平均的な逸般人に生まれ変わった転生者はハーレム目指して頑張ります 作:年上お姉さんに甘やかされたい
「そのバナナはおやつじゃなくて俺の晩め、し……だ?」
意識が戻った途端、そんな訳の分からんセリフを吐きながら上体を起こした。
辺りを見るとなかなかに荒れた地面に一部が破壊された神社跡。
……俺は何をしてたんだっけ?
散歩して、階段見つけて、選択肢出てきて、選んだら階段登って……あぁ、喧嘩してたんだった。
気絶するとは情けない。これは反省者ですよ。
「ん?」
「「……っ」」
……なんか目が合った。黒髪美人の母娘。驚いたようなそんな顔で俺と目が合う。
やめて、そんなに見られると好きになっちゃう。
そんなことを思いつつ"左手"で頭を搔く。
……ん?あれ?左手って折れてなかったっけ。
見てみる感じ折れてるように見えない。なんなら細かな傷すら見えない。あんな激しい喧嘩でそんなのおかしいし……、はっ!まさか俺の秘めたる回復パワーが覚醒したのか!?
「あ、腕や大きな怪我は直しておきましたよ。細かな傷までは……量が多くて全部は……」
母親の言葉に少し肩を落とす。
……俺の不思議パワーじゃなかったんだな。
【ありがたき幸せ(片膝ついて)】
【チッ、余計なことしやがって】
道徳0100か。
もっと中間のバランスいい選択肢だせよ。
下は論外だけど上は上で重いわ。
はぁ……。
「ありがたき幸せ」
「え?あ、い、いいのよ。それに感謝をするのはこちらの方ですから」
ちょっと困惑された。
そらそうだ。いきなり片膝ついてありがたき幸せとかいう子供。あらあら可愛いわねで済ませる大人がいたら会ってみたい。
「まぁ、何はともあれ2人死んでねんなら良かったってことで」
「えぇ本当にありがとうございます」
それにしたってなんなんやろかこの男どもは。
未だ気絶している彼らは動けないように縄でぐるぐる巻きにされていた。
悪魔……とはまた違うよな。いつぞやに見たデブ悪魔の羽ってこんなんじゃなかったし。となれば天使?いや黒いから堕天使?
チュートリアルの時そんな奴らもいるってチョロっと言ってたよな?
「……あなたは誰なの?」
「ん?」
考え事する俺に聞いてきたのは娘ちゃんの方。
「俺はね──」
【ハジケリストです(ギャグルート)】
【通りすがりの仮面ライダーだ(通常ルート継続)】
またお前か。
ギャグルートは選ばんぞ。俺は!絶対に!
「……通りすがりの仮面ライダーだ」
「かめんらいだぁ?」
「その通り。仮面ライダーとは正義の味方なんだぞー?」
「正義の…味方…!」
あらヤダこの子お目目キラキラしてらっしゃるわ。これを機にライダーオタクになることを勧めよう。
てかこの子も俺と同い年くらいっぽいよな。襲われてたというのによく泣かなかったな!君は仮面ライダーの素質があるぞ!……いや、プリキュアかもしれん!
そういや今何時だろ?スマホは……まだこの歳じゃ持ってないし、腕時計は……ああ、この前イッセーたちと遊んだ時に壊したっけな。
「あのー、今何時か分かります?」
「ん?……今はね…3時前になるわね」
3時前か。気絶して数十分くらいしか経ってない感じだな。
「あ、あと〇〇の行き方って分かります?」
「〇〇?それなら階段降りて左に行くと大通りに出るからそしたら駅方面にまっすぐよ?……もしかしてあなたあそこの地区の子?遠かったでしょ?」
「男の子は冒険が好きなんです」
「あらあらそう。ふふふ、いいわね」
口元を手で隠して微笑む母親。
何この母性の塊。好きになるわ。
『朱璃ぃッ!!!朱乃ォッ!!!』
「「「!?」」」
唐突に聞こえた男の声。
【まずい!可愛い子の最強守護神、パピーが帰ってきたようだ!ここは戦略的撤退!逃げるべし!】
【フッ、新たな刺客か。よかろう。我が相手をしてやろう!】
戦うか逃げるしかない件について。話し合う選択肢はないの?
ここは穏便に話し合いで、とかじゃなくて穏便に暴力でってこと?……穏便とは?
