緑谷出久は平和の象徴になり得るのか   作:頭悪人

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緋色工業ヒーロー部候補生の龍陣翔夜。
彼はヒーロー部の後進育成のノウハウを学ぶ為、と言う理由で雄英に転入させられる事になる。しかし緋色工業の真の目的は、次期No.1ヒーローとなる人材を割り出し、緋色工業に取り込む事であった。
緋色工業は表向きは善良な会社。
しかし、裏ではとんでもない闇が抱えられていた。
そして龍陣は、緑谷をオールマイトの後継者である事を見抜き、OFAの秘密を暴いてしまう!緑谷に接触する龍陣。果たして龍陣は敵か、味方か!?
緑谷達の運命は如何に!?


第一話 編入生が来た

 

※ヒロアカのオリキャラ小説です。

※緑谷が原作に比べて大幅に強化されています。

※時系列的には4期の最初、つまりインターン編前です。

※架空の企業が出てきます。

※語りはナレーションです。

ここは、雄英高校ヒーロー科、1年A組。

 

担任の相澤は、朝のHRを始める。

 

相「えー、今日は転校生を紹介する。」

 

皆「物凄くガッポイの来たあああ!!」

 

転校生と言うワードに、クラスの皆が大はしゃぎする。

 

ガッポイとは、学校っぽい。

 

つまり、学校らしい、高校生らしい事である。

 

何しろ、雄英高校ヒーロー科は、数多くのヒーローを輩出してきた天下の名門校。

 

過酷なカリキュラムが組まれているが故に、生徒達は学校らしいイベントに飢えているのだ。

 

芦「賑やかになるね!」

 

上「ウェーイ!」

 

百「どういった経緯でここに………?」

 

青「僕より目立っちゃう事なんて無いけどね☆」

 

峰「なあ緑谷!転校生って美少女かな、美少女なのかな!」

 

緑「さあ………見て見ない事には分からないよ。それより僕は『個性』の方が気になるなあ。」

 

爆「どんな個性だろーと関係ねえ。俺が潰してやる。」

 

轟「友達………なれるといいな。」

 

茶「デク君とどっちが強いのかな………。」

 

飯「どうだろうか。しかしどの様な人間でも、俺は歓迎するぞ!」

 

相「静かにしろ!!!」

 

シーン………。

 

うるさくなったクラスを、相澤が鶴の一声で静かにさせる。

 

相「………よし。じゃあ入れ。」

 

??「はい。」

 

相澤は静かになったのを確認すると、ドアの向こうで待っている転校生に許可を出す。

 

ガラガラガラ………。

 

ドアが開く音が聞こえた。

 

皆「!!!!」

 

??「皆さん、始めまして!」

 

緑谷より僅かに小柄な、青髪で左目に大きな傷のある少年が現れた。

 

??「緋色工業から来ました、ヒーロー候補生、」

 

龍「龍陣翔夜です。よろしくお願いします。」

峰(………んだよ女子じゃねえのかよ………。)

 

上(そこは女子高生だよなあ………。)

 

芦(わは!結構カッコいいじゃん!)

 

葉(爽やか系イケメンだー!)

 

緑(強そうだ………凄い『個性』持ちに違いない。)

 

爆(コイツも俺がぶっ殺す!)

 

飯(彼がこのクラスに馴染める様にせねば!)

 

轟(友達になりたい………。)

 

とまあ、各自の反応は様々である。

 

女子でない事に落胆する者、そこそこの容姿に歓喜する者、彼を見て実力を予想する者など様々だ。

 

相「では、各自一問一答の時間を設ける。

何でも龍神に聞け。じゃ、俺は寝る。」

 

そう言って相澤は教室を出て寝袋に入った。

龍「では、さっき先生から話があった通り、僕は質問に答えたいと思います。

皆さん、何か質問ありますか?」

 

皆「はーい!はいはーい!」

 

間髪入れず、クラスの全員が手を挙げる。

 

芦「彼女は居るの?」

 

峰「理想の女は!」

 

上「遊ぶの好きか!?」

 

緑「どんな個性なんですか!」

 

