真島さん味方√   作:アライグマ318号

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 書きたくなったタイトル通りの真島さん味方√です。3時間程度で書きました!

 それでは、どうぞ


第一話 緑天パの男

 

 世界一の治安の良さで定評のある国……それが日本である。

 しかし、この国の住民は誰もが薄々感づいていた。治安の良さの裏側には、嫌気がさすほどの血と屍の山が(いしずえ)になっているのだと。

 電波塔が壊されたあの日から、本当の平和ではない……()()()()()が続いているのだと。

 仮初の平和を人々が享受するこの国のとある路地裏に、彼はいた。

 

「クソっ! 何故お前が俺たちを撃つんだ!! お前は俺たちと同じじゃないのか!?」

 

 手を赤い血で汚しながら、肩を抑える男がいる。顔を苦痛に歪めながら、目の前に立つ男に対して言葉の限りの暴言を浴びせる。

 目の前の男は、片手に銃を負傷した男に対して構えており、その銃口からは薄っすらと煙が上がっていることからも、彼が男を撃ったことは明白だ。

 夏の時期に似合った黒いジーパンと、ピンクのアロハシャツ……そして、夏の時期に似合わない黒のロングコートを羽織った、緑髪の天然パーマの男。その服装も相まって、彼の異様さはどこか目の引くものがあった。

 

「物事にはさ、バランスってもんがあるだろ?」

「は、はぁ? な、何言ってんだよ」

 

 緑天パの男……真島は、銃を構えてどこかつまらなそうに欠伸をしながら倒れる男に諭すように声を掛ける。

 

「前にこの国に来た時はよぉ、そりゃあもう酷い匂いだったんだぜ? 漂白された、除菌された、健康的で不健全な嘘の匂い……だから壊したんだ」

 

 ふと、真島が視線をチラリと、斜め45度の空へと向ける。視線の先には、斜めに大きく傾き、いびつな形となった巨大な建造物……電波塔がある。

 当然、意図的に斜めに建てられたものではない。人為的に壊されたことにより、地上数百メートルのあの巨大な電波塔は傾いているのである。

 

「壊……した? いったい何の話だよ!?」

「ただの昔話だ。まぁ、気にすんな」

 

 軽い笑みを浮かべながら、真島は倒れ込む男と目線を合わせるように座り込み、片手に持った銃を男の額に押し当てる。

 

「ったく、皮肉なもんだよな。あの時壊す側だった俺が、今回はこっち側なんてよ」

 

 本当に皮肉がたっぷりと込められた様子で、真島は口角を吊り上げる。

 

「俺が国の外にいる間に、お前らがこの国を引っ掻き回してんだろ? あの電波塔事件を皮切りに、10年もの間、この嘘まみれの国でよ。なぁ、楽しかったか?」

 

 まるで焦らす様に銃をグリグリと押し付ける真島。いつ殺されるか分からず、文字通り命を握られる恐怖に、負傷した男は精神をゴリゴリと削られ、悪態を吐く余裕が磨り減っているようだった。

 

「何事もバランスだ、バランス。お前らがこの国を掻き回すから、俺がバランスを取ってやってるんだぜ?」

 

 ドンッ!!

 

「ひいっ!?」

 

 次の瞬間、真島は無造作に銃の照準を男から外すと、振り向きもせずに左方向に向け、発砲した。

 

「ク、ソ……が」

 

 真島が銃を発砲した先には、拳銃を持った男がいた。しかし、現実を呪う言葉だけを残し、拳銃を持った男の身体は糸が切れた人形のように後ろに倒れ込んだ。

 それもそうだろう。真島が放った弾丸は、寸分違わず男の額を撃ち抜いていたのだから。その証拠に、男の頭は9mm口径の弾丸が通った痕と、血と脳漿を撒き散らす形で汚されている。

 

「善悪にもバランスは必要だろ?」

 

 男を始末するまでの間、真島は視線を動かした様子は特にない。だというのに、今目の前で見せられた信じられない動き(ノールックショット)に、負傷した男はバケモノを見るかのような目を真島に向けている。

 

「そんじゃ、良い感じにビビってくれた辺りで、この辺りでやる予定の武器取引ってのを教えてもらおうか?」

「わ、分かった……い、言う……言うから……助けてくれ……」

 

 反抗心を砕かれたのか、男は声を震わせながら求められた情報を吐いた。男が怯え、口を詰まらせるたびに、真島はゴリっと力強く銃口を押し付けては脅迫を続ける。

 

「へぇ、隣街の廃ビルか。いやぁ、助かったぜ。ありがとな」

 

 ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!! ドンッ!!

 

 満足のいく情報を得られた真島は、笑顔で感謝を伝えた瞬間、4発の弾丸を男に向けて撃った。

 一発は右足へ、一発は左足へ、一発は右腕へ、一発は左腕へ。

 

「う゛が゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?!?」

 

 四肢を全て撃たれたことで、肩の傷口を抑えることもできなくなり、男は大量の血を流しながら絶叫と共に地面に倒れる。

 痛みが強すぎるせいか、男は半ば発狂しており、目からは涙、鼻からは鼻水、口からは泡……顔の穴という穴から体液をぐちゃぐちゃに漏らし、意識を失った。

 

「さて、行くとするか」

 

 真島は、どこか急ぐように気絶した男を放置してその場から立ち去る。片手に持っていた銃は懐に隠し、代わりにスマホを取り出し、先ほど得た情報を元に、地図アプリを起動する。

 

「さぁ、お前らはどう動くんだ? ()()()()

 

 歪な笑みを浮かべた真島は、あの日……電波塔を折った日の出来事を思い浮かべる。

 

 入念な計画、多くの仲間、無尽蔵の武器。それを、限りなく一人で()()()()()あの子供の皮を被ったバケモノ。心臓の鼓動の聞こえないあの幼い殺し屋。

 

「さぁてと、バランスを取りに行くか」

 

 そんな言葉を溢しながら、真島はその路地裏から立ち去るのだった。

 

 

 

 

 真島が立ち去り、見えなくなってから数秒後。そこには、紺色の制服を着た女子高生と思わしき少女たちが駆け付けて来た。紺、または白の制服に身を包んだ、どこにでもいる女子高生に見える。その手に、()が握られていなければの話だが。

 

γ(ガンマ)1より、本部へ。ラジアータの報告にあったテロリストを発見したのですが……」

『どうした、何か問題があったか?』

「はい……対象のテロリストの四肢が弾丸で打ち抜かれており、周囲に死体も確認しています。恐らくですが、探せば死体は()()見つかるかと」

 

 銃を持った少女……日本の平和の裏で犯罪者を始末する殺し屋『リコリス』の少女は、通信を通して現状を本部へと伝える。

 

「恐らくですが、我々リコリス以外にテロリストを攻撃する存在がいます」

 

 リコリスの声はどこか震えていた。それもそうだろう。

 何故なら……彼女たちの視線の先には、おびただしい数の死体の山が転がっていたから。全員が頭や心臓を射抜かれ、その上でまともに抵抗できた様子がない。一部の死体は四肢が欠損しており、見るも無残な状態となっている。

 

「一体、誰がこんなことを……」

 

 リコリスのそんな呟きが、死体だらけの路地裏に響くのだった。

 

 







 突発的に思いついた奴なので、第2話があるかは不明なところがあります。まぁ、人気次第ですね。
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