しょうがない。残っても争いがあると言うなら帰りますよ。大人しく。
「おっと自分はそろそろ塾の時間だ。じゃあこれにて」
「え?」
「あ、ま、待って…!」
後ろから母親の戸惑う声と叫んでくれる娘ちゃんの声を聞きながら俺はその場を後にした。
ごめんよ。選択肢は絶対でな。自分の意思じゃ止まれないの。
家に帰ったら傷だらけの俺を見て母君からまた怒られた。
……最近俺ってば怪我してばっか。……ぴえん。
あれから数ヶ月後のある日の事だった。
俺たちは今空港にいた。
「あちらでも頑張ってきてください」
「風邪にはお気をつけて」
「えぇ、行ってきます」
そんな会話をする我が母君とイッセーとシドーの母君。
今日はシドーが引っ越していくとの事でお見送りに来た。しかも引越し先が海外らしい。
シドーの家はそれはそれは神様大好きな宗教家らしく、本場のイギリスに行ってくるぜってことらしい。
「お別れになっちゃうね」
「おう!でも俺たちは友達だろ!」
「…っ!うん!」
イッセーの言葉に元気に返すシドー。なかなかいい雰囲気じゃないか。お兄さん将来が楽しみだよ。
「ボンちゃんも元気でね」
「シドーも風邪引くなよ」
「分かってるよ」
今日も今日とてトレードマークの帽子をかぶってる。
俺も何かトレードマークを持つべきか。……いつも着てるパーカーをトレードマークにしてみるかな。
「あ!そうだ!俺ちょっと物取ってくるから待っててくれ!」
何かを思い出したかのように走り出すイッセー。……なるほどな。アレか。アレ取りに行ったかあいつ。
「……ねぇ、ボンちゃんって神様は信じてる?」
「ん?」
こりゃまた唐突な質問だな。
そんな質問宗教家に対してなかなか返答が難しいぞ。
何か角の立たないこと……、
【神は死んだ】
【俺は一生……神には祈らねぇ】
角を立たせるなつってんだよ。
神様信仰してる人に『神は死んだ』(キリッ)とか言ってみ?なんやこいつ?ってなるやろ。
下も下で、上よかマシだけどなんやこいつ案件まっしぐらや。逃げ場ねぇなこんちくしょう。
「……俺は一生……神には祈らねぇ」
「っ!……そ、それはどうして?」
……ほら見ろ。なんか声音が悲しくなっちゃってるよこれ。ごめんなほんと。
「人を生み出したのが神だとして、それならありがとうとは思うよ。けど人生において出てくる苦難困難が神が用意したものっていうのはいまいち俺はよく分からん。神が用意したものだろうがしてないものだろうが、その苦難困難を乗り越えるために神様、私に力を貸しては俺は好きじゃないな」
「そっか……」
俺の言葉に顔に影を落とすシドー。
「……だって人はそこまで弱くないと俺は思うからね」
「え?」
「俺はこの逆境を俺の力で乗り越えてやるぜ。だから神様俺のすげーところ見てろよ。的な?神の力よりやっぱり自分の力を信じてたいじゃん?」
「……っ!」
「神様を信仰するのは悪いことじゃない。ただその神を頼りに"しすぎた"時、俺は人としての成長は止まるんじゃないかなって思うのよ。だから1番は自分がどう思ってどう行動するか。神には頼らず見守っててねくらいがちょうどいいんだよ。……と俺は思ってるよ」
「……」
俺の言葉に惚けるシドー。
固まっていたそいつは少し時間を置いてから何やら納得したように首を縦に動かした。
「うん、うんうん……そっか!そうだね!自分ももう少し自分の力信じてみようと思う。ありがとね、ボンちゃん」
「……いいってことよ」
……今の俺カッケーな。素晴らしくかっこよい。
自己肯定感高めてけ?
「おーい!」
あ、イッセーが帰ってきた。
手には何やら本のようなもの。
息を切らしながらイッセーはそれをシドーに対して差し出した。
「はいこれ」
「これは?」
「ボンちゃんと二人で作ったアルバムだ!これみて俺たちのこと思い出してくれ」
「〜〜っ!ありがとう!」
作ってあげようぜ的な選択肢が出てきてくれたおかげだぜ。
たまには仕事するじゃねぇかよぉ。
「そろそろ行くわよー!」
「あ、うん。分かった!……それじゃあね」
そう言って手を振りながら行こうとするシドー。
【もう二度と帰ってこなくていいぞー!】
【このパーカーをお前に預ける。俺の大切なパーカーだ。いつかきっと返しに来い】
おう、水差すなや。
道徳0100なんよほんと。
まあ、下選ぶけどさ。
「シドー」
「え?」
呼び止めたシドーに来ていたパーカーを渡す。
「このパーカーをお前に預ける。俺の大切なパーカーだ。いつかきっと返しに来い」
「……うん!じゃあ……はい!」
パーカーを受け取ったシドーは被っていた帽子を渡してきた。
「ボンちゃんにこれを預けます。また会った時交換こしようね」
そこで初めて見るシドーの素顔。
俺は固まってたと思う。
「あ、うん」
「じゃあね!」
そう言って今度こそ親の元へ行ってしまったシドー。
そのまま出発時刻になり、飛行機は飛んでいってしまった。
そんな飛び去る飛行機。それを見ながら俺は思った。
シドーって女の子だったんだな、と。
なんなら下の名前も聞いたこと無かった気がする、と。
そして、そんな女の子に初対面で体洗う時は股間から洗うか聞いたヤツがいるらしい。まじかよそいつ最低だな。
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