茶「ヒーロー名は!?」

 

爆「俺と戦え!!」

 

最早聖徳太子でも無ければ聴き取れない程の五月蝿さである。

 

飯「みんな!落ち着きたまえ!龍陣君が困っているだろう!ちゃんと当てられてから発言したまえ!」

 

委員長、飯田の発言で再び場が静寂に包まれる。

 

こういう時にきっぱりと物を言える彼は、委員長に相応しい人材と言えるだろう。

 

飯「ゴホン。騒がしくしてすまなかった。

龍陣君、誰の質問に答えるか決めたまえ。」

 

龍「………ありがとうございます。では、副委員長の八百万さんの質問にお答えしましょう。」

 

皆(………いきなりヤオモモ!)

 

百「はい。では質問をさせていただきます。」

 

八百万はそういうと立ち上がって質問を始めた。

 

百「一体、どの様な経緯で緋色工業からこの雄英に来られたのですか?そもそも、緋色工業所属のヒーロー候補生とは一体何なのですか?」

 

皆(めちゃくちゃ真面目な質問!!でも気になってた!)

 

龍「………良い質問です。流石副委員長さん、目の付け所が違う。」

 

百「お世辞は良いですわ。それよりも答えが気になります。」

 

龍「順番にお答えしましょう。」

 

そう言って龍陣は、チョークを持って黒板に図を描き始めた。

 

 

龍「まず、僕の所属する緋色工業とは、日本最大級のヒーローサポート企業です。皆さんも、一度は耳にした事があるのでは無いでしょうか?」

 

緑「知ってる………デトラネット社と勢力を二分する、ヒーロー御用達の大企業だって………。」

 

龍「よくぞご存知で。雄英高校さんにも部品や資材の提供をしています。サポート科の皆さんからの注文を請け負っているのが、我が緋色工業なのです。」

 

飯「発目君やパワーローダー先生みたいな人達からか………。」

 

茶「発目さん………。」

 

モワモワモワ………。

 

お茶子の中で、緑谷が研究の事故に巻き込まれた事が思い出される。

 

茶(確かあの時、発目さんの胸がデク君に………。)

 

ガッ!!!

 

茶「去れっ!!」

 

飯「麗日君!?」

 

お茶子は自分を殴って、脳内のモヤモヤをかき消した。

 

龍(何かあるな、アイツ………。)

 

そんなお茶子が気になりながらも、彼は説明に集中する。

 

龍「………で、我ら緋色工業は3部門に分かれています。技術研究部、技術開発部、ヒーロー部の3部門ですね。」

 

瀬「はーん。具体的にはそれぞれが何をするんだ?」

 

龍「まず、技術研究部は個性やコスチュームを研究し、新たなサポートアイテムの案を出します。古いサポートアイテムをどうやってパワーアップさせるかや、応用するか。全く新しい視点でのアイテムを生み出す事、試作品を作る事が仕事ですね。その為、多くの科学者がここに所属しています。」

 

耳「実験をしてみて、案を出すって事か。」

 

龍「で、技術開発部は研究部の案が通ったら、試作品を完成に導き、その後に量産体制を整えます。腕の良い技術者達が機械と力を合わせてアイテムを作ります。」

 

尾「作る事に徹底している感じだな。」

 

龍「そしてヒーロー部。技術開発部が生み出したコスチュームやサポートアイテムを実際に使用して戦う、言わば広告塔です。

彼らはスポンサー持ちのヒーローなんです。」

 

上「広告塔っていうと、体育祭の飯田みたいだな!」

 

飯「やめろ!思い出したく無い!」

 

スポーツマンシップに則っろうとして、広告塔に利用された苦い記憶が、飯田の頭をよぎった。

 

龍(あったな、そういやそんな事。)

 

龍「………緋色工業は、未成年のうちに超人社会で活躍できる人材を育成しています。

そして育成段階の人間を「候補生」と呼んでいます。

僕はヒーロー部に配属予定の候補生です。」

 

緑「なるほど………ヒーロー部か。」

 

龍「さて、ここからが本題ですね。

僕が何故雄英高校ヒーロー科に編入してきたのか、話さなければならない訳ですが。」

 

