
「まあ、ああ言うならそれに従うまでだこれ以上首をつっこむ必要はないだろう」
そう言うルッチに全員が頷く。
「藪を突いて蛇を出す必要はない。連中が船を作りに来たのならそれが終われば出て行く。それまではおとなしく待てばいい」
ブルーノがそういうと、それで今日の会合は終了にして解散する。
「と、言うことらしいですよ」
同時刻、アイスバーグ邸でその会話を、盗聴していたアイリスを通じて聴いていたアイスバーグとウタは頭を抱えていた。