内憂外患? いいえ、フロンティアxフロンティアです!   作:かりん2022

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会議

「30分で支度して!」

「話は聞かせてもらいました! どうぞ私にお任せを!」

 

 扉が開いて外交官が出てきた。

 

あまりにも無茶振りが過ぎるかと思ったが、若き外交官、菅原がばっちり待機済みだったのである。

伊丹は元々、菅原を紹介する為に来ていたのだ。

ここまでの流れも監視カメラによって把握している。

ということで、2人で魔法使いの会議に参加することになった。

なっちゃったのである。

 

「初めまして、未来 夢です。こっちはストロベリー」

「花園 桜です〜。ワフ〜挨拶して〜」

「米原 牡丹よ。この子は雅」

「菅原 浩治です。よろしく。夢さんは、幼いながらに非魔法族の研究の権威だとか」

「そうよ、褒めて! 貴方達の事は何でも知ってるんだから。文化、政治体系、食生活、機械の操作に至るまで!*1 日本国の総理大臣の名前も言えるわよ! 本位総理大臣でしょ」

「はえ〜」

「保護された2歳の時には文字を書けて、3歳で父親の研究を手伝って、5歳で論文を書いたのは有名な話よ! 夢は凄いんだから!」

「それは凄い。夢さんが考案したという帰ってきたヴォルデモート作戦についてお伺いしても? 貴方方のお話を聞くに、イギリスの大犯罪者の名前なのではないかと思うのですが、それの詳細も聞きたいですね」

 

 じまーん! ドヤ顔をする夢はやはり幼子である。

 

「ああ、ヴォルデモートは昔、イギリスに存在した魔法使いよ。名前をいうのも怖くて出来ないほど恐ろしい大魔法使いでね。死をも超越し、魔法族、普族……貴方達のことね、を支配しようとして殺戮の限りを尽くしたの。勇敢なる予言の子、ハリー・ポッターを筆頭にたくさんの魔法使いが死力を尽くして犠牲を出しつつようやく倒したのだけれど、まだ名前を口に出そうとする魔法使いは少ないわね」

 

「帰ってくる可能性があるんですか?」

 

「いいえ? それは大丈夫。ただし、ヴォルデモート級の魔法使いがもう一度現れて仕舞えば、私達は対抗できないわ。魔法使いは減る一方だし、守るよりも破壊する方が簡単だもの。逆に、普族は力をつける一方。だから、普族と融和して悪しき魔法使いに立ち向かう。これが帰ってきたヴォルデモート作戦よ。まさか、異世界人が侵略に来るとは思わなかったけど」

 

「なるほど。魔法族と非魔法族が手に手を取り合う為の作戦なのですね」

 

「その通り! そもそも、私は普族に魔法使いの事を知らせるべきだと思うのよ。何故なら、魔法の才能を持つ子は絶対に教育しなければ、力を暴走させ、悪くすれば災害になってしまうの。だから、魔法使いはどんなに数が減っても、力を失っても、組織を維持しないといけないの。普族の中にも一定数生まれ続ける仲間の為にね。魔法族は数が少なすぎて魔法族だけで種族が消滅せずに維持し続けるのは難しいわ。でも、この情報化社会で正体を隠して人に紛れて暮らすのも無理があるのよ。私たちの種の存続の為に。魔法使いが途切れたとしても、未来で生まれる同胞が困らぬようにする為に。私達は、普族の力を得ないといけないと思うわけよ。ま、ヴォルデモートが現れた時ってのは口実ね。そんな口実でもなければ、普族との融和なんて実現しっこないけれど」

 

「でも、人数の補充はあるわけだし、消えちゃうって事はなくない?」

「今はね。魔法使いの世帯は明確に減ってるわ。今じゃ魔法使いの子供の三人に1人は羽なし……魔力なしよ。それに、事態が事態だからね。助けたのにヘイトを向けられるのが一番怖いわ。普族の侵略者への敵討ちを邪魔しちゃ駄目よ。死者がいっぱい出てるんだから、このままじゃ普族の面子が立たないわ」

「それは駄目です〜。メンツも仇討ちも大事です〜」

「確かにね」

 

「本当に天才児なんだな」

「ふふん。私の本当のパパは科学者よ? 当然よ!」

「本当のパパ?」

「ああ、私は魔法の才能があったから保護されたのよ。まー誘拐よね、ママとパパにしてみれば。その代わり、パパ上の子供の羽なしが今は私の代わりをしてる」*2

「はあ!? 人力チェンジリングかよ!」

「あのまま行けば魔力を暴走させてママとパパを死なせちゃってたかもだし、*3仕方ないの。羽なしも以前は社会に受け入れたけど、今はもう羽なしが生まれすぎて受け入れられなくなったのよね。魔法族は専門学校へ行く流れが出来さえすれば、魔法族に生まれた羽なしも普族に生まれた同胞も家族と離れずに済むわ。少なくとも、クリスマスにカードを送り合うぐらいはできる様になるはず」

「でも仕方ないじゃない。魔法族と普族は一緒に暮らせないわ」

「それは違う、牡丹ちゃん。魔力のあるなしはあっても、同じ人間だよ」

 

 菅原は深々と頷いた。

 

「わかりました。私は貴方に全面協力します!」

「ありがとう! そろそろ時間ね、行きましょう」

 

 そして、ポートキーを使って学校を経由し、魔法奉行所について会議の控え室で出番を待つ。

 

「ご両親に会いに行ったりするの?」

「迷惑になるから会いに行っちゃダメなの。でも人伝に写真を撮ってきてもらうのはありなんだよ!」

「夢ちゃんは強いな」

「よくある話よ」

「よくあるのか……」

 

 そして、会議で呼ばれる。

 

「自衛隊の戦力について問いたい。お前達は侵略者を撃退できるか」

「出来ます!」

 

 ここは退いてはダメな所だろう。それに侵略者を撤退させた時の感触から撃退は可能だ。伊丹は断言した。

 

「我らが扉について研究をするから、お前達には侵略者の撃退を頼みたい。事態は急を要する。先方が凄まじい軍勢を集めている」

「それは必要最低限、当然のラインですね。私達は、侵略の代償を支払わねばなりません。会議が終わり次第、すぐさま部隊を編成して異世界の扉に進軍させましょう」

 

 菅原がすっと前に出た。

 

「それは最低限として、いくつか検討してほしい提案があります。損はさせません」

 

 菅原は若き、そして才能ある外交官である。

 彼は遺憾なくその力を発揮した。

 魔法使いは、元々素直というか、若干出鱈目も信じてしまうような純真さを持っているというか、なので赤子の手をひねるかのよう。*4

 

 慌てた夢が菅原に反論し、菅原は夢の才能を再度認識したのだった。

*1
機械操作は魔法使いにとってかなりの技能である

*2
魔力なしの上手いあだ名が思いつかなかったので飛べない鳥、羽なしとした

*3
幼い魔法使いは無意識に不思議な事象を起こす。

*4
ハリーポッターでも噂やマスコミの扇動に踊らされまくっていた。あと単純に数が少ないのでコミュ力や検証能力が育ちにくい(という設定)

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