龍「それには、大人の事情的な奴が絡んでくるんですよね。」

 

梅「大人の事情?どういう事かしら。」

 

龍「1ヶ月前に起きた、あの忌まわしき事件を覚えているでしょうか。覚えている人なら、大体は察しがつくはずです。」

 

切「それって………!!」

 

龍「………そう、神野事件です。」

 

皆「!!!」

 

それは、悪夢とも言うべき事件。

 

巨悪、オール・フォー・ワンの襲来。

 

長き戦いの末、オールマイトは勝利と引き換えに、平和の象徴としての自らを犠牲にする事となった。

 

象徴の不在、未だ健在の敵連合。

 

これらがもたらす漠然とした恐怖に、超人社会はただただ怯えるしか無い現状である。

 

龍「緋色工業は、この事態を非常に重く受け止めています。次世代のヒーローを育成する事は、なるべく早期に行わなければならない。」

 

龍「実の所、緋色工業はまだヒーロー部の人員育成は、間に合って居ないのが現状です。

ヒーローと言う職業における後進育成のノウハウが雄英程しっかりして居ないからです。

現に緋色工業に第一線で戦える、メジャーなヒーローはいません。」

 

龍「で、雄英のヒーロー育成におけるノウハウを学び、その身で授業を経験する事で、緋色工業の後進育成をより盤石な物にする。

その為に候補生の僕が雄英に編入したわけです。」

 

龍「お分りいただけましたか?」

 

百「成る程………とても理にかなって居ますわね。」

 

障「俺達と同じカリキュラムを受ける事で、ヒーローを育てやすくする………。」

 

常「考えれば考えるほど合理的だな。」

 

龍陣の説明に、皆が納得を示す。

 

3人を除いて、だが。

 

芦「難しくて何言ってんのかわかんなーい!」

 

上「ウ、ウェイ………。」

 

芦戸と上鳴は、頭があまり良く無いせいか、混乱している。

 

爆(なんかうさん臭え………表向きの理由っぽ過ぎるぜ………。)

 

そして爆豪は、龍陣に不信感を抱いていた。

その後、龍陣は次々と質問に答えていった。

 

龍「好きな食べ物は餃子、彼女は居ません。

好きな女性のタイプは、歳上お姉さんですかね。次の質問は?」

 

緑「はい!はーい!」

 

緑谷が素早く手を挙げる。

 

龍「………緑谷君、質問をどうぞ。」

 

緑「龍陣君は、どんな個性を持っているんですか?あと、ヒーロー名は何ですか?」

 

皆(それそれ!それめっちゃ聞きたかったやつ!)

 

龍「……うーん、これまた良い質問だ。」

 

龍陣は頭に手を置きながらそう言った。

 

龍「まず、結論からいうと俺の個性は、

『ギルドラゴン』と言うものです。

といっても、字面だけだと分り辛いですよね。」

 

龍陣は再び、チョークを使って黒板に図を描き始めた。

 

龍「まず、『ギルド』とは、ザックリ言うとチーム的な物を指します。『ドラゴン』が群れを成して『ギルド』を作っている。それが俺の個性の性質です。まだ分かりづらいですね。」

 

龍「早い話、俺の体内に別の生命、つまりドラゴンを飼いならして居るのが俺の個性です。」

 

緑「飼い慣らしている………?」

 

龍「常闇君の黒影が近いかな。まあ、俺の体内に封印されているので外に出る事は無いんですがね。」

 

常「成る程。」

 

芦「はーい!どんな見た目の龍なんですか?」

 

龍「頭が何個もあるタイプの龍ですね。それら1つ1つが『個性』を持っています。」

 

龍陣は、黒板に龍の絵を描いた。

 

皆(強そう………!!)

