気がつくとコナンはそこにいた。
少し薄暗いが洒落た内装のカウンター席しかないバー。奥の席には人の姿が見えるが、顔ははっきりとはわからない。顔が見える、カウンター内に立つバーテンダーはコナンの知っている人物だった。
「安室さん?」
「やあ、コナンくん。ようこそ、バーボンハウスへ」
「えっ」
「ごめんね、コナンくんは未成年だからサービスのテキーラはないんだ」
「いや、そうじゃなくて。バーボンハウスってなんなの?」
「君が悪いんだよ。
「それはそうなんだけど……その名前、大丈夫? ネタバレじゃない?」
「ここは時間軸とか難しいことは考えなくていい場所だから問題ないよ」
「うーん、メタ……」
暗転した意識が戻ると、そこはバーだった。見覚えのあるバーテンダーもいる。
「やあ。ようこそ、コナンくん」
「ゲッ、またかよ」
「ははは、またなんだ、すまない」
「その煽ってるような笑顔やめて」
「煽られるようなことする方が悪いと思わないかい?」
「そうそう、爆弾を見つけたならちゃんと通報しないとなー」
奥のカウンター席に座るちょっとチャラめの男が安室に便乗してきた。
「いや、お兄さん、誰?」
ちょっとだけ既視感を感じる知らない男にコナンもツッコミをいれる。
「うーん、今は内緒ってことで。爆弾を通報してくれればわかるからさ」
「じゃあ警察官か犯人だね」
「いや、そこで選択肢に犯人いれちゃうのやめて。バーテンダーさんも煽るような笑顔やめて」
「やあ」
「はいはい、バーボンハウスね」
「おいおい大丈夫か? 投げやりになってないか、ボウズ」
「あっ、伊達刑事」
「今回のコナンくんは交通事故だからね。道路を横断するときは左右の確認が大事だよ。コナンくんは賢いから、道路交通法を勉強するのもいいかもね」
「なんだろう、すごくお前が言うなって気持ちがわいてくる」
「車を回避するなら直感スキルもあるといいぞ」
「えっ」
「俺も直感スキルのおかげで事故を回避したことが何回もあるからな」
「えーっと……参考までに、そのスキルはどうやって習得したの?」
「交番勤務で」
「どんな魔窟なの、そこ」
「バーテンダーさんの故郷だ」
「納得した」
「僕の地元にひどい風評被害が……」
「そんなにひどくはねえよ、警察学校時代よりはだいぶマシだったからな」
「魔窟よりヤバい警察学校……」
「やあ、ようこそ」
「バーボンハウスだよー」
「……今日は衛宮さんがお客なんだね」
「そうだよ、今回はオレの担当」
「というか今回はなんでバーボンハウス送りなのかわからないんだけど。危険なことしてないよ?」
「自覚なしかあ。今の生活に慣れてきて注意力低下してるのかな」
「そんな感じかな? ちょっとずつ積み上がった違和感で蘭さんがコナンくんの正体に気づいちゃったね」
「正体を隠すなら、日頃から行動に気をつけないとダメだぞ」
「うっ……でもなんでそれでここに……?」
「禁則事項です」
「というか、正体バレの担当が衛宮さんってことは、やっぱり衛宮さんには隠すような正体があるってことじゃ」
「どうせ本編では忘れてるから問題ないよ」
「またメタな……」
「イエーイ、おいでませバーボンハウス」
「どうしてここに呼ばれたかわかるよなあ、ボウズ」
「今日は松田さんと萩原さんだけなんだ」
「シンプルに爆発物の処理失敗だからねえ。これからお勉強の時間でーす」
「引っかかりやすいトラップの爆弾、全部解体するまで帰れま10。だ、そうだ」
「俺たちの持ってきた爆処の訓練用から、バーテンダーさんがなんかの組織から持ってきたスゴいやつまであるってさ」
「問題の出どころひどくない? 小学生にやらせていいの?」
「名探偵目指してがんばれよ!」
「その黒っぽい組織から持ってきたやつ、俺もやりたいからコピーしてくれ」
「爆処って自由人しかいないの?」
「やあ、ようこそ、バーボンハウスへ」
「今日は安室さんいるんだ」
「なんと今日は豪華版だから、コナンくん以外のお客も二人いるよ」
「心当たりがないけど、豪華版になるような理由なんだ……伊達刑事と萩原さんってどういう組み合わせ? 事故で爆発とか?」
「こちらはリア充担当の伊達さん。そしてこちらは女心担当の萩原さん」
「え?」
「残念だよ、コナンくん……いや、工藤新一くん。蘭さんの好感度が不足してここに来るようなことになるなんてね……」
「はぁ!?」
「心当たりがないってことは、少しずつ不満が募って限界を超えちゃったかな?」
「いや、本人が気づいてないだけで、決定的な一言を言ってしまった可能性もあるな」
「ちょっ、ちょっと待って! 蘭の好感度が不足って……!? ウソだろ!?」
「残念ながらここに来ている時点でなあ……」
「組織にバレないよう気をつけるのはいいが、連絡を減らしすぎたり、ごまかし方が適当すぎるのは良くないってことだね」
「大丈夫か、コナンくん、動かなくなったぞ」
「豪華版になるくらいだからね。ショックもそれくらい大きいってことだよ」
※解説とか
・バーボンハウス
タイガー道場の親戚。クロスオーバー軸になったことによってゲームオーバーが発生してしまったので、救済措置として発生したらしい。ゲームオーバー時にヒントをくれたり傾向と対策を教えてくれたりする謎のバー。どう考えても序盤ではネタバレ間違いなしのバーテンダー安室さんと、ゲームオーバーの原因によって入れ替わるお客さんの同期組で構成されている。稀に作画が全然違う二頭身くらいの服部っぽいやつにうざ絡みされたり、蘭ねーちゃんっぽいやつにボコられたり、哀ちゃんっぽいやつに辛辣な一言を言われたりするときもある。赤井っぽいやつと沖矢っぽいやつはバーボンハウス出禁なので、連れて行った場合ヒントもなく追い返されて次回の難易度が上がるとかいう噂。
元ネタは釣りスレのアレ。バーボンって聞くとどうしても脳裏によぎってしまう。令和の時代に吉野家コピペがトレンド入りする世界線ならこれも許されると思ったなどと犯人は供述しておりインターネット老人会は余罪を追求している。
・ゲームオーバー
爆弾の解体失敗や交通事故などの死亡系、コナンの正体バレ系、恋愛フラグ構築失敗系が主な原因。稀に事件迷宮入り系とか、レギュラーキャラ死亡系などがあるとか。だいたいは選択肢を間違えたか、隠しパラメータの調整に失敗したかの二択。隠しパラメータは、蘭ねーちゃんの新一に対する好感度(下がりすぎるとフラれる)や、園子からの好感度(蘭ちゃんの好感度に影響を与える)、哀ちゃんの好感度(解毒剤作成のモチベーションに関わる)などの他に警察からの信頼度(事件への協力に関わる)などもある。
・直感スキル
取得要件は人による。ハワイで親父に教わるのは無理だった模様。死亡フラグ回避は他人に頼るより自力回避が一番。原作の高木刑事はガッツ系複数積んでそう。
・魔窟の交番勤務
同期の友人だとか知り合いだとかが入れ替わり立ち替わりちょっかいかけに来ていたらしい。魔術関連の事件が起きた時に通行手形として現場に連行されたり、同僚の記憶が操作されてることに気づいてしまったり、爆走するチャリの取り締まりに駆り出されたりと大変な日々を送っていた。それでも警察学校時代よりはマシらしい。