 

緑「個性複数持ちって事ですか?」

 

龍「そうです。とは言っても個性一つ一つはそんなに強くないんですがね。

視力が良くなる『龍眼』、血を速く回す事で身体能力を僅かに上げられる『龍脈』、風を起こせる『竜巻』、炎を吹くことが出来る『龍炎』、鱗で覆うことで体を固められる『龍鱗』、翼を生やせる『龍翼』、手首から爪を生やして殺傷力を上げられる『龍爪』、と7つの『個性』があります。」

 

瀬「どれも便利そうだな!」

 

龍「ですが、先程言った通りどれも大して強くない個性です。『龍脈』の身体能力強化は緑谷君の様な自壊する程の超パワーは出ないですし、『龍鱗』は、切島くん程硬くはなれません。」

 

龍「『龍炎』は、轟くん程の火力は出ませんし、『竜巻』ではイナサくん程の風は起こせません。『龍翼』はホークス程速く飛べませんし、『龍爪』は大した武器にならないんですよね、『龍眼』は結構強いですけどね。」

 

爆「つまり、何をやっても半端って事か。

なんか極めてるもんはねーのかよ、龍野郎。」

 

緑「か、かっちゃん!失礼だよ!」

 

龍「………まあ、爆豪君の言う事もあながち間違いではないですね。

だからこそ、サポートアイテムの出番になる訳です。」

 

ゴソゴソ………。

 

そう言うと龍陣は、持っていたカバンから、腕に装着するであろう、金属製のサポートアイテムを取り出した。

 

龍「例えばこの、『鉄甲』。腕に装着して『龍鱗』で固めると一番強力な大砲で撃たれようと、オールマイト並のパワーで殴られようと、一、二発なら耐えることが出来ますよ。」

 

皆「おおーーー!!」

 

緑「成る程、『個性』が足りない部分をコスチュームで補うんだ………。」

 

轟「凄えな………。今のコスチューム。」

 

皆が感嘆の声をあげる。

 

爆豪1人を除いては。

 

爆「………へっ。一、二発かよ。大したことねえなあ、緋色工業さんよお。」

 

皆(言っちゃったよ!皆が薄々勘付いていた事を!)

 

龍(どうもコイツは好戦的なだけじゃない。

俺を怪しんでいるな?)

 

緑「やめなってかっちゃん!ご、ごめんね龍陣君!」

 

緑谷が宥めると、龍陣は再び笑顔に戻る。

 

龍「良いですよ。未だ我が社の製品は発展途上。だからこそ、雄英の個性教育を参考にしたい訳ですから。」

 

龍「まあ、最も………。」

 

龍「爆豪君程度の爆破なら、何発食らっても受け切ってみせますがね。」

 

皆(!!!!)

 

龍陣は、爆豪を挑発した。

上(こ、コイツ爆豪を挑発したぞ!!)

 

峰(死にてえのか!?)

 

爆「んだとこの龍野郎!!もっペン言ってみろよ!」

 

龍「君は恐るるに足りないと言っているんです。それこそ、平和の象徴の足下にも及ばない、と。」

 

爆「こ、コイツ………。」

 

龍陣の煽りに、爆豪の怒りは爆発する。

 

爆「死ねえーー!!」

 

緑「かっちゃん!!!」

 

爆豪が怒り狂う。

 

掌には、『爆破』を構えている。

 

あわや大惨事になろうとしたその時だった。

 

相「静かにしろ!!」

 

皆「!!!」

教室に、担任の相澤祥太が戻ってきた。

 

爆「うがっ!!!」

 

相「またお前か………いつまでもガキみてえな事してんじゃねえ!!」

 

個性『抹消』を使い、爆豪を制止する。

 

すかさず操縛布が、爆豪を締め上げる。

 

何かと荒く突っかかる爆豪を止められるのは、担任の相澤しかいない。

 

入学してから、何度この光景を目にした事か。

 

緑谷は心の中でそう思った。

 

相「すまんな龍陣。見苦しい所を見せた。」

 

龍「良いですよ。俺は所詮井の中の蛙。大海を泳ぐ皆と比べたら、まだまだ素人ですから。」

 

相「そうか。話は変わるが、出席番号21番。席は八百万の後ろになる。」

 

龍「分かりました。」

 

そう言って龍陣は八百万の後ろの席に座った。

百「龍陣さん。分からない事があったら、何でも私にお聞きくださいね。」

 

龍「おう。こちらこそよろしく。」

 

その時だった。

 

prrrrr………。

 

龍陣の携帯から、着信音が鳴り響く。

 

龍「!………悪ィ、電話だ。」

 

百「………誰からですの?」

 

龍「緋色工業の社長からだ。」

 

百「!!!」

 

龍「すいません、イレイザー!

一度授業抜けて良いですか。」

 

相「構わんが、あまり遅くなるな。

今日はお前の個性把握テストも予定しているからな。」

 

瀬「転校生にも容赦がねえ………。」

 

切「流石相澤先生だぜ………。」

 

龍「………了解です。それでは。」

 

龍陣はそう言うと、急いで教室を出て行った。

ピッ。

 

龍陣は携帯をタップし、電話に出る。

 

龍「もしもし、こちら龍陣です。」

 

社「………どうだ。雄英には首尾良く潜入出来そうか。」

 

龍「………ええ。爆豪には怪しまれましたが、煽る事で上手く回避しましたよ。猜疑心を対抗心に変えれば、人は疑う事を忘れますからね。」

 

社「そうか。奴は勘が鋭い。疑われるのを回避出来たのなら、第一段階はクリアと言えるな。それで、どうだ?」

 

社「………オールマイトの後継者は、割り出せそうか?」

 

龍「………………!!」

 

龍「………………それはまだ分かりません。

奴らの個性は知っていますが、公になっているのは体育祭時点でのデータのみ。

奴らが仮免も取得している以上、午後の授業で見ないことにはなんとも。」

 

社「………急げよ龍陣。この超人社会のピンチは、我ら緋色工業にとってのビジネスチャンスなのだからな。」

 

龍「……分かっています。ですから、俺に任せてください。確かな事が分かり次第、連絡します。それでは。」

 

ピッ。

 

龍陣は電話を切った。

 

龍(そうだ。異文化交流、知見を得るなんざ最初から建前に過ぎねえ。)

 

そう、緋色工業の真の目的は、他にあった。

1ヶ月前。

 

龍陣は、緋色工業の社長室に呼び出されていた。

 

龍「雄英に潜入しろ?」

 

社「そうだ。オールマイトが引退した今こそ、我ら緋色工業にとって好機なのだ。」

 

龍(好機………?)

 

龍陣は社長の発言に疑問を覚えた。

 

オールマイトはこの超人社会における平和の象徴。

 

老若男女、全てに人気のあるヒーローだ。

 

龍陣自身は、別に特にファンと言うわけでは無かったが、それの不在によって今人々が不安な思いをしているのだ。

 

今、この発言を録音でもして公表すれば炎上間違い無しだろう。

 

しかし、そんな事をしても誰が得をするわけでは無い。

 

返って抑圧と反発を招き、超人社会の更なる崩壊を招くだけだ。

 

そう思った龍陣は黙って話を聞く事にした。

 

社「超人社会………ヒーロー飽和社会………ヒーローサイドの全盛期………。いつしかヒーローは、警察や自衛隊、軍の様な何かに属する公職から、独立したアイドルの様な物へと変わっていった………。」

 

社「かつて我々緋色工業は、超人社会において、名ヒーローのスポンサーとなる事で、サポートアイテムとヒーロー業、二足の草鞋で儲けていた。」

 

社「だが、オールマイト始め独立したヒーローの台頭により、緋色工業始め企業所属のヒーローは隅へと追いやられた。」

 

社「原因は『個性』の強い人材を確保し育成出来なかった事。雄英の様な名門出の人材は、大企業と言えど給料を多く取られる緋色工業には来ない。また、強い『個性』を持つ人材はコスチュームやサポートアイテムでは無く『個性』をメインとして戦う。」

 

社「いつしか、限界のあるサポートアイテムやコスチュームは不可欠と言えど軽視されがちになった。そしていつしか緋色工業もな。」

 

社「考えてもみろ。あの名ヒーロー達のおかげでどれだけ我が社が損害を被ったか。」

 

龍「………………。」

 

緋色工業の社員達は、決して裕福な生活をしていない。

 

皆、家族を養う為、生計を立てる為に薄給で働いているのだ。

 

コスチュームやサポートアイテムの開発に金をかけている以上、致し方ない事である。

 

それでも、光もあれば影もある。

 

オールマイトにと言う巨大な光により、緋色工業は影となってしまった。

 

社「オールマイトが引退した今、平和の象徴は不在。そんな今、新たな象徴を我々が手に出来れば我が緋色工業は超人社会において不動の地位と名誉を確立出来る。それによって生まれる利益は数え切れない程のものになるぞ?」

 

龍「………成る程。でも、何故雄英なんです?

新たな象徴となるヒーローなんて、どこから出てくるか分かりませんよ?」

 

社「龍陣。これを見たまえ。」

 

社長は、そう言ってタブレットの画面に映った動画を再生した。

 

龍「これは………!」

その動画は、オールマイトが神野でオール・フォー・ワンと戦い、勝利した後の映像だった。

 

全盛期のマッスルフォームは、既に形無しであり、弱々しく痩せ細った姿だった。

 

そんなオールマイトはボロボロの左手で、カメラの方を指差し、短くこう言った。

 

オ『………次は』

 

オ『君だ』

 

未知なる犯罪者への警鐘。

 

平和の象徴の折れない姿。

 

このシーンを見て、歓喜し、涙した物は数知れずであろう。

 

龍「これがどうしたと言うんですか?」

 

社「………この台詞、恐らく後継者に向けてのものだ。」

 

龍「………!!」

 

社「オールマイトはこの直後に引退を宣言した。自分がもう戦えない体である事を察したオールマイトは、後継者に後を託したと言うわけだ。」

 

龍「………成る程。それで、オールマイトは後継者を探すべく雄英教師に就任したと。」

 

社「そうだ。そしてオールマイトが最も教育に力を入れているのは、」

 

社「雄英高校ヒーロー科、1年A組だ!」

 

龍「!!」

 

雄英高校ヒーロー科、1年A組は敵連合からの襲撃を受け、体育祭でも大活躍をしている。

 

そんな彼らの中に、オールマイトの後継者がいたとしても、何の不思議も無いのだ。

 

龍「成る程。そいつを緋色工業に引き込むのが俺のミッションって訳ですね?」

 

社「そうだ。失敗は許されないぞ。早くしなければエンデヴァーが台頭して平和の象徴が世に出られなくなってしまうからな。」

 

龍「分かってます。良い仲間が出来そうだし、引き受けますよ。」

 

こうして龍陣は、社長室を後にした。

 

 

龍(新たな平和の象徴………。恐らく、俺の勘では、もうこのクラスにいる。それが誰かも予測がついてはいる。)

 

龍(ひとまず、今日の授業で明らかにしてみせる。)

 

相「龍陣!まだ電話か!」

 

龍「………すみません、すぐに戻りますよ。」

 

彼が、緑谷達を巻き込む大事件を起こす事を、今はまだ誰も知らなかった。

 

続く。

おまけ

 

オリキャラ君の設定

 

龍陣 翔夜 (りゅうじん しょうや)

cv神谷浩史

誕生日 7月18日

身長:164cm

体重65kg

個性:ギルドラゴン

自らの体内に9匹の龍を住まわせ、その龍一匹一匹の力を使うことができる個性。

個性を使う時、体に刻まれた龍の印が青く光る。

 

ちなみにその9つは、

龍眼(視力が良くなり、遠くを見ることができる。)

龍脈(血を龍の様に速く回す事で身体能力を底上げできる。)

竜巻(名前の通り竜巻を起こせる。)

龍翼(翼を体に生やして飛ぶ事ができる。)

逆鱗(鱗を剥がす事でリミッターが外れる)

龍爪(手首から龍の様な鋭い爪が生える。)

龍鱗(体全体に鱗を纏う事で耐性を強くできる。)

龍炎(炎を吹くことが出来る)

龍装(龍と合体出来る)

 

緋色工業の社員であるため、表向きはかなり丁寧で、常に笑っているが、心の中には何かが隠されている。彼が何故緋色工業に居るのかは、じきにあかされます。